
チェンソーマンとは?
藤本タツキ氏が手掛ける漫画「チェンソーマン」は、2018年に「週刊少年ジャンプ」で連載がスタートし、2022年からはウェブ漫画サイト「少年ジャンプ+」で第2部が連載されています。
突如として現れた「悪魔」と、悪魔と契約を結び戦う「デビルハンター」の壮絶な戦いを描いたダークファンタジー作品です。
主人公デンジの純粋な夢と、それを翻弄する悪魔たちの思惑が複雑に絡み合い、予測不能な展開が読者の心を掴んで離しません。
物語の面白さだけでなく、緻密に練られた世界観も大きな魅力の一つであり、特に作中の時代設定については、多くのファンが考察を重ねています。
時代設定は1997年?時代背景を考察
なぜ1997年と言われるのか?
チェンソーマンは2018年から連載が開始された作品ですが、作中の描写から、その時代設定は1997年であると多くの読者に推測されています。
現代では当たり前の存在であるスマートフォンや薄型テレビが一切登場せず、代わりに黒電話やブラウン管テレビが描かれているため、読者の間では早くから「現代ではない」という説が浮上していました。
その後、作中に登場するカレンダーや特定の出来事から、具体的な時代が1996年から1997年にかけての時期であることが明らかになりました。
主人公デンジは16歳という設定ですが、彼の幼少期に相棒となるポチタと出会ったのは、銃の悪魔が世界中で大規模な被害をもたらした1983年とされています。
この過去の出来事と現在の時間軸が、物語の鍵を握っていると考えられています。
時代設定がわかる具体的な描写
物語の時代設定を1997年と特定する根拠は、作中に散りばめられた様々な描写にあります。
ここでは、代表的な描写をピックアップして、その時代性を検証していきましょう。
ダンスダンスレボリューション
チェンソーマンの能力を暴走させたデンジが、東山コベニに無理やりプレイさせたゲームは「ダンスダンスマッシュルーム」という名前でした。
これは、コナミが1998年にリリースしたアーケードゲーム「ダンスダンスレボリューション」をオマージュしたものだと考えられています。
このゲームは稼働直後から社会現象となるほどの人気を博しており、作中で東山コベニがゲームに熱中する姿は、当時の雰囲気を忠実に再現していると言えるでしょう。
ゲームの存在は、物語が1998年かそれ以前に設定されていることを強く示唆しています。
黒電話と固定電話の普及状況
作中の通信手段は、携帯電話やスマートフォンではなく、主に公衆電話や固定電話です。
特に、デンジがマキマと話すシーンでは、黒電話が使用されていました。
日本の家庭に黒電話が普及したのは昭和後期から平成初期にかけてであり、1990年代はボタン式電話機への移行期にあたります。
早川アキがボタン式電話機を使用している描写もあり、これは「通信技術の過渡期」という時代背景を巧みに表現していると考えられます。
公衆電話の存在
物語の序盤では、東山コベニやフリーのデビルハンターが公衆電話を使用するシーンが描かれています。
携帯電話は1990年代に普及し始めましたが、当時の普及率はまだ低く、多くの人が公衆電話を頼りにしていました。
この描写は、時代が携帯電話が完全に普及する前の1990年代であることを裏付けています。
また、第2部ではついに携帯電話が登場します。
これは、第1部と第2部の間の時間経過、そして物語の世界でも通信技術が発展したことを示唆しています。
銃の悪魔やマキマといった人類を脅かす存在がいなくなったことで、社会が平和になり、通信技術の発展が加速したという見方もできます。
コベニの愛車と車の時代考証
東山コベニが給料で購入した愛車は、1990年代には「クラシックカー」に分類されるような古い車種でした。
具体的には、「2代目フィアット500」や「ホンダ・シビックカントリー」が作中に登場しています。
これらの車種は1970年代から1980年代にかけて製造されたものであり、裕福ではない東山コベニが中古車を購入したと考えれば辻褄が合います。
意図的に古い車を描写することで、作品の時代背景を読者に示していると言えるでしょう。
早川アキの自宅のバランス釜
早川アキとデンジ、パワーが暮らす自宅には、1990年代の日本の一般家庭でよく見られた「バランス釜」が描かれています。
バランス釜は1960年代から普及し始めた風呂釜で、2000年代以降は「集中給湯システム」などに取って代わられていきました。
早川アキの自宅の間取りや家具も、どこか懐かしい印象を与えるもので、これもまた時代背景を裏付ける重要な要素です。
ただし、早川アキが吸っているタバコの銘柄は、2013年に名称変更された「MEVIUS」に似ており、この点は時代設定と矛盾していると指摘する読者もいます。
山形新幹線の開業時期
レゼ編でレゼが向かっていたのは山形駅でした。
作中では、山形新幹線が描かれていますが、山形新幹線の開業は1992年です。
また、開業当初は山形駅が終点であり、新庄駅まで延伸されたのは1999年のことです。
このことから、物語が1999年以前に設定されていることがわかります。
ブラウン管テレビの普及
デンジがテレビに夢中になるシーンでは、分厚いブラウン管テレビが描かれています。
薄型テレビが登場するのは2000年代以降のことであり、1990年代はまだブラウン管テレビが主流でした。
テレビの形状からも、作中の時代が1990年代であると推測できます。
キャラクターの髪型と服装
作中に登場する一般人の髪型や服装は、どことなく懐かしい「昭和後期から平成初期」の雰囲気を醸し出しています。
現代ではカラフルな髪色に染める人も多いですが、チェンソーマンの世界では黒髪のキャラクターが圧倒的に多く、派手な髪色に染める文化がまだ浸透していない時代であることが伺えます。
時代設定の鍵となるカレンダーの表記
チェンソーマンの時代設定を特定する上で、最も重要な手掛かりとなるのが、作中に何度も登場するカレンダーの記述です。
カレンダーに書かれた日付や曜日の並びが、現実の暦と一致していることが確認されています。
1983年11月18日の記述
マキマが「13年前に出現した銃の悪魔」について語るシーンで、「1983年11月18日」という日付が示されています。
この出来事が「13年前」であることから、本編の物語は1996年から1997年にかけての時期であると特定できます。
銃の悪魔は、銃器に対する恐怖心によって力を得ており、その出現は人類の歴史に大きな影響を与えたとされています。
1996年12月と1997年1月
作中では、早川アキとデンジが北海道へ墓参りに行くエピソードが描かれていますが、この時の日付が1996年12月でした。
また、岸辺が銃の悪魔の討伐隊を編成するシーンでは、カレンダーの日付が1997年1月になっています。
このことから、物語は1996年末から始まり、年が明けて1997年を迎えたことが明確にわかります。
カレンダーに日曜日が書かれていないことや、太陽の描写がないことから、「チェンソーマンが太陽や日曜日の悪魔を喰って存在を消した」という考察もなされており、単なる時代設定以上の意味合いが込められている可能性もあります。
世界の歴史とチェンソーマンの関連
チェンソーマンの世界は、現実の世界と似ているようで、いくつかの重要な歴史的出来事が異なっています。
これは、チェンソーマンの「悪魔を喰うと、その悪魔の名前や存在が人々の記憶から消える」という能力が大きく関係しています。
ナチスと第二次世界大戦の消滅
マキマは「ナチスも第二次世界大戦も、チェンソーマンに喰われて人々の記憶から消えた」と語っています。
現実世界では、ナチス・ドイツが起こした第二次世界大戦は、人類の歴史に大きな爪痕を残しました。
しかし、チェンソーマンの世界では、これらの悲劇がなかったことになっています。
ただし、第2部には「戦争の悪魔」が登場するため、「第二次世界大戦の概念そのものが消えた」わけではないのかもしれません。
戦争の悪魔はチェンソーマンに敗北し、弱体化していると語られていることから、「戦争そのもの」は存在しているものの、その概念を強くするような大規模な戦争は起こらなかった、と解釈することもできます。
ソ連はなぜ存続している?
現実世界では、ソ連(ソビエト連邦)は1991年に崩壊しました。
しかし、チェンソーマンの世界では、ソ連は存続しているとされています。
作中には、ソ連の刺客であるトーリカや師匠が登場しており、これは物語の時代設定が1997年であるにもかかわらず、ソ連が崩壊していないことを示しています。
ナチスや第二次世界大戦が消えた一方で、ソ連が存続しているのは、チェンソーマンの能力によるものだと考えられます。
チェンソーマンの世界のその他の謎
面白い映画が少ない理由
デンジとマキマが映画デートをするシーンでは、2人とも退屈そうな表情を浮かべていました。
これは、「悪魔を喰う」能力によって、悲劇や恐怖といった概念が悪魔と共に消滅してしまい、面白い映画を作るための題材が少なくなったからだと考察されています。
マキマは「ほとんどの人が理解できない」映画を見て涙を流しており、彼女だけが失われた概念の悲しさを知っている、という見方もできます。
通信技術の発達が遅れている背景
チェンソーマンの世界では、携帯電話やスマートフォンが普及していません。
これは、「戦争」という概念が弱体化したため、通信技術が発達しなかったからだと考えられています。
戦争は、一分一秒を争う状況で情報伝達を行う必要があるため、通信技術を発達させる大きな要因となります。
戦争の概念が弱体化したことで、その必要性が薄れ、文明の発展が停滞したのかもしれません。
チェンソーマン第2部の概要
第1部が「週刊少年ジャンプ」で完結した後、第2部「学園編」が「少年ジャンプ+」で連載をスタートしました。
第2部では、三鷹アサという新たな主人公が登場し、物語は新しい局面を迎えます。
アサは、両親を悪魔に殺された過去を持つ女子高生で、戦争の悪魔「ヨル」と体を共有することになります。
デンジは、第1部のラストで公安のデビルハンターを辞め、「普通の人生」を送るために高校に通っています。
第1部の壮絶な戦いとは異なり、第2部は学園生活を舞台にした、より身近な物語が展開されています。
しかし、戦争の悪魔や飢餓の悪魔といった新たな脅威も登場しており、デンジとアサの今後の関係性から目が離せません。
まとめ
チェンソーマンの時代設定は、作中の様々な描写から1997年であると強く推測されています。
懐かしさを感じさせる描写の数々は、単なる雰囲気作りではなく、作品の謎を解くための重要な手掛かりとなっています。
特に、チェンソーマンの能力によって消滅した歴史的出来事は、物語の世界観をより奥深いものにしています。
第2部では、携帯電話が登場するなど、時代が変化している様子が描かれており、今後の物語の展開にも注目が集まっています。
時代背景や細かな描写に注目することで、チェンソーマンという作品をより深く楽しむことができるでしょう。
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