
1971年からテレビアニメシリーズが続き、半世紀以上にわたって多くの視聴者に愛され続けている国民的アニメ「ルパン三世」。
その長い歴史の中で、主要キャラクターを演じる声優が交代する出来事が何度かありました。
一人の声優が長年役を務め続けるケースもあれば、複数の声優がバトンを受け継ぎ、それぞれのキャラクターに新たな息吹を吹き込んできた場合もあります。
今回は、そんな「ルパン三世」の主要キャラクターを演じた歴代声優陣の功績と、彼らがキャラクターにもたらした影響について深掘りしていきましょう。
この記事では、スピンオフや長編映画を除いた「ルパン三世アニメ1~5シリーズ」に焦点を当て、主要キャラクターの初代声優から現在の声優までをご紹介します。
人気漫画「ルパン三世」とは?
「ルパン三世」は、モンキー・パンチが生み出した、世界中で愛されている人気漫画が原作です。
怪盗アルセーヌ・ルパンの孫であるルパン三世を主人公に、彼を巡る仲間たちや、ルパン三世を逮捕しようと執念を燃やす銭形警部、そして世界中の金銀財宝を巡る物語が描かれています。
主人公のルパン三世と、その相棒である早撃ちの天才・次元大介、そして何でも斬れるがコンニャクだけは斬れないと言われる孤高の剣士・石川五ェ門。
この3人、「ルパン一味」が世界中の財宝を狙い、鮮やかな予告状を送りつける様は、まさに祖父である怪盗ルパンを彷彿とさせます。
ルパン一味が予告状を出せば、インターポールからルパン三世専門の銭形警部が派遣されてきます。
時代劇で有名な銭形平次の子孫である銭形警部は、アニメの中で先祖が持っていた十手を手にして世界各国のパトカーを動員してルパン三世を追いかけるシーンが印象的です。
銭形警部の特技は、先祖の銭投げから受け継いだ投擲技術を使った手錠投げなどがあり、ルパン三世とのコミカルかつスリリングな追いかけっこは、作品の大きな魅力の一つとなっています。
「ルパン三世」のトレードマーク「ジャケットカラー」の変遷
「ルパン三世」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、赤いジャケットを身につけたルパン三世ではないでしょうか。
しかし、記念すべきテレビアニメ第一期では、青緑色のジャケットに現在の黄色いネクタイや黒いシャツといった装いでした。
このデザインが採用されているのは、アニメシリーズ1期のみとなっています。
アニメシリーズ2期からは、現在おなじみの赤いジャケットのルパン三世として、お茶の間に親しまれています。
さらにシリーズが進むにつれて、赤以外のジャケットのレパートリーが増え、ルパン三世のコミカルなシーンが増えるなど、子供にも愛されるキャラクターへと変化していきました。
このジャケットカラーの変遷は、時代の移り変わりと共に、ルパン三世というキャラクターがどのように多様な視聴者に受け入れられるようになっていったかを示す象徴的な例と言えるかもしれません。
長編映画とスピンオフ作品
「ルパン三世」は、テレビアニメシリーズだけでなく、数々の長編映画やスピンオフ作品も制作されています。
中でも有名な長編映画といえば、世界のアニメ映画監督として名高い宮崎駿が手掛けた「ルパン三世 カリオストロの城」が挙げられるでしょう。
特に、銭形警部が最後に言うセリフ「奴はとんでもない物を盗んでいきました。あなたの心です」は、本編を見たことがなくても広く知られており、もはや日本の文化の一部と言っても過言ではありません。
「LUPIN the Third -峰不二子という女-」にみる新たな魅力
「ルパン三世」には、特定のキャラクターをメインにしたスピンオフアニメも存在します。
「LUPIN the Third -峰不二子という女-」は、そのタイトル通り、峰不二子を主役にした作品です。
峰不二子の物語にルパン三世やその一味たちがまだ集合していない時代が描かれています。
他のアニメシリーズとは異なり、原作のモンキー・パンチの絵柄を元にしたキャラクターデザインや背景を採用しており、他のシリーズとは一味違ったアニメに仕上がっています。
さらに、峰不二子の色気を前面に押し出したエロティックな描写が多いほか、峰不二子が持つダークな一面も見ることができる、非常に魅力的なアニメとしてファンからの評価も高いようです。
このようなスピンオフ作品は、長年愛されてきたキャラクターに新たな解釈や深みを与え、シリーズ全体の魅力を高めることに貢献していると言えるでしょう。
ちなみに、「LUPIN the Third -峰不二子という女-」では、主人公の峰不二子やルパン三世一味、銭形警部など、主要なキャラクターは2018年現在のアニメシリーズと同じ声優が起用されています。
「ルパン三世」歴代声優陣のバトンと魅力
「ルパン三世」のような長寿アニメでは、作品は作り続けられる一方で、キャラクターに命を吹き込む声優が先に引退し、声優が交代することが度々あります。
しかし、どの声優に交代しても、それぞれの声優が自身の持ち味を活かした演技を披露し、キャラクターの魅力をさらに引き出してきました。
ここでは、「ルパン三世」の主要キャラクターを演じた歴代声優陣とその功績を見ていきましょう。
ルパン三世の歴代声優
ルパン三世の初代声優を務めたのは、山田康雄です。
ルパン三世の独特な発音や言い回しは、山田康雄が演じる中で作られたと言われています。
山田康雄は元々アドリブを多く入れることで有名で、彼のアドリブが後々に受け継がれ、ルパン三世のキャラクター性を確立する上で大きな影響を与えました。
「ふぅ~じこちゃぁ~ん」といった独特のルパン三世の台詞は、アニメをあまり見たことがなくてもモノマネなどで広く知られています。
初代のルパン三世は現在よりも少々ハードボイルドな面が多かったですが、山田康雄は渋みのある声でそのキャラクターを見事に表現しました。
山田康雄がルパン三世役から引退した後、そのバトンを受け継いだのは、以前からテレビ番組でルパン三世のモノマネをされていたモノマネ芸人の栗田貫一です。
現在のルパン三世を演じている栗田貫一は、元々モノマネ芸人として有名でしたが、その卓越したモノマネ技術がルパン三世の声優としてスタッフたちに認められ、大役に抜擢されました。
栗田貫一がルパン三世を演じるようになってから、ルパン三世のコミカルな動きやコメディー的なセリフに活き活きとした面白さがさらに倍増したと感じるファンも多いのではないでしょうか。
初代の山田康雄が作り上げたルパン三世のイメージを守りつつ、栗田貫一自身の持ち味であるユーモアのセンスを加えることで、ルパン三世というキャラクターはさらに多くの人々に愛される存在へと進化していったと言えるでしょう。
次元大介の歴代声優
射撃の名手で驚異的な早撃ちを見せる、ハードボイルドなルパン三世の相棒といえば、次元大介です。
次元大介の声優を務めたのは、アニメ5シリーズとスピンオフを通して小林清志ただ一人でした。
日本でアニメが作られ始めた当初より声優として活動し、渋い役柄をこなす小林清志は、映画の吹き替えでも「荒野の七人」のジェームズ・コバーンなど数々の外国人俳優の声を担当した歴戦の声優です。
80代を超えてもなお精力的に活動を続け、小林清志なしでは次元大介というキャラクターがここまで成り立たなかっただろうと考えるファンは少なくありません。
次元大介の冷静沈着でクールなキャラクターは、小林清志の重厚で魅力的な声によって唯一無二の存在感を放ち続けました。
長年にわたる小林清志の功績は、「ルパン三世」の歴史を語る上で欠かせないものとなっています。
石川五ェ門の歴代声優
石川五ェ門といえば、「またつまらぬものを斬ってしまった…」という無念そうなセリフが有名です。
そのほかにも、ルパン三世の突飛な行動を理解や需要するために長考し、唸るシーンが多いキャラクターですね。
渋い声で五ェ門を作り上げた大塚周夫
初代の石川五ェ門の声優を務めたのは、声優業界の大御所の一人、大塚周夫です。
忍たま乱太郎の山田先生や、ゲゲゲの鬼太郎のねずみ男まで、シリアスからコミカル、悪役までこなすことができる幅広い演技力を持った声優として知られています。
大塚周夫の渋く、深みのある声が、五ェ門の寡黙で武士道を重んじるキャラクターにぴったりとはまり、多くのファンに支持されました。
初代の演技を継承し、深みを増した井上真樹夫
大塚周夫から石川五ェ門役を引き継いだのは、井上真樹夫です。
石川五ェ門はルパン三世の行動に困惑し、ため息ともとれる唸りを見せる場合がありますが、その時に息遣いや、声優でありながら声でない部分で演じることができるのが井上真樹夫の特徴でした。
声優以外に俳優としても活動されていた経験が、彼の声優としての演技に深みを加え、五ェ門というキャラクターに新たな魅力を引き出したと評価されています。
井上真樹夫は、初代の演技を尊重しつつ、五ェ門の内面的な葛藤や人間味を表現することで、多くのファンから「最高の五ェ門」という声も聞かれました。
独特の息遣いをマスターした浪川大輔
井上真樹夫から石川五ェ門役を引き継いだのは、浪川大輔です。
声優は年代によって、演技する役の年齢が上昇していくことが多いですが、浪川大輔はその範疇ではありません。
十代の青年から穏やかな老人の男性、ドスの効いた低い声まで、様々な声を使い分けて演技ができる、まさに七色の声を持つ声優と言えるでしょう。
ルパン三世の行動に振り回される石川五ェ門として、静と動を声で表現する様は、彼の声優としての演技の幅が広いことから表せるものだと考えられます。
浪川大輔は、これまでの五ェ門が持つ寡黙さや武士道精神を継承しつつも、時に見せる人間らしい感情の揺れ動きを繊細に表現することで、新しい世代のファンからも支持を集めています。
峰不二子の歴代声優
ルパン三世を翻弄し、時に敵対し、欺き、ルパン三世が手に入れた財宝を掠めとるミステリアスな女性、峰不二子。
しかし、時にはルパン三世と協力して、巨悪の陰謀を解き明かすキーパーソンともなる彼女は、その声によって男性陣を魅了してきました。
ねっとりと本能に絡みつく甘い声の二階堂有希子
峰不二子の初代声優を務めたのは、二階堂有希子です。
彼女の持つ吐息で男性を誘惑できるようなねっとりと甘い声質が、峰不二子のセクシーなキャラクターの土台を大きく築いたと言えるでしょう。
初代から峰不二子の持つ色気を前面に押し出し、作品の世界観を確立する上で不可欠な存在でした。
初代の色気に魔性を帯びさせた増山江威子
二階堂有希子から峰不二子役を受け継いだのは、増山江威子です。
少女から妖艶な大人の女性まで、幅広く演技ができる声優として知られています。
ルパン三世のアニメの中で、街中で清楚な店員を装っての情報収集や、変装を使っての潜入捜査、男に取り入り骨抜きにする峰不二子にぴったりの声優でした。
増山江威子は、初代の声優が作り上げた峰不二子の色気に、さらに魔性の女としての側面を加え、より複雑で魅力的なキャラクターへと進化させました。
多くの視聴者は、増山江威子の声によって峰不二子というキャラクターの奥深さを感じ取ったのではないでしょうか。
初代と二代目の良さを引き出した沢城みゆき
増山江威子から峰不二子役を引き継いだのは、沢城みゆきです。
沢城みゆきは、初代の二階堂有希子が表現した峰不二子の色気と、二代目の増山江威子が磨き上げた峰不二子の魔性の女としての面を併せ持つ声優だと評価されています。
ルパン三世が峰不二子に声をかけられるだけで目の形をハートにしてしまう気持ちがよく分かると、多くのファンが感じているようです。
沢城みゆきは、これまでの峰不二子が持つ魅力を踏襲しつつ、彼女自身の持つクールな声質と演技力で、現代的な峰不二子像を作り上げ、新たなファン層を開拓することにも貢献していると言えるでしょう。
銭形警部の歴代声優
「ル~パァ~ン!待てぇー!」と手錠を片手に、ルパン三世とその一味を追いかけるのが、銭形警部です。
彼の存在なくして「ルパン三世」は語れないと言っても過言ではありません。
生涯銭形警部を演じ続けた納谷悟朗
銭形警部の初代声優を務めたのは、納谷悟朗です。
納谷悟朗は、「声優である以前に俳優である」という高いポリシーを持ち、声優として紹介されると仕事を断ることもあったと言われています。
また、「ただ声を当てればいいと考えている声優が多すぎる。目の前に客がいると思っていない」と、舞台俳優として、目の前の客から決して目を外さない真摯な姿勢を持っていました。
「必ずルパン三世を捕まえる」という硬い意志を持つ銭形警部を演じるには、納谷悟朗のような誇り高い人物がぴったりだったと、多くのファンが語っています。
彼の渋く、どこかコミカルな声が、銭形警部の執念と人間味を完璧に表現し、キャラクターを不動のものにしました。
七色の声を持つ山寺宏一
慢性呼吸不全で亡くなった納谷悟朗の後を継ぎ、二代目銭形警部の声優に抜擢されたのは、山寺宏一です。
山寺宏一は、渋く低い落ち着いた声色から、高くハイテンションな声、さらにアヒルの鳴き声まで、彼に表現できない声はないとも言われている声優です。
その「七色の声」を持つ山寺宏一が二代目銭形警部として起用されたのは、まさに納得の人選だったと言えるでしょう。
山寺宏一は、納谷悟朗が築き上げた銭形警部のイメージを受け継ぎつつ、彼自身の持つ幅広い演技力で、より多面的な銭形警部像を作り上げました。
ルパン三世を追いかける際の激しい感情表現や、時折見せる人間的な弱さ、そしてルパン三世に対する複雑な感情など、山寺宏一の声によって銭形警部の魅力はさらに深まったと考えるファンは多いのではないでしょうか。
まとめ:受け継がれる「ルパン三世」の魂
「ルパン三世」のような長寿アニメでは、アニメ作品が作り続けられる一方で、キャラクターに命を吹き込む声優が引退し、交代することが避けられない宿命とも言えます。
しかし、「ルパン三世」の場合、どの声優に交代しても、それぞれの声優が自身の持ち味を活かし、キャラクターに新たな解釈と深みを加えてきました。
初代の声優たちが作り上げたキャラクターの基礎を忠実に受け継ぎつつ、歴代の声優たちがそれぞれの個性を加味していくことで、ルパン三世というアニメ作品やキャラクターたちの魅力は、ますます深みを増していると言えるでしょう。
これからも「ルパン三世」は、声優が交代していくにつれて、新しい時代の「ルパン三世」へと脈々と受け継がれていくことでしょう。
歴代の演技の数々と、現在ルパン三世として、もしくはルパン三世一味として活動している声優陣のこれからの活躍に、ぜひご期待ください。



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