
富樫義博が描く冒険活劇「ハンターハンター」は、1998年の連載開始以来、四半世紀を超えて多くの読者を魅了し続けている不朽の名作です。
2022年12月をもって「週刊少年ジャンプ」での連載は一旦終了し、新たな掲載方法での継続が発表されましたが、その熱は冷めることを知りません。
本作の魅力は、主人公ゴン=フリークスが歩む壮大な冒険物語だけでなく、登場人物の緻密なキャラクター設定と、能力者系バトル漫画の金字塔ともいえる「念能力」システムにあります。
主人公サイドの仲間たち、そしてカリスマ的な敵である幻影旅団やキメラ=アントの面々まで、個性的なキャラクターが数多く登場するため、「一番好きなキャラクターは誰か」という話題は、常にファンコミュニティで盛り上がります。
この記事では、ファンコミュニティの非公式ランキングから集計された人気キャラクターTOP30を徹底的に分析するとともに、過去3回実施された公式人気投票の結果を振り返り、なぜ主人公ゴンを抑えてキルアやクラピカが圧倒的な人気を誇るのか、その理由を深く考察します。
【HUNTER×HUNTER】物語の概要と歴代公式人気投票の結果
まずは、作品の基本的な概要と、ファンの熱狂を物語る公式人気投票の結果を確認しましょう。
「ハンターハンター」の作品概要とあらすじ
「ハンターハンター」は、くじら島で育った少年ゴン=フリークスが、まだ見ぬ父ジン=フリークスと同じ「ハンター」になるため、故郷を旅立つところから物語は始まります。
ゴンはハンター試験で、クラピカ、レオリオ=パラディナイト、そしてキルア=ゾルディックと運命的な出会いを果たし、仲間となります。
プロハンターとなったゴンたちは、各地での修行や、幻影旅団、キメラ=アントといった強敵との死闘を通じて、ハンターとしての実力を高めていきます。
物語は現在、暗殺された同胞の「緋の眼」を取り戻すという復讐の使命を背負ったクラピカを主人公の視点とし、暗黒大陸編へと突入しています。
単行本は2023年8月時点で37巻まで刊行され、電子コミックス版を含めた国内累計発行部数は2022年7月時点で8,400万部を突破しています。
公式人気投票の結果一覧:主人公が1位になれない異例の事態
「ハンターハンター」では、過去に3回の公式人気投票が実施されています。
通常、少年漫画の公式人気投票では、主人公が1位を獲得する傾向が強いものですが、本作ではキルア=ゾルディックが全ての回で1位を独占するという、極めて異例の結果となりました。
第1回公式人気投票の結果
単行本7巻で発表された第1回では、初期のハンター試験編で読者の心を掴んだキャラクターたちが上位にランクインしました。
| 順位 | キャラクター名 | 得票数 |
| 1位 | キルア=ゾルディック | 13,728票 |
| 2位 | クラピカ | 13,498票 |
| 3位 | ゴン=フリークス | 3,929票 |
キルアとクラピカが、ゴンに圧倒的な差をつけてワンツーフィニッシュを飾りました。
第2回公式人気投票の結果
単行本12巻に収録された第2回でも、順位変動はあったものの、TOP3の顔ぶれは変わりませんでした。
| 順位 | キャラクター名 | 得票数 |
| 1位 | キルア=ゾルディック | 7,488票 |
| 2位 | クラピカ | 7,176票 |
| 3位 | ゴン=フリークス | 2,472票 |
この回では、幻影旅団のメンバーも10位以内にランクインし始め、敵キャラクターの魅力が読者に浸透し始めていることが示唆されました。
第3回公式人気投票の結果
「ハンターズ・ガイド」に掲載された第3回でも、順位は揺るぎませんでした。
| 順位 | キャラクター名 | 得票数 |
| 1位 | キルア=ゾルディック | 5,186票 |
| 2位 | クラピカ | 3,467票 |
| 3位 | ゴン=フリークス | 2,114票 |
4位以下には、カイト、レオリオ=パラディナイト、そして敵キャラのネフェルピトーが名を連ねるなど、敵味方を問わない多様な人気が改めて浮き彫りになりました。
ハンターハンターの人気キャラ・登場人物ランキングTOP30~4
公式投票結果を踏まえ、非公式ランキングやファンコミュニティでの評価を総合した人気キャラクターTOP30を一挙に紹介します。
ハンターハンターの人気キャラ・登場人物ランキングTOP30~21
非公式のランキング一覧では、登場回数に関わらず、コアなファンに愛される味のあるキャラクターが選出される傾向が見られます。
30位:ミトさん
ゴンの育ての親であり、ジンの従妹です。
くじら島で居酒屋を営み、ゴンがハンターになることに当初は反対しつつも、最後は彼の旅立ちを許可しました。
ゴンが里帰りした際には、彼の成長と考えるにも理解を示すなど、陰ながらゴンを応援する温かい愛情がファンからの支持を集めています。
29位:シルバ=ゾルディック
キルアの父親で、暗殺一家ゾルディック家の当主です。
念能力は放出系で、オーラを両手に溜めて放出する技や、血を流さずに相手の心臓を抉り出す高度な暗殺技術を習得しています。
圧倒的な強さを持ちながらも、戦いには慎重であり、必要以上のリスクを冒すことを良しとしないプロ意識が魅力です。
28位:サトツ
ゴンたちが受けたハンター試験の第一次試験官です。
かつては名誉欲に燃えるハンターでしたが、ジンのルルカ遺跡に感銘を受けて考えを改めました。
優雅な立ち姿と、彼が課した地獄のマラソン試験のユニークさが印象的なキャラクターです。
27位:ゼノ=ゾルディック
キルアの祖父であり、ゾルディック家の大長老です。
放出系能力者であり、武道家としても一流の実力者です。
暗殺家業をあくまで仕事と割り切り、依頼者が死亡したら仕事は打ち切るなど、独自のルールで遂行するプロフェッショナルな姿勢が魅力です。
その一方で、孫には弱いという好々爺ぶりもみせており、このギャップがファンに愛されています。
26位:フィンクス=マグカブ
幻影旅団のナンバー5で、団員屈指の腕力の持ち主です。
念能力は強化系。
短気で喧嘩っ早い性格ですが、旅団のルールを重んじる仲間意識の強さも持ち合わせています。
その豪快な性格から、ファンからは「漢の中の漢」とも評されています。
25位:コムギ
盲目の軍儀棋士で、東ゴルトー共和国出身の世界王者です。
メルエムとの対局と対話を通じて、彼の人間性を引き出したキメラ=アント編のキーパーソンです。
軍儀にかけては圧倒的な強さを見せつけ、蟻の王をも寄せ付けない集中力と才能を持ちます。
軍儀にしか自分の価値を見いだせないという純粋さと、メルエムとの悲劇的な関係性が多くの読者の涙を誘いました。
24位:ゴトー
ゾルディック家の執事長です。
ゾルディック家においてキルアの数少ない味方の一人であり、アルカ編ではキルアをサポートし続けました。
念能力者であり、コインを念弾として飛ばす技を披露しています。
23位:ノブナガ=ハザマ
和風の出で立ちが特徴の幻影旅団のナンバー1です。
旅団では特攻役を務め、間合いに入った敵を瞬時に切り捨てる居合の達人。
性格は飄々としつつも敵には容赦なく、旅団には忠誠を誓う義理堅さを持っています。
22位:モラウ=マッカーナーシ
キメラ=アント討伐隊の一人、一つ星のシーハンターです。
念能力は操作系で、圧倒的な肺活量と巨大なキセルから放たれる煙で攻撃を繰り出します。
漢気あふれる性格と、弟子であるナックルやシュートを深く愛する師匠としての魅力がファンを惹きつけています。
21位:パクノダ
幻影旅団のナンバー9で、スーツ姿が特徴の初期メンバーです。
念能力は特質系で、触れた相手の記憶を読み取るという、旅団の情報収集に不可欠な珍しい能力でした。
クロロを巡るクラピカとの取引で、自分の命と引き換えにクラピカに関する記憶をメンバーに託し、死亡しました。</p
その仲間への強い忠誠心と壮絶な最期が、読者に深い印象を残しました。
ハンターハンターの人気キャラ・登場人物ランキングTOP20~11
主人公サイドだけでなく、敵サイドにも個性的で魅力に富んだキャラクターが多数ランクインしています。
20位:ジン=フリークス
主人公ゴンの父親で、二つ星ハンターです。
ゴンとの再会は本作のテーマの一つであり、会長選挙編にてその目的が達成されました。
念能力の実力はかなり高く、「世界で五本の指に入る」と評されるほどの天才ハンターです。
作中では激高したレオリオに投げ飛ばされるなど、父親としては情けない面もありますが、その自由奔放な生き方と圧倒的な実力が読者を魅了しています。
19位:カルト=ゾルディック
暗殺一家ゾルディック家の末っ子です。
おかっぱ頭に着物を身に着けた日本人形のような外見が特徴で、兄を救うために幻影旅団に加入しました。
念能力は操作系で、扇子と紙吹雪を使った攻撃を繰り出します。
18位:ナックル=バイン
キメラ=アント討伐隊の一人、モラウの弟子であるビーストハンターです。
リーゼントヘアに強面というヤンキー風の出で立ちですが、その内面はお人よしで、優しすぎることが欠点と言われるほどです。
カイトに次ぐ体術の実力者でもあります。
いかつい外見に反して動物に好かれるというギャップも人気の理由です。
17位:シズク=ムラサキ
幻影旅団のナンバー8で、黒髪とメガネが特徴の女性メンバーです。
念能力は具現化系で、掃除機のような見た目の「デメちゃん」を出現させます。
デメちゃんは、シズクが指示したものや念を吸い込む能力を持ち、死体となった生命体の吸収も可能という、冷酷さとユニークさを兼ね備えた能力です。
16位:ネフェルピトー
キメラ=アントの王直属護衛軍のトップであり、猫型の蟻です。
かわいらしい見た目とは裏腹に、性格は移り気で残酷。
オーラだけでゴンたちを圧倒する計り知れない強さを秘めており、ネテロからも強いと評されました。
その圧倒的な実力と、ゴンとの凄絶な因縁が読者に強烈な印象を残しました。
15位:アイザック=ネテロ
ハンター協会第12代会長であり、作中では100歳を超える老爺です。
念能力は強化系で、心源流拳法師範でもあります。
キメラ=アント討伐ではメルエムと対戦し、最後は自らに仕込んだ「貧者の薔薇」を起動させて自爆するという壮絶な最期を遂げました。
圧倒的な強さとカリスマ性は、「こんなおじいさんになりたい」という読者の声を集めるほどです。
14位:ビスケット=クルーガー
ゴンとキルアの第二の師匠となった二つ星ハンター、「ビスケ」の愛称で親しまれています。
外見はかわいらしい少女ですが、実年齢は57歳で、念能力で若く見せています。
念能力は変化系で、癒しの能力を持ちます。
しかし、真の姿はいかつい顔と鍛え抜かれた身体を持つ大柄な女性で、そのギャップと圧倒的なパワーがファンを魅了しています。
13位:レオリオ=パラディナイト
ゴンの仲間のメインキャラクターの一人です。
登場初期は、偽悪的な言動が目立ち、短気で激高しやすい性格でしたが、内面は義理人情に厚く、仲間思いの優しい一面も兼ね備えています。
念能力は放出系で、地面などを殴った衝撃で遠くの場所に拳を出現させる能力を披露しています。
キメラ=アントの戦いで危篤状態になったゴンを救うために行動に出るなど、その熱い性格が支持を集めています。
特に会長選挙編での名演説は、読者に強い感動を与えました。
12位:イルミ=ゾルディック
ゾルディック家の長男です。
仕事の都合でハンターライセンスを取得し、後に幻影旅団のメンバーとしても活動しています。
弟キルアに対して歪んだ感情を持っており、彼を一流の暗殺者にするための支配的な教育を施しました。
念能力は操作系で、針を差し込むことで相手を意のままに操る能力を発揮します。
ハンター試験での「ギタラクル」への変装など、そのミステリアスな存在感が人気を集めています。
11位:アルカ=ゾルディック
キルアの妹(弟)で、謎多き子供です。
キルアから非常に可愛がられる一方、特異な能力を危険視され、長らく監禁生活を送っていました。
ある条件を満たすと「ナニカ」と交代し、その能力の正体は暗黒大陸とのつながりが明言されています。
キルアとの兄妹愛が、物語のクライマックスの一つを飾りました。
ハンターハンターの人気キャラ・登場人物ランキングTOP10~4
いよいよランキングはTOP10に入ります。
10位:マチ=コマチネ
作中で最初に登場した幻影旅団メンバーの一人で、団員ナンバーは3の初期メンバーです。
勝気な性格と鋭い眼光が特徴で、キルアの貫き手を筋肉で封じるなど、肉体的な強さも秘めています。
念能力は変化系で、念糸を使った攻撃や探索、そして高度な縫合などが可能です。
勘の鋭さはメンバーからも一目置かれており、ヒソカとの関係性もファンの間で話題になりました。
9位:シャルナーク=リュウセイ
プロハンターでありながら、幻影旅団としても活動する初期メンバーです。
旅団内では情報処理を担っており、知識が豊富で頭もよいことから、クロロの参謀的な存在として活躍しました。
暗い印象の強い旅団の中で、明るく爽やかな印象を持つキャラクターでしたが、殺戮に関しては他メンバー同様の冷酷さも持ち合わせていました。
念能力は操作系で、携帯電話を使って相手を意のままに操る「他人の運命(ブラックボイス)」を披露しています。
8位:カイト
ゴンがハンターを目指すきっかけとなった人物であり、ジンの弟子です。
キメラ=アント編で登場し、ゴンとキルアを守るためにネフェルピトーとの戦いに敗れ、惨殺されました。
念能力は具現化系で、ルーレットが当たった武器を具現化して戦う「気狂いピエロ(クレイジースロット)」です。
登場シーンこそ少ないものの、そのお人よしな性格と仲間からの信頼、そして後の転生という劇的な展開がファンからの支持を集めました。
7位:フェイタン=ポートオ
幻影旅団のナンバー2で、口元を隠したミステリアスな雰囲気が目を引くキャラクターです。
戦闘では好戦的で、団員でもっとも残虐な方法を繰り出すことで知られています。
念能力は変化系で、自身が受けた痛みに比例して念能力を放つ攻撃で、特に激怒した際に発動される技は広範囲かつ見境なく攻撃を繰り出すため、もっとも危険な能力の一つとされています。
6位:クロロ=ルシルフル
幻影旅団の団長であり、高いカリスマ性で旅団からの信頼も厚いです。
十字架の刺青を彫った額と特徴的なイヤリングが目を引き、オールバックを解いた姿もイケメンと人気を集めています。
しかし、その正体は無慈悲な殺人中毒者であり、サイコパスを匂わせる危うさも魅力の一つです。
念能力は特質系の「盗賊の極意(スキルハンター)」で、相手の念能力を盗んで自身で使用する能力を持っています。
5位:メルエム
蟻の王こと、キメラ=アント編最強のキャラクターです。
生まれながらに念を習得し、当初は人間を家畜と認識していました。
しかし、軍儀のために呼ばれたコムギとの対局と対話を通じて、人間的な思考を持ち始めます。
ネテロとの壮絶な戦いの後、毒に侵され余命わずかとなり、コムギに看取られて亡くなるシーンは、「ハンターハンター」の名場面に数えられ、多くの読者の涙を誘いました。
最強の敵が人間性を獲得するという、哲学的なテーマを体現したキャラクターとして、高い評価を受けています。
4位:ヒソカ=モロウ
圧倒的な戦闘センスを持つ謎の奇術師です。
ピエロのような奇抜な格好が特徴ですが、化粧を落として髪を下した姿はイケメンと評されています。
強い相手と戦い、最後には相手を殺すことに快感を覚える戦闘狂であり、その危うさと予測不能な行動がファンを惹きつけています。
念能力は変化系で、オーラをゴムのように伸縮させる「伸縮自在の愛(バンジーガム)」と、オーラを物体の表面に被せ、偽の情報を相手に見せつける「薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)」を発揮しています。
ハンターハンターの人気キャラ・登場人物ランキングTOP3
非公式ランキングにおいても、公式人気投票と同様の結果となり、主人公ゴンを上回る人気を誇ったキャラクターたちに注目します。
3位:ゴン=フリークス
本作品の主人公です。
幼い頃にカイトと出会い、父ジンとの再会を胸にハンターの道を志しました。
少年漫画の主人公らしい明るく天真爛漫さと、努力を惜しまない性格、そして他人に対する思いやりが魅力です。
念能力は強化系の特徴が強く、単純で直情的、極度の負けず嫌いな一面も見られます。
キルアとの熱い友情は、多くの読者の心を打ちました。
作者の意向で、数々の困難に見舞われ、時には命が危うい状況まで追い詰められましたが、その諦めない力はまさに少年漫画の王道を行く主人公と言えるでしょう。
2位:クラピカ
金髪と中性的な容姿がかっこいい、クルタ族の生き残りです。
幻影旅団によって滅ぼされた同胞の「緋の眼」の奪取に命をかけています。
冷静沈着で頭脳明晰、そして復讐のためなら手段を選ばない冷酷さが見る者を惹きつけます。
念能力は具現化系で、念で生み出した鎖を使って戦う他、緋の眼が発動した際には特質系となり、全系統を100%使える「絶対時間(エンペラータイム)」を発動します。
暗黒大陸編では、彼の視点でストーリーが進行しており、主人公級の活躍が期待されています。
1位:キルア=ゾルディック
主人公を抜いて、圧倒的な人気と支持を集めたキャラクターです。
ゾルディック家の3男で、暗殺一家の跡継ぎとして育てられました。
ハンター試験で知り合ったゴンと友達になり、年相応の振る舞いを見せるようになります。
念能力は変化系で、オーラを電気に変化させて攻撃を繰り出します。
キルアの魅力は、大人びた容姿と少年らしい一面とのギャップ、そしてゾルディック家からの精神的な自立と成長にあります。
また、妹としてかわいがるアルカとの関係性も注目され、女性ファンを特に魅了した人気キャラです。
ハンターハンターの人気キャラに関する感想と考察
「ハンターハンター」のキャラクターは、なぜこれほどまでに読者の心を惹きつけるのでしょうか。
ファンからの感想や評価を基に、その理由を考察します。
ゴンとキルアの絆:少年漫画の王道を行く「かわいさ」と「成長」
人気ランキング一覧でTOP3にランクインしたゴンとキルアは、「ハンターハンターの顔」とも呼べるコンビであり、根強い人気を誇ります。
SNSでは「ゴンとキルアなかよすぎてかわいい」との感想が寄せられるように、暗黒大陸編に突入するまでのエピソードのほとんどは、2人の絆と奮闘が描かれました。
ゴンが持つ太陽のような明るさと、キルアが持つ孤独と影、そしてそのギャップから生まれる友情は、少年漫画の王道でありながら、緻密な心理描写によって深く掘り下げられています。
ゴンがカイトの死で暴走し、キルアが妹アルカの力を借りてゴンを救うという展開は、2人の絆が単なる友情を超えた運命的なものであることを示し、多くの読者に感動を与えました。
「好きなキャラがメイン」のエピソード構成の妙
ハンターハンターでは、クラピカや幻影旅団、そしてキメラ=アントといった、主人公以外のキャラクターに焦点を当てた長編エピソードが展開されるのが特徴です。
暗黒大陸・王位継承編では、長らく出番が少なかったクラピカが中心となり、頭脳戦のハラハラする展開が読者を惹きつけています。
「好きなキャラの登場で物語が面白い」「頭脳戦のハラハラがヤバイ」という感想が多いように、読者は各キャラクターの壮絶な過去や覚悟に感情移入し、そのキャラクターが主役となる展開を熱望しています。
この視点の切り替えと、主役を張れる魅力を持つキャラクターの多さこそが、本作が他の少年漫画と一線を画す大きな理由です。
ヒソカと幻影旅団:敵キャラの「魅力」と「過去」
人気キャラランキング一覧で、ゴンに次ぐ順位にランクインしたヒソカ、そして多数のメンバーがランクインした幻影旅団の存在は、本作の人気を語る上で欠かせません。
ヒソカの「危うさ」や「戦闘狂」としての嗜好、そして化粧を落とした際のイケメンというギャップは、特に女性ファンを魅了しました。
一方、幻影旅団については、近年になって彼らの知られざる過去や、元メンバーシーラとの関係、そして流星街出身という出自が明かされました。
「こんなんますます幻影旅団が人気になるじゃん」という感想があるように、悪の組織でありながら、仲間への強い忠誠心や悲しき過去を持つという側面が明かされることで、彼らの魅力はさらに深まり、人気を押し上げています。
特に、クロロのカリスマ性や、パクノダの自己犠牲の精神は、彼らが単なる悪役ではないことを示しています。
「媚びない漫画」としてのスタンス
一部の読者からは「ハンターハンターはいい意味でも悪い意味でも媚びない漫画」と評されています。
一般的に、人気投票の結果によってキャラクターの出番を増やしたり優遇したりする傾向が見られる中、「ハンターハンター」では、人気キャラクターであっても長らく出番がない、という状況がしばしば発生しました。
例えば、人気ランキング一覧で常に上位に位置するクラピカも、暗黒大陸編に突入するまで長らく物語の表舞台から姿を消していました。
これは、作者・富樫義博が、読者の人気に左右されることなく、物語の構成とキャラクターの役割を最優先にするという、作家としての強いこだわりを持っていることの表れだと考えられます。
この「媚びない」スタンスが、かえってキャラクターの希少価値を高め、ファンがその再登場を熱望し続けるという、独自の人気構造を生み出していると言えるでしょう。
まとめ
「ハンターハンター」の人気キャラランキングと、公式投票結果を分析しました。
公式人気投票で、主人公ゴン=フリークスが一度も1位になれなかったという異例の結果は、本作のキャラクターの多様性と魅力の深さを象徴しています。
常に1位に輝いたキルア=ゾルディックは、影を持つ美少年という容姿と、成長と自立の物語、そして妹アルカへの愛情が読者の心を掴みました。
2位のクラピカは、復讐に燃える頭脳明晰な美青年という設定と、特質系能力者としての特異な戦闘スタイルが、物語の裏の主人公としての存在感を確立しています。
また、ヒソカや幻影旅団、メルエムといった敵役も、主人公サイドに匹敵、あるいは凌駕するほどのカリスマ性と背景を持ち、物語に深みを与えています。
ゴンを上回る魅力に富んだキャラクターたちの登場と活躍は、「ハンターハンター」の最大の魅力であり、新キャラが多数登場している暗黒大陸編での彼らの活躍にも、引き続き期待が寄せられます。
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