
鈴木央の描く大人気ファンタジー漫画『七つの大罪』は、個性的な大罪人たちの活躍だけでなく、彼らが立ち向かう魔神族との壮大な聖戦が読者の心を熱くしました。
その魔神族の精鋭部隊<十戒>の中でも、統率者として強烈な存在感を放っていたのが、魔神王の末息子であるゼルドリスです。
主人公メリオダスの弟でありながら、兄への深い憎悪と復讐心を抱き、そして何よりも愛する吸血鬼の女性ゲルダとの再会のために魔神王の座を狙った、彼の人生はまさに波瀾万丈の一言に尽きます。
本記事では、ゼルドリスの闘級61000という圧倒的な強さの秘密、「敬神」の戒禁、そして彼の行動原理の根幹にあった純粋な愛と復讐の物語を徹底的に掘り下げます。
冷静沈着な仮面の下に秘められた、兄への愛憎やゲルダへの一途な想いといった、彼の人間味あふれる側面にも焦点を当てて分析します。
ゼルドリスの基本情報とプロフィール
ゼルドリスは、魔神族の頂点に君臨する魔神王の末息子であり、七つの大罪の団長メリオダスと、十戒の一人であったエスタロッサの弟にあたります。
魔神王直属の精鋭部隊<十戒>の一員であり、実質的な統率者として君臨していました。
魔神族としての概要:メリオダスとエスタロッサの末弟
ゼルドリスは魔神族の王族という極めて高い地位にありますが、三兄弟の中では末っ子です。
兄であるメリオダスと瓜二つの外見を持ちますが、その性格はメリオダスの破天荒さとは対照的に冷静沈着であり、<十戒>という癖のある集団をまとめるリーダーとしての資質に長けています。
外見的特徴とボイスアクター(CV:梶裕貴)
外見は兄メリオダスと酷似した低身長の少年の姿をしていますが、唯一の違いは黒い髪を持つことです。
額には魔神族特有の紋章が浮かび、その声はメリオダスと瓜二つであり、声優もメリオダスと同じ梶裕貴が務めています。
この外見の酷似ぶりから、一時は双子かと推測する読者も多くいましたが、誕生日が異なるため三兄弟の末弟であることが判明しました。
基本プロフィール(年齢、身長、体重、誕生日、出身地)
| 年齢 | 252歳(封印前) |
| 身長 | 152cm |
| 体重 | 50㎏ |
| 血液型 | A型 |
| 誕生日 | 2月5日 |
| 出身地 | 魔界 |
実年齢は252歳(封印前)と、人間から見れば遥かに長い時を生きていますが、魔神族の中では年少の部類に入ります。
<十戒>における地位:精鋭部隊の統率者
ゼルドリスは、魔神族の最上位魔神10人で構成される精鋭部隊<十戒>の中で、事実上のリーダーを務めていました。
これは、かつてメリオダスが<十戒>の統率者であったため、裏切り者となった兄の代理として、魔神王の命によりその重責を担うことになったためです。
闘級解析:初期闘級51000から61000への上昇と内訳
ゼルドリスの闘級は、初期こそ51000(魔力:0/武力:47200/気力:3800)でしたが、物語が進むにつれて61000(魔力10000/武力47200/気力3800)へと上昇しました。
特筆すべきは、武力(パワー)が47200と他の数値と比較して極めて高く、これは後述する魔界随一の剣速を持つ彼の強さを物語っています。
闘級61000は、十戒の中でも比較的高い部類に入り、魔神王の代理として十分な実力とされています。
ゼルドリスの性格:冷静沈着な統率者と気苦労
普段のゼルドリスは、十戒の統率者としての責務から、冷徹で緻密に物事を考える冷静沈着な人物として描かれます。
しかし、エスタロッサの放蕩ぶりを呆れたり、感情的なガランを諫めたりと、癖のある仲間たちをまとめる気苦労の多い一面も見せていました。
また、その根底には、魔神族の中でも虐げられていた吸血鬼ゲルダを愛する優しさも秘めており、ただの悪人ではない男気ある人物だと評価する読者も多くいます。
メリオダスへの複雑な感情:深い憎悪と負い目
ゼルドリスは、魔神族を裏切り、聖戦の敗北を招いたメリオダスに対して深い恨みと復讐心を抱いていました。
しかし、その一方で、かつては兄を尊敬しており、メリオダスの方もゼルドリスに対して「出来損ないの兄貴」だと独白するほどの強い負い目を感じていました。
この愛憎入り混じった複雑な感情は、二人の兄弟のドラマをより深めており、ゼルドリスがメリオダスから女神族の紋章が掘られた剣を受け取っていたという過去の事実も、二人の間に存在した強い絆を示唆しています。
ゼルドリスが持つ強力な魔力と戦闘能力
ゼルドリスの強さは、魔神王から借り受けた特殊な魔力と、彼自身の持つ魔界随一の剣技の組み合わせにあります。
貸し与えられし魔力:「魔神王(ゴッド)」の能力と制約
ゼルドリスが魔神王から借り受けた魔力は「魔神王(ゴッド)」と呼ばれ、その能力は他者の魔力を無効化するという非常に強力なものです。
マーリンの魔法や四大天使の恩寵といった強力な魔力、さらには魔神王が生み出した魔物の攻撃すら無効化できるため、格上の相手にも対応できる最強の部類の能力とされています。
「魔神王(ゴッド)」の応用:魔力の無効化と絶対防御
この「魔神王(ゴッド)」の能力を、ゼルドリス本来の魔力と組み合わせることで、物理・魔力無効化の絶対防御を完成させることも可能でした。
ただし、あくまで魔神王から貸し与えられた魔力であるため、魔神王の意思でいつでも解除・無効化されるという致命的な制約がありました。
「魔神王(ゴッド)」の弱点と「支配(ザ・ルーラー)」との比較
「魔神王(ゴッド)」は、魔力の無効化はできますが、治癒などの応用はできないという点、そして不意打ちなどで一度解除されると再使用までにタイムラグが生じるという弱点を抱えていました。
これは、後に魔神王が憑依した際に使用した「支配(ザ・ルーラー)」という魔力の上位互換的な能力と比較すると、その制約が顕著です。「支配(ザ・ルーラー)」は、相手の魔力を反転させ、治癒などにも応用できるチート級の魔力でした。
ゼルドリス本来の魔力:「凶星雲(オミノス・ネビュラ)」の詳細
ゼルドリスが本来持つ魔力が「凶星雲(オミノス・ネビュラ)」です。
これは、ゼルドリスを中心に闇を高速回転させ、敵味方を問わない強烈な吸引力と真空状態を発生させるというものです。
「凶星雲」の仕組み:闇の高速回転と強烈な吸引力
この「凶星雲」の引力は、相手の闘級の高さに依存せずに発動するため、闘級が格上のリュドシエルやエスカノールすら容易に引き寄せてしまうほどの強力な効果を持っています。
脱出は非常に困難であり、マーリンやエスカノールといった作中のトップクラスの実力者ですら、特殊な手段を用いなければ逃れられないほどの強力な技でした。
神速の剣技:「全反応(フルリアクト)」による自動迎撃
「凶星雲」と組み合わせて使用されるのが、ゼルドリスの剣技「全反応(フルリアクト)」です。
これは、剣の間合いに入った生物や物体を感知し、半自動的に体を動かして迎撃する技術であり、メリオダスの「全反撃(フルカウンター)」と同系統の超高速自動反応を持つ技です。
「凶星雲」と「全反応」の合わせ技:絶対的優位の獲得
「凶星雲」で敵を引き寄せ、「全反応」で切り刻むというコンボ技は、ゼルドリスの必殺技とも言える合わせ技であり、魔界随一の剣速(神速)を持つゼルドリスの真骨頂です。
間合いに入ったものが自動的に消滅、あるいは攻撃を反射しているように見えることから、見切られない限り戦いにおける絶対的優位を持てるという利点がありました。
広範囲攻撃魔法:「怒りの日(ディエスイレ)」
ゼルドリスは、空中から強大な闇のエネルギーを降らせて攻撃する「怒りの日(ディエスイレ)」という、広範囲の魔力攻撃も使用できます。
剣技に長けたゼルドリスの中では珍しい魔力攻撃であり、裏切り者である吸血鬼たちを処罰する際などにも使用されていました。
拘束・封じ込め:「凶呪縛(オミノス・バインド)」
劇場版『光に呪われし者たち』では、ロープ状に放出した闇で敵の全身を縛り付け、拘束する「凶呪縛(オミノス・バインド)」も使用しています。
これは、ラスボスである最高神に使用したことからも、ゼルドリスの魔力のレベルの高さが伺えます。
戒禁「敬神」の詳細と効果
ゼルドリスの持つ戒禁は「敬神(けいしん)」と呼ばれ、魔神王により与えられた特別な能力です。
「敬神」の能力:背を向ける者への強制的な服従
戒禁「敬神」の効果は、「ゼルドリスに対して背を向ける者を、魔神王ひいては代理たるゼルドリスへの背信とみなし、強制的に服従させる」というものです。
これにより服従させられた者たちは、魔神王やゼルドリスへ絶対的な忠誠を誓うことになり、キャメロットを侵略した際には、この戒禁を利用して人間たちを洗脳し、拠点として利用しました。
戒禁の性質:魔神王そのものであるゆえの強力な支配力
戒禁は、魔神王の力の断片であり、魔神王そのものであるため、魔力とは異なり、魔神王の代理であるゼルドリスへ背信した者を強制的に服従させるという強力な支配力を発揮します。
ゼルドリスが魔神王の代行者として活動することで、この戒禁が発動し、逃走を試みる者たちは不敬罪とみなされます。
戒禁のデメリット:ゼルドリス自身にも適用される制約
この戒禁は、自身にも適用されてしまうため、ゼルドリスは相手に背を向けて逃げることはできないというデメリットも持ち合わせていました。
「敬神」の元々の保持者:カルマディオスからの継承
元々、「敬神」の戒禁は十戒の一員であったカルマディオスが持っていましたが、過去の聖戦で敗れたために失脚し、魔神王の命によりゼルドリスが新たに戒禁を手にすることになったという経緯があります。
戒禁解除時の影響:服従中の記憶の消失
「敬神」の戒禁はゼルドリスの意志によって解除することが可能であり、実際にマーリンとの交渉時には、キャメロットにいた戒禁に影響を受けた者たちを解放しました。
この際、戒禁から解放された者たちは、奴隷だった期間の記憶が消えているのが特徴です。
劇中の動向と来歴:愛する人ゲルダと兄メリオダスとの関係
ゼルドリスの行動原理の根幹には、メリオダスへの複雑な感情と、吸血鬼ゲルダへの純粋で一途な愛がありました。
魔神王の処刑人としての役割
ゼルドリスは十戒として活動する一方で、魔神王に反旗を翻した裏切り者を粛清する処刑人の役割も担っていました。
彼は魔神王の命令に従い、淡々とこの汚れ仕事をこなしていましたが、その職務が後に最愛の人ゲルダとの悲劇へと繋がることになります。
吸血鬼一族ゲルダとの許されない恋と封印
ゼルドリスの恋人であったゲルダは、魔神族の中でも身分の低い吸血鬼一族の女性でした。
メリオダスが裏切った後、吸血鬼一族が魔神王に反逆しますが、ゼルドリスは処刑人として彼らを討伐するよう命じられます。
恋人を殺さなければならない苦悩に苛まれながらも、彼はゲルダを殺せず、やむを得ずに彼女を含む吸血鬼一族を封印するという選択をしました。
聖戦における活躍:ドロールを圧倒し<十戒>へ引きずり込む
聖戦時には、巨人族の王であったドロールと対戦し、彼を圧倒的な力で打ち負かし、<十戒>へ引きずり込むという活躍も見せています。
3000年後の復活とキャメロット王国の制圧
長らく「常闇の棺」に封印されていたゼルドリスでしたが、フラウドリンの暗躍により復活を果たします。
復活後、彼は強力な戒禁「敬神」を利用してキャメロット王国を侵略し、自らの拠点として利用しました。
メリオダス死亡後の動向:エスカノールとの戦闘不能
メリオダスがエスタロッサに殺害された後、ゼルドリスは兄のエスタロッサと共に残った人間を排除していましたが、リオネス王国でエスカノールの圧倒的な攻撃に巻き込まれ、エスタロッサと共に行方不明になってしまいます。
後に生存が確認されますが、この戦いはゼルドリスの実力をもってしても、エスカノールの規格外の強さには敵わなかったことを示しています。
マーリンへの間接攻撃:使い魔オルロンディを介した呪い
その後、ゼルドリスはマーリンの使いとして現れたオルロンディを攻撃し、彼を経由してマーリンに大ダメージを与えるという、冷静かつ緻密な戦術も見せています。
このゼルドリスによってかけられた呪いを解くために、エリザベスはマーリンの意識に潜入し、そこでゼルドリスと出会うことで前世の記憶を取り戻すことになります。
メリオダスへの協力と条件:ゲルダ生存の告白
エリザベスの呪いを解くため、魔神王に成り代わろうと決意したメリオダスは、ゼルドリスに対しゲルダが生きていることを告げます。
そして、「魔神王になることでゲルダが救われる」「ゲルダの封印を解く」という条件を提示されたゼルドリスは、激しく反発していた態度を一転させ、メリオダスに協力することを選んだのです。
魔神王となる試み:戒禁の吸収と七つの大罪との対峙
ゲルダを救うためにメリオダスに協力したゼルドリスは、共に戒禁を集め、キャメロットにて七つの大罪や女神族と激闘を繰り広げます。
しかし、メリオダスが10の戒禁を取り込んだ後、彼の意識は父である魔神王に乗っ取られてしまいます。
魔神王による肉体の乗っ取り:ゼルドリスの受難
メリオダスが魔神王に乗っ取られた後、ゼルドリスは反旗を翻して七つの大罪に協力しますが、魔神王の反撃を受け重傷を負います。
さらに、キューザックにより10の戒禁を全て体内に埋め込まれ、今度はゼルドリスの肉体が魔神王の意識に乗っ取られ、魔神王憑依体となってしまいます。
ゲルダと七つの大罪の尽力による救出
魔神王に乗っ取られたゼルドリスを救うため、メリオダス、七つの大罪、そして封印を解かれたゲルダが立ち上がります。
ゲルダは吸血鬼一族の特殊能力である血液を媒介にした精神干渉を利用して、メリオダスと共にゼルドリスの精神に潜入し、彼を勇気づけました。
この内側と外側からの尽力により、ゼルドリスは魔神王の意識に打ち勝ち、肉体を取り戻すことに成功したのです。
最終的な決断:メリオダスとの和解とゲルダとの魔界での生活
全ての戦いが終わり、ゲルダと再会を果たしたゼルドリスは、メリオダスと和解します。
そして、魔神王の息子としての重責から解放された彼は、愛するゲルダと共に魔界へと帰っていきました。
続編『黙示録の四騎士』への登場:魔界の王としての統治
続編である『黙示録の四騎士』では、ゼルドリスは魔界の王に就任し、統治している姿が描かれています。
幼き日のパーシバルと出会い、彼を「じぇるどー」と呼ばれていたエピソードは、強面なゼルドリスの親しみやすい一面を示すものとして、読者の間で話題となりました。
ゼルドリスの関連人物との関係性
ゼルドリスの物語は、彼の周囲の重要な人物たちとの関係性によって色濃く描かれています。
最愛の女性:吸血鬼ゲルダとの悲劇と絆
ゲルダは、ゼルドリスが身分を超えて愛した吸血鬼一族の女性です。
処刑人としての職務と、愛する人を守りたいという思いから、やむを得ず彼女を封印したことが、ゼルドリスの人生に大きな影響を与え、メリオダスへの憎悪の根源となりました。
最終的に、封印から解き放たれたゲルダの活躍が、ゼルドリスを魔神王の呪縛から救い出し、二人の絆が永遠の愛として結実したことは、多くの読者の感動を呼びました。
兄メリオダスとの愛憎:裏切りへの復讐心と憧憬
ゼルドリスは、メリオダスから女神族の紋章が掘られた剣を受け取るほど、かつては兄を尊敬していました。
しかし、メリオダスがエリザベスのために魔神族を裏切ったことで、ゲルダとの仲を引き裂かれたと捉え、復讐心を燃やします。
その一方で、「愛する人のために世界の全てを敵に回した」メリオダスのことを内心では称賛し憧れていたという見方もあり、この複雑な愛憎こそが、彼の行動を支配していました。
次兄エスタロッサ/マエルとの関係性
ゼルドリスは、記憶を改竄されていた時期、エスタロッサを「兄者」と呼び、メリオダスほどではないものの敬意を払っていました。
しかし、エスタロッサの正体が女神族の四大天使マエルであることが判明し、記憶操作が解かれたことで、二人の関係性は大きく変わります。
ヒロイン・エリザベスとの接点:過去の記憶の覚醒
ゼルドリスは、マーリンの治療中にエリザベスの潜在意識に潜入し、彼女に「久しいなエリザベス」と語りかけました。
この接触と、「呪われし女神」という言葉が、エリザベスに永劫の輪廻と前世の記憶を呼び起こさせるきっかけとなりました。
師匠たち:キューザックとチャンドラーの役割
ゼルドリスには、魔神王が最初に生み出した魔神族の一人であるキューザックが育成係・指南役として付いていました。
キューザックはゼルドリスを次期魔神王にするという妄執にとらわれており、彼の肉体が魔神王に乗っ取られるという悲劇の一端を担っています。
魔神王憑依体とキューザックの妄執
魔神王に憑依されたゼルドリスは、その魔力を増強するためにブリタニア大陸の魔力が凝集した湖の魔力を吸い上げ、禍々しい姿に変貌しました。
この現象は、キューザックがゼルドリスを魔神王にすることに固執し、彼の体内に10の戒禁を無理やり埋め込んだことが原因であり、師弟関係の歪みがゼルドリスを苦しめたと言えます。
七つの大罪学園での設定
スピンオフ作品の七つの大罪学園では、ゼルドリスがキングの代わりに裁縫が得意という意外な設定が示唆されるなど、本編では見られないコミカルな一面が描かれています。
ゼルドリスの名言・名シーン集
ゼルドリスの冷徹な仮面の下に秘められた、情熱や兄への想いが垣間見える名言や名シーンを紹介します。
「…弟を見捨てるのか兄者ー!!!」
メリオダスが魔神族を裏切る際、ゼルドリスは共に魔神族を裏切るよう誘われますが、最愛のゲルダを連れて裏切る覚悟がなく、兄に助けを求めるように発したセリフです。
この言葉は、ゼルドリスが兄を深く信頼し、尊敬していた証であり、その後のメリオダスへの憎悪と強い負い目に繋がる、物語の重要なターニングポイントとなりました。
ゲルダの封印をめぐるメリオダスとの対立と信頼
メリオダスが魔神王に成り代わることを決意した際、ゼルドリスは「ゲルダの封印を解く」という条件を提示され、メリオダスに協力します。
このシーンは、長年の対立を経て、ゼルドリスが「メリオダスはゲルダを救ってくれる」と兄を信じていること、そして、彼が最も求めているものが魔神王の座ではなくゲルダであることを示しています。
魔神王に反旗を翻す時の決意
メリオダスの肉体を乗っ取った魔神王に対し、ゼルドリスは「…我はまだ生きておるぞメリオダス!!!」と叫び、反旗を翻す攻撃を仕掛けます。
これは、ゲルダを救うという愛の力が、魔神王への恐怖や兄への憎悪といった負の感情を乗り越えた、ゼルドリスの男気と覚悟が炸裂した名シーンです。
「あなたには理解できまい…誰かを愛し愛される喜びが…強大な力を生み出すということを」
魔神王に肉体を乗っ取られながらも、ゲルダやメリオダスに勇気づけられたゼルドリスが、魔神王に打ち勝った際に発したセリフです。
ゼルドリスが魔神王に固執した理由が、愛するゲルダと共に生きるという願いのためであったことが集約されており、強大な力を生み出すのは、復讐心ではなく愛の力であるという、物語の大きなテーマを体現しています。
「そうだな。俺たちが求めたのは力じゃない」
全ての戦いが終わった後、メリオダスと和解したゼルドリスが発したセリフです。
魔神王の代理、十戒の統率者として力を追い求めた日々から解放され、ゲルダと共に平穏な生活を送ることを選んだ彼の真の望みが描かれています。
まとめ
ゼルドリスは、魔神王の末息子として生まれ、十戒の統率者、そして魔神王の代理という重責を担いました。
その強さは、闘級61000という数値、魔力無効化の「魔神王(ゴッド)」、そして魔界随一の剣技「全反応(フルリアクト)」と「凶星雲(オミノス・ネビュラ)」のコンボに裏打ちされており、闘級が格上の相手すら制圧する確かな実力を持っていました。
彼の行動原理は、メリオダスの裏切りへの復讐心と、何よりも愛する吸血鬼の女性ゲルダとの再会という、純粋な愛の願いによって突き動かされていました。
魔神王に肉体を乗っ取られるという壮絶な運命を辿ったゼルドリスでしたが、最終的にはゲルダと七つの大罪の尽力により救い出され、兄メリオダスと和解し、ゲルダと共に魔界の王として幸せな人生を歩むこととなりました。
ゼルドリスの物語は、「誰かを愛し愛される喜びが、強大な力を生み出す」ということを体現しており、その不器用で一途な生き様は、今もなお多くのファンを魅了し続けているのです。



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