『ドクターストーン』に登場するあさぎりゲンは、その飄々とした言動と優れたメンタリストとしての能力から、物語序盤で多くの謎を秘めたキャラクターとして描かれました。
彼は司帝国を裏切り科学王国側についた経緯や、時に見せる底知れない知性から、読者の間で「裏切り者なのでは？」「黒幕ではないか？」「ホワイマンの正体？」といった様々な憶測を呼びました。
この記事では、あさぎりゲンのキャラクター性から、彼に向けられた数々の疑惑の真相、そして最終的に彼が『ドクターストーン』の世界でどのような役割を果たしたのかを徹底的に解説していきます。
メンタリストとして人々を操ることに長けたあさぎりゲンの、真の姿を明らかにしていきましょう。
『ドクターストーン』作品概要
あさぎりゲンの背景を理解するために、まずは作品の基本情報を確認します。
作品情報
| 原作・原案 | 稲垣理一郎 |
| 作画 | Boichi |
| 科学監修 | くられ（爆笑秘密結社「薬理凶室」リーダー） |
| 連載期間 | 2017年3月6日～2022年3月7日（週刊少年ジャンプ） |
| 話数 | 全232話 |
| 単行本 | 全26巻 |
| 受賞歴 | 次にくるマンガ大賞2018 コミックス部門2位、第64回小学館漫画賞少年向け部門 |
| アニメ | 2019年よりトムス・エンタテインメント制作で放送開始（2023年8月時点で第3期第1クールまで放送） |
あらすじ
突如として世界中の人類が石化するという謎の現象に見舞われ、文明が滅びてから3700年の時が経ちます。
その世界で、天才的な頭脳と膨大な科学知識を持つ高校生、石神千空が奇跡的に石化から目覚めます。
千空は、自身の科学の力を使って人類全員を復活させ、荒廃した石の世界に再び文明を築き上げることを決意します。
彼らは仲間を増やし、科学王国を興しますが、その道中には全人類の復活を目指す千空と、純粋な若者だけを蘇らせることを理想とする獅子王司との思想的な対立、そして人類石化の真の黒幕「ホワイマン」との戦いなど、様々な困難が待ち受けていました。
『ドクターストーン』は、科学の力で未来を切り開く、壮大なSFサバイバル物語です。
あさぎりゲンのプロフィール
多くの謎を抱えていたあさぎりゲンの基本的な情報を紹介します。
基本情報
| 本名 | 浅霧幻 |
| 年齢（初登場時） | 19歳 |
| 身長 | 175cm |
| 体重 | 61kg |
| 好物 | コーラ |
| 旧現代での職業 | メンタリスト、マジシャン |
| 外見的特徴 | 切れ長の目、左右で色が異なる髪（黒と白）、左頬のヒビ痕（笑う人間の横顔に見える） |
| 声優 | 河西健吾 |
「コウモリ男」と自称するメンタリスト
あさぎりゲンは、人類が石化する前はマジックと心理トリックを駆使して人々を楽しませる芸能活動を行っていました。
石化から復活した後も、そのメンタリストとしてのスキルは健在で、人の心を読み、操ることに長けています。
彼は獅子王司によって復活させられ、当初は司帝国の人間として千空の前に現れます。
しかし、すぐに司を裏切り、千空率いる科学王国側につくという行動に出ました。
ゲンは自身を「裏切り者」と強く自覚しており、自分の利益を第一に考えるどっちつかずの「コウモリ男」であると公言しています。
しかし、物語が進むにつれて、その軽薄な態度の裏に隠された義理堅く、仲間思いな一面が明らかになっていきます。
あさぎりゲンはなぜ裏切り者になったのか？
あさぎりゲンの裏切りは、科学王国と司帝国の戦いの行方を大きく左右する重要な出来事でした。
彼がなぜ危険を冒してまで司帝国を裏切り、千空側につくことを選んだのか、その経緯を見ていきましょう。
司帝国の一員として
物語の序盤、石神千空は幼馴染の大木大樹とともに復活液を作り、友人である小川杠を復活させようとします。
しかし、突如として降りかかった危機を脱するため、「霊長類最強の高校生」と称される獅子王司を復活させました。
司は千空たちを救いますが、全人類の復活を目指す千空と、既得権益を嫌い純粋な若者だけを蘇らせたい司の間には、決定的な思想の隔たりがありました。
司は千空から復活液の作り方を聞き出すと、全人類を復活させてしまう可能性のある千空を排除しようとします。
奇跡的に生き延びた千空は、石化を免れた人類の生き残りである石神村の人々と協力し、科学王国を築きます。
一方、司は復活液を使って若者たちを次々と復活させ、自身の理想を追求する司帝国を形成していきました。
あさぎりゲンは、この司によって復活させられた司帝国の一員として、千空の前に現れたのです。
千空との出会いと「コウモリ男」の選択
司は、一度は千空を殺したと考えつつも、彼の天才性を警戒していました。
そこで、千空の生死を確認するため、とある番組で知り合ったメンタリストであるあさぎりゲンを復活させ、千空の捜索を依頼します。
目覚めたゲンは司の命を受け千空を探し、石神村で彼が生きていることを発見しました。
任務完了後、ゲンはその場を立ち去ることなく、あえて千空たちの前に姿を現し、彼らと交流を始めます。
この交流の中で、ゲンは千空の信じる科学の力と、その圧倒的な知性を目の当たりにしました。
特に、千空がゲンの好物である「コーラ」を科学の力で再現してみせたことは、ゲンにとって大きな衝撃と魅力を与えました。
ゲンは千空にコーラを作ってもらうことを条件に、千空たち科学王国に協力することを決断します。
司帝国に戻ったゲンは、司に「千空は見つからなかった」という嘘の報告をし、こうして彼は司帝国の裏切り者となったのです。
しかし、ゲンのこの決断は、単にコーラに釣られただけではありませんでした。
司に起こされたゲンは、復活液の材料である硝酸が採れる「奇跡の洞窟」を訪れていました。
そこで彼は、洞窟の傍にある木に、千空が石化から目覚めた日の日付が刻まれているのを見つけます。
千空が石化している間も意識を飛ばさず、秒数をカウントし続けていたことを理解したゲンは、その桁外れの頭脳と執念に強い興味と敬意を抱いたのです。
「コウモリ男」と自称する彼のプライドとしてコーラを要求しましたが、千空の側についた真の理由は、千空の科学と人間性に魅せられたからと言えるでしょう。
最終的な「裏切り」は杞憂に終わる
物語の序盤、ゲンはその言動から「自分の利益が第一」という印象を与えていたため、多くの読者が「千空が追い詰められたら、すぐに裏切るのではないか」と予測し、ハラハラしていました。
しかし、その心配は杞憂に終わります。
『ドクターストーン』が最終回を迎えるまで、ゲンが千空を裏切ることは一度もありませんでした。
それどころか、彼は最後の最後まで科学王国のために尽力し、その知略と心理術で幾度となく千空たちを救い続けました。
完結した現在、あさぎりゲンはファンから「裏切りそうで裏切らない男」という愛称で親しまれています。
あさぎりゲン「黒幕説」「ホワイマン正体疑惑」の真相
物語の中盤、あさぎりゲンは「黒幕であるホワイマンの正体ではないか」と一部のファンから疑われていました。
なぜそのような疑惑が浮上したのか、その理由と真相を探っていきましょう。
黒幕「ホワイマン」とは？
人類が石化した当初、その現象が自然発生的なものなのか、人為的なものなのかは不明でした。
しかし、後にこの石化光線が何者かによって放たれたものであることが判明します。
その「何者か」が人間なのか、あるいは人間以外の知能を持つ生物なのかも分からない状態の中、千空たちはその存在を「ホワイマン」と名付け、その正体を突き止めるべく動き始めます。
ホワイマンの存在が明らかになったことで、人類の完全復興には彼らを抑えることが不可欠となりました。
そして、この正体不明の黒幕がゲンではないかという疑惑が、一部の読者の間で囁かれることになります。
ホワイマンと千空の声
ホワイマンが通信機器を通じて石化装置を起動させようとした際、彼が発した音声は「128000000m1second（地球全体を1秒後に石化させる）」という内容でした。
驚くべきことに、この音声は石神千空の声と全く同じだったのです。
石化の原因を突き止め、人類を救おうとしている千空が、自ら地球全体を石化させるはずがありません。
そこで読者は、ホワイマンは千空の声を真似することができる、千空以外の人物であると考えました。
そして、ここで黒幕として疑いの目を向けられたのが、他人の声を模倣する「声帯模写」の能力を持つあさぎりゲンでした。
ゲンの声帯模写能力と疑惑の払拭
あさぎりゲンが黒幕として疑われた大きな理由の一つは、彼が声帯模写の能力を持っていたためです。
実際、ゲンは科学王国が司帝国と戦っていた際、声帯模写で世界的歌姫リリアン・ワインバーグの声を完璧に再現し、司帝国の一部の人間を寝返らせることに成功しています。
女性の声まで精巧に真似できるゲンならば、同じ男性である千空の声を模倣することは容易いだろうと、多くのファンが考えました。
しかし、この疑惑は後に払拭されます。
耳の良い西園寺羽京の分析により、ホワイマンが発した千空の声は、合成音声であったことが明らかになりました。
ホワイマンは、千空が通信を行った際に彼の声を手に入れ、それを模倣して使用していたのです。
この事実が判明したことで、「ゲンが声帯模写で千空を装った」という説は根拠を失い、彼が黒幕であるという疑惑はほぼなくなりました。
ホワイマンの居場所の判明
さらに、千空たちがホワイマンからの電波を分析した結果、ホワイマンが月面にいることが明らかになります。
このことは、黒幕であるホワイマンが地球にいる人間ではなく、宇宙空間に存在する地球外生命体である可能性が高いことを示しました。
これにより、あさぎりゲンが黒幕であるという疑いの声は完全に消え去ります。
しかし、黒幕ではないにしても、「黒幕に使われているスパイなのではないか」という説や、「物語終盤で再び裏切るのではないか」という説は、彼の初期の言動から一部の読者の間で残り続けていたようです。
あさぎりゲンの人物像と人気の高さ
多くの疑惑が解消された後、あさぎりゲンは「裏切りそうで裏切らない」キャラクターとして、読者からの絶大な支持を得るようになりました。
性格と独特の言葉遣い
あさぎりゲンは、常に飄々とした笑みを浮かべ、自身の利益を第一に考えるかのように振る舞います。
しかし、その裏には義理堅く、仲間を深く思いやる一途な一面が隠されています。
彼は非常に用心深い性格で、服の中に多くの仕込みを隠しており、マグマに襲われた際にもその仕込みのおかげで命拾いをするなど、その準備周到さを見せつけました。
「軽そうに見えて実は物事を深く考えており、利己的に見えて実は仲間思い」
これがあさぎりゲンの真の人物像と言えるでしょう。
また、彼の特徴的な点は、業界用語の一種である「倒語」を多用する言葉遣いです。
「ジーマーでバイヤー（マジでヤバイ）」といったフレーズや、誰に対しても「千空ちゃん」のように「ちゃん」付けで呼ぶことで、彼のどこか掴みどころのない、しかし親しみやすいキャラクターが形成されています。
科学王国における唯一無二の能力
科学王国の中でも特に優れた頭脳を持つ「五知将」の一人であるあさぎりゲンは、策謀のエキスパートです。
一流のメンタリストである彼は、人間心理を熟知しており、対象の心理を読んで自分や仲間のためになる行動を取るよう仕向けたり、千空が動きやすい状況を整えたりすることが彼の主な役割です。
人を動かし、操る能力において、彼の右に出る者はいません。
科学王国のトップである千空は天才的な頭脳を持ちますが、人を騙したり誘導したりするスキルは持ち合わせていません。
他の仲間たちも基本的に誠実で、裏工作や駆け引きを不得手とする者が多いため、ゲンの存在は科学王国にとって非常に重要でした。
彼はまた、他人の思考を推察して当ててみせたり、行動を予測して人探しをしたりする能力も持っています。
マジシャンとしてのマジックや声帯模写など、非常に多才な人物でもあります。
驚異的な人気投票結果
『ドクターストーン』では、2018年、2019年、2021年に人気投票が行われています。
あさぎりゲンは、第1回と第2回の人気投票で共に3位という高順位を記録しています。
そして、人気投票ランキング第3回では、64,428票という圧倒的な得票数を獲得し、1位の座に輝きました。
45,880票で2位となった主人公の石神千空との票差は、あさぎりゲンの絶大な人気を物語っています。
多くのファンが、主人公を抜いてゲンが1位になったことに納得していたようで、彼のキャラクターがいかに愛されているかが分かります。
あさぎりゲンの声を担当した声優：河西健吾
あさぎりゲンの個性的なキャラクターをアニメでさらに魅力的にしているのが、彼を演じる声優、河西健吾です。
河西健吾のプロフィール
| 名前 | 河西健吾（かわにし けんご） |
| 生年月日 | 1985年2月18日 |
| 出身地 | 大阪府 |
| 所属事務所 | マウスプロモーション |
| デビュー年 | 2006年 |
| 特記事項 | 石田彰に声質が似ていると言われることがある。 |
主な出演作品
河西健吾は2006年に声優デビューを果たし、2015年に『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』でアニメ初主演を務めたことで、その知名度を一気に上げました。
彼の主な出演作品と演じたキャラクターは以下の通りです。
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』（三日月・オーガス）
『3月のライオン』（桐山零）
『鬼滅の刃』（時透無一郎）
『東京リベンジャーズ』（河田ナホヤ〈スマイリー〉）
『ヒプノシスマイク』（躑躅森盧笙）
その他にも、『炎炎ノ消防隊』（トオル岸理）、『フルーツバスケット』（草摩利津）、『久保さんは僕を許さない』（白石純太）など、数多くの人気作品で主要キャラクターを演じています。
河西健吾の演技は、あさぎりゲンの飄々とした中に見え隠れする知性や感情を繊細に表現し、キャラクターの魅力を最大限に引き出しているとファンからも高く評価されています。
まとめ：あさぎりゲンは科学王国を支えた最高のメンタリスト
あさぎりゲンは、司帝国を裏切り科学王国側についたという経緯から、当初は「裏切り者」や「黒幕」といった疑惑を持たれました。
しかし、ホワイマンの正体が合成音声であり、月面にいる地球外生命体であると判明したことで、彼に向けられた疑惑は全て解消されました。
最終的にゲンは、最後まで千空と仲間たちを支え続けた、頼りになる科学王国の国民でした。
彼の卓越したメンタリストとしての能力は、千空が苦手とする「人を動かす」「心理戦を制する」場面で大いに発揮され、科学王国と司帝国間の戦いを最小限の被害で終わらせることに貢献しました。
彼の存在なくしては、人類の復活と文明再建は成し遂げられなかったと言えるほど、あさぎりゲンは『ドクターストーン』において不可欠なキャラクターです。
「裏切りそうで裏切らない」彼の魅力は、多くの読者を惹きつけ、人気投票で主人公を抑えて1位を獲得するほどの絶大な支持を得ています。
あさぎりゲンに興味を持った方は、ぜひ漫画やアニメで、彼の知略と人間性にあふれる活躍をチェックしてみてください。
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