
ウェブコミックとして連載が始まった『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』は、当初、主人公である黒木智子の「ぼっち」な日常を描くギャグ漫画でした。
しかし、物語が進むにつれて人間関係が深まり、友情や成長を描く青春群像劇へとその姿を変えていきました。
その中でも、特に作品の方向性を決定づけ、多くの読者から熱狂的な支持を集めることになったキャラクターがいます。
それが、内笑美莉、通称うっちーです。
初登場時は、名前もないようなモブキャラでしたが、物語のキーマンとして、もこっちへの一方的な愛を爆発させる姿は、読者に強烈なインパクトを与えました。
彼女の「キモい」という感情の裏に隠された、あまりにも純粋な「好き」という気持ちは、多くの読者の心を掴んで離しません。
今回は、そんなうっちーの初登場から現在に至るまでの奇行と、その根底にあるもこっちへの愛を徹底的に掘り下げていきます。
彼女の存在が、いかにして『わたモテ』を「百合漫画」へと変貌させたのか、その軌跡を一緒にたどっていきましょう。
うっちーはどんなキャラクター?
うっちーは、もこっちと同じ2年生になってからクラスメイトとして登場します。
もこっちの脳内では「絵文字」というあだ名がつけられるほど、表情が乏しく、これといった特徴のないキャラクターでした。
髪型はボブでスタイルが良く、後ろ姿が成瀬優に似ているという設定以外は、ごく普通の「キョロ充(周りの目を気にするリア充)」という印象しかありませんでした。
しかし、もこっちとの関係性が深まるにつれて、彼女の異常なまでの行動やリアクションが目立つようになります。
そのギャップは作中ナンバーワンと言っても過言ではなく、読者は彼女の一挙手一投足に注目するようになりました。
初期はモブキャラ・もこっちには興味なし
うっちーの初登場は、夏休み中の野球部の応援に行くバスの中でした。
偶然にももこっちの隣の席になったうっちーは、もこっちをいないものとして扱い、後ろの席の友達と楽しそうに話していました。
この時のもこっちは「そんなに友達とあぶれて私と同じ席になったの認めたくねーのか」「私この席にいますけど黒木さんと違って友達いますアピールしてる」と、うっちーに対し最悪の第一印象を抱きました。
読者もまた、この時点ではうっちーを単なるモブキャラとして認識し、もこっちの被害妄想に共感するしかなかったでしょう。
次の登場は修学旅行の班決めでした。
ここでもうっちーは、仲良し5人組から一人だけあぶれてしまい、もこっち、ゆりちゃん、吉田さんと同じ「余り物班」になってしまいます。
この時も、「私2班についていくから何でもいいよ」と、もこっちたちと関わることを拒否します。
この一連の行動から、初期のうっちーは「モブ顔のキョロ充」というイメージが定着し、彼女が後に作品の方向性を変えるほどの重要キャラになるとは、誰も予想していなかったことでしょう。
運命の転機となった修学旅行
修学旅行が始まると、うっちーは宣言通りもこっちたちと行動せず、友達グループに合流しようとします。
しかし、同室のゆりちゃんや吉田さんを気にしながらもこっちを助けたり、隣の部屋からもこっちが怒られているであろう声を聞き、「興味ないけど」と言いつつも気にする様子が描かれます。
この時点で、うっちーの中でもこっちの存在は、単なるクラスメイトではなくなっていたのかもしれません。
そして、修学旅行最終日の夜、2人部屋でもこっちと一緒になったことが、うっちーの人生を大きく変えることになります。
もこっちの奇行の数々を目の当たりにしたうっちーの心は、もこっち一色に染まっていきます。
もこっちから心理テストで「遊び人」と診断されたり、シャワーを覗かれたり、下着を盗まれたと勘違いしたり、女同士がイチャイチャするアニメを一緒に見たり、寝顔を凝視されたり…。
これらの一夜の出来事が、うっちーの「普通の女子高生の思い出」を根こそぎ上書きしてしまいました。
帰りの新幹線でも、友達に「修学旅行で印象に残ったこと」を聞かれたうっちーの脳裏に浮かぶのは、もこっちの顔だけでした。
この修学旅行をきっかけに、うっちーはもこっちから目が離せなくなり、その感情は徐々に恋へと変わっていくのです。
もこっちへの感情の変化:恋心の芽生え
修学旅行後、うっちーの頭の中はもこっちのことでいっぱいになります。
もこっちが視界に入ると「自分を凝視してる」と勘違いしたり、体育祭ではもこっちが自分ではなくネモや加藤さんを見ていることに嫉妬したりと、彼女の感情は徐々に変化していきます。
この時点では、まだ自分の感情を自覚していないうっちーでしたが、読者は彼女の「キモい」という言葉の裏に、もこっちへの強い関心と、次第に芽生え始める恋心を感じ取っていました。
お土産を渡すシーンでは、もこっちにあげるための言い訳として、ゆりちゃんと吉田さんにお土産を渡します。
その行動は、もこっち以外には興味がないゆりちゃんや、うっちーの存在すら知らない吉田さんには全く理解されませんでした。
しかし、もこっちに直接渡す勇気がないうっちーは、ポケットにこっそりお土産を忍ばせます。
もこっちからのお礼の手紙を読んだうっちーは、顔を真っ赤にして挙動不審になり、この出来事が決定打となり、うっちーは完全にもこっちに恋をしてしまいました。
バレンタインでは、もこっちの下駄箱にチョコを入れ、お返しにもらったチョコが「う○この形」になることを知っても、体が勝手に口に運んでしまうほど、もこっちへの感情は抑えきれなくなっていました。
もこっちストーカーと化したうっちー
もこっちへの感情が恋心だと自覚したうっちーは、その愛を行動で表すようになります。
それは、もはや「ストーカー」と呼べるほどの奇行の連続でした。
愛情表現の奇行と友達の困惑
焼肉店でもこっちの隣に座り、丁寧に焼いた肉をそっともこっちの皿に置くうっちー。
その行動に、友達は戸惑いを隠せませんでしたが、もこっちは全く気づかず、うっちーの愛は一方通行に終わってしまいます。
彼女の行動は、もこっちへの深い愛情の表れですが、友達から見れば理解不能な奇行でした。
離れたクラスと募る想い
そして迎えた3年生のクラス替え。
うっちーの友達グループが全員同じクラスになったのに対し、もこっちは一人だけ別のクラスになってしまいます。
この事実に、うっちーは地面に転がり「うあぁぁー!!なんでぇ!!」と絶叫します。
この奇行は、元々の友達と行動を共にし、女子の常識を大事にしていたうっちーからは想像もできない行動であり、彼女のもこっちへの愛がどれほど深いものかを示す、作中でも屈指のシーンとなりました。
クラスが離れても、うっちーのストーカーっぷりは変わりません。
遊園地では、友達とはぐれたフリをして、半ば強引にもこっちのグループに入り、行動を共にします。
この行動は、もこっちとの時間を何よりも大切にしたいという彼女の強い願望の表れでした。
特別ではない現実とショックな表情
遊園地で念願のもこっちからキーホルダーのプレゼントをもらったうっちーは、自分がもこっちにとって特別な存在になれたと思い、喜びを噛みしめます。
しかし、学校で同じキーホルダーをつけた加藤さんを見て、自分が特別ではなかったと知ったうっちーは、初めて「絵文字」ではない、絶望に満ちた表情を見せました。
このシーンは、多くの読者に「うっちーの想いが報われてほしい」という切ない気持ちを抱かせました。
絶交と和解:新たな関係性の始まり
球技大会では、もこっちと戦うために卓球にエントリーし、友達にだだをこねた結果、友達と喧嘩になってしまいます。
気を利かせたもこっちが「内さんは別に友達って程仲良くないしクラスに来られても嫌なんだけど」と自分が悪者になるように言いますが、うっちーにとっては最大のショックでした。
しかし、この一件で二人の距離はかえって縮まります。
うっちーは、自分の言う「キモい」は「ヤバい」のようなものだと説明し、もこっちと和解します。
もこっちがうっちーを「友達」と認定しているかは微妙なところですが、普通に話せる関係になったことで、彼女はストーカーからは脱却し、二人の間に新たな関係性が芽生えたのです。
うっちーの魅力が詰まった名シーン集
もこっちに恋をしてからのうっちーは、その行動や言動に独特の魅力が溢れています。
ここでは、彼女の個性が際立つ名シーンをいくつかご紹介します。
鋭すぎる観察眼
もこっちが弟の智貴と一緒にいるのを見た友達が、もこっちの彼氏や後輩だと予想する中、うっちーは「どう見ても弟でしょ」と一蹴します。
「遺伝子が一緒って感じがする」という鋭すぎる観察眼は、常にもこっちを見ているうっちーだからこそ見抜けたことでしょう。
もこっちへの愛ゆえに、彼女の言動を細かく分析していることが分かります。
もこっちへの独特すぎる評価
クラスでネモがもこっちのモノマネをした際、うっちーは「もっと声低そうで高くて暗くてキモくてキモさのなかに蠱惑さがあって」と、もこっちを独特すぎる言葉で評価します。
「蠱惑さ」という言葉を選んだうっちーは、もこっちの魅力を誰よりも深く理解していると言えるでしょう。
この独特な表現は、うっちーの溢れんばかりのもこっち愛を象徴しています。
友達さえも一蹴する容赦なさ
もこっちを「キモい」と言うキバ子に対し、もこっちの画像をもらったうっちーは、用済みになったキバ子を「二度とその汚い顔見せにこのクラスに来ないで」と容赦なく一蹴します。
もこっちの悪口を言う人間は、たとえ友達であっても許さないという、彼女の強い愛が表れたシーンです。
奇行が際立つ常識人な一面
もこっちが絡むとおかしくなるうっちーですが、本来は非常に常識的な人物です。
ゆりちゃんが「電車が一緒だから一緒に歩いているだけ」と、友達ではないことをはっきりと言うのを聞き、「そういうのハッキリ言うから友達いないんだよ」と心の中で呆れるシーンが描かれます。
この常識的な一面があるからこそ、もこっちが絡んだ時の彼女の奇行がより一層際立ち、読者に強烈なインパクトを与えるのです。
まとめ
内笑美莉は、当初は誰も気に留めないモブキャラでしたが、修学旅行での一夜をきっかけに、もこっちへの深い愛情に目覚め、物語の方向性を変えるほどのキーマンとなりました。
彼女の「キモい」という言葉の裏には、誰にも理解されないもこっちへの純粋な恋心が隠されており、そのギャップが多くの読者を惹きつけました。
もこっちへの想いが報われず、一方通行になりがちなうっちーの姿は、多くの読者に共感と切なさを与えています。
もはや単なるストーカーではなく、もこっちの人間関係に欠かせない存在となったうっちー。
彼女の今後の動向と、もこっちとの関係性がどのように進展していくのか、多くの読者が期待と興奮を胸に、物語の展開を見守っています。



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