
ファンタジー作品『オーバーロード』には、数多くの異形種族や人間以外の種族が登場し、その多様な世界観が読者を魅了しています。
中でも、最強種として名高い存在がドラゴン(竜族)です。
本記事で焦点を当てるのは、アゼルリシア山脈に生息するフロスト・ドラゴン(霜の竜)。
彼らは、この世界において最強レベルの強さを持つ種族として描かれながらも、魔導王アインズ・ウール・ゴウンと出会ったことで、予想外の運命を辿ることになります。
フロスト・ドラゴンの強さのレベルや、一族を率いる王オラサーダルクの傲慢な最期。
そして、物語の序盤でアインズがその存在を知るきっかけとなった、今は亡き少女ニニャとの深い関わりについて、詳しく解説し、この「最強種」の悲哀に満ちたエピソードを掘り下げていきます。
オーバーロードの作品情報とあらすじ
フロスト・ドラゴンの解説に入る前に、まずは『オーバーロード』という作品の概要を簡単におさらいしましょう。
オーバーロードの概要
『オーバーロード』は、もともとWeb小説サイトに投稿されていた作品で、2010年5月にArcadiaで連載が始まり、その後小説家になろうでも連載が開始されました。
2012年7月には書籍版の小説が発売され、書籍化に際しては、Web版のストーリーや登場キャラクターが一部改変されています。
2015年にアニメ化された後も、第2期、第3期と制作が続き、2022年にはアニメ第4期が放送されました。
さらに、第4期のテレビアニメの放送前には、「聖王国編」を描く完全新作の劇場版アニメの制作も発表されており、その勢いは止まるところを知りません。
オーバーロードのあらすじ
物語は、VRゲーム「ユグドラシル」を楽しんでいたサラリーマン、鈴木悟が、ゲームサービス終了の日を迎えるところから始まります。
しかし、サービス終了時刻を過ぎても、鈴木悟のアバターであるモモンガはログアウトすることができず、それどころか現実世界にも戻れなくなってしまいます。
ゲーム内のNPCたちが自我を持って動き出し、異世界に転移したことを悟ったモモンガは、ギルドの名称である「アインズ・ウール・ゴウン」を名乗り、魔導王アインズとして、他のプレイヤーを探すために行動を始めるのでした。
この世界を舞台に、アインズは圧倒的な力と時として残酷な判断を下しながら、世界征服の道を歩んでいきます。
オーバーロードのフロスト・ドラゴンとは?
ダークファンタジー作品である『オーバーロード』にも、さまざまな種類の竜族が登場します。
フロスト・ドラゴンは、物語の主要な舞台となるアゼルリシア山脈に生息する、冷気を操る竜族です。
フロスト・ドラゴンとはドラゴンの種族
フロスト・ドラゴン(霜の竜)は、数多く存在する竜族の種族の一つであり、その種族名自体は物語の序盤から登場していました。
彼らは、住処としているアゼルリシア山脈にあるフェオ・ベルカナの王城に一族そろって住んでいます。
フロスト・ドラゴンは、金銀財宝を好み、住処には多くの宝物を溜め込んでいるという、典型的なドラゴンの習性を持っています。
子供を含めても20匹ほどしかいない少数精鋭の種族ですが、その個々の強さは、この世界において最高峰に位置します。
生態と弱点:冷気への耐性と炎への脆弱性
フロスト・ドラゴンはその名前の通り、炎ではなく冷気のドラゴンブレスを使います。
冷気系の攻撃に対しては絶対的な耐性を持っていますが、その反面、炎系の攻撃には弱いという弱点があります。
アゼルリシア山脈の極寒の地を住処とし、同じく冷気系の強敵であるフロスト・ジャイアント(霜の巨人)と覇権を争うほど、彼らはこの世界においては最強レベルの強さを持った種族です。
しかし、ユグドラシル出身の至高の存在であるアインズの強さと比べると、そのレベルは圧倒的な差があるのが実情です。
オーバーロードのフロスト・ドラゴンの強さやアインズ戦
フロスト・ドラゴンは、その最強レベルの強さにもかかわらず、アインズとの遭遇により一族の運命が大きく変わることになります。
フロスト・ドラゴンの強さやレベル
フロスト・ドラゴンの一族の頂点に立つ王、オラサーダルク=ヘイリリアルのレベルは46です。
この世界の最強の戦士と称されたガゼフ・ストロノーフのレベルが28であることを考えると、レベル46という数値は、英雄並の人間では到底かなわないほどの圧倒的な強さを持っていることを意味します。
種族全体としても、個々の戦闘能力が高く、知性も兼ね備えているため、この世界において上位に位置する種族であることは間違いありません。
しかし、ユグドラシルの最高レベルであるレベル100のアインズにとっては、レベル46は瞬殺可能な雑魚でしかありません。
フロスト・ドラゴンとアインズの戦い:族長の瞬殺
アインズとフロスト・ドラゴンが出会ったのは、アニメ第4期で描かれたドワーフ王国編でのことです。
アインズは、失われたルーン技術の復活を目指してドワーフ族のもとを訪れます。
しかし、ドワーフたちは、クアゴアという亜人種族の侵攻を受けている真っ最中でした。
ドワーフ族が滅びては困るアインズは、クアゴアの撃退に力を貸すことにします。
アインズが生み出したデスナイトに苦戦したクアゴアたちは、同盟関係にあるフロスト・ドラゴンに助けを求めました。
族長オラサーダルクは、息子であるヘジンマールを侵入者の討伐に向かわせますが、これがフロスト・ドラゴン一族の悲劇の始まりとなります。
傲慢な王オラサーダルクの最期:グラスプ・ハートによる瞬殺
フロスト・ドラゴンの王、オラサーダルク=ヘイリリアルは、長年の生と最強種としての誇りから、他種族に対して傲慢になりがちでした。
アインズの本質を見抜けず、彼を単なるスケルトンだと見下し、傲慢な態度を崩しませんでした。
その結果、アインズに「愚かな相手と喋るのは苦痛だ」と不快に思われ、オラサーダルクが怒りを露わにした瞬間、アインズの即死魔法である「グラスプ・ハート」により、攻撃する間も与えられず、一瞬で殺されてしまいました。
最強種の王でありながら、何の見せ場もなく、自らが溜め込んだ財宝の寝床の上で呆気なく命を落とすという無様な最期は、多くの読者に衝撃を与えました。
賢明な判断をした子ヘジンマールのその後
一方、族長オラサーダルクの息子ヘジンマールは、アインズ一行と出会った際、その圧倒的な強さを一瞬で見抜きました。
殺されると悟ったヘジンマールは、即座に降伏するという賢明な判断を下し、なんとか死なずにすみました。
アインズは、ヘジンマールに対し、「母親は助けてやる」と約束をしました。
その場には族長の妃のフロスト・ドラゴンが3匹いましたが、アインズの強さを目の当たりにした妃たちは、すべてのフロスト・ドラゴンがヘジンマールの母親として名乗り出ました。
アインズは、ヘジンマールが嘘をついていることを見抜いていましたが、約束通り妃たち全員を殺さずに見逃しました。
このヘジンマールの咄嗟の判断力には、読者からも感心する声が多く上がっています。
フロスト・ドラゴンがアインズの配下になったその後
生き残った妃たちは、残りのフロスト・ドラゴンを集めると、全員でアインズの前に平伏しました。
しかし、その中で1匹のフロスト・ドラゴンが、父親を殺された怒りからアインズに歯向かいます。
このフロスト・ドラゴンも、族長と同じくグラスプ・ハートにより一瞬で殺されてしまいました。
その光景を見た他のフロスト・ドラゴンは、アインズの絶対的な強さを悟り、さらに深くひれ伏すことになります。
アインズに完全降伏したフロスト・ドラゴンは、その後魔導国でアインズのために働くことになります。
彼らは空を自由に飛べるという能力を活かし、魔導国の空輸担当として活躍しています。
主に郵便配達を請け負っていますが、物資だけでなく人の移動手段としても利用されており、最強種が郵便配達員という、コミカルな光景を生み出しました。
オーバーロードのフロスト・ドラゴンの同盟やニニャとの関係
フロスト・ドラゴンは、他種族であるクアゴアと同盟を結んでいましたが、その実態は支配関係にありました。
また、アインズはフロスト・ドラゴンというワードを聞いたとき、物語の序盤に出会ったある少女を思い出します。
フロスト・ドラゴンとクアゴアの同盟:実態は奴隷支配
ドワーフの旧王都に住むフロスト・ドラゴンは、フェオ・ベルカナの市内に住んでいるクアゴアと同盟を結んでいました。
しかし、ドラゴンは他種族と協力しなくても生きていけるほどの強さを持っているため、この同盟は対等な関係ではなく、実態はフロスト・ドラゴンがクアゴアを奴隷のように扱っている支配関係でした。
フロスト・ドラゴンは、クアゴアの頼みをきく代わりに、莫大な金品を献上させていました。
対するクアゴアも、心からフロスト・ドラゴンに従っているわけではなく、種族の発展のために利用しているにすぎないと内心では考えていました。
クアゴアは、ドワーフとの戦いでフロスト・ドラゴンに助力を仰いだ際も、密かに両者の共倒れを狙っていました。
この同盟関係は、お互いの種族の利益のためだけに組まれた、信頼関係のない利用し合うだけの関係だったと言えます。
フロストドラゴンと少女ニニャの関係:アインズの心に残る約束
アインズがフロスト・ドラゴンというワードを聞いたとき、彼が思い出したのは、かつて冒険者として活動していたときに出会った少女、ニニャでした。
ニニャは、アインズが所属していた冒険者チーム「漆黒の剣」のメンバーの一人です。
アインズは当初、ニニャのことを少年だと思っていましたが、彼女がナザリックに侵入したクレマンティーヌによって酷い殺され方をして亡くなったときに、初めて少女であることを知ります。
ニニャは、パーティー内にいらぬいざこざが起きぬよう、少女であることを隠していました。
生前、ニニャはアインズにフロスト・ドラゴンがいるという話を聞き、詳しいことを調べてくれるよう頼みました。
しかし、その約束を果たす前にニニャは非業の死を遂げてしまいます。
アインズの「残念だよ」:忘れられない存在
アンデットとなったアインズは、人間が死んでも何とも思わないようになっていましたが、ニニャの死体を目にしたときは「少し不快だ」と、感情が揺さぶられる様子を見せています。
そして、フロスト・ドラゴンとの戦いに臨む際、アインズはニニャとの果たせなかった約束を思い出し、「残念だよ」と感慨深い言葉を漏らしました。
この言葉は、アインズにとってニニャが、単なる冒険者仲間ではなく、心を動かした忘れられない存在であったことを示唆しています。
ニニャはフロスト・ドラゴンの存在は知っていましたが、詳しい情報は持っていませんでした。
アインズがニニャから託された「フロスト・ドラゴンの調査」という遺志は、ドワーフ王国編において、図らずもアインズ自身の手で達成されることになったと解釈できます。
オーバーロードのフロスト・ドラゴンの王オラサーダルクとは?
フロスト・ドラゴン一族の王、オラサーダルク=ヘイリリアルの存在は、アインズの圧倒的な力を際立たせるために、物語の道具として機能したと言えるでしょう。
オラサーダルクのプロフィール
フロスト・ドラゴン一族の族長であり、家長でもあるのがオラサーダルク=ヘイリリアルです。
彼はかなり長い間生きており、フロスト・ドラゴンとして絶対的な誇りを持っています。
そのため、他種族に対しては傲慢な態度を崩しませんでした。
彼の血族がフロスト・ドラゴン一族のすべてであり、3匹の妃と、それぞれの妃が産んだ合計15匹の子供がいます。
| 名前 | オラサーダルク=ヘイリリアル |
| 役職 | フロスト・ドラゴン一族の族長/王 |
| 種族 | フロスト・ドラゴン |
| 強さのレベル | 46 |
| 特徴 | 傲慢な性格、金銀財宝を好む |
| 声優 | 乃村健次 |
オラサーダルクの強さや能力
オラサーダルクのレベルは46であり、前述の通り、この世界における最強クラスの英雄を凌駕する強さを持っています。
フロスト・ドラゴンの頂点に立っていることからも、その個体としての強さは一族の中でも最高峰です。
彼の主な能力は、フロスト・ドラゴンの特徴である強力な冷気のブレスですが、その強さをアインズに対して見せる機会は訪れませんでした。
傲慢さと油断が、彼の最強種としての実力を発揮させなかった最大の要因だと言えます。
オラサーダルクは死亡した?
オラサーダルクは、アインズの本質を見抜けず、単なるスケルトンと見誤って見下した結果、アインズの逆鱗に触れ、あっけなく死亡しました。
アインズに攻撃する間も与えられず、即死魔法「グラスプ・ハート」によって心臓を握りつぶされ、一瞬で絶命しました。
オラサーダルクのこの呆気ない最期は、アインズの強さが、この世界の常識や最強種という概念を遥かに超越した存在であることを、読者に強烈に印象づけるための重要な描写として機能しました。
オーバーロードのフロスト・ドラゴンまとめ
本記事では、『オーバーロード』に登場するフロスト・ドラゴンについて、その強さのレベルや、ニニャとの関係、そしてアインズとの戦いを解説してきました。
フロスト・ドラゴンは、この世界において最強クラスの種族でありながら、その王オラサーダルクは傲慢さゆえにアインズに瞬殺されるという、悲劇的な最期を遂げました。
物語の序盤でニニャという少女によって存在が匂わされていた最強種が、あっけない形で決着をつけられたことは、アインズの底知れない強さを改めて読者に示すことになりました。
王は死亡しましたが、一族はヘジンマールの賢明な判断により生き残り、現在は魔導国の空輸担当として平和な(?)役割を担っています。
フロスト・ドラゴンのように、最強種が魔導国の発展のために利用されるという構図こそが、『オーバーロード』というダークファンタジーの醍醐味であり、今後の彼らの郵便配達としての活躍に期待が寄せられています。
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