
花沢健吾が描く『アンダーニンジャ』は、現代社会に潜む忍者たちのリアルかつハードな激闘を描き、その型破りなストーリー展開と濃すぎるキャラクター造形で多くの読者を魅了しています。
特に、主人公の雲隠九郎を筆頭に、個性豊かな忍者たちが織りなす物語は、常に「漫画の常識を覆す作品」と評されてきました。
そんな曲者揃いの登場人物の中でも、異様な存在感を放ち、読者に最大の衝撃を与えたキャラクターが佐々魔です。
「母乳おじさん」という異名を持ち、常軌を逸した奇行を繰り返す佐々魔の正体、そして彼(彼女)が着ているおじさんスーツの秘密は、物語の根幹に関わる重要な伏線となっています。
この記事では、アンダーニンジャの佐々魔のプロフィールや正体、衝撃の性別判明シーン、そしてNINの最高幹部・多羅との関係や裏切りへの関与について、ネタバレを交えながら徹底的に掘り下げて解説します。
その奇行の裏に隠されたNINという組織の冷酷さと、佐々魔の悲劇的な背景を読み解き、今後の展開を深く考察していきましょう。
アンダーニンジャの佐々魔(母乳おじさん)とは?
| 氏名 | 佐々魔(ささま) |
| 通称 | 母乳おじさん |
| 正体 | NIN所属のくノ一(女性) |
| 元の階級 | 元一等忍尉 |
| 現在の階級 | 下忍(降任) |
| 特徴 | 薄毛、無精ひげの中年男性の風貌、髪に小鳥を飼う、搾乳機で母乳を勧める奇行 |
| 裏の顔 | NIN最高幹部七人衆・多羅の乳母 |
奇行の目立つ母乳おじさんとしての姿
佐々魔が最初に登場した際、その風貌は薄毛で無精ひげを生やした中年男性であり、その行動は極めて常軌を逸していました。
特に、自分の髪の毛を巣にして小鳥を飼っていたり、搾乳機で絞った自身の母乳を公園で遊ぶ子供たちや、元部下の加藤にまで「栄養があるぞ」と言って飲ませようとする奇行から、近所の子供たちからは「母乳おじさん」と呼ばれています。
現実世界であれば、確実に変質者として通報されてもおかしくないこの行動は、読者に強烈なインパクトを与えました。
しかし、この「母乳」というキーワードこそが、後に明らかになる佐々魔の真の性別と、組織内での悲劇的な役割を示唆する、重要な伏線だったのです。
佐々魔の行動は単なる変態ではなく、「経産婦」であることを示すリアルな描写として、その表現の巧みさがファンから高く評価されています。
元一等忍尉からの降任と背景
佐々魔の正体は、古くから続く忍者組織NIN(National Intelligence of NINJA)に所属する忍者でした。
しかも、元々は一等忍尉という、軍隊でいえば尉官の上位にあたる高い地位にいたことが判明します。
しかし、物語が始まった時点では下忍に降任しており、元部下の加藤からも降任の理由を尋ねられるも、佐々魔は詳細を明かしませんでした。
高い実力とキャリアを持ちながら、なぜ奇行を繰り返す「母乳おじさん」として下忍にまで降格させられたのか、その理由は長らく謎に包まれていました。
この「元エリート忍者と現在の奇妙な生活」という強烈な落差もまた、佐々魔というキャラクターの深みを増す要素となっています。
後に明らかになる、彼女がNIN最高幹部・多羅の乳母という、極めて特殊な任務を負っていたことと、自身の子供の運命が、この降任の裏にある悲劇的な背景と深く関わっていると考察されています。
佐々魔の正体は女性?衝撃の事実が判明
佐々魔の正体は女性だとわかるのは何話?
「母乳おじさん」と呼ばれていた佐々魔の正体が女性であることが判明したのは、アンダーニンジャの第12話(コミックス2巻収録)でした。
この衝撃の事実は、連載当時、多くの読者に「唖然とした」「度肝を抜かれた」という感想を抱かせるほどのサプライズ展開でした。
それまで、佐々魔の奇行や母乳の描写は、あくまで「変態中年男性」としての演出だと受け止められていたため、この性別判明は、佐々魔というキャラクターに対する認識を根底から覆すものだったと言えます。
佐々魔の性別が女性だと判明したことで、彼女が母乳を人に勧めたり、経産婦であることを示唆する身体的な特徴を持っていたことなど、全ての伏線が回収される形となりました。
アレクセイとの激闘で判明した真の性別
佐々魔の性別が明らかになったのは、練馬区を震撼させていた局部切断事件の犯人である、外国籍の男性アレクセイと対峙し、戦闘状態に陥った際です。
アレクセイは、乳幼児の娘を人質に取られ、海外の組織から日本の忍者組織への潜伏を強制されていたという、複雑な背景を持つ人物でした。
佐々魔はアレクセイと激しい戦闘を繰り広げますが、肩と腹部に銃弾を受けるという重傷を負い、劣勢に立たされます。
なんとかその場を逃げ延びることに成功した佐々魔は、負傷した状態で「おじさんスーツ」を脱ぎ捨て、女性の姿となっていました。
このとき、彼女が中年男性からどのような「変わり身」をしたのかについては詳しく描かれていませんでしたが、後に摩利支天βという特殊な装備による変装だったことが判明します。
この一連の描写は、佐々魔の戦闘能力の高さを示す一方で、女性としての真の姿を晒さざるを得ないほどの極限状態であったことを物語っています。
摩利支天β版を着用しておじさんになった理由
摩利支天β版とは?正式名称と九郎・鬼首との違い
佐々魔が中年男性の姿に変装するために着用していたスーツの正体は、忍研が開発した特殊な忍具である摩利支天(まりしてん)のβ版でした。
摩利支天の正式名称は「特殊静電潜像迷彩10式」といい、忍者の衣装でありながら、着用者の姿を周囲の風景に溶け込ませたり、ステルス化させたりする特殊な機能を持っています。
作中では、九郎が配布されたのはパーカー型の最新型摩利支天4.0であり、鬼首が着用していたのはライダースーツ型の摩利支天3.5で、ステルス迷彩のような機能を持っていました。
対して、佐々魔が着ていた「おじさんスーツ」のような摩利支天は、初期段階のβ版であり、暗証番号「0355(オッサンGOGO)」を打ち込まないと脱げないという、実験的な仕様になっていました。
この摩利支天β版は、「姿を消す」ことではなく、「特定の人間に変装する」ことを目的としたものであり、その生々しい変装のクオリティは、忍研の技術力の高さを示しています。
忍研からの依頼!おじさんスーツ着用の目的
佐々魔が、あえて薄毛で無精ひげの「母乳おじさん」という奇妙な姿に変装していた理由、それは忍研からの依頼によるものでした。
佐々魔は、摩利支天β版のデータを収集するという極秘任務のために、このスーツを着用していたのです。
元一等忍尉というエリートでありながら下忍に降任させられ、奇行を繰り返していたのは、すべて組織の「実験台」としての役割を担っていたからだと判明します。
この任務が、佐々魔が元いた階級を一時的に剥奪され、社会的に浮浪者のような扱いを受けることと引き換えになったのだと考えると、NINという組織の冷酷さが浮き彫りになります。
佐々魔は、組織の最高幹部の乳母という重要な立場にありながらも、私的な感情や尊厳よりも組織の任務を優先させられていたことが推測でき、彼女のキャラクターの背後には深い悲劇性が潜んでいると読者は感じたことでしょう。
佐々魔が関与する組織内の裏切りと真の目的
佐々魔はNIN側の人間?多羅の乳母という要職
結論として、佐々魔は現在もNINに所属している忍者であり、NINを離脱した忍者組織UNとは敵対関係にあります。
しかし、彼女は単なる下忍ではなく、NINの最高幹部七人衆のトップである多羅(たら)の乳母という、組織内でも極めて重要な役割を担っています。
多羅は、もともとは老人でしたが、脳移植によって現在は乳児の姿になっており、その乳児の体に利用されたのが、なんと佐々魔の子供の体でした。
佐々魔が自身の母乳を搾乳機で絞っていた理由は、この脳移植された乳児(多羅)の乳母という立場にあったためなのです。
この事実は、佐々魔が一等忍尉の地位を犠牲にし、尊厳を失うような奇行に走らざるを得なかった背景に、我が子の体を組織に利用されたという、想像を絶する残酷な真実が隠されていたことを示しています。
佐々魔がNINの要職にあることは確かですが、彼女の行動は組織への絶対的な忠誠だけでなく、個人的な感情、特に「恨み」によって動機付けられている可能性も示唆されています。
猿田のUN寝返りへの関与の可能性
佐々魔が「裏切り者ではないか」と噂される理由の一つに、猿田のUNへの寝返りへの関与の可能性が挙げられます。
猿田は元々NINの組織に所属していましたが、掟を破り抜け忍となり、24時間以内に抹殺されるという危機に瀕していました。
彼は生き延びるためにUN側への接触に賭けていましたが、その際に近くに佐々魔の姿を見ていたことが描写されています。
当時の佐々魔は、摩利支天βを着用していたため、おじさん姿で猿田と接触したのか、あるいは摩利支天の機能を使って透明化していたのかは不明です。
しかし、NINにとって極秘であるはずのUNとの接触に佐々魔が関わっていた、もしくはその場に居合わせたという事実は、彼女がNINの監視下にありながらも、組織の意図しない行動を取っていた、あるいは組織の内部で複雑な動きをしていたことを示唆しています。
この猿田の寝返り関与の疑惑は、佐々魔がNINへの復讐を果たすための布石を打っていたのではないか、という考察を生む要因となりました。
加藤のUN寝返りと公開処刑場爆破への関与
佐々魔が組織への裏切りを決定的に疑われる最大の要因は、元部下である加藤のUNへの寝返りへの関与です。
加藤は、講談高校襲撃の際に鬼首を死なせ、遁を喪失した責任を問われ、NINに極刑を言い渡され地下の独房に拘束されていました。
しかし、その加藤の前に、摩利支天を着用して透明になった佐々魔が現れ、UN側に寝返るように提案します。
佐々魔の提案を受け入れた加藤は、公開処刑番組『おっさんといっしょ』のセットを爆破し、処刑人である虹郎や司会の高千穂お姉さんらを巻き込みました。
この一連の行動により、加藤は処刑されるはずだった五十嵐と共に行方をくらまし、NINの内部情報がUN側に流れるという、組織にとって最悪の事態が引き起こされました。
佐々魔が、自らNINの計画を妨害し、重要な忍者たちを敵側へと逃がした事実は、彼女がNINへの復讐という個人的な目的を持っているという見方を強く裏付けています。
我が子を利用された佐々魔はNINを恨んでいる?
佐々魔の行動の根底には、NIN最高幹部・多羅の脳移植のために我が子の体を組織に利用されたという、消し去ることのできない恨みがあると考えられます。
元一等忍尉という権力を持つ忍者でありながら、最も大切な存在を奪われた佐々魔にとって、NINは忠誠を尽くすべき組織ではなく、復讐の対象へと変わった可能性が高いです。
猿田や加藤といったNINを恨む者、あるいはNINに虐げられた者を助け、UN側へと導いたのは、NINの勢力を弱体化させるという明確な意図があったと推察されます。
多羅の乳母という立場は、彼女にとって最高幹部を最も近くで監視できる特権であり、同時に我が子の体のそばにいられるという呪縛でもあります。
この「愛情と憎悪」が入り混じった複雑な心理こそが、佐々魔というキャラクターを悲劇的で魅力的な存在たらしめている最大の理由でしょう。
今後の物語では、佐々魔が多羅の脳移植の真の目的や、NINの最高機密を巡って、どのように動くのか、その一挙手一投足が注目されています。
佐々魔(母乳おじさん)に関するファンからの感想や評価
佐々魔のキャラクターは、その登場から正体判明、そして裏切りを示唆する行動に至るまで、常に読者の間で大きな話題となってきました。
第12話で女性だと判明した際には、SNS上で「佐々魔の正体に唖然」「最後の2ページで度肝を抜かれた」といった、驚きを隠せない感想が多く見られました。
特に、「母乳ネタ」や「経産婦であること」が、すべて佐々魔の悲劇的な背景と女性としての正体を表現するためのものであったという事実は、花沢健吾のストーリーテリングの巧みさを評価する声に繋がっています。
また、「佐々魔の表現が上手い」と感じるファンは、公園で子供を追いかけまわす行動が「我が子に母乳を飲ませることができない」という抑圧された母性の現れではないか、と心理的な深読みをしています。
その奇行と悲劇的な背景から、佐々魔は「いたたまれない空気」を生み出す存在であると同時に、物語の展開を予測不能にする「トリックスター」として、多くの読者から熱烈な支持と注目を集めているのです。
まとめ
この記事では、『アンダーニンジャ』に登場する佐々魔(母乳おじさん)について、その驚きの正体と悲劇的な背景を徹底的に解説しました。
佐々魔は、元一等忍尉というキャリアを持ちながら、母乳おじさんという奇妙な姿に変装させられていたNIN所属のくノ一でした。
彼女がおじさんスーツ「摩利支天β版」を着用していた目的は、忍研のデータ収集でしたが、その裏には、我が子の体をNIN最高幹部・多羅の脳移植に利用されたという、組織の冷酷な非情が隠されていました。
この我が子への愛とNINへの憎悪が、猿田や加藤といったNINの敵対者を逃がすという、裏切りを示唆する行動へと彼女を駆り立てています。
佐々魔は、母性と復讐心という二つの強力な感情によって動く、極めて人間的で悲劇的な忍者であり、今後のNINとUNの抗争において、物語の鍵を握る最重要人物であることは間違いありません。
その一挙手一投足が、NINの崩壊、あるいは新たな忍者社会の幕開けを決定づける可能性を秘めているため、引き続き佐々魔の動向に注目してアンダーニンジャを読み進めていきましょう。
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