
中性的な容姿と長い髪が特徴的なキャラクター……。そして、“嫉妬”の名を冠するその存在は、変身能力を駆使してエドワードをはじめ多くの登場人物、そして読者・視聴者を翻弄してきました。
今回は、『鋼の錬金術師』に登場するホムンクルス「エンヴィー」の謎に包まれた正体、その強さの秘密、宿敵ロイ・マスタングとの壮絶な因縁、そして多くのファンに衝撃を与えた最期のシーンまで、独自の視点を加えて徹底解説していきます!
『鋼の錬金術師』エンヴィーってどんなキャラ? プロフィールから徹底解剖!
賢者の石を核に作られた人造人間“ホムンクルス”の一体であるエンヴィー。
左太ももにホムンクルスの証であるウロボロスの刻印を持ち、物語序盤からエルリック兄弟の前に立ちはだかる敵として登場しました。
まずはエンヴィーの基本的なプロフィールからおさらいしましょう。
エンヴィーのプロフィール
| 名前 | エンヴィー |
| 性別 | 不明(中性的な容姿) |
| 司る大罪 | 嫉妬 |
| 初登場回 | 漫画『鋼の錬金術師』2巻 |
| 特徴 | 中性的な顔立ち、長い髪、バンダナのような頭飾り、手足と腹部が露出した服装。上半身は筋肉質だが下半身は細身。一人称は「このエンヴィー」または「僕」。人間を見下したような話し方が特徴。 |
エンヴィーは、キリスト教の「七つの大罪」の一つである“嫉妬”を体現するホムンクルスです。ホムンクルスは全部で7体いますが、その中で4番目に生み出された存在とされています。
『鋼の錬金術師』ってどんな物語? あらすじをチェック!
荒川弘の代表作である『鋼の錬金術師』は、月刊少年ガンガンで2001年から2010年まで連載され、国内外で絶大な人気を誇るダークファンタジー漫画です。2021年には全世界累計発行部数が8,000万部を突破する、まさに金字塔的な作品と言えるでしょう。
物語は、錬金術が存在する世界を舞台に展開します。
幼い頃、亡くなった母親を生き返らせようと、錬金術師であるエドワード・エルリックと弟のアルフォンス・エルリックは、錬金術最大の禁忌である人体錬成に挑んでしまいます。
しかし、その代償はあまりにも大きく、錬成は失敗。エドワードは左足を、アルフォンスは全身を失うという悲劇に見舞われます。
アルフォンスの体が消え去る直前、エドワードは自身の右腕を代償に弟の魂を鎧に定着させ、なんとか一命を取り留めることに成功しました。
こうして、彼らは失った体を取り戻すため、伝説の秘宝“賢者の石”を探す壮絶な旅に出ることを決意するのです。
エンヴィーの正体は“醜い化け物”だった!? その強さと能力を考察!
人間と同じ見た目をしているエンヴィーですが、実はそれは仮の姿にすぎません。彼の本当の正体が明かされた時、多くの読者がそのあまりにも衝撃的な姿に言葉を失ったのではないでしょうか。
エンヴィーの真の姿とは? その醜い化け物の正体!
エンヴィーの正体が判明するのは、漫画『鋼の錬金術師』13巻。その姿は、爬虫類のような体の表面に、無数の人の顔や手足が生えた巨大で醜い化け物でした。このグロテスクな姿は、彼の“嫉妬”という感情が具現化したかのようにも見えます。
さらに、賢者の石の残量が極限まで少なくなると、その体は著しく縮小。目だけが大きい哺乳類の胚(はい)のような姿になってしまいます。この状態では、単独で自由に動き回ることも困難なほど、弱体化してしまうのです。
変身能力と強さの秘密に迫る!
ホムンクルスであるエンヴィーは、賢者の石を核としているため、並外れた生命力と再生能力を誇ります。致命傷を何度負っても即死することはなく、体を再生させることができます。
彼の最大の武器は、その変身能力です。性別や年齢の異なる人間、さらには動物にまで、完璧に姿を変えることができます。作中では、軍人や犬に化け、多くの人々を欺き、混乱させる場面が描かれました。
しかし、この能力には制約もあります。変身は、エンヴィーが認識している視覚情報を基に行われるため、本人が認知していない細かな特徴までは再現できません。
例えば、漫画『鋼の錬金術師』4巻でマリア・ロス少尉に変身した際、マース・ヒューズが左目の下の泣き黒子がないことを指摘し、偽物であることを見破っています。
また、見た目は細身のエンヴィーですが、化け物の姿に変身した際には、その体重が非常に重いことが判明します。この巨体から繰り出される尾や爪による単純な攻撃でも、エドワードたちを窮地に追い込むほどの威力を発揮しました。
人間を見下す残忍な性格、しかし意外な一面も?
エンヴィーは、その残忍な性格で知られ、常に人間を見下していました。同じホムンクルスであるラストからも「仲間の中で一番酷い性格をしている」と言われるほどです。
他のホムンクルスと比較しても表情豊かで、よく喋るタイプで、口も達者です。作中では、巧みな言葉で人々を出し抜いたり、わざと相手の神経を逆撫でするような挑発的な発言をして楽しむ姿が描かれました。
一方で、エンヴィーには意外な弱点も存在します。それは、自身の容姿を悪く言われたり、見下されたりすると激昂し、冷静さを失ってしまうという点です。これは、彼の司る「嫉妬」という感情が、根深い劣等感と結びついていることを示唆しているとも考えられるでしょう。
エンヴィーとロイ・マスタングの因縁、そして壮絶な最期のシーン
変身能力を使い、多くの人々の人生を狂わせてきたエンヴィー。中でも、焔の錬金術師ロイ・マスタングとの間には、計り知れないほどの深い因縁が存在しました。
イシュヴァール殲滅戦の“火種”はエンヴィーだった!?
『鋼の錬金術師』の世界で語られる、本編から13年前の忌まわしい出来事……それが、アメストリス軍の将校がイシュヴァール人の子どもを誤射したことで勃発した「イシュヴァール殲滅戦」です。
6年間にも及んだこの悲劇的な戦争は、アメストリス軍の勝利で幕を閉じましたが、数多くのイシュヴァール人が処刑されるという痛ましい結果に終わりました。
しかし、物語が進むにつれて衝撃の事実が明らかになります。実は、あの時子どもを射殺した将校に変身していたのは、他ならぬエンヴィーだったのです。
彼はわざと戦争の火種を作り、人間同士の争いを煽っていたと判明します。この事実には、多くの読者が背筋が凍るような思いを抱いたのではないでしょうか。
ロイ・マスタング、怒りの“集中砲火”! ヒューズの仇討ち!
ロイ・マスタングにとって、そしてエルリック兄弟にとっても、計り知れないほどの悲しみをもたらしたのが、マース・ヒューズの死でした。
漫画『鋼の錬金術師』4巻で、過去に暴動や戦争が起こった場所の繋がりから、国土錬成陣の存在に気づいたヒューズは、マスタングにその事実を報告しようとします。しかし、最愛の妻グレイシアに変身したエンヴィーに襲撃され、志半ばで命を落としてしまうのです。
そして物語は進み、漫画『鋼の錬金術師』23巻。マスタングはついに、ヒューズを殺害した犯人がエンヴィーであるという真実を知ります。
愛する部下であり友であったヒューズを失った怒りと憎しみに我を忘れたマスタングは、焔の錬金術でエンヴィーの賢者の石がなくなるまで、執拗に焼き尽くし続けました。
エンヴィーは変身能力を駆使して混乱させ、逃れようとしますが、マスタングの猛攻を受け、最終的には哺乳類の胚のような小さな姿にまで追い詰められてしまいます。
この時、復讐心に囚われ、暴走しかけたマスタングをエドワードたちが必死に止め、彼を正気に戻した場面は、物語の重要なターニングポイントの一つとして、読者の心に深く刻まれています。
「かわいそう」か「自業自得」か? エンヴィーの“悲しすぎる最期”
マスタングに追い詰められ、手のひらサイズにまで縮んでしまったエンヴィー。彼の最後のシーンは漫画『鋼の錬金術師』23巻で描かれています。
エンヴィーは、残された力でエドワードたちを挑発し、仲間同士で争うよう仕向けます。しかし、誰もエンヴィーの挑発には乗りませんでした。そして、エドワードから「本当は人間が羨ましくて嫉妬していた」と、エンヴィー自身の心の奥底に秘められた本質を言い当てられてしまいます。
最も嫌悪し、見下していたはずの人間から、自らの最大の劣等感と心の弱さを見透かされたエンヴィーは、屈辱に耐えきれず、涙を流しながら賢者の石を取り出し、自ら命を絶ちました。
この最期は、多くの読者に複雑な感情を抱かせました。「かわいそうだった」という声がある一方で、「自業自得だ」という厳しい見方もあります。
しかし、彼の“嫉妬”が、実は人間への強い羨望の裏返しであったというエドワードの洞察は、エンヴィーというキャラクターに深い奥行きを与え、その悲劇性を際立たせたと言えるでしょう。
エンヴィーの声優は“豪華二大巨頭”!
『鋼の錬金術師』は2003年と2009年の2回アニメ化され、それぞれの作品でエンヴィー役を豪華声優が担当しています。彼らの演技が、エンヴィーのキャラクターに深みと魅力を与えました。
2003年版『鋼の錬金術師』エンヴィー:山口眞弓
| 名前 | 山口眞弓 |
| 誕生日 | 1975年5月12日 |
| 所属事務所 | アクセント |
| 主な出演作 | 『デジモンアドベンチャー』(ガブモン)、『電脳コイル』(ガチャギリ)、『たまごっち』(ききっち)など |
山口眞弓は1999年に声優活動を開始し、アニメデビューを果たしました。透き通った低音ボイスが特徴で、少年役や姉御肌な女性役を多く演じています。SNSでは、山口眞弓が演じたエンヴィーについて「色気があって素敵」という声が多く見られました。
2009年版『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』エンヴィー:高山みなみ
| 名前 | 高山みなみ |
| 誕生日 | 1964年5月5日 |
| 所属事務所 | 81プロデュース |
| 主な出演作 | 『忍たま乱太郎』(猪名寺乱太郎)、『名探偵コナン』(江戸川コナン)、『デジモンクロスウォーズ』(工藤タイキ)など |
高山みなみは1987年から声優として活動を開始し、その年にアニメデビュー。多くの有名アニメ作品でメインキャラクターを担当し、2011年には第5回声優アワードで「エナジー賞」を受賞しています。
高山みなみ演じるエンヴィーについては、SNSで「かっこいい」という声が多数上がっており、「一度聞いたら忘れられない声」「声のトーンの使い分けが上手」と、その演技力が高く評価されています。
エンヴィーは人気者? 世間の評判と魅力に迫る!
人間を見下す残忍な一面を持ちながらも、エンヴィーはホムンクルスの中でも特に感情豊かで、様々な表情を見せてくれるキャラクターでした。それが彼の人気の要因の一つとも言えるでしょう。
SNSでは、彼の特徴的な口調や、化け物の姿、そして追い詰められた後の哺乳類の胚のような姿も含め、「よく喋るエンヴィーがかわいい」「どんな姿でもエンヴィーは可愛くて好き」といった声が多数見られます。そのキャラクター性は、憎めない魅力を放っていたと考えるファンが多いようです。
また、彼の代名詞ともいえる変身能力についても、「自分もエンヴィーの変身能力が欲しい」「ホムンクルスの中でエンヴィーの能力が一番便利」といった意見が上がっており、その汎用性の高さに魅力を感じる読者が多いようです。
そして、漫画『鋼の錬金術師』23巻で描かれたエンヴィーの最期は、多くのファンに大きな感動を与えました。「何度漫画を読み返しても、エンヴィーの最後のシーンは泣いてしまう」「涙なしでは見られない」といった声が数多く寄せられており、その悲劇的でありながらも、どこか人間らしい弱さを露呈した結末が、読者の心に深く残っていることを示しています。
まとめ:エンヴィーの“嫉妬”が教えてくれたこと
エンヴィーは、“嫉妬”を司るホムンクルスとして、その中性的な外見と醜い真の姿、そして変幻自在の能力で物語をかき乱しました。
マスタングとの壮絶な因縁の対決、そしてエドワードに自らの本質を見抜かれ、屈辱の中で自害するという最期は、『鋼の錬金術師』の中でも特に印象深く、読者の記憶に深く刻まれているシーンの一つです。
彼の人間への憎しみ、そして根底にあったであろう羨望。エンヴィーの“嫉妬”は、人間のもつ感情の複雑さ、そしてその感情が時に生み出す悲劇性を私たちに教えてくれたのかもしれません。
『鋼の錬金術師』の連載は終了しましたが、漫画やアニメを見返して、改めてエンヴィーの活躍と、彼の複雑な内面、そしてその悲しき最期に触れてみてはいかがでしょうか。
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