今回は、様々な社会問題を漫画に取り上げている筒井哲也先生による漫画作品の一つである「予告犯」の記事を書いて行きたいと思います。
表紙絵だけでも攻撃的な作風だと一目で分かる作品となっている今作は、シンブンシと名乗る青年が新聞紙で顔を覆い犯罪予告して実行していくという作品。
表紙にも負けないぐらい攻撃的な内容となっており、SNSや動画サイトで問題となった話題を世直しいて行くというストーリーです。
この記事では表紙だけでも気になる「予告犯」のあらすじを少しだけ紹介していきたいと思います。どんな作品か気になっている方は是非最後までご覧ください!
その他筒井哲也先生の作品もまとめています。

※本記事は、予告犯の重要なネタバレを含みます。
予告犯の見所とは?
「予告犯」の見所はインターネット上に現れた謎の予告犯「シンブンシ」が、法では裁けない悪を裁くという斬新な設定ですが模倣犯が現れないとも限らない所です。
また、シンブンシの一人である奥田は、狡猾な犯人ということで一連の犯行は計画通りに進められていきますが、その中で少しずつ手掛かりを敢えて残していきます。
警察側も、奥田が予想していなかった所から犯人に近づいていくなど、シンブンシと警察の攻防は、スリリングな展開を見せ、読者を最後まで惹きつけます。
予告犯ネタバレあらすじ
予告犯1巻ネタバレあらすじ
物語は、2011年、インターネットの動画サイト「YOURTUBE」に突如アップロードされた一本の動画から始まります。その動画には、頭部に新聞紙を被った男、通称「シンブンシ」が映っており、彼は「法では裁かれない罪」を犯した者たちへの制裁を予告します。
最初のターゲットとなったのは、某食品加工会社でした。同社は、集団食中毒事件を起こし多数の重傷者を出したにも関わらず、「法の不備のせいだ」と開き直り逆ギレ会見していました。
シンブンシは、同社への放火を予告し、実際に実行に移します。
警視庁サイバー犯罪対策課の吉野絵里香は、この事件を機に、シンブンシの捜査を開始します。吉野は、高い分析能力と行動力を持ち合わせる、優秀なサイバー犯罪捜査官です。
シンブンシは、その後も次々と犯行予告を行い、そのターゲットは、ネット上で炎上騒ぎを起こした者や、社会のモラルに反する行為を行った者たちへと広がっていきます。
シンブンシの犯行は、ネット上で賛否両論を巻き起こします。「法では裁けない悪を裁くヒーロー」と支持する者もいれば、「私刑は許されない」と批判する者もいます。 吉野は、シンブンシの正体を突き止め、その犯行を阻止しようと奔走しますが、シンブンシは巧妙な手口で警察の追跡をかわし、次々と新たな犯行予告を行うのでした。
1巻では、シンブンシがなぜ集まったのかのストーリーも明らかになります。
シンブンシは、派遣先のシステム会社で正社員になることを信じて働いていましたが、社長の嫌がらせで解雇され、日雇い生活に陥ります。現場作業で知り合った4人と意気投合した奥田は、それぞれの生い立ちを語り合います。
しかし、ある日、過酷な現場作業と過去の手術の影響で、ヒョロ(本名ネルソン・カトー・リカルテ)が亡くなります。現場責任者は冷酷にもヒョロの遺体を埋めるよう命じますが、奥田たちは逆上し責任者を殺害、事務所に火を放ちます。
1巻の最後では、シンブンシたちの正体やどうやって4人が集まったのかの過去が明かされ、警察もシンブンシの正体が単独ではなく複数犯である事、監視カメラの映像から不審にカメラを意識して顔を背けている男などシンブンシの正体が徐々に明らかになっていくのでした。
予告犯2巻ネタバレあらすじ
漫画「予告犯」2巻は、シンブンシの犯行がさらにエスカレートし、社会を震撼させる出来事が描かれます。 1巻で始まったシンブンシによる「法では裁かれない罪」への制裁は、2巻でも継続されます。
そのターゲットは、「シーガーディアン」を名乗る反捕鯨運動を毎年、南極海で繰り広げている集団でした。
しかし、シンブンシの手配書は既に犯行に使われているピットボーイの店舗に回っており警察からギリギリの所で逃げ切り、その犯行を止めようとする吉野たちをあざ笑うかのように、新たな犯行予告を行います。
シンブンシがなぜこのような犯行を繰り返すのか、その背景にはどのような出来事があったのか、物語は徐々に核心へと迫ります。 また、シンブンシの犯行に共感し、模倣犯が現れ始めるなど、物語は新たな展開を見せ始めるのです。
2巻の最後では、シンブンシが重大なミスを犯し秋葉原で監視カメラに正体が写ってしまい、更に仲間の一人が自供しようとするなど、更にシンブンシの正体に迫って行きます。
予告犯3巻ネタバレあらすじ
漫画「予告犯」3巻は、物語の核心に迫り、衝撃的な結末を迎える完結巻です。 シンブンシこと奥田宏明の過去、そして彼が犯行に至った動機が明らかになります。
シンブンシとしての活動で注目を集めた奥田は、ネット批判をする政治家・設楽木をターゲットにします。しかし、殺人の予告時間が来てもシンブンシは現れず、代わりにスキャンダルを暴露され、設楽木は政治生命を失います。
またしても犯人を取り逃がしてしまった吉野たちの前に新たな犯行予告動画が上がるのでした。
そのターゲットは、これまで犯行を実行してきたシンブンシ本人でした。 3巻では、彼らの過去が交錯し、物語はクライマックスへと向かいます。奥田の犯行は、社会に大きな波紋を広げ、吉野をはじめとする人々の心に深い傷跡を残します。
3巻では、シンブンシの過去が詳細に描かれ、彼がなぜそのような行動を取るに至ったのかが明らかになります。また、吉野絵里香は、奥田の過去を知ることで、彼の行動に対して複雑な感情を抱きます。
登場人物一覧
奥田 宏明 (おくだ ひろあき)
31歳、元IT企業の派遣社員で、予告犯グループ「シンブンシ」の主犯格です。ニックネームは「ゲイツ」で、IT企業での経験から高度なコンピュータネットワーク技術を持ち、サイバー犯罪対策課の捜査を翻弄します。不当解雇された過去を持ち、社会への復讐心と、亡き友ヒョロの願いを叶えるためにシンブンシとしての活動を始めます。
葛西 智彦 (かさい ともひこ)
35歳、大阪出身で、シンブンシのメンバーの一人です。ニックネームは「カンサイ」で、元ミュージシャンであり、バンド解散後に日雇い労働をしていました。青酸カリ入りのペンダントを所持しており、シンブンシの「最期」に関わる重要な役割を担います。
寺原 慎一 (てらはら しんいち)
年齢は30代半ば福岡出身で、シンブンシのメンバーの一人です。ニックネームは「メタボ」で、小太りな体型からそう呼ばれています。ギャンブルで借金を抱え、日雇い労働をしていました。仲間思いで、シンブンシ結成のきっかけとなる事件で中心的な役割を果たします。
木村 浩一 (きむら こういち)
26歳、宮城出身で、シンブンシのメンバーの一人です。ニックネームは「ノビタ」で、眼鏡をかけていることからそう呼ばれています。無口で女性恐怖症ですが、パソコンの恋愛ゲームを好む一面もあります。父親の死後、日雇い労働をするようになり、シンブンシに加わります。
吉野 絵里香 (よしの えりか)
警視庁サイバー犯罪対策課の班長です。26歳で警部補と若くしてエリートとして活躍し、シンブンシ事件の捜査を担当します。高い分析能力と行動力を持ち、シンブンシ逮捕に執念を燃やします。
岡本 大毅 (おかもと だいき)
警視庁サイバー犯罪対策課の刑事で、吉野の部下です。ITには疎いものの、刑事としての勘が鋭く、吉野をサポートします。
市川 学 (いちかわ まなぶ)
警視庁サイバー犯罪対策課の刑事で、吉野の部下です。ITに関する知識が豊富で、合理主義的な性格です。サイバー犯罪の捜査で重要な役割を果たします。
松本 慎一 (まつもと しんいち)
警視庁サイバー犯罪対策課の課長で、吉野の上司です。シンブンシ事件の捜査を指揮します。
新垣 (あらがき)
警視庁高速道路交通警察隊の隊員で、運転技術に自信があります。吉野に好意を寄せていますが、あまり相手にされていません。
ネルソン・カトー・リカルテ
フィリピン出身の日系人青年で、ゲイツたちと日雇い労働現場で知り合います。明るい性格で、シンブンシ結成のきっかけとなる重要な人物です。
ボブ・パーカー
64歳のカナダ人男性で、環境保護団体「シーガーディアン」の代表です。シンブンシのターゲットとなり、サイバー攻撃を受けます。
設楽木 匡志 (したらぎ ただし)
衆議院議員で、ネット規制を推進したことからシンブンシのターゲットになります。
青山 祐一 (あおやま ゆういち)
インターネットカフェ「ピットボーイ」の店員で、ゲイツの逃亡を助けます。
予告犯あらすじまとめ
今回は、SNSや動画配信サイトなど現代ならではの話題を取り扱った作品「予告犯」のあらすじをネタバレ含めて記事にしました。
シンブンシの行動は、社会的弱者視点で描かれておりとても共感できる内容となっています。実際に犯行に移す人はいないとは思いますが、警察の目を欺きながら淡々と計画を実行していく中で自らが不利な立場に置かれると分かっていながらも監視カメラの前で騒ぎを起こしてしまう奥田には、とても人間味を感じました。
現代社会が抱える問題点や、ネット社会の闇をリアルに描き出した本作は、一度読み始めたら止まらない、衝撃的な作品です。是非一度読んでみてください!
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