賀来ゆうじ原作の忍法浪漫活劇「地獄楽」は、そのダークで非情なストーリー展開と、生死を懸けた人間たちのドラマが読者の心を掴み、少年ジャンプ+の看板作品の一つとなりました。
この物語において、死罪人たちを監視し、時に刀を交える山田浅ェ門の一員でありながら、死罪人である兄・亜左弔兵衛と行動を共にする異色の存在がいます。
それが、「天才剣士」と称される亜左桐馬です。
「かわいい容姿をしており、性別不詳の魅力がある」とファンの間で高評価され、公式人気投票でもベスト10内に入るほどの人気を誇る桐馬。
しかし、その中性的な美しさの裏には、壮絶な過去と、兄を助けるという固い決意を秘めた天才剣士としての顔があります。
この記事では、地獄楽の亜左桐馬に焦点を当て、プロフィールや多くの読者が当初疑問視した性別の真実、兄・弔兵衛との運命的な絆、山田浅ェ門になった究極の目的、そして天才剣士としての実力と最後の結末までを、ネタバレを交えながら徹底的に深掘りしていきます。
また、テレビアニメ版で桐馬を演じた声優・小野賢章の魅力についても紹介し、桐馬の多面的な魅力に迫ります。
地獄楽の作品概要：忍法浪漫活劇としての注目度
亜左桐馬の魅力に迫る前に、まずは彼が活躍する「地獄楽」の作品情報から確認しましょう。
賀来ゆうじ原作の大ヒット少年漫画「地獄楽」
地獄楽の原作者は、週刊少年チャンピオンの編集者をしていた経験を持つ賀来ゆうじです。
同作品は、集英社のコミック配信サイト少年ジャンプ+にて、2018年1月22日から2021年1月25日まで連載されました。
忍法を主体にしたバトル漫画という骨太なジャンルでありながら、仙薬を巡る人間と異形の存在「天仙」たちとの戦いを軸に、登場人物たちの悲劇的なドラマが深く描かれている点が、「単なるバトル漫画ではない」と大きな話題を呼びました。
累計発行部数380万部突破とテレビアニメ化
コミックスは全13巻で完結しており、累計発行部数は380万部を突破しています。
連載中には「地獄楽 大原画展」が開催されるなど、その人気は連載終了後も衰えず、連載終了と同時にテレビアニメ化が告知されました。
2023年4月にはテレビ東京系で放映が開始され、アニメ版がヒットしたことで、作品は更なる人気と注目を獲得しました。
あらすじ：仙薬を求める死罪人と山田浅ェ門の旅
物語は、周囲から畏怖の念で見られていた石隠れ最強の忍・画眉丸が、仲間に裏切られて投獄され、死罪となる場面から始まります。
強靭な生命力で生き続ける画眉丸のもとへ、山田浅ェ門佐切が派遣され、「極楽浄土と呼ばれる島から不老不死の仙薬を取ってくれば、無罪放免となる」という計画を提案します。
画眉丸は、最愛の妻と再会するためにこの提案を受け入れ、仙薬探しの旅に出ることになりますが、この旅には、桐馬を含めた山田浅ェ門一門と、彼らが監視する死罪人たちが同行することになります。
「性別不詳の魅力」を持つ亜左桐馬のプロフィール
地獄楽の天才剣士、亜左桐馬が持つ異色の魅力を、そのプロフィールから紐解いていきましょう。
桐馬の容姿と推定年齢：黒い長髪と古傷の秘密
地獄楽に登場する亜左桐馬は、黒い長髪と、性別不詳の美しい容姿が特徴的なキャラクターです。
作中では、年齢や性別などのパーソナルデータは明らかにされていませんが、その風貌から10代後半から20代前半ではないかと推察されています。
亜左桐馬 プロフィール（判明分）
| 試一刀流の位 | 段位未定（代行許し） |
| 担当死罪人 | 亜左弔兵衛 |
| 特徴 | 黒い長髪（後に断髪）、中性的な美しい容姿、古傷 |
| タオの属性 | 土 |
| 山田浅ェ門になった目的 | 兄・弔兵衛を助けるため |
桐馬の顔には、鼻のあたりに古傷があります。
これは、兄・弔兵衛が暴走した際に付けられた傷であり、普段は見えませんが、感情が高ぶると浮かび上がってくるという特徴があります。
この傷跡は、兄弟の壮絶な過去と、桐馬が兄に依存していた精神構造を象徴する重要な要素となっています。
桐馬の性別：当初の推察と男性であることが判明した経緯
桐馬は、その美しい顔立ちと長い黒髪から、連載当初は読者の間で「性別は女性ではないか？」と推察されることが多くありました。
TwitterなどのSNSでも、桐馬が女性だと勘違いしていたという読者の感想が多数見受けられます。
しかし、桐馬の性別は早い段階で男性であることが明らかになっています。
桐馬自身は、女性と間違われることをある程度受けとめている様子があり、この「性別不詳の魅力」が、彼の人気を押し上げる要因の一つとなりました。
兄・弔兵衛：ワイルドな賊王と弟・桐馬の対比
桐馬には、亜左弔兵衛という実の兄がいます。
弔兵衛は、金髪ショートカットに切れ長の眼、そして常に鼻のあたりに傷跡があるワイルドな風貌をしており、中性的な桐馬とは対照的です。
弔兵衛は、若くして伊予の賊王に上り詰めた傑物であり、戦闘力、分析力、人心掌握力に優れていますが、現在は死罪人となっています。
この「対照的な外見」を持つ兄弟が、「固い絆」で結ばれているというギャップも、亜左兄弟がファンから熱狂的な支持を受ける理由の一つです。
亜左桐馬が山田浅ェ門になった目的と天才剣士としての実力
桐馬は、武家の出自でありながら、なぜ死罪人の処刑執行人である山田浅ェ門の道を選んだのでしょうか。
異なる立場の兄弟ドラマ：山田浅ェ門になったのは兄・弔兵衛を助けるため
地獄楽のストーリーの軸の一つは、仙薬探しの旅に出た死罪人と、彼らを監視する山田浅ェ門との間の異なる立場に置かれた人間たちのドラマです。
その中で、亜左兄弟のドラマは特に人気が高いとされています。
桐馬が山田浅ェ門になった究極の目的は、死罪人となった兄・弔兵衛を助けるためでした。
兄を助け、無罪放免にさせるという目的を果たすため、桐馬は処刑執行人を代々務める山田家に潜入しました。
そして、桐馬は目的通り、仙薬探しの旅に出た兄の監視人になることができたのです。
仙薬探しの旅においては、桐馬と弔兵衛は常に行動をともにしており、その姿は「ニコイチ」と評され、多くのファンを感動させました。
殺戮すら厭わない盗賊の頭領でありながら、桐馬に対しては無条件に愛情を注ぐ弔兵衛と、兄を慕い、絶対的な信頼を寄せる桐馬の兄弟愛は、地獄楽という作品の核の一つとなっています。
歴代最速のスピード出世：入門一ヶ月で代行許しを獲得
山田浅ェ門とは、地獄楽の世界における斬首を生業にした一門のことであり、当主も非世襲制です。
（ちなみに、実際の江戸時代にも山田浅右衛門という御様御用職が存在し、地獄楽の山田浅ェ門のモデルになったとされています。）
桐馬は、兄を助けるために山田浅ェ門に入りましたが、その天才剣士ぶりは並外れていました。
彼は、山田浅ェ門入門わずか一ヶ月にして代行許しになったとされており、これは地獄楽の山田浅ェ門一門の中でも異例のスピード出世であり、彼の生まれながらの高い剣のスキルを証明しています。
桐馬の弱点と成長：民谷巌鉄斎への弟子入りと断髪の決意
しかし、仙薬探しの旅は、戦闘経験の少ない桐馬が大活躍できるほど甘いものではありませんでした。
彼は、画眉丸一行の死罪人である民谷巌鉄斎から、「剣技が付け焼刃」であることと、「兄の弔兵衛に頼り過ぎていること」という致命的な弱点を指摘されてしまいます。
兄への依存を指摘された桐馬は、自分の未熟さを受けとめて、頭を下げて巌鉄斎に教えを請うという大きな決断をしました。
そして、その決意表明として、長かった黒髪を切り落とし、兄と似た三つ編みの髪型になります。
この断髪は、桐馬が「兄の道標」に頼るだけでなく、自立した剣士として兄と肩を並べ、共に戦い生き抜くという強い覚悟を示した、彼の精神的な成長を象徴する重要なシーンとなりました。
巌鉄斎は、「天下に轟く偉業を残し、後世までその名が老いず死ぬこともなく語り継がれること」を不老不死の目的とする剣豪であり、彼に師事することは、桐馬の剣士としての大きな飛躍に繋がりました。
桐馬のタオ：土の氣を活かした剣術
桐馬は、氣（タオ）の属性が土であることが明らかになっています。
ストーリーが進んでいくと、彼はこの土の氣を活かした剣術を披露するようになり、土属性のタオは「防御力」や「持続性」に優れることから、彼の粘り強い戦い方を可能にしました。
兄の弔兵衛が金の氣という「適応・変化」のタオを持つ一方で、桐馬が土の氣という「安定・堅実」のタオを持つという対比は、兄弟それぞれの強さの性質を際立たせています。
亜左桐馬の過去と最後：不幸な出自と絆の結末
桐馬の天才剣士としての才能と兄への深い愛情は、彼らが経験した不幸な過去と、その中で育まれた固い絆によって形成されています。
桐馬と弔兵衛の不幸な過去：武家からの没落と両親の死
亜左桐馬と兄の弔兵衛は、もともと赤稿藩の武家出身であり、裕福な侍の息子でした。
しかし、藩が幕府から改易されてしまい、亜左家は浪人暮らしを余儀なくされ、貧困生活に喘ぐことになります。
この不幸は続き、ほどなくして母親が病気を患い死亡し、さらに、父親が主君の仇討ちに参加した咎で刑死となり、兄弟二人だけが残されてしまいました。
その後、兄弟は野盗の襲撃を受けて売り飛ばされそうになりますが、弔兵衛が持ち前の適応力の高さと人心掌握力で盗賊の頭領に上り詰めたことで、運命が変わりました。
この過酷な過去こそが、桐馬にとって兄が「道標」であり「世界の全て」であるという、極端なまでの依存と、弔兵衛の「弟だけは守り抜く」という強い決意を生み出したのです。
過去の元ネタ考察：「赤穂事件」との関連性
亜左兄弟の不幸な過去の元ネタについては、読者の間で様々な考察がされています。
特に、「赤稿藩の武家出身」で、「父親が主君の仇討ちに参加した咎で刑死」というエピソードは、元禄年間に起きた「赤穂事件（忠臣蔵）」をモデルにしているという見方が強いです。
亜左家の主君のモデルが浅野長矩であり、弔兵衛と桐馬の父親が赤穂義士四十七士の中の誰かではないかと考察されています。
このように、フィクションの中に実際の江戸時代の事件や世相を盛り込んでいる点が、地獄楽のストーリーに説得力と深みを持たせる理由だといえるでしょう。
桐馬は死亡した？最後まで生存し「双龍兄弟」として香港へ
死亡したキャラクターが多いことで知られる地獄楽において、ファン人気の高い桐馬が最後に死亡したのかどうかは、読者の最大の関心事の一つでした。
極楽浄土と呼ばれる島での死闘を繰り広げ、遂に仙薬を手中にした画眉丸一行。
激戦の末、花化が酷かった兄の弔兵衛も含め、桐馬も死亡することはありませんでした。
しかし、死罪人の中で無罪放免になるのは一人だけと決められていたため、画眉丸たちは協議の末に、世間に名の通っていた巌鉄斎を無罪放免にすると決めます。
画眉丸たちは、名前や里を捨てて生きていくことになりますが、弔兵衛と桐馬兄弟は、日本を捨てて当時イギリス領だった香港へ渡りました。
香港での二人は、その強さから「双龍兄弟」と呼ばれる大ギャングになっており、裏社会で恐れられる存在として描かれています。
桐馬は、名前や過去を捨てても兄とともにいることを選び、最後まで兄と共に生き抜くという絆の結末を見せてくれました。
地獄楽の桐馬の声を演じた声優：小野賢章の紹介
テレビアニメ版の放映開始により、桐馬の魅力は声優の演技によってさらに引き出されました。
小野賢章のプロフィールと活動歴
アニメ「地獄楽」で亜左桐馬役を演じた声優は、小野賢章です。
小野賢章 プロフィール
| 名前 | 小野賢章（おのけんしょう） |
| 生年月日 | 1989年10月5日 |
| 出身地 | 福岡県 |
| 所属事務所 | アニモプロデュース |
| 特技 | 体操、バスケットボール、大阪弁 |
小野賢章は、4歳で子役デビューし、小学4年生の時には劇団四季ミュージカル「ライオン・キング」のヤングシンバ役に大抜擢されるなど、幼少期から舞台で活躍していました。
特に、映画「ハリー・ポッターシリーズ」の主人公ハリー・ポッター役（ダニエル・ラドクリフの吹き替え）を演じて以降は、俳優と声優活動を両立させ、高い評価を得ています。
小野賢章の主な出演作品：ハリー・ポッターから人気アニメキャラまで
小野賢章の主な出演作品には、「黒子のバスケ」の黒子テツヤ役、「文豪ストレイドッグスシリーズ」の芥川龍之介役、「アイドリッシュセブン」の七瀬陸役、そして近年では「SPY×FAMILY」のユーリ・ブライア役などがあります。
彼の透明感のある声質と、繊細な感情表現は、桐馬の持つ中性的な美しさと、兄への複雑な愛情を見事に表現しており、アニメファンからも「適役」と絶賛されました。
地獄楽の桐馬に関する感想や評価
地獄楽のファン、特にSNS上での読者は、亜左桐馬をどのように評価しているのでしょうか。
「性別不詳のかわいさ」と実力者としてのギャップへの評価
桐馬の中性的な容姿は、「かわいい」と評価されています。
さらに、そのかわいい容姿からは想像できない天才剣士としての実力と、兄を助けるという強い信念を持つギャップも、彼の人気の要因です。
「かわいいだけじゃないんだよってのがよくわかった」という感想は、桐馬が単なる美少年キャラクターではなく、物語の重要な局面で自らの役割を果たす実力者であるという評価を物語っています。
読者の驚き：女性と間違われていた桐馬の性別
地獄楽の漫画をリアルタイムで読んでいた読者からは、性別の勘違いに対する驚きのツイートも多く見られました。
これは、桐馬の美しい外見が、物語の初期段階で読者に大きなミスリードを与えていたことを示していますが、同時に、男性と判明した後も人気が衰えなかったことは、彼のキャラクターとしての魅力の深さを証明しています。
まとめ
この記事では、地獄楽の天才剣士、亜左桐馬の多面的な魅力に迫ってきました。
彼は、性別不詳の美しい容姿を持つ一方で、山田浅ェ門入門一ヶ月で代行許しになるほどの天才剣士です。
その強さと行動原理の根源には、武家からの没落という不幸な過去と、兄・弔兵衛を助けるという一途な目的がありました。
巌鉄斎に弟子入りし、断髪して自立した剣士へと成長した桐馬は、兄とともに幾多の死闘を生き抜き、死亡することなく物語の最後まで生存。
最終的には、兄と「双龍兄弟」として香港で新たな人生を歩み始め、「兄のために生きる」という強い絆を貫き通しました。
テレビアニメ版で桐馬を演じた小野賢章の熱演もあり、今後も亜左桐馬の天才剣士としての実力と兄への深い愛情は、多くのファンを魅了し続けるでしょう。
以下の関連記事も是非ご覧ください！
コメント