
週刊少年ジャンプの異色作として長きにわたり愛された『銀魂』には、個性豊かすぎるキャラクターが多数登場します。
中でも序盤から強烈なインパクトを残したのが、あらゆる宇宙生物を愛でる央国星(おうこくせい)の第三皇子、通称「ハタ皇子」です。
その腹立つ顔と、地球人を見下す言動から、読者や作中キャラクターからはもっぱら「バカ皇子」と呼ばれていました。
しかし、物語の中盤以降、彼の登場回数は激減し、ファンからは寂しさを感じたという声も多く聞かれます。
本記事では、一見するとただの厄介者に見えるハタ皇子のプロフィールから、登場回数が減った理由、そして物語の終盤で明らかになった彼の壮絶な過去と兄たちとの絆までを、詳細に掘り下げて考察していきます。
最新の情報や、作中の描写から読み取れる彼のキャラクターの深みを紐解き、改めてハタ皇子の魅力に迫りましょう。
ハタ皇子とは:プロフィールと作中での役割
ハタ皇子がどのようなキャラクターで、銀魂の世界でどのような立ち位置にあったのかを解説します。
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央国星第三皇子「ハタ皇子」の基本情報
| 本名 | ハタ |
| 身分 | 央国星第三皇子 |
| 通称 | バカ皇子 |
| 特徴 | 頭部の突起物「チダンネクスコ」 |
| 趣味 | 宇宙のあらゆる生物をペットとして収集 |
| 声優 | 坂口候一 |
ハタ皇子は、地球に強い権力を持つ央国星の第三皇子として、序盤の銀魂においてトラブルメーカーとして登場しました。
彼の最大の特徴は、額から生えている突起物「チダンネクスコ」です。
央国星では、このチダンネクスコの大きさ(長さ)が雄の価値を決めるという悪しき伝統があり、ハタ皇子はこの突起物をチャームポイントとしています。
無理に引き抜くと血が出ますが、しばらくすると再生するという性質を持っています。
「バカ皇子」と揶揄される無教養な言動
ハタ皇子は皇子という高い立場にありながら、教養や品格に欠け、無神経な言動が目立つキャラクターです。
特に地球人に対しては傲慢な態度を取り、「格下の人間」と見下すことが多くありました。
この威張り散らす姿から、作中では万事屋や真選組の面々から、もっぱら「バカ皇子」と揶揄されていました。
また、その独特な話し方と声質は非常に個性的で、ハタ皇子を演じる声優の坂口候一の演技力も相まって、読者からは高い人気と認知度を誇っていました。
ペットへの深い愛情と印象的なセリフ
ハタ皇子の人物像を語る上で欠かせないのが、宇宙のあらゆる生物への「愛」です。
彼は自分のペットに愛情を注ぐ心優しい一面を持っており、「ペットぐらいとはなんじゃ ぺスは余の家族も同然ぞ」というセリフは、彼の動物に対する真摯な想いを表しています。
また、「ラブアンドピースの心をもっていれば全てうまくいくのになー」という言葉も、一見傲慢な彼が持つ、根底にある平和への願いが垣間見える印象的なセリフです。
しかし、その愛が暴走すると、ペットを最優先し、危機に瀕した際には人間にどれだけ犠牲が出ても、ペットを傷一つつけずに助けろと命じるなど、身勝手な行動に走ってしまうのが、ハタ皇子の厄介な点でもありました。
ハタ皇子の初登場エピソードと作中での活躍
ハタ皇子は物語の序盤において、主人公たちに様々な騒動をもたらす重要な役割を担っていました。
万事屋との出会い:長谷川さんのマダオ人生の始まり
ハタ皇子の初登場回は、原作では第2訓、アニメでは第7話「ペットは飼い主が責任をもって最後まで面倒を見ましょう」です。
彼のペットである凶暴な宇宙生物「ぺス」が江戸の町で暴れ出し、万事屋は当時入国管理局局長であった長谷川泰三から、ぺスを無傷で捕らえる依頼を受けます。
しかし、新八がぺスに食べられそうになったため、銀時がぺスを斬殺してしまいます。
愛するペットを殺されたことに怒ったハタ皇子は、長谷川の事を父に報告しようとしますが、日頃からハタ皇子の横暴さに不満を溜めていた長谷川に殴られてしまいます。
この一件が、長谷川が職を失い、世間から「まるでダメなおっさん(マダオ)」と呼ばれる人生のきっかけとなった、非常に重要なエピソードです。
序盤における主要な登場回と長谷川との因縁
ハタ皇子は銀魂序盤のギャグエピソードで頻繁に登場し、特に長谷川の不運に深く関わってきました。
第10訓(アニメでは第1話に再構成)の定春初登場回にも登場し、珍しい生物として狗神(定春)をコレクションしようと試みますが、銀時と神楽に襲撃され失敗に終わります。
さらに第16訓(アニメでは第11話)では、ハタ皇子を殴って職を失った長谷川が再就職したタクシーに、クビの原因であるハタ皇子が客として乗り合わせるという最悪の再会を果たします。
長谷川は、出産間近の妊婦を乗せていくことを拒否するハタ皇子を再び殴り飛ばし、夫婦を病院に送り届けますが、この行為でまたしても無職に戻ってしまいます。
これらのエピソードは、ハタ皇子が長谷川の「マダオ化」を決定づけた、切っても切り離せない因縁のキャラクターであることを示しています。
長編「星海坊主編」での意外な貢献
ハタ皇子は、銀魂初の長編シリーズである第五十七訓から第六十三訓の「星海坊主編」(アニメでは第40話~第42話)でも登場しました。
皇子の帰郷時に側近のじいがペットの容器を壊してしまったことで宇宙生物が脱走し、騒動を引き起こします。
神楽が宇宙生物に身代わりになった際には、ハタ皇子とじいは神楽を見殺しにしようとしますが、神楽の父である宇宙最強の男・星海坊主に殺されそうになるという危機に直面しました。
しかし、クライマックスでは、松平片栗虎の狙撃を阻止しようとする新八とじいが、国際問題になるハタ皇子を人質にすることで時間稼ぎをするという、予想外の形で貢献を果たします。
事件解決後、ハタ皇子はインタビューを受け、事の顛末を大袈裟に語るなど、最後までコミカルな一面を見せつけました。
登場回数が激減した理由とアニメでの「アフレコ事件」
物語の序盤に頻繁に登場していたハタ皇子が、なぜ中盤以降、その出番が皆無になったのでしょうか。
作者が「飽きた」ため本編の出番が減少
ハタ皇子の登場回が激減した理由は、公式ファンブック『銀魂五年生』にも記載されている通り、作者の空知英秋が**ハタ皇子というキャラクターに「飽きてしまった」**ためです。
これは、銀魂という作品が持つメタ的な要素や、作者の自由な作風を象徴する出来事と言えます。
結果として、ハタ皇子は星海坊主編以降、原作の本編では長期にわたって登場しない期間が続きました。
この「飽き」によって人気キャラクターの出番が減少するという事態は、銀魂という作品ならではの現象であり、読者からは惜しむ声が多く聞かれました。
アニメオリジナル回:「バカ皇子吹き替え事件」の経緯
原作での出番は減ったものの、アニメではハタ皇子はアニメオリジナル回や、メタ的なギャグ回で活躍を見せました。
特に有名なのが「バカ皇子吹き替え事件」と呼ばれる一連のエピソードです。
アニメ第75話「さよならと言って別れたのは一瞬たりとも会いたくないからだ」では、銀時の過去の盟友である高杉晋助の声をハタ皇子がアフレコするという暴挙に出ます。
これにより、一部のファンからは「好きなキャラクターがバカ皇子の声で汚された」と感じたという苦情の電話が、放送局に多数寄せられたとされています。
劇場版でも発生した前代未聞の「ハタ皇子アフレコ」
さらに、ハタ皇子のアフレコはエスカレートしていきます。
アニメ第176話では、高杉だけでなく、土方十四郎、沖田総悟、そして主人公の銀時までもがハタ皇子の声でアフレコされ、名セリフが台無しになるという事態が起こりました。
そして、ついに『劇場版銀魂新訳紅桜編』の予告(アニメ第192話)で、CMの全てがハタ皇子の声で構成されるという大事件が発生します。
極めつけは、劇場版本編でもハタ皇子がアフレコを敢行し、声優のクレジットが全てハタ皇子になるという前代未聞の事態まで発展しました。
この一連のアフレコ事件は、ハタ皇子というキャラクターの認知度と人気を不動のものにした一方で、アニメスタッフによる悪ノリと、それに対するファンの熱量がぶつかり合った、銀魂らしいメタ的な現象として語り継がれています。
なお、『劇場版銀魂新訳紅桜編』の完全生産限定版DVDには、『ハタ皇子吹き替え版』が特典として収録されるなど、この事件は作品を象徴する要素の一つとなりました。
忠誠心の裏側:側近「じい」との複雑な関係
ハタ皇子の傍には、常に忠実な側近である「じい」が控えていますが、その関係性は単純な主従関係ではありませんでした。
側近じい(ネス)のプロフィールと裏の顔
ハタ皇子の側近である「じい」は、回想シーンで「ネス」という名前であることが判明しています。
彼は表向きは皇子に忠誠を尽くす義理堅い天人ですが、その裏ではハタ皇子のことを心の中で「バカ皇子」と馬鹿にしていました。
星海坊主編では、じいは皇子のコレクションの容器を壊してしまった際に、逃げ出した宇宙生物に皇子を食べさせて自分だけ助かろうとするなど、その忠誠心が偽りであることを示す行動に出ています。
過去の回想でも、同僚のダンから「ハタ皇子のおこぼれに預かりたいだけのハイエナ」だと見透かされるなど、彼の本質は私利私欲にまみれていることが描写されています。
しかし、星海坊主編で宇宙生物に襲われた際に神楽に世話になったと語るなど、完全に冷酷な人物ではない、複雑な一面も持っています。
じいの声優は平野俊隆が務めており、銀魂の脇役キャラとして天導衆や僧侶など、複数のキャラクターを演じ分けています。
皇子を侮蔑しながらも時折見せる情
じいはハタ皇子を侮蔑していますが、最終的には星海坊主編でハタ皇子を人質にすることで松平の狙撃を阻止するなど、命懸けの行動に出て皇子を守る側面も見せました。
この一見矛盾した行動は、じいが皇子の側近として長年連れ添ってきた中で、ただのハイエナではない、何らかの情や、あるいは皇子を失うことによる自身の立場の喪失を恐れる現実的な計算が働いた結果だと考えられます。
ハタ皇子とじいの関係は、単なるコメディ要素ではなく、権力を持つ者とそれに仕える者の間に生まれる、いびつで生々しい関係性を描き出しているとも解釈できます。
衝撃の過去:ハタ皇子の真の姿と兄たちの存在
物語の終盤、ハタ皇子には想像を絶する壮絶な過去と、王位継承を巡る悲しい事情があったことが明かされます。
若き日のハタ皇子:心優しき美天人としての資質
銀魂第六百十三訓(単行本第68巻)では、ハタ皇子の若き日の過去が明らかになりました。
若い頃のハタ皇子は、現在の滑稽な姿とは似ても似つかない、綺麗な髪と澄んだ瞳を持つ心優しい美天人でした。
当時から宇宙生物を深く愛しており、その優しさは臣下からも「王の器がある」と評されるほどでした。
王の器がありながら、彼が未だに皇子の座に就き続けているのは、王の器が足りなかった兄の帰りを待ち続けているからだという衝撃の事実が判明します。
この過去の描写は、ハタ皇子が持つ「バカ皇子」という表層的なイメージを根底から覆し、彼が家族への深い愛情と、悲劇的な運命を背負ったキャラクターであることを示しています。
なお、過去のハタ皇子の声優は、現在の坂口候一とは異なる若手声優の雨澤祐貴が担当しており、この演じ分けによって、彼の内面的な変化が強調されました。
央国星の王位継承権と「チダンネクスコ」の伝統
ハタ皇子の故郷である央国星には、非常に特異で差別的な王位継承の伝統が存在します。
この国では、雄の象徴であり誇りである「チダンネクスコ」という突起物の**大きさ(長さ)**が、雄の価値、ひいては王位継承の資格を決定づけます。
どんなに才能にあふれ、品格があったとしても、チダンネクスコが大きくない者は王にはなれません。
この悪しき風習が、ハタ皇子の兄たちの悲劇的な運命を招くことになります。
ハタ皇子は、この伝統によって兄たちが苦しんだことを知っており、王位継承に対する複雑な感情を抱えていたと考えられます。
第一皇子ドラゴニアの悲劇とエリザベスとの関係
ハタ皇子の第一皇子の兄であるドラゴニアは、「九龍公子」と呼ばれた傑物でした。
5歳にしてチダンネクスコは龍の髭のように長く、才能と王の器を兼ね備えており、彼が王になれば国の繁栄は間違いないとされていました。
しかし、あまりにも大きいチダンネクスコが木に引っかかり、崖の下に落ちてしまい、行方不明となります。
物語の終盤、アルタナ解放軍の提督・紫雀の正体が明かされた直後、エリザベスの中から、長い突起物を持つドラゴニアが出現するという驚愕の展開が起こります。
ドラゴニアは崖下に落ちて死地を彷徨っていた際、謎の生物エリザベスに乗っ取られていたとされています。
彼は、王位継承を巡る争いを止めようとするハタ皇子の危機に際し、九頭龍殱を喰らわせるという圧倒的な力で弟を助けました。
しかし、その後エリザベスの中にはもうドラゴニアは存在せず、彼は地球のエリザベスになったとされています。
この壮大な過去は、銀魂の根幹を揺るがすようなシリアスな要素であり、ハタ皇子の背景に隠された悲劇の深さを示しています。
ドラゴニアの声優には、神谷明というレジェンド声優が起用されており、彼の存在の重みが強調されました。
第二皇子バルカスの決断と紫雀提督としての正体
ハタ皇子の第二皇子の兄であるバルカスは、戦略に長け、政道にも通じている王の器を持っていました。
しかし、央国星の雄の象徴であるチダンネクスコが小さかったため、王になる資格がありませんでした。
バルカスは、自分が王になったとしても王位を巡って戦乱が起こると考え、ハタ皇子のような心優しい弟が王になることによって平和が保たれることを願い、過去と国を去りました。
彼は名前も地位もチダンネクスコも捨て、戦場を求めて戦い続けた結果、アルタナ解放軍のトップである紫雀提督となっていました。
有能で美貌にも恵まれていたにもかかわらず、生まれ持った身体的特徴のために王位を継げなかったバルカスの過去は、央国星の伝統がいかに理不尽であったかを示しています。
バルカスは、後にアルタナ解放軍のトップとして一橋喜々に天導衆の件で手を組むことを提案するなど、地球の命運を左右する重要な人物として再登場します。
最終的には、過去に決別した弟のハタ皇子、そして死んだと思われていたドラゴニアと再会し、桂小太郎や坂本辰馬と協力して、圓翔の暴走を止めようと奔走しました。
バルカスの声優は、低音ボイスが特徴の津田健次郎が務めており、寡黙な二枚目キャラとしての魅力を引き立てています。
ハタ皇子を演じた声優の紹介
ハタ皇子のユニークなキャラクターを確立させた声優陣の功績は非常に大きいと言えます。
ハタ皇子の声優:坂口候一の幅広い活躍
ハタ皇子の声優は坂口候一です。
坂口候一は、特定の主要キャラを一本で演じるよりも、人間から動物まで、複数の脇役キャラクターを演じ分けることに長けた実力派声優です。
スーパー戦隊シリーズでは悪役声優として欠かせない存在であり、毎作品ゲストの悪役キャラとして登場しています。
ハタ皇子の特徴的な声は、坂口候一の持つ幅広い表現力によって生み出されたものであり、彼のキャリアにおける代表的なキャラクターの一つとなっています。
兄たちを演じたレジェンド声優
ハタ皇子の兄たちにも、その存在感に見合う豪華な声優が起用されました。
第一皇子ドラゴニアの声優は、48年の長いキャリアを持つ声優界のレジェンド、神谷明です。
彼は銀魂と同じジャンプ作品の『キン肉マン』のキン肉スグル役、『北斗の拳』のケンシロウ役など、あらゆる主人公キャラを演じてきた大ベテランであり、その起用はドラゴニアというキャラクターの重みを増しました。
第二皇子バルカスの声優は、低音ボイスが特徴的な津田健次郎です。
津田健次郎は、銀魂と同じジャンプ作品の『遊戯王』の海馬社長役など、寡黙な二枚目キャラを演じることが多い一方、バルカスのように「残念な二枚目キャラ」も得意としています。
このように、ハタ皇子とその家族には、そのキャラクターの深さを表現するために、非常に実力のある声優陣が配役されていました。
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まとめ
一見するとただの厄介者であり、途中で作者に飽きられて登場回数が激減したという異色の経歴を持つハタ皇子。
しかし、彼の物語を深く掘り下げると、その背景には、理不尽な伝統に苦しめられ、愛する兄たちを思い続ける、心優しい美天人としての姿がありました。
彼の「バカ皇子」というキャラクターは、央国星の悪しき風習が生んだ悲劇的な側面が、ギャグという形で表出したものだと解釈することもできます。
銀魂はギャグとシリアスの振り幅が魅力の作品ですが、ハタ皇子というキャラクターを通して、作者の空知英秋は、血筋や外見に囚われることの愚かさ、そして家族の絆という普遍的なテーマを描き出していたのではないでしょうか。
ハタ皇子の活躍は原作では終盤に再燃し、銀時たちと天人の闘いにおいても重要な役割を果たしました。
これからも、彼の「ラブアンドピース」の精神が、銀魂の世界でどのように語り継がれていくのか、注目していきたいところです。
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