
2017年4月19日に発売された『週刊少年マガジン』20号(講談社)で、前原タケルによる新連載『おはようサバイブ』がスタートしました。
この新連載は、読者から「エロい! かわいい! 面白い!!」「初っ端から飛ばしまくりでめちゃくちゃいいな!」と興奮の声が続出するほどの話題を呼びました。
しかし、同年の36・37合併号でわずか16話という短命で連載は打ち切りに。単行本も2巻で完結となりました。
その独特すぎる世界観と過激な描写は、まさに「人類には早すぎた」作品だったのかもしれません。今回は、そんな『おはようサバイブ』がなぜ読者を熱狂させ、そしてなぜ打ち切りという運命を辿ったのか、その魅力と謎に迫ります。
致死率99%のウイルスが蔓延した世界で始まるサバイバル・ラブコメディ
『おはようサバイブ』の舞台は、致死率99%のウイルス「デネブ」が世界的に大流行し、多くの人が死に絶えた世界です。
物語は2022年8月から始まります。黒髪マッシュヘアで可愛い系の顔立ちの少年ナユタは、明るくて可愛い同級生のユメと共に、崩壊した東京の街をさまよっていました。
2人は、デネブ・パンデミックの後、埼玉県の大型スーパー「イエオン」で約20人の共同生活を送っていましたが、ユメの父親が極端なオーガニック思想に傾倒し、大麻を推奨するようになったことに嫌気が差し、車で家出をして東京へやってきたのです。
食料と水を求めてさまよう中、2人は高田馬場で、山手線の電車の中で暮らす奇妙な男女2人、龍とカナピーに出会います。
この「山の手線カップル」と呼ばれる2人は、当初、ナユタとユメを受け入れ、東京での生活を手ほどきし始めますが、実は人類の再生を目指す組織「マグメル」の一員でした。マグメルは、デネブ感染者からは生殖能力が失われるため、未感染者の男女を捜し求めており、数少ない未感染者であるユメがその対象となるのでした。
同作は、『月刊! スピリッツ』でエロコメディ『ごくりっ』を連載していた前原タケルの『マガジン』初登場作品です。
前作の頃から、前原タケルの描く可愛らしく清純でありながらコケティッシュな少女たちは読者から大好評でした。今作でもユメ、そして東京で出会う黒髪ボブの少女カナピーに「女の子のあのぽてっとした感じが最高に可愛い」「いやらしくないエロさめちゃくちゃ良い~~!」と絶賛の声が続出しました。
さらに作中では、付き合っていないナユタ(童貞)とユメのキスシーンが登場したり、カナピーと龍しかいないはずの場所からあえぎ声が聞こえてきたりと、少年誌にも関わらず攻めの姿勢を見せます。
下着姿のカナピーが出会ったばかりのナユタとユメに向かって、「2人も一緒にセックスしよっ」と言うシーンには、「こういうオープンスケベな女の子大好きです!」「これからの展開に期待しか湧かんな!!」と読者も大興奮のようでした。
しかし、同作の魅力はそれだけではありません。「デネブ」に感染したにも関わらず、目が覚めると奇跡的に治っていたナユタや、なぜか一切「デネブ」に感染する様子のないユメ、さらに2人が「デネブ」未感染だと聞いて態度が豹変したカナピーなど、伏線になりそうな気になるシーンも登場します。
次週からは「残り少ない物資を奪い合う弱肉強食の東京サバイバルライフが始まります」とのことで、どんな物語が描かれていくのか要注目でした。
打ち切りまで駆け抜けた衝撃のストーリー展開
『おはようサバイブ』は、その連載の短さにも関わらず、衝撃的な展開の連続でした。物語は2020年の夏の終わり、東京オリンピック閉幕後に南アフリカで未知のウイルス「デネブ」が発生し、瞬く間に世界中に感染が拡大するところから始まります。
致死率は99%で、WHOがパンデミックフェーズを6に引き上げた2020年9月には、地球上の人々の大多数が死亡しました。本編の舞台は2022年、そして最終回は2027年9月が舞台となっています。
物語の始まりは、共同生活を送っていたイエオンのグループからナユタとユメが家出するところからです。水が無くなったため、ナユタが神田川に水をくみに行こうとしますが、そこで明かりのついた電車を発見し、カナピーと龍に出会います。
カナピーによると、都内にはデネブによる人口激減後も推定50万人が生存しているものの、そのほとんどが飢えており、食料の強奪が頻発していました。
カナピーたちに馬と銃を借り、食料を探しに出かけたナユタとユメは、窃盗団と出会い、東京駅の市場へ向かいます。
そこで「デネブ未感染者」が貴重な存在であることを知ることになります。カナピーと龍に宗教団体「マグメル」に連れていかれたナユタは、「デネブ感染者は子孫を作れないこと」を知らされます。これが『おはようサバイブ』の重要なテーマであると同時に、連載終了・打ち切りの遠因である可能性も指摘されています。
湾岸のお台場付近の海上の屋形船で、マグメルの代表である須田は、ユメと龍で子作りをすることが人類の未来のためだと説得にかかります。
ナユタのためにマグメルの言う通りにしようと決意するユメでしたが、窃盗団によって攫われてしまいます。爆破する手段を手渡されていたユメはボートを爆発させ、ナユタと共に逃走し、蒲田に上陸します。そこにはマグメルから逃げてきた未感染者ツキミがいました。
ナユタに迷惑をかけたくないユメは独りで鶯谷のキャバクラで働くことにします。しかしその店の店長には男性器をカットして収集する趣味があり、乗り込んだ龍とナユタもコレクションになるところでしたが未遂に終わります。
そしてその事件をきっかけに、龍は自分がゲイであることを告白するのでした。中盤は男性器のコレクションや風俗街の赤裸々な描写など、過激な内容が多く、これが打ち切りや連載終了につながった可能性も考えられます。
ユメ、ナユタ、ツキミは窃盗団たちと鶯谷から山手線で浜松町まで行き、窃盗団のマコトらの手引きで伊豆諸島の無人島に逃げることになります。しかし、島での生活も食料や物資に欠けるものでした。そこに謎の流星群が出現し、これをきっかけに再び「デネブ」のパンデミックが発生します。
マグメルでは未感染者の男性を「彦星」、女性を「織姫」と称しており、ツキミが織姫2号、ユメが織姫3号、龍が彦星1号と呼ばれていました。
織姫1号は実は須田でした。彦星との交配を行うべく、ヘリコプターで無人島へと須田が追ってきますが、あえなく捕獲されます。そして、カナピーによって、デネブ未感染者の精液にはデネブの特効薬となる成分が含まれること、そしてナユタも未感染者であることが明らかにされるのでした。
最終回は2027年9月、あの事件から5年後の埼玉県S市のイエオンが舞台です。筋トレにはまったユメのパパと高田さや、ユメ、ツキミ、そして未感染者の男子ダイチが暮らしていました。
龍とナユタ、カナピーは人々を救うため旅立っていましたが、その日、カナピーとナユタは帰還します。しかし龍は北海道で出会った笛吹きの青年と恋に落ち、そのまま北海道に残ったのでした。
ナユタは、ユメを好きな気持ちさえも種を残すためのプログラムの一つであり、自分はそのために生かされているのではないかとユメに打ち明けます。
しかし、ユメはそれを一笑に付し「楽しいこと、気持ちいいこと、探そう」とナユタの手を取るのでした。
主要登場人物紹介
『おはようサバイブ』に登場する個性豊かなキャラクターたちを、詳しく紹介します。
奥山 ナユタ (おくやま なゆた)
| 年齢 | 15歳前後(龍との会話から16歳と判明) |
|---|---|
| 特徴 | ユメの幼馴染で物語の主人公。デネブに感染するも奇跡的に回復。元鍵っ子で料理が得意。ユメにぞっこん惚れており、思い込んだら一途な性格です。「東京でやりたいことは何?」とカナピーに聞かれた際には、「ユメちゃんと幸せに暮らすこと」と迷わずに答えています。物語当初は優柔不断な面が目立ちましたが、様々な困難に遭遇して次第にたくましさを身につけていきます。 |
ユメ
| 年齢 | 15歳前後(ナユタと同級生のため16歳位と推測) |
|---|---|
| 特徴 | 奥山ナユタの幼馴染で、物語のもう一人の主人公。数少ないデネブ未感染者の女性です。父親がリーダーを務める共同生活グループからナユタを誘って飛び出し、東京にやってきました。食料不足の危機であってもファッションアイテムを漁ることに夢中になるなど、楽天的で天真爛漫な性格が目立ちました。物語当初は享楽的な行動も多かったですが、次第に愛情深い性格であることが明らかになります。デネブ未感染者として人類再生の鍵となる存在であることを知ると、ナユタと幸せに暮らせることを条件に、一度はマグメルで新たな人類の母となる「織姫」の役目を引き受けようとします。マグメルを脱走した後、ひとりで生きることを決意した彼女は、鶯谷のチャタレーという店ですももという名前で働くこととなります。 |
カナピー
| 特徴 | 「山の手カップル」という悪名を持つ男女2人組の女性の方。龍と共に山手線の電車の中で暮らしています。初対面で奥山ナユタの「顔がタイプ」と言って彼を受け入れました。羞恥心が薄く、やたらと裸体や下着姿でナユタの前に現れます。初めて会った日の夜には、ナユタとユメに龍を交えた4Pを提案したこともあります。人類再生プロジェクトを推進するグループ・マグメルの一員であり、一度デネブに感染した人間は生殖能力が失われることを、ナユタとユメに教えました。彼女もまたデネブの感染者で、その年齢は本人いわく「ナユタと同じぐらい」ですが、ナユタはもっと年上であると推測しています。基本的に天真爛漫な態度で、気ままに行動しますが、複雑な何かを心の底に隠している雰囲気の持ち主です。 |
|---|
龍 (りゅう)
| 特徴 | 「山の手カップル」という悪名を持つ男女2人組の男性の方。関西弁でしゃべり、カナピーと共に山手線の電車の中で暮らしています。人類再生プロジェクトを推進するグループ・マグメルの一員。数少ないデネブ未感染の男性であり、マグメル内では「彦星」と呼ばれ、「織姫」と呼ばれる未感染者の女性たちと性交して子供を作ることを望まれています。しかし、本人はその使命には乗り気ではありません。中盤でゲイであることを告白します。 |
|---|
ツキミ
| 年齢 | 自称「ぴちぴちの12歳」 |
|---|---|
| 特徴 | デネブ未感染者の少女。人類再生プロジェクトを推進するグループ・マグメルからの脱走者です。幼い頃からマグメルでの共同生活の中で育ち、パンデミック後に自分が「織姫」になることにも疑問を持っていませんでしたが、龍に拒否されてから、マグメルの思想に疑問を抱くようになり脱走します。恋愛漫画に憧れており、ナユタとユメの二人の進展を憧れの眼差しで見ています。最終回では、二回目のパンデミックで孤児となったダイチと恋愛関係になります。 |
ユメのパパ
| 特徴 | 埼玉県の大型スーパー・イエオンに避難し、共同生活を営む20人のグループのリーダー。脱獄してきた高田さやの影響で極端なオーガニック思想にはまり、大麻吸引を推奨するようになりました。その時の環境に順応しやすい性格です。ラストではデネブで死にかけていたものの、ナユタの精子で作った薬で一命を取り留め、筋トレオタクへと転換します。 |
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高田さや
| 特徴 | 脱獄をしてきたという説明と大麻栽培の描写があることから、女優の高樹沙耶がモデルのようです。スレンダーなスタイルや髪形なども逮捕時の姿とそっくりです。極端なオーガニック志向と大麻吸引を推奨し、朝から晩までラブ&ピースをメンバーに唱えています。東京駅の市場でも大麻を販売していました。最終回では、ユメのパパと共に筋トレにハマっています。 |
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窃盗団のマコト
| 特徴 | 早稲田通りをテリトリーとする窃盗団のリーダー格。窃盗団を名乗っていますが、飢えている子供たちに腹いっぱい食べさせるためにユメを誘拐しようとするなど、優しい一面を持ちます。「good morning」が口癖。夢は武道館でライブすることです。元ネタはSuchmosのYONCEに髭を付けた容姿で、同バンドの曲「STAY TUNE」の歌詞のパロディが、登場時の第一声となることが多いです。 |
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須田 (すだ)
| 特徴 | 人類再生プロジェクトを推進するグループ・マグメルの幹部の男性で医師。「イエス! 須田クリニック!」が決め言葉。見た目も行動も高須クリニック院長の高須克也氏にそっくりです。デネブ未感染者のユメに、龍と性交して子供を作ることを迫りました。実はデネブ未感染の女性「織姫」の一号でした。 |
|---|
ツキミ
| 年齢 | 12歳 |
|---|---|
| 特徴 | デネブ未感染者の少女。マグメルからの脱走者です。幼い頃からマグメルでの共同生活の中で育ち、「織姫」として大切に育てられてきました。性交の相手となる「彦星」の龍と食事などでコミュニケーションをとるうちに彼を「初恋の人」と思うようになりました。しかし、7月の12歳の誕生日に龍と子作りを行おうとしたものの、彼に拒絶されてしまいます。その後、マグメルを脱走し、憧れの男女交際を勉強するため、奥山ナユタとユメを追いかけてきて、ナユタと行動を共にするようになります。 |
ムサシとコジロウ
| 特徴 | 「山の手カップル」の龍とカナピーが飼っている馬。八王子の乗馬クラブ付近にいたところを龍とカナピーに捕獲され、移動手段として活用されています。ムサシが雌で、コジロウが雄です。 |
|---|
「打ち切り」は必然だったのか? 読者の賛否両論と「異次元の面白さ」
『おはようサバイブ』は、その掲載誌が少年誌であるにもかかわらず、かなりセクシャルな描写が多様されていたことが、打ち切り・連載終了の原因の一つではないかと考えられています。これは、作者である前原タケルが元々青年誌でデビューしたことと関係しているのかもしれません。
終了直前までマガジン編集部もエロを前面に押し出したアピールで宣伝し、読者側もエロをメインとした作品であると認識して楽しんでいたことがわかる感想が多く見られました。
一方で、回を重ねるにしたがって展開が狂気性を帯びてくることに不安を感じる読者も少なからずいたようです。
「打ち切りの危機で作者が自棄を起こしているのではないか」「終了直前ではアンケートのお願いアピールが消えた」など、不安な感想を投稿している読者もかなりの人数いました。
物語の展開から、テコ入れした結果が無人島編であり、イノシシを捕まえ、須田を火あぶりにする位で終わってしまったのは、そこからすぐに打ち切り決定の通知が来ていたからなのではないかと思われます。
奇抜なストーリーで読者に愛されましたが、普遍的な作品ではないことが打ち切りの最大の原因のようです。
『おはようサバイブ』は、まさに「人類には早すぎた迷作」だったと言えるでしょう。
「気鋭の新人」「生き残りをかけた新連載」と彗星のように現れ、どんどん衰退していき、流星のように去っていったこの作品は、多くの読者に「伝説を見たね」と言わしめました。
一体誰がこんなトチ狂った漫画になると予想できただろうか、と振り返る読者も少なくありません。
最初こそ「そこそこ」「まあまあ」面白くなる予感を感じさせていたのですが、途中からは誰も予想できない、誰も理解できない、誰もついていけない、作者独走の漫画に退化を遂げた、と評する読者もいます。
どこから狂ったかと聞かれれば、最初から「狂気」を孕んでいましたが、決定的に何が何やらわけわからなくなったのは8話あたりから、という声も聞かれます。
ヒロインを助けに行きラブラブイチャイチャなシーンがはじまったかと思えば、ヒロインは吹矢(麻酔)で眠らされ、そこへ別の女性が乱入してくるわ、ふんどしの男が太鼓を持って乱入してくるわ。
「読んでて脳の処理速度が追いつかなくなり、『この漫画はロックだ!』と思うようになりました」という読者の感想は、この作品の特異性をよく表しています。そこからの迷走は凄まじいものがありました。
今まで「高須クリニックに喧嘩売っている」「高樹沙耶大麻ネタとか寒いねん」「全然文明滅んでねぇ!」「謎のラップ」「謎の残像」など細かいツッコミどころは満載でしたが、そんな些細な事が全てどうでもよくなるぐらい突き抜けていくのです。
特に、脈絡の無さは特筆すべきものでした。「起承転結」という物語のストーリーラインを全て否定するかのように、次に何が起こるのかまったく想像できない、奇抜すぎてダイナミックすぎて意味不明すぎる展開のラッシュを仕掛けてくるのでした。
例えば11話「セクシーボーイズ危機一髪!?」の濃さは凄まじく、ヒロインを助けに行けば修羅場って太鼓叩いてとっ捕まって、キャバクラの地下室に監禁され、セーラー服とナース服を着せられ、キャバクラのオーナー(オカマ)は男のイチモツを切って収集するのが趣味で去勢されかける大ピンチからダイナマイトで爆破と、一つ一つがツッコミどころ満載すぎて、ツッコむことが野暮になるぐらい振り切れるところまで振り切れていくのでした。
もはや次のコマで何が起こるかすら誰も想像できない未踏の境地に到達するのでした。「何でこうなるのかって思っても仕方がないのだ。分からないのだ。いちいち考えると頭が痛くなる…」と考える読者も多かったでしょう。
読者が次はこうなるだろうなって予想をあざ笑うかのように、『おはようサバイブ』は読者の考え得る最低許容ラインの遥か下の下、地下深くを潜っていくのでした。
「なんつーかコレ、何の漫画だっけ?今何してんだっけ?何なのこれ?漫画とはなにか?」といった哲学すら投げかけた、と評する読者もいるほどです。
しかも、マガジンすら理解できていなかったようで、打ち切られた時には「毎週予想の斜め上どころか異世界へ飛ばされるような感覚ありがとうございました!」という異例のコメントを残しています。
つまり、マガジン編集部も意味不明で理解できなかった、誰もついていけなかった斬新すぎる作品だった、ということです。まさに「考えるな!感じろ!」という作品でした。
しかし、ここまでくると「つまらない」を遥かに通り越して三週ぐらいまわって面白くなってきたのも事実です。キチ〇イしかいない独自の世界観や理解できない奇抜すぎるストーリー展開。意味不明ながらハートに響くものを感じます。
「次に何をやらかすかってドキドキしていました」という読者の声が示すように、先が読めなさ過ぎてついつい気になって読んでしまう、そんな謎の中毒性がありました。
「面白かったとかつまらなかったとか設定がどうとか、そんな次元で計れるものじゃない。ステージが違いました」と評価する読者もいます。
間違いなく「クソ漫画」ではありますが、おそらく極一部からは非常に愛される作品だった、という見方もあります。
もちろん、ストーリーが良かったとかキャラが魅力的だったとかいうポジティブな理由だけでなく、単にネタとして楽しめた、という点においてですが。それでも愛すべき「クソ漫画」である、と考える読者は少なくありません。
また、「これではイカン」とテコ入れのためか13話から無人島へ行く新章が開始されます。しかし、「おはサバの島編は正直言って、異常だ」という読者の声が示すように、既に「異常」すぎるのにこれよりも「異常」になるのかと誰もが思ったのですが、本当に今までを超える「異常」っぷりでした。
「新章」と煽っておきながらその3週後に打ち切られる、という展開もまた異常です。「新章・島編」はたった1日だけで終わってしまいました。
終盤の狂気は、作者が開き直ったのか半端ない狂い方をしており、目が離せなくなった、という読者の感想もあります。マガジンの編集は何やってんだ!作者を止めろよ!という声が聞こえてきそうですが、止まりません!ロックに突き抜けます!
最後のオカマとゲイの最終決戦に至っては「頭がおかしい」としか形容できないレベルで、あまりにもイカレすぎてイカしてるとすら錯覚するレベルでした。
「クソすぎることを逆手に取った伝説のギャグ漫画となったのだ。終盤は神ですよ。いわゆるゴッド!」と評する読者もいます。
高度なギャグと化した煽り文句
『おはようサバイブ』は読み返せば読み返すほど、煽り文が高度なギャグとなっていることを発見できます。「新章・島編突入」と書かれた3週後に打ち切られたことを筆頭に、本当に「異常」な展開だったり、「生き残りをかけた新連載」や「☆生き残れ!☆」の煽り文句が、迷走し続ける作品自体を指しているようだったり。
途中からアンケートのお願いが無くなって「あー!打ち切りきまったか」と読者が分かったり。
いま振り返ると全てが計算されていたのではないかと感じるほど笑える煽り文句でした。特に前回15話の「☆生き残れ!☆」は全てがギャグです。「次回、最終回。」とデカデカと書かれる横に「生き残れ」と書かれていたのは、作品自体が無念の打ち切り御免なのに生き残れもクソもあるかよ!生き残れてないじゃん!『おはようサバイブ』は死んだんだよ!とツッコミたくなるほどの衝撃でした。
また、個人的に引っ掛かったのは「前原タケルの次回作にご期待ください!」が無かったことでしょう。普通なら短気打ち切りでも「ご愛読ありがとうございました!○○先生の次回作にご期待ください!」と書かれます。
例え次回作が二度と掲載されることがなくても。先週のマガジンで『8月のアウトロー』と『楽々神話』が打ち切られてしまいましたが、「宮田大輔先生の次回作にご期待ください!」「椿太郎先生の次回作にご期待ください!」ときちんと書かれていました。
なのに、『おはようサバイブ』の前原タケルだけ一切書かれていませんでした。次回作は無い、ということでしょうか…。
確かに終末漫画としてもサバイバル漫画としても三流以下だったかもしれませんが、ギャグ漫画としては異次元の面白さだったと思います!
ただ、あらゆる意味で斬新すぎて誰もついていけなかっただけなのです。はっきり言って、人類に『おはようサバイブ』は早すぎたのです。
例えるならゴッホ。師もいないゴッホは19世紀のヨーロッパ画壇では社会背景的に生前まったく評価されませんでしたが、死後は世界的に有名になりました。それと同じ(かもしれない)、と考える読者もいます。
近年これほど狂気をはらんだ漫画があっただろうか…。無い!単なる16週打ち切り漫画として人々から忘れられるような作品では決してありません。
謎の魅力と中毒性がある。世に出るには時代が早すぎた、と考える読者は少なくありません。前原タケル先生の次回作に期待している読者も多いことでしょう。



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