
漫画『ONE PIECE(ワンピース)』の物語において、主人公モンキー・D・ルフィが偉大なる航路(グランドライン)へ踏み出す直前の拠点となったのが、「始まりと終わりの町」ローグタウンです。
このローグタウンで、ルフィは後の強敵となる海軍将校スモーカーと初めて出会います。
スモーカーは、身体を煙に変化させる自然(ロギア)系悪魔の実「モクモクの実」の能力者であり、実体のない煙であるため、通常は覇気を使わない攻撃は身体を通り抜けてしまうはずです。
しかし、このローグタウンで、スモーカーのズボンに3段のアイスクリームをぶつけてしまった、一人の無邪気な少女がいました。その少女の名前はユウです。
なぜユウは、ロギア系能力者であるスモーカーに「ぶつかる」ことができたのでしょうか?
この一見すると些細なシーンが、ファンの間で長年、「ユウ覇気使い説」として熱く議論される最大の謎となっているのです。
この記事では、ローグタウンで起こったこの不可解な現象を深掘りし、ユウのプロフィール、そしてスモーカーの能力を分析します。
さらに、ユウが覇気使いであるという説の理由、そして「尾田先生の伏線」としてユウが今後の物語で再登場する可能性について、読者の考察を交えながら徹底的に検証していきます。
ワンピースのユウとスモーカー:ローグタウンの謎を追う
まずは、ローグタウンで生まれた「アイスと煙」の謎の当事者である少女ユウの正体と、彼女がルフィたちの物語の節目でどのような役割を果たしたのかを見ていきましょう。
ワンピースのユウは誰?
『ONE PIECE』に登場するユウは、東の海(イーストブルー)にあるローグタウンで暮らす、ごく普通の少女です。
金髪のショートヘアで、前髪をヘアピンで留めているのが特徴的です。彼女が物語で描かれたのは、ルフィたちが偉大なる航路に入る直前の、非常に重要なタイミングでした。
物語の重要人物ではありませんが、その後のファン考察で「覇気使い疑惑」が浮上したことで、今もなお、読者の間で「名前は知らなくても、スモーカーにアイスをぶつけた子」として記憶され続けているキャラクターです。
ワンピースのユウはスモーカーにアイスをぶつけた女の子
ユウの登場シーンは、ルフィが海賊王ロジャーの処刑台で騒動を起こし、海軍本部大佐だったスモーカーが現場へ急行する途中で起こりました。
父親に買ってもらった3段重ねのアイスクリームを手に持ち、嬉しさのあまり走っていたユウが、煙のように現れたスモーカーに正面からぶつかってしまったのです。
この衝突の結果、アイスクリームはスモーカーのズボンにべったりと付着し、アイスを台無しにされたユウは泣き出しそうになってしまいます。
このシーンは、「海賊王の処刑地」というシリアスな背景を持つローグタウンの日常の一コマを描きつつ、スモーカーの人間性が垣間見える名シーンとして、読者に強い印象を残しました。
ユウの登場回は何話?「始まりと終わりの町」での邂逅
ユウが初めて登場したのは、原作コミック11巻に収録されている第98話「暗雲」です。
このローグタウン編は、ルフィたちが偉大なる航路(グランドライン)の玄関口に立ち寄り、スモーカーやたしぎといった海軍の強敵たち、そして因縁の海賊バギーと再会するなど、物語の大きな節目となるエピソードです。
特に、ルフィが処刑台でバギーに捕まり、まさに命を落とす寸前の場面に雷が落ちるという劇的な展開は、ルフィが「運命の子」であることを予感させました。
ユウとスモーカーの衝突は、この「嵐の前の静けさ」の中で起こった、ローグタウンの日常を象徴するワンシーンであり、後に覇気という設定が明確化されたことで、この時の「ぶつかった」という事実に重大な意味が付与されることになったのです。
ユウのプロフィール:ローグタウンに暮らす少女の基本情報
ユウのプロフィールについては、作中で詳しく語られていませんが、ファンブックなどの情報から以下の基本情報が判明しています。
| 誕生日 | 7月19日 |
| 出身地 | 東の海 ローグタウン |
| 所属 | ローグ第2小学校の1年生 |
| 特徴的なエピソード | スモーカー大佐のズボンに3段のアイスクリームをぶつけた少女 |
彼女はローグタウンという、海賊王が生まれ、そして処刑されたという歴史的な街で育った、ごく普通の小学校1年生です。
その純粋で無邪気な存在感は、「新世界」という血生臭い世界に足を踏み入れる前の、「東の海」が持つ平和な日常の象徴として描かれているとも言えるでしょう。
ユウの性格:無邪気な少女と海軍大佐の対比
ユウの性格は、父親にアイスを買ってもらって大喜びではしゃぎ回る、非常に無邪気で感情表現が豊かな少女として描かれています。
アイスを台無しにされた際には涙ぐんでしまうなど、彼女の言動は非常にストレートで、彼女を見守る父親も、そんなユウの様子を温かく見守っています。
このユウの無邪気さは、「白猟のスモーカー」という異名を持つ強面の海軍大佐との鮮やかなコントラストを生み出しました。
普段は葉巻をくわえ、無骨で冷徹な印象のスモーカーが、泣きそうなユウに対して「悪ィな… おれのズボンがアイス食っちまった 次ァ5段を買うといい」という優しい言葉をかけることで、スモーカーの「内面に秘めた優しさ」が際立つ名シーンとなったのです。
ワンピースのユウは覇気使いとして再登場?ローグタウンの邂逅に潜む謎
このローグタウンでの「アイス衝突事件」は、単なる心温まるエピソードとして片付けられない、物語の根幹に関わる可能性を秘めています。
その鍵を握るのが、「ロギア系の能力者に覇気なしで触れられるのか?」という、能力者バトルにおける根本的な疑問です。
ユウは覇気使いという説の理由:ロギア系能力者スモーカーへの接触の謎
ユウが「覇気使い」ではないかという説が浮上する最大の理由は、スモーカーが食べたモクモクの実の能力にあります。
モクモクの実は自然(ロギア)系の悪魔の実であり、能力者は全身を煙に変化させることができます。ロギア系能力者の最大の特徴は、実体がなく、物理的な攻撃を身体を通り抜けさせてしまうため、実体のある攻撃でダメージを与えるには、武装色の覇気が必要になる、という点です。
この設定に基づけば、海賊や海兵でもない小学校1年生のユウが、何の力も持たずにスモーカーの身体にぶつかり、ズボンを汚すという行為は、原理的に不可能であるはずです。
しかし、ユウは確かにスモーカーに衝突し、アイスをぶつけています。
この矛盾を解決するロジックとして、「ユウは無意識のうちに武装色の覇気を使っていた」という「ユウ覇気使い説」が、ファンの間で強く支持されるようになりました。
幼い子どもが無意識に覇気を発動する例は他に見られませんが、「無意識の覇気」という設定は、物語が本格的に「覇気」を扱う前に描かれたこのシーンに、尾田栄一郎が「後のための伏線」を仕込んでいたのではないか、という見方を生み出しました。
ユウの再登場はある?尾田先生の伏線と海軍入隊説
ユウはローグタウン編以降、作中に再登場していません。しかし、前述の「覇気使い説」が物語の根幹に関わる伏線であるならば、ユウが「成長した姿」で再登場する可能性は十分に考えられます。
特に有力なのが、以下の「海軍入隊説」です。
ユウはローグタウンでスモーカーという海軍の英雄(当時の大佐)の優しさに触れました。
この「アイス事件」がきっかけで、「強くて優しい海兵」であるスモーカーに憧れを抱き、自身も海軍に入隊して「正義」の道を志す、という展開は、王道の少年漫画の伏線回収として非常に魅力的です。
もしユウが海軍に入隊し、無意識ではなく、意識的に武装色の覇気を極めた海兵として再登場すれば、ルフィたち麦わらの一味、あるいはスモーカーの部下として再会する、という熱い展開が期待できます。
物語が最終章に突入し、「新世代の海兵」たちが続々と活躍している今、ユウが「ローグタウンの伏線」として再び登場する可能性は、無視できないと考える読者が多いです。
スモーカーの悪魔の実の能力や強さ:モクモクの実と覇気の有無
ユウにぶつかられた海軍将校スモーカーは、自然(ロギア)系のモクモクの実の能力者であり、その能力によって「白猟のスモーカー」の異名を持ちます。
能力を使い全身を煙に変えることができるため、物理的な攻撃は一切通用せず、煙の軽さと速さを活かして、逃げる海賊たちを追い詰めることに長けています。
ユウにぶつかられた当時のスモーカーは海軍本部大佐という階級で、「一度も海賊を逃がしたことがない」と豪語するほどの凄腕でした。
また、彼は「七尺(ななしゃく)」という、先端に海楼石を仕込んだ十手を武器として使用し、能力者である海賊たちを捕縛していました。
ただし、ユウにぶつかられたローグタウン編の時点では、スモーカーが「覇気」を使えるかどうかは作中で明確にされていませんでした。
物語が進み、頂上戦争や新世界での描写から、スモーカーは武装色の覇気と見聞色の覇気の両方を使用できることが明らかになっています。
この事実から、ユウがぶつかった理由を「ユウの無意識の覇気」で説明する以外に、「当時のスモーカーは、意識的に煙にならなかったのではないか」という、後述の別の考察も生まれることになりました。
スモーカーがユウに取った行動:「優しさ」を示す名シーンの裏側
ユウにアイスをぶつけられた際のスモーカーの行動と発言は、彼の強面な外見とは裏腹の「優しさ」を示すものとして、ファンの間で「名シーン」として語り継がれています。
スモーカーは、泣きそうになるユウとその父親に対して、「悪ィな… おれのズボンがアイス食っちまった 次ァ5段を買うといい」というセリフと共に、新しいアイスを買えるだけのお金を渡しました。
このセリフの裏側には、いくつかの考察が存在します。
1. 意識的に「実体」を維持した説
ユウがぶつかる直前、スモーカーは「煙化」を解除し、あえて実体のある状態で衝突したのではないか、という見方です。
もしスモーカーが煙のままでいれば、ユウはスモーカーを通り抜けて地面に転倒し、怪我をしていた可能性があります。スモーカーは、ズボンが汚れることよりも、無邪気な子どもが怪我をすることを避けたいと考え、一瞬の判断で実体を維持したのではないか、という「スモーカーの優しさ」を強調する考察です。
2. ロギア系能力の「初期の弱点」説
ユウがぶつかった当時は、能力者バトルにおける「覇気」という設定がまだ明確に描かれていませんでした。
そのため、能力者が無意識の状態や油断している状態では、ロギア系であっても攻撃を避けきれない、あるいは実体を維持してしまうという、能力の「初期の弱点」が設定されていたのではないか、という見方です。
しかし、この説は後の物語で「覇気」が能力者を捉える「唯一の手段」として明確化されたため、現在では「覇気使い説」や「スモーカーの優しさ説」の方が有力とされています。
ワンピースのユウに関する感想や評価:読者が楽しむ「覇気使い説」とその他のユニークな考察
ユウとスモーカーの衝突シーンは、その後の物語で「覇気」という設定が明らかになるにつれ、ファンによるユニークな考察の対象となりました。
1. ユウ覇気使い説
最も有名な考察であり、前述の通り、「ロギア系に触れることができたのは覇気以外ありえない」というロジックから、「無意識に武装色の覇気を纏っていた」と考える説です。この説は、「後の物語の伏線」としてユウの再登場を期待する根拠となっています。
2. アイス屋がアイスに覇気纏わせた説
衝突の瞬間にスモーカーのズボンを汚したのは「アイス」であることから、「ユウではなく、アイスクリームそのものに覇気が宿っていた」という、ユニークな発想の考察です。
あるいは、「ユウにアイスを売った店の店主が、アイスに武装色の覇気を纏わせていた」という、一種の「ネタ考察」として、ファンの間で楽しまれています。
3. ズボズボの実のズボン人間説
スモーカーの「おれのズボンがアイス食っちまった」というセリフを文字通りに解釈し、「スモーカーが履いていたズボンが悪魔の実『ズボズボの実』の能力者で、アイスを食べた」という、さらに荒唐無稽なネタ考察も存在します。これは、「覇気」という難しい設定を一旦無視し、純粋に漫画を楽しむ読者の姿勢を示すものでもあります。
4. イム様正体説
世界の王イム様の正体について、「子どもなのではないか」という考察が一部で存在することから、ユウが「実はイム様の幼少期の姿」なのではないか、という非常に大胆な説まで浮上しました。これは、「物語の根幹に関わる謎の人物」と「ローグタウンの謎の少女」を結びつけたい、という読者の願望の表れと言えるでしょう。
これらの考察の多くはネタとして楽しむものですが、一つのシーンに多くの謎と可能性を見出すという読者の熱量が、『ONE PIECE』という作品の奥深さを物語っています。
まとめ
『ONE PIECE』のローグタウンで、少女ユウがモクモクの実の能力者スモーカーにアイスをぶつけたという一見些細なエピソードは、「ロギア系能力者に覇気なしで触れられるのか?」という、物語の根幹に関わる謎を提起しました。
この不可解な接触は、ユウが無意識の「覇気使い」であったという説を生み出し、「尾田先生の伏線」として、ユウが将来的に海軍に入隊し、成長した姿で再登場する可能性を多くの読者に期待させています。
一方、スモーカーの「おれのズボンがアイス食っちまった」という優しさあふれるセリフは、強面の裏に隠された彼の人間的な魅力を際立たせ、このシーンを「心温まる名場面」として記憶させることになりました。
「覇気」という設定が完全に明らかになった今、このローグタウンでの「アイス衝突事件」が、今後の物語の展開でどのような形で回収されるのか、ユウの再登場があるのかどうか、引き続き注視していきたいところです。
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