
シャフ度とはなに?
アニメファンであれば、一度は目にしたことがあるかもしれない、あの独特な構図。
キャラクターが顔を少し上に向けて空を見上げ、首だけをこちらにひねる――。
この構図は、ファンの間で「シャフ度」と呼ばれ、親しまれています。
本記事では、そんなシャフ度が一体何なのか、そしてなぜ多くの作品で用いられているのかを掘り下げていきます。
特に、シャフ度を代表する作品である「物語シリーズ」や「魔法少女まどか☆マギカ」、さらには「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」での使用例を、画像と共にご紹介します。
シャフ度とは?
シャフ度とは、アニメ制作会社シャフトが手掛ける作品に多用される、特徴的な演出技法の一つです。
具体的には、キャラクターが挑発的な表情で、顔を上向きにしつつ、首だけを横にひねって視線を送る構図を指します。
この言葉が生まれたのは、西尾維新による小説を原作とする大人気アニメ「化物語」がきっかけです。
劇中で戦場ヶ原ひたぎがありえない角度に体を曲げ、挑発的な表情を見せたシーンが、視聴者に強いインパクトを与えました。
その姿勢があまりに印象的だったため、制作会社であるシャフトの名を取って「シャフ度」と呼ばれるようになったのです。
この演出は、新房昭之監督が過去から用いていた手法であり、キャラクターの内面や感情を非言語的に表現する上で非常に効果的だと考えられています。
アニメ制作会社シャフトとは?
シャフ度を生み出したシャフトは、1975年に設立された日本の老舗アニメ制作会社です。
元々は仕上げや撮影を主な業務としていましたが、1995年にテレビアニメ「十二戦支爆裂エトレンジャー」を自主制作し、元請制作に乗り出します。
その後、2004年に制作体制をデジタルへ移行し、新房昭之監督を起用したことで、その作風は大きく変化しました。
「さよなら絶望先生」や「物語シリーズ」といった、独特の世界観を持つ作品を次々と生み出し、特に「化物語」の大ヒットはシャフトの名を世間に知らしめました。
そして2011年に制作された「魔法少女まどか☆マギカ」は、アニメ界に革新をもたらし、シャフトは「Newtype×マチ★アソビアニメアワード」で14冠を達成するなど、その地位を確固たるものにしました。
シャフ度~終物語編~
シャフ度は、シャフト作品の中でも特に「物語シリーズ」で多用されています。
ここでは「物語シリーズ」のファイナルシーズンにあたる「終物語」に登場するキャラクターたちのシャフ度をご紹介しましょう。
シャフ度①阿良々木暦
「終物語」の主人公である阿良々木暦は、吸血鬼もどきとなった体質を持つ高校3年生です。
孤独な日々を送っていましたが、吸血鬼である忍野忍との出会いを経て、様々な怪異に巻き込まれていきます。
彼は「終物語」で忍野扇と出会い、自身の過去に隠された謎と向き合うことになります。
シャフ度②忍野扇
「終物語」の重要なキーパーソンである忍野扇は、阿良々木暦の通う高校に転校してきた謎多き少女です。
彼女は忍野メメの姪を自称し、阿良々木暦を過去の出来事へと誘います。
挑発的で不気味な笑みを浮かべながら、阿良々木暦の愚かさを指摘する彼女の姿は、まさにシャフ度の真骨頂と言えるでしょう。
シャフ度③老倉育
「終物語」上巻のヒロインである老倉育は、阿良々木暦の高校1年生時代のクラスメイトです。
「ハウマッチ」というニックネームで呼ばれ、数学に圧倒的な才能を持つ彼女は、過去の事件で阿良々木暦と深く関わっていました。
彼女のキツめの性格と、どこか不器用な内面を、シャフ度が巧みに表現しています。
シャフ度④羽川翼
「物語シリーズ」全体のヒロインの一人である羽川翼は、学年トップの成績を持つ才色兼備の少女です。
阿良々木暦の最初の友人であり、その完璧な姿とは裏腹に、心に深いストレスを抱えていました。
そのストレスが原因で「つばさキャット」や「つばさタイガー」といった怪異を引き起こし、髪が白くなってしまうなど、彼女の抱える苦悩がシャフ度からも伝わってくるようです。
シャフ度⑤戦場ヶ原ひたぎ
シャフ度誕生のきっかけとなったキャラクター、戦場ヶ原ひたぎは、阿良々木暦の彼女であり、「物語シリーズ」屈指の人気を誇ります。
美貌と優れた知能を持つ彼女ですが、その本性は毒舌家で、ホッチキスやカッターナイフを持ち歩くなど、異常な一面も持っています。
「終物語」では、老倉育と対立するなど、彼女の独占欲や嫉妬心が露わになるシーンでもシャフ度は効果的に使用されています。
シャフ度~まどマギ編~
シャフトの大ヒット作品「魔法少女まどか☆マギカ」でも、シャフ度は重要な演出の一つとして多用されています。
ここでは、まどマギのキャラクターたちが魅せるシャフ度を見ていきましょう。
シャフ度①美樹さやか
まどかの親友である美樹さやかは、正義感が強く、活発な性格の魔法少女です。
しかし、想い人である恭介との関係に絶望し、ソウルジェムが穢れていく中で、心は徐々に闇に染まっていきます。
シャフ度は、彼女の希望に満ちた表情と、絶望に満ちた表情の両方で描かれており、その心理的な変化を強調しています。
シャフ度②暁美ほむら
暁美ほむらは、別の時間軸からまどかを救うためにやってきた、クールで謎めいた魔法少女です。
何度も時間をやり直す中で、まどかを救うという目的を達成するため、孤独に戦い続けます。
彼女が心を閉ざし、一人で戦う決意を固める姿は、シャフ度によってより一層、その決意の固さが表現されています。
シャフ度③巴マミ
まどかたちの先輩にあたる魔法少女、巴マミは、面倒見がよく、銃と拘束魔法を駆使して戦うベテランです。
彼女はまどかやさやかに魔法少女の現実を教え、導いていきました。
しかし、「お菓子の魔女」との戦闘で、あっけなく命を落とすという衝撃的な最期を迎えます。
このシーンは多くの視聴者にトラウマを与え、スラングである「マミる」が誕生するきっかけとなりました。
シャフ度は俺ガイルでも登場
シャフ度は、シャフト制作ではない作品でも、パロディとして使用されることがあります。
その代表例が、人気ライトノベル原作のアニメ「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」です。
俺ガイルのシャフ度
「俺ガイル」は、ひねくれた思想を持つ主人公・比企谷八幡が、奉仕部での活動を通して人間関係を築いていく物語です。
アニメ版の第8話では、ヒロインの一人である雪ノ下雪乃が、見事なシャフ度を披露するシーンが描かれています。
このシーンは、シャフトの独特な演出を他のアニメが取り入れた例として、アニメファンの間で大きな話題となりました。
電波女と青春男のシャフ度
「俺ガイル」以外にも、シャフ度は様々な作品で描かれています。
「電波女と青春男」は、俺ガイルと同じくライトノベル原作のアニメで、こちらはシャフ度を生み出したシャフトが制作を担当しています。
作中では、ヒロインの藤和エリオが首を傾けるシーンが頻繁に登場し、彼女のどこか浮世離れした雰囲気や神秘的な魅力を際立たせています。
シャフ度に関する感想や評価は?
独特な表現方法であるシャフ度は、アニメファンから様々な感想や評価が寄せられています。
「シャフ度じゃん草」というように、そのユニークな構図を見て思わず笑ってしまうという声が多く見られます。
また、「これはさすがにやりすぎ#シャフ度」という感想があるように、「物語シリーズ」のシャフ度は、人体の構造を無視したような極端な角度で描かれることがあり、それが逆に面白さを生み出しているという見方もあります。
さらに、シャフ度はアニメやゲームだけでなく、写真集やモデルの写真でも見られることがあり、「シャフ度!?」と驚きの声が上がることもあります。
これは、シャフ度がキャラクターの魅力を引き出すだけでなく、現実の世界でも応用できるポーズとして認識されている証拠かもしれません。
まとめ
本記事では、アニメ制作会社シャフトが生み出した独特な演出技法「シャフ度」について解説しました。
シャフ度は、単なる奇抜な演出ではなく、キャラクターの内面や感情を表現するための重要な手法であり、「物語シリーズ」や「まどマギ」といったシャフトの代表作で効果的に使用されてきました。
また、「俺ガイル」のように他社作品でもパロディとして用いられるなど、アニメ界に大きな影響を与えています。
今後アニメを観る際には、この「シャフ度」がどこでどのように使われているかに注目してみると、作品の新たな魅力に気づくことができるかもしれません。



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