Netflixで世界的な大ヒットを記録した実写ドラマ、今際の国のアリス。
シーズン2で描かれた数々の「げぇむ」の中でも、特に視聴者の間で大きな話題を呼んだのが、ダイヤのキングのゲーム「てんびん」でした。
命の価値を問う、深く哲学的なテーマを持つこのゲームは、単なる頭脳戦に留まらない奥深さを私たちに示しました。
今回は、この「てんびん」というげぇむのルールや結末、そして登場人物たちの背景や演じたキャストにまで焦点を当て、その魅力を余すことなく解説していきます。
今際の国のアリスのてんびんとは？
今際の国のアリスという作品そのものが持つ世界観を理解することで、なぜ「てんびん」というゲームが生まれたのか、その背景をより深く知ることができます。
今際の国のアリスの作品情報
今際の国のアリスは、漫画家・麻生羽呂によるサスペンス漫画です。
2010年から2016年にかけて、小学館の週刊少年サンデーSなどで連載され、全18巻で完結しました。
本作の完結後には、今際の国のアリス RETRYや今際の路のアリスといったスピンオフ作品も制作されており、その根強い人気をうかがい知ることができます。
2013年にはアニメ化もされ、2020年にはNetflixにて実写ドラマ版が配信されると、その人気は日本国内に留まらず、世界へと広がりました。
今際の国のアリスの概要
今際の国のアリスは、人生に絶望したゲーマーのアリスが、謎の世界「今際の国」に迷い込み、命を懸けた「げぇむ」に挑んでいく物語です。
げぇむには、スペード（♠）、ハート（♥）、クラブ（♣）、ダイヤ（♦）という4つのスートと、1から10までの数字で難易度が設定されています。
スートが示すげぇむのジャンルは以下の通りです。
スペード：肉体戦
ハート：心理戦
クラブ：チーム戦
ダイヤ：知能戦
そして、すべてのげぇむの先に待つのが、「絵札」と呼ばれる最強のげぇむです。
今際の国のアリスのあらすじ
人生に希望を見いだせず、優秀な弟と比べられることに辟易していたアリスは、ある日、親友のカルベとチョータと共に渋谷のスクランブル交差点で騒いでいました。
その最中、突然街から人が消え、彼らは「今際の国」に迷い込んでしまいます。
この世界では、「げぇむ」に参加し、クリアしなければ生きることができません。
アリスたちは、生と死が隣り合わせの過酷なげぇむをクリアしながら、今際の国の謎に迫っていくことになります。
てんびんとは？
てんびんは、実写ドラマ版今際の国のアリスのシーズン2で登場した「げぇむ」の一つです。
原作漫画では「ひじんとうひょう」というゲーム名ですが、ルールや参加メンバー、結末はドラマ版と同じです。
このげぇむは、知能戦を意味するダイヤのスートの中で、最も難易度の高いキングのゲームとして登場しました。
ダイヤのキングである九頭龍慧一が主催し、そのげぇむは単なる数字当てではなく、参加者の思考や価値観、そして生き方そのものを問う、奥深い心理戦の要素も持っていました。
今際の国のアリスのてんびんのルールや結末を解説
てんびんは、多くの視聴者の頭を悩ませた複雑なルールを持つげぇむでした。
ここでは、そのルールと、げぇむの結末を詳しく見ていきましょう。
ネタバレ①てんびんのルール
てんびんは、知能戦の最難関であるダイヤのキングに相応しい、非常に複雑なルールを持っています。
ゲームの参加者たちは、0から100までの整数の中から一つを選び、タブレットに入力します。
そして、全員が入力した数字の平均値を算出し、その平均値に0.8を掛けた数に最も近い数字を選んだ者が勝者となります。
このルールは「合理的に考えれば、平均値は0に近づいていく」という前提に基づいており、参加者全員が合理的に考えるほど、数字は限りなく0に収束していくことになります。
負けた参加者は1ポイント減点され、マイナス10ポイントに達した時点でゲームオーバーとなり、頭上の瓶から硫酸を浴びせられて死亡します。
ネタバレ②ダイヤのキングの正体
ダイヤのキングとしてげぇむを主催したのは、弁護士の九頭龍慧一でした。
彼は今際の国に来る前、アメリカの国際弁護士として、企業が引き起こした公害問題の和解交渉を担当していました。
九頭龍慧一は、加害者と被害者の間で平等な解決を目指していましたが、最終的に企業側の権力に屈し、被害者が理不尽な結末を受け入れさせられるのを目の当たりにします。
この経験から、彼は「命の価値は平等である」という信念を強く持つようになり、世の中の不平等さに絶望します。
「てんびん」というげぇむは、まさに彼の信念である「平等」を試すものであり、参加者たちに「命の価値とは何か」を問いかけるものでした。
ネタバレ③チシヤの過去
てんびんのゲームで主人公として活躍したチシヤこと苣屋駿太郎の過去は、多くの視聴者の心を揺さぶりました。
幼少期、医者である父親から愛情を注がれずに育ったチシヤは、次第に「生」というものに興味を持てなくなってしまいます。
彼は、人の生死に関わる医師という職業に就けば、自分の心が変わるのではないかと考え医者を目指します。
しかし、医者になっても彼の心は満たされることはなく、患者から託された手紙を平気で捨てるような冷酷な行動をとってしまいます。
そんな彼が、今際の国で九頭龍という「命の価値」を問い続ける人物と出会ったことで、彼の心に変化が生まれていくことになります。
ネタバレ④てんびんの結末
てんびんのゲームは、チシヤと九頭龍の一騎打ちでクライマックスを迎えます。
チシヤは、九頭龍の「平等」という信念を見抜き、最後のげぇむで九頭龍を動揺させる策を仕掛けます。
チシヤはわざと「100」という数字を選び、自分に不利な状況を作り出しました。
九頭龍は、自分が勝利する「1」を選べば、チシヤの策略に屈することになり、自分の信念である「平等」を曲げることになります。
結果、九頭龍は自分の信念を貫き「0」を選び、チシヤに敗北しました。
この結末は、チシヤがただ頭脳で勝っただけでなく、九頭龍の価値観を揺るがすことで勝利したことを示しています。
今際の国のアリスのてんびんの参加メンバーや登場人物
てんびんのゲームには、チシヤと九頭龍以外にも、個性豊かな参加者が登場しました。
ここでは、彼らのプロフィールと、げぇむでの活躍を見ていきましょう。
プロフィールがあるキャラクターについては、テーブル形式でまとめています。
苣屋駿太郎
| 役職 | 医大生 |
| 特技 | 高い知能と洞察力、心理戦 |
チシヤは、ダイヤのキングのげぇむの主人公です。
冷静沈着で、常に合理的な思考をすることを得意としています。
彼は、他の参加者たちを観察し、その行動パターンや思考を読み解くことで、ゲームを有利に進めていきました。
特に、九頭龍との最後の対決では、彼の信念を利用した心理戦で勝利を掴み、物語の鍵を握る存在となりました。
弥重勉三
| 役職 | 数学者 |
| 特技 | 数学、知能 |
弥重勉三は、てんびんのゲームに参加した数学者の老人男性です。
非常に高い知能を持っていましたが、「頭がよすぎて、バカの合理性が分からない」とチシヤに評されました。
この評価が示すように、彼は他の参加者たちが合理的ではない選択をすることを読みきれず、初戦で早々にゲームオーバーとなりました。
大門妃納子
| 役職 | 元闇金業者 |
| 特技 | 頭の回転の良さ |
てんびんのげぇむに参加した紅一点の大門妃納子は、元闇金業者という異色の経歴を持っています。
彼女は、計算能力は他の参加者に劣りますが、状況を冷静に判断する頭の回転の速さを見せ、チシヤと協力して他の参加者をゲームオーバーに追い込みました。
飛鳥馬尚
| 役職 | 証券会社の社員 |
| 特技 | 経済分野の知識 |
飛鳥馬尚は、証券会社に勤務する経済分野に長けた男性です。
彼は、株価を好きな数字として挙げるほど根っからの証券マンでしたが、九頭龍の洞察力や、チシヤと大門の協力戦術に及ばず、ゲームオーバーとなりました。
九頭龍慧一
| 役職 | 国際弁護士 |
| 特技 | 知能、信念、洞察力 |
九頭龍慧一は、てんびんのゲームの主催者であり、ダイヤのキングでした。
「命の価値は平等である」という強い信念を持っており、彼のげぇむは、参加者たちがこの信念にどう向き合うかを試すものでした。
最終的に彼は、自分の信念を貫くことを選び、チシヤに敗北しました。
今際の国のアリスのてんびんの実写ドラマキャスト
てんびんという奥深いげぇむは、豪華なキャスト陣の好演によって、より魅力的に描かれました。
ここでは、各キャラクターを演じた俳優たちを紹介します。
苣屋駿太郎役/村上虹郎
| 役者名 | 村上虹郎 |
| 出演作品 | 仰げば尊し、この世界の片隅に、ヒメアノ〜ル |
チシヤを演じたのは、俳優の村上虹郎です。
彼の持つ、どこか掴みどころのないミステリアスな雰囲気が、チシヤというキャラクターに完璧にマッチしました。
冷静沈着な表情の中に、時に見せる人間らしい葛藤や、知能戦を支配する冷徹さを巧みに演じ分け、多くの視聴者を魅了しました。
弥重勉三役/橋本じゅん
| 役者名 | 橋本じゅん |
| 出演作品 | 図書館戦争、シン・ゴジラ、キングダム |
弥重勉三を演じたのは、俳優の橋本じゅんです。
彼は、その個性的なルックスと演技力で、数学者という難しい役どころを見事に演じ切りました。
特に、ゲームオーバーとなる際の、絶望と狂気が入り混じった表情は、視聴者に強い印象を与えました。
大門妃納子役/佐津川愛美
| 役者名 | 佐津川愛美 |
| 出演作品 | ギャルサー、おっさんずラブ-in the sky-、蟬しぐれ |
大門妃納子を演じたのは、女優の佐津川愛美です。
彼女は、元闇金業者というキャラクターの背景を、鋭い眼差しと冷静な立ち振る舞いで表現しました。
チシヤとの協力関係が、物語に新たな展開を生み出し、その演技は高く評価されています。
飛鳥馬尚役/兼松若人
| 役者名 | 兼松若人 |
| 出演作品 | 相棒、警視庁捜査一課9係、NHK大河ドラマ 西郷どん |
飛鳥馬尚を演じたのは、俳優の兼松若人です。
彼は、証券マンというキャラクターの持つ、冷静で知的な雰囲気を自然に演じ切りました。
短い出演時間の中でも、その存在感は光っていました。
九頭龍慧一役/阿部力
| 役者名 | 阿部力 |
| 出演作品 | 花より男子、大停電の夜に、フラガール |
ダイヤのキングの九頭龍慧一を演じたのは、俳優の阿部力です。
彼の持つ重厚な雰囲気と、芯の通った演技は、九頭龍というキャラクターの持つ哲学的な深みを完璧に表現しました。
特に、チシヤとの最後の対決で見せた、自分の信念を貫く姿は、多くの視聴者の心に深く刻まれました。
今際の国のアリスのてんびんに関する感想や評価
てんびんのゲームは、その独創的なルールと奥深いテーマから、多くの視聴者の間で議論を呼びました。
ここでは、その代表的な感想や評価を見ていきましょう。
「てんびん」に関する感想や評価
多くの視聴者から、「てんびん」のゲームは非常に面白いと評価されています。
「頭を使ったゲームで見ていて飽きない」「チシヤの戦略がすごすぎる」という感想は、このげぇむが知能戦として高く評価されていることを示しています。
また、算数の知識がゲームの理解に役立ったという声もあり、ゲームのルールが現実世界と繋がっていると感じる視聴者も多いようです。
「てんびん」の結末に関する感想や評価
てんびんの結末は、多くの視聴者の間で賛否両論を巻き起こしました。
「九頭龍の信念がかっこよすぎる」「チシヤの策略が見事だった」という肯定的な意見がある一方で、「なぜ九頭龍は負けを選んだのか」「理不尽な結末だ」という否定的な意見も見られました。
この議論は、てんびんが単なる数字当てゲームではなく、「命の価値」や「信念」といった普遍的なテーマを問いかけているからだと考えられます。
「てんびん」の衝撃的な描写に関する感想や評価
てんびんのげぇむでは、ゲームオーバーとなった参加者が硫酸を浴びせられるという、非常に衝撃的な描写が描かれました。
「あの死に方は嫌だ」「見ていてゾクッとした」という感想は、この描写が視聴者に与える恐怖やインパクトの大きさを物語っています。
こうした残酷な描写が、今際の国という世界の過酷さをより際立たせ、作品の魅力を高めているという見方もあります。
まとめ
本記事では、実写ドラマ版今際の国のアリスに登場したダイヤのキングのゲーム「てんびん」を徹底的に解説しました。
「てんびん」は、単なる数字当てゲームではなく、人間の「合理性」や「価値観」を問う、深く哲学的なげぇむでした。
チシヤと九頭龍という二人の天才が繰り広げた心理戦は、多くの視聴者を釘付けにし、このげぇむがなぜこれほどまでに人気を博したのかを物語っています。
このげぇむは、作品が持つ知能戦と心理戦の魅力を象徴するものであり、今際の国のアリスという作品の奥深さを改めて私たちに示してくれたと言えるでしょう。
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