『ガンニバル』は、山本英夫による日本のサスペンス・ホラー漫画で、物語の舞台となるのは「供花村」という不気味な村です。
この村には、世代を超えて続く恐ろしい儀式があり、村人たちはとんでもない秘密を抱えています。物語は、警察官である大悟が、この村に隠された人喰いの秘密を暴こうとするところから始まります。
これまでに刊行された全巻に渡り、村の謎、後藤家の暗躍、そして大悟の家族を巻き込んだ壮絶な戦いが繰り広げられました。
本記事では、全巻のあらすじやネタバレを整理しながら、『ガンニバル』の魅力と物語の進展を追っていきます。
13巻までの内容を網羅し、登場人物や伏線、驚愕の真相についても深掘りしていきます。今後の展開を予想するための参考にしていただければ幸いです。
ガンニバル1巻あらすじ
物語は、主人公である警察官の阿川大悟が、妻の有希と娘のましろと共に、山間の村「供花村(くげむら)」に駐在として赴任してくるところから始まります。美しい自然に囲まれた穏やかな村で、大悟一家は村人たちの温かい歓迎を受け、新たな生活をスタートさせます。
しかし、その裏側では、村に根付く不穏な空気が徐々に彼らを包み込んでいくのです。 赴任して間もなく、大悟は村で起こったある事件の捜査に携わることになります。それは、老婆の遺体が発見されたというものでした。
この事件をきっかけに、大悟は村の異常な雰囲気に気づき始めます。村人たちの閉鎖的な態度、そして、村を支配する後藤家という一族の存在。後藤家は、村で絶大な影響力を持つ家系で、村人たちは彼らに逆らうことを恐れているようでした。
老婆の事件を追う中で、大悟は村に根付く奇妙な噂を耳にします。それは、「この村の人間は人を喰っている」というものでした。最初は荒唐無稽な噂として聞き流していた大悟でしたが、次第に、村で起こる不可解な出来事や、村人たちの異様な行動から、その噂が真実味を帯びてくるように感じ始めます。
さらに、大悟は前任の駐在員が失踪していることを知ります。村の不可解な噂と前任者の失踪。これらの点と点が結びつき、大悟は村に隠された闇に足を踏み入れていくことになります。
第1巻では、大悟が供花村の異様な雰囲気に気づき始め、村に隠された闇に足を踏み入れていく様子が描かれています。美しい村の裏側に潜む狂気と恐怖。読者は、大悟と共に、この村で起こるおぞましい出来事の真相に迫っていくことになります。
ガンニバル2巻あらすじ
第2巻では、主人公の阿川大悟が、供花村(くげむら)に隠された異様な風習と、後藤家という一族の謎に深く踏み込んでいく様子が描かれています。 大悟は、村で起こった老婆の遺体発見事件をきっかけに、村に根付く食人の噂を疑い始めます。
前任の駐在員が残した「この村の人間は人を喰っている」という言葉が、彼の心を捉えて離れません。村人たちの閉鎖的な態度、そして、後藤家の異様な存在感。
それらはすべて、大悟の疑念を深める要因となっていきます。 そんな中、大悟は後藤家の長男である後藤恵介と出会います。
恵介は、他の村人たちとは異なり、大悟に対して友好的な態度を示します。しかし、その裏には何かを隠しているような不気味さも感じられました。
恵介との出会いをきっかけに、大悟は後藤家と村の過去に隠された秘密を少しずつ知ることになります。 村に伝わる「供花様」という神の存在、そして、その神に捧げられる「奉納祭」。それらの儀式が、村の食人文化と深く関わっていることを大悟は確信していきます。
そして、その祭りで後藤家の子供達が生贄として捧げられている事実を知ります。 大悟は、村の異常な風習を止め、子供たちを救うために行動を開始するのでした。
しかし、後藤家は村を支配する強大な力を持っており、大悟の行動は危険を伴うものでした。 第2巻では、大悟が村の異様な風習に立ち向かい、後藤家の秘密に迫っていく様子が描かれています。村に隠されたおぞましい真実、そして、大悟と後藤家の戦いが深い恐怖と緊張感へと引き込んでいきます。
ガンニバル3巻あらすじ
第3巻では、供花村(くげむら)に隠された異常な風習と、それを隠蔽しようとする村人たち、そして真相を追う主人公・阿川大悟の姿が描かれています。
大悟は、後藤家の人間から村人が前任の駐在・狩野一家を村八分にしていたことを知り、村人への疑念を深めます。
それでも村で家族と生きていく決意を固めた大悟は、狩野の娘・すみれから村の情報を得ようとしますが、すみれは後藤家だけでなく、村全体が異様な雰囲気を醸し出していることを語るのでした。
そんな中、駐在所のセキュリティ強化のためにフェンスを設置しようとした大悟は、村のリーダー的存在であるサブから警告を受け、村人たちの態度が急変します。
その後、大悟は狩野が最後に電話していた相手と接触し、供花村で人食いが行われている可能性を示唆されます。
さらに、村の神社の子息・宗近からも村を去るように忠告を受け、村の異常性を確信します。そして、オカルトサイト運営者の宇多田から、村で死産が多いこと、死産とされた子供たちが村のどこかで生きている可能性があることを聞かされるのでした。
一方、村では奉納祭の準備が進められ、サブの娘が自分の子供が死産とされたことに疑問を抱き、大悟に捜索を依頼します。
村人たちは、大悟が真相に近づくことを警戒し、後藤家の恵介に大悟と話をするように促します。そして、大悟は恵介に呼び出され、娘のましろが失踪するという衝撃的な出来事が起こります。
3巻では、大悟が村の異常な風習に気づき、真相を追う中で、村人たちの異様な行動や、後藤家の秘密が徐々に明らかになっていきます。
ガンニバル4巻あらすじ
第4巻では、娘のましろが失踪したことをきっかけに、主人公・阿川大悟が供花村(くげむら)の異常な風習と後藤家の秘密に深く踏み込んでいく様子が描かれています。
ましろの失踪は、村の子供と遊んでいただけというが判明しますが、大悟は村人への疑念をさらに深め、村の警戒を強めます。一方、後藤家の洋介は、奉納祭に捧げられる子供たちの世話係となり、子供たちに情を抱き始めます。
村では、奉納祭の準備が進められる中、大悟は村の異様な踊りや、神社の息子・宗近の言葉から、村に根付く「呪い」の存在を感じ始めます。そんな中、後藤家の岩男は、大悟の動向を警戒し、洋介が後藤家を裏切る可能性を疑い始めます。
大悟は、家族を守るために村を出ることを決意し、妻の有希とましろを信頼できる友人の元へ送り届けます。そして、村に戻った大悟は、奉納祭の最中に村の秘密を暴こうと計画しますが、岩男に捕らえられ、後藤家で奉納祭の日まで過ごすことになります。
後藤家の恵介は、大悟の真意を探り、監禁されている子供たちの解放を求められます。一方、洋介は、子供たちを逃がす決意を固めたかのような行動を見せます。
物語は、奉納祭の開催が迫る中、大悟、恵介、洋介それぞれの思惑が交錯し、村の秘密が徐々に明らかになっていく緊迫した展開で幕を閉じます。
ガンニバル5巻あらすじ
第5巻では、供花村(くげむら)に隠された食人文化の真相に迫るため、主人公・阿川大悟が警察と協力して後藤家の調査を進める様子が描かれています。
恵介と洋介の過去の回想から始まり、彼らの母親が祭りの最中に姿を消したこと、そして銀が彼らに母親を忘れろと告げる場面が描かれます。洋介が母親を想う気持ちを吐露しようとすると、銀はキセルを投げつけ、恵介を傷つけます。
銀は洋介を抱きしめ、後藤家としての人間性や振る舞いを説きます。一方、現代では、洋介が奉納される子供たちを逃がそうとしていることが示唆されます。
大悟は、後藤家に一人で乗り込んだところ、上司の署長に止められ、県警本部の刑事たちと協力して後藤家を捜査することになります。刑事たちは、後藤家が人間を食っているという証拠を掴んでおり、その情報源は解剖医の中村でした。
大悟は、「あの人」と呼ばれる謎の人物の存在を告げ、彼が事件の核心にいると考えます。
「あの人」は、供花村出身の署長も知らない、後藤家の戸籍にも登録がない人物でした。また、18年前に失踪した銀の長女・後藤藍が、「顔を喰われた男」こと京介を救った可能性があることが示唆されます。大悟は、子供たちが監禁されている場所を突き止めるため、京介に協力を求めます。
一方、洋介は子供たちを逃がそうとしていることが岩男にバレてしまい、監禁されてしまいます。署長主導で子供たちの奪還作戦が計画されますが、証拠不足のためSITの出動は難航します。大悟は、宇多田から協力の理由を聞き、子供たちを救うために捜査に協力することを決意します。
大悟は、中村から後藤銀が「狂い病」という病気に冒されていた可能性を聞かされます。この病気は、遺体を食すことで発症するものであり、後藤家が食人を行っている可能性が浮上します。
さらに、後藤銀の死にも疑問が残ります。熊に襲われたとされていますが、遺体には複数の歯型があったことが語られます。
署長は、祖父から「あの人」に関する噂を聞き出します。それは、後藤銀が戦争中に生んだ子供が匿われているというものでした。一方、京介は、母親である後藤藍に協力を求めますが、彼女は意味深な言葉を残します。
大悟は、京介と連絡が途絶えたことを心配し、一人で供花村に乗り込むことを決意します。金丸は、大悟に子供たちが監禁されている証拠を掴んでくるように指示し、SITを動かそうとします。
一方、供花村では、宗近が恵介に子供たちの解放を求めますが、恵介は拒否します。
物語は、大悟が供花村に戻り、後藤家の面々が子供たちの監禁場所へ向かう場面で幕を閉じます。
ガンニバル6巻あらすじ
大悟は、後藤家の地下室に潜入し、子供たちが監禁されていたと思われる地下牢を発見し、子供たちが別の場所へ移されたことを確信します。
一方、後藤家の長男である恵介は、大悟を逃がそうとしますが、後藤家の仲間からその行動を問いただされます。恵介は、後藤家の伝統に疑問を持ち、家を変えようとしていることを明かします。
また、村長と警察の指揮官との会話から、村長が前駐在の狩野の死について何かを知っていることが示唆され、村長は、後藤家を潰すために狩野の死を利用しようとしていることが明らかになります。
さらに、「あの人」の正体について、忌まわしい真実が少しずつ明らかになり始め、後藤銀が後藤家の血筋を残すために行ってきた非道な行いが語られます。
物語は大きく進行し、様々な謎が解き明かされていく中で、恵介と大悟は、この呪われた運命を変えることができるのか、物語は緊迫感を増していきます。
ガンニバル7巻あらすじ
大悟は、村の神主である宗近に保護され、村の狂った風習と後藤家の異様な関係について聞かされます。宗近は、村で起こる不可解な事件の背景には、後藤銀と並ぶ村の権力者である父親の神山正宗が深く関わっていることを示唆します。
一方、恵介はすみれとの間に子供を授かりますが、後藤家の仲間から二人の関係を認められず、すみれのお腹に銃口を向けるという狂気の行動に出ます。しかし、すみれは恵介の本心を見抜き、村から逃げるように説得します。
村では、祭りの準備が進められる中、大悟の上司である署長と村長が互いに探り合い、不穏な空気が漂います。そんな中、警察は後藤家の猟銃を回収しようとしますが、後藤家は隠し持っていた銃で抵抗し、警察と後藤家の間で激しい銃撃戦が勃発します。
大悟は、恵介から子供たちが監禁されている場所を聞き出し、署長と共にそこへ向かいます。監禁されていた子供たちは無事に保護されますが、それは供花村で生まれた子供たちであり、村人たちが自分の子供が食われるとわかっていながら後藤銀に差し出したという事実が明らかになるのでした。
子供たちを救出した大悟は、村人たちに怒りをぶつけますが、その直後、村人たちは後藤家の銃撃により殺害され、大悟は後藤家に捕らえられてしまいます。物語は、警察と後藤家の対立が激化し、村の狂気がより一層色濃く描かれる中で、大悟の家族に危険が迫るという衝撃的な展開で幕を閉じます。
ガンニバル8巻あらすじ
第8巻では、警察と後藤家の全面戦争の様相を呈し、主人公・阿川大悟の家族を人質に取ろうとする後藤家の連中と、それに対抗する大悟の狂気が描かれています。
安全に匿われていたはずの有希とましろは、警護にあたる警察の決死の応戦も虚しく、後藤家にさらわれてしまい、後藤家は大悟をおびき寄せ、彼の目の前で家族を殺そうと企みます。
一方、大悟は、家族を救うために自らの内に秘めていた狂気を解放し始め、後藤家次期当主・恵介の弟、洋介を人質に取り、洋介は後藤家の在り方に疑問を抱き、閉じ込められた子供たちを救おうと動いてきたため、大悟にとっては味方のはずでしたが、家族を救うためには背に腹は代えられない状況に陥るのです。
また、恵介は村長と対峙し、後藤銀の策略により血が繋がっていないことが明かされますが、家族として、親子として幼少期を過ごした二人は、村の掟を破り後藤家を裏切ろうとしているのではないかと疑念を抱かれます。
そして、恵介は村長を、育ての親を殺せと強いられます。
さらに、警察隊のリーダーによって、後藤銀と「あの人」の過去、後藤家の成り立ちが語られ、兄二人がいたのに、なぜ末っ子で女である後藤銀が後藤家の当主の座を継いだのかという謎も明かされ始め、供花村と後藤家、大悟が対峙してきた数々の事件と謎、そして真実がいよいよ明らかになろうとしています。
ガンニバル9巻あらすじ
第9巻は、後藤家と警察の全面戦争が激化し、物語の核心に迫る重要な展開が描かれています。
警察の精鋭部隊は後藤家に返り討ちにあい、主人公・阿川大悟は捕まってしまいますが、一方、有希とましろは危機一髪で脱出しようとするも、「あの人」に阻まれてしまいます。
他の登場人物とは異質の存在である「あの人」に対し、恵介が加勢し、この戦いの中で恵介は「あの人」が実の父親であることを語り、過去の回想シーンでは、後藤銀が牢屋の中にいる「あの人」を神主の宗近の父親と一緒に訪ねている場面が描かれ、「あの人」が何かの犠牲者であることが示唆されるのです。
そして、9巻の後半には森の中に新しい謎の人物たちが現れ、彼らは後藤銀を殺したと語り、神主の宗近が関与していることを示唆します。事態を重く見た国は、警察と自衛隊を供花村に送り込み、後藤家との全面戦争が始まり、大悟たちの運命、村の謎、後藤家の秘密が徐々に明らかになっていく中で、物語はクライマックスに向けて大きく動き出します。
ガンニバル10巻あらすじ
第10巻は、これまでの物語から大きく展開を変え、供花村(くげむら)の過去、特に後藤家の起源と、「あの人」の母親である後藤銀の若き日の姿に焦点を当てた内容となっています。
主人公の阿川大悟や、これまでの主要人物はほとんど登場せず、物語の舞台は過去の供花村に移り、そこで描かれるのは、後藤銀がまだ少女であった頃の物語であり、彼女はその美貌と才覚で村の有力者たちを魅了し、利用することで、後藤家が村で権力を確立していく過程が詳細に描写されています。
特に、神社の跡取りである神山正宗との関係を通じて、村の権力構造に深く関与していく様子が描かれ、後藤銀が単なる「狂気の老婆」ではなく、複雑な過去と動機を持つ人物として描かれている点がこの巻の重要な点です。
彼女の行動は、村の閉鎖的な環境と、そこで生き残るための手段として理解することができ、また、この過去編を通じて、供花村の異様な風習、特に「奉納祭」の起源が明らかになり、それは、後藤銀が自身の息子、すなわち「あの人」に人肉を与えるために始めた儀式であったことが示唆されます。
第10巻は、これまでのサスペンスフルな展開から一転し、供花村の歴史と後藤家の起源を深く掘り下げる内容となっており、これにより、読者は物語の背景にある複雑な人間関係や、村の異様な風習がどのようにして生まれたのかを理解することができます。また、後藤銀の若き日の姿を描くことで、彼女の人物像に新たな側面が加わり、読者は彼女を単なる悪役としてではなく、複雑な背景を持つ人物として捉え直すことができるでしょう。この巻は、物語の核心に迫る重要な情報を提供すると同時に、これまでの展開に対する新たな解釈を促す内容となっています。
ガンニバル11巻あらすじ
第11巻では、供花村(くげむら)の過去と現在が交錯し、物語は衝撃的なクライマックスへと向かいます。
過去の供花村では、後藤銀が村を支配していく過程が描かれ、彼女は飢饉に苦しむ村人たちに食料を与え、同時に白銀を神として崇めさせ、奉納祭で人間を捧げることで飢えを回避できると洗脳していきます。一方、神主の吉宗は抵抗を試みるも、銀の策略によって村人たちは完全に服従し、銀は食料の隠し場所として、殺し合いで出た死体を利用していたことが明かされます。
現代に戻ると、白銀を追い詰めた大悟と恵介でしたが、ましろが白銀を庇い、その行動に大悟は動揺します。そして、白銀を殺そうと狂気の顔でスコープを覗く大悟よりも先に、恵介が引き金を引きますが、彼の狙いは白銀ではなく、大悟の右腕でした。恵介の裏切りに動揺する大悟を、白銀が押さえつけ、物語は衝撃的な結末へと向かいます。
この巻では、恵介の真意、ましろの行動、白銀の存在、そして銀の過去が複雑に絡み合い、読者は予測不能な展開に引き込まれます。恵介の裏切りは、銀の魂の呪いが細胞レベルで受け継がれていることを示唆し、ましろの行動は、彼女が奉納祭の生贄として扱われる可能性を示唆します。そして、銀の過去は、供花村の異常な風習がどのようにして生まれたのかを解き明かし、物語に深い闇を与えます。
物語は最終局面を迎え、大悟は供花村と後藤家を壊し、ましろを救出することができるのか、そして、供花村に隠された全ての謎が明らかになるのか、読者は固唾をのんで見守ることになります。
ガンニバル12巻あらすじ
漫画「ガンニバル」第12巻では、「あの人」こと白銀と対峙する大悟と恵介、そして後藤家と警察の全面戦争が激化し、物語は衝撃的なクライマックスへと向かいます。
大悟と恵介は白銀に銃を向けるも、ましろが白銀を庇い、恵介は躊躇しますが、意識の中で銀の亡霊が現れ、大悟を撃つよう誘導します。恵介の銃弾は大悟を貫通し、深手を負った大悟は白銀に地面へ叩きつけられます。一方、岩男は宗近を追い詰め、正宗は恵介の居場所を教える代わりに息子を殺さないで欲しいと懇願し、岩男は恵介を止めに向かいます。
恵介は大悟を撃った重責から自暴自棄になり、白銀に止められますが、岩男と後藤家の面々が現れ、恵介を褒め讃え、祭りの準備が整ったと士気を高めます。しかし、後藤家の人間から、村全体が警官隊に包囲されていることが伝えられ、村は戦場と化します。
警官隊は、抵抗の意志があれば即反撃するよう指示を受け、岩男は血が滾り、恵介も後藤家の長として警官隊と戦う覚悟を決めます。一方、供花村には恵介の母親である後藤藍も刑事を伴い足を踏み入れ、有紀、藍、すみれは大切な人の無事を祈ります。
大悟は恵介に生肉の塊を差し出され、村の食人文化を目の当たりにし、ましろが白銀に食われそうになる場面を目撃します。しかし、ましろが「泣かないで」と白銀に語りかけると、白銀は突然嘔吐し、恵介は白銀の頭部を銃弾で撃ち抜きます。
恵介は後藤家の面々を殺そうとしますが、白銀が「殺さないで」と遺言を残し、後藤家の面々は銃を収めます。しかし、岩男だけは別の行動を見せ、正宗は岩男が後藤家の秘密を知っていることを懸念します。
岩男は恵介を殺そうとしますが、宗近が拘束ロープを解き、恵介が岩男に銃弾を撃ち込みます。岩男は恵介に裏切られたことで覚醒し、恵介を認識できなくなります。そして、白銀の頭部を粉砕し、後藤家の洗脳を解こうとします。
正宗は、岩男が過去の岩男に生き写しであることに気づき、過去の回想シーンでは、正宗が供花村の闇を知る場面が描かれます。銀は、子供たちの母親を地下牢に幽閉し、産んだら再び植え付けて産ませるという地獄を与え続けていました。
岩男は、供花村の統治が山賊によって行われており、銀も白銀もただ生かされているだけであることを明かし、自身が銀に生かされた理由を語ります。そして、現在の後藤家は山賊の末裔がほとんどであることを明かします。
岩男は、後藤家の面々に山賊の本能を呼び覚まし、大悟をターゲットにします。大悟がましろの拘束を解こうとすると、後藤家の面々が襲いかかり、恵介が割って入りますが、彼の言葉は届かず、後藤家の面々は恵介を食おうとします。
恵介は死を覚悟し、大悟とましろを守ろうとしますが、大悟がましろの拘束を解き、恵介を連れて村から脱出しようと声をかけます。そして、岩男率いる後藤家との最後の戦いが始まります。
ガンニバル13巻あらすじ
漫画「ガンニバル」第13巻は、供花村(くげむら)での全ての因縁に決着をつける最終巻です。
岩男率いる後藤家の面々との最終決戦が始まり、恵介は自身の存在意義に葛藤しながらも、ましろとすみれの子供を守るために戦う決意を固め、大悟はましろを恵介に託し、一人で岩男に立ち向かいます。しかし、狂気に満ちた岩男は異常な力で大悟を圧倒し、絶体絶命のピンチに陥りますが、正宗が岩男に銃弾を撃ち込み、辛くも勝利を収めます。
一方、村人たちは後藤家の根絶やしを企て、恵介は村人たちに土下座して謝罪し、命乞いをしますが、その隙にましろが走り出し、有紀と警察が駆けつけ、ましろはついに声を取り戻し、恵介とすみれも再会を果たします。
後藤家の屋敷では、村人たちが火を放ち、生き残った子供たちを殺そうとしますが、大樹が英二を庇い、大悟も駆けつけ、村人たちを制止します。大悟は、呪いの連鎖を断ち切るために、子供たちを巻き込むことを止め、逮捕という形で決着をつけようとします。
過去の回想で、銀は恵介に供花村の歴史を語り、この村が呪われた村であることを告げ、再び村が乗っ取られる時が来ることを予言し、恵介に村を導くように告げます。現代に戻り、英二は銃を空に向けて発砲し、恵介と警察も駆けつけ、後藤家と村人たちの戦いは終結します。
大悟は、恵介に子供を抱きしめるように告げ、洋介は村の真実を追求しようとしますが、大悟は謎めいた笑みを浮かべ、物語は幕を閉じます。
最終巻では、供花村の呪われた歴史、人間の業の深さ、そしてそれでも未来を託そうとする人々の姿が描かれ深い余韻を残します。
登場人物一覧
大悟(だいご)
物語の主人公であり、警察官。供花村で起きた失踪事件の調査のために赴任し、村の秘密に迫る。彼の家族は後藤家の策略に巻き込まれ、彼の心の中には狂気の兆しが現れ始めます。
有希(ゆうき)
大悟の妻。物語の初期では、家族として平穏無事に生活していたが、次第に後藤家の陰謀に巻き込まれていきます。
ましろ
大悟と有希の娘。物語の中で大悟と有希をつなぐ存在であり、彼女の安否が大悟の行動に大きな影響を与えます。
後藤家の人物
後藤銀(ごとう ぎん)
後藤家の当主で、物語における主要な反派。過去に深い秘密を持ち、供花村の支配者として恐ろしい行動を取る。後藤家の権力を維持するためにさまざまな策略を巡らせる。
恵介(けいすけ)
後藤家の次期当主で、銀の弟。最初は後藤家のしきたりに従っているが、次第に家族や村の運命に疑問を抱き、物語の中で変化していきます。
洋介(ようすけ)
恵介の弟で、後藤家の中でも異端児的存在。後藤家の在り方に疑問を抱き、村の子供たちを救うために行動します。
村長(むらおさ)
供花村の長老であり、後藤家の支配を支える重要人物。過去に後藤銀と深い関わりがあり、彼の命令に従わなければならない立場です。
宗近(そうちか)
神主であり、後藤家と村の呪いに関わる人物。彼の父親もまた村の歴史に大きな影響を与えた人物であり、物語の中で重要な役割を果たします。
警察関係者
警察隊リーダー
警察の精鋭部隊のリーダーで、大悟の仲間。供花村に派遣され、後藤家の犯罪を追及しますが、村の秘密に巻き込まれていきます。彼が後藤家の過去や村の秘密を知るきっかけとなります。
供花村の住人・その他のキャラクター
‘あの方’
「あの方」として登場する謎の人物。名前や正体が不明で、まるでモンスターのような存在。後藤家とは関係が深いが、具体的な背景は物語の中で少しずつ明かされます。
大悟の上司
大悟の上司として登場する人物で、供花村の調査において彼をサポートしますが、物語が進むにつれて彼の立場も危うくなります。
新たな謎の人物たち
第9巻では、後藤銀を殺した人物として新たな謎の人物たちが登場します。彼らの動機や目的が物語に新たな展開をもたらします。
その他の重要人物
供花村の子供たち
村の暗い秘密に巻き込まれた子供たち。後藤家に囚われた子供たちの救出を試みる者もいますが、その運命は厳しく描かれています。
後藤家の従者たち
後藤家に仕える家族や部下たち。彼らも後藤家の権力を支えるために暗躍しており、物語を通して重要な役割を果たします。
村の住人たち
供花村の住人たちは、多くが後藤家の支配下にあります。彼らは村の儀式や風習に従って生活しており、その中には事件の真相を知る者もいます。
まとめ
漫画「ガンニバル」は、日本の閉鎖的な村社会を舞台に、食人というタブーを題材にした衝撃的なサスペンス作品です。
主人公の大悟は、狂気に満ちた村で、徐々に自らの内に潜む狂気を覚醒させながら、娘のましろと村に囚われた人々を救うために奔走します。
物語は、過去と現在が交錯しながら、供花村の異様な風習、後藤家の秘密、そして「あの人」の正体が徐々に明らかになっていきます。
結局、喰っているのか喰っていないのか?最後の最後まで不気味さを放ったまま終了する今作、怖い作品が好きな方は是非ご覧になってみてください!
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