
週刊少年ジャンプで連載され、SF人情なんちゃって時代劇コメディーと称される大人気作品『銀魂』。
主人公の坂田銀時たち万事屋銀ちゃんのメンバーと行動を共にする、真っ白な巨大犬の姿をした定春は、銀魂のマスコットキャラクターとして絶大な人気を誇ります。
一見愛らしいだけの存在に見える定春ですが、その正体は宇宙生物であり、龍穴を守る狗神という重要な役割を持っています。
本記事では、定春の基本情報やプロフィールから、ファンから「犬回」として親しまれる感動の登場回、アニメ版声優、実写映画での姿に至るまで、定春の見逃せない魅力を多角的に掘り下げてご紹介します。
万事屋メンバー、特に神楽や坂田銀時との絆を示す名シーンを通して、定春が銀魂に欠かせない存在である理由を考察します。
【銀魂】の作品情報と定春が加わった万事屋の背景
定春の魅力を深く理解するためには、まず定春が仲間入りした万事屋銀ちゃんが存在する銀魂の世界観を振り返る必要があります。
銀魂は、空知英秋が原作を手掛け、2004年から2019年まで長期にわたって連載されたSF時代劇です。
銀魂の世界観と万事屋銀ちゃんの設立
銀魂の物語は、宇宙人である天人(あまんと)の襲来を受けて開国し、それから20年後の江戸の町が舞台となっています。
廃刀令によって侍の時代が終焉を迎える中、剣術道場の跡取りである志村新八は、アルバイトで生計を立てていました。
そんな新八の前に現れたのが、坂田銀時です。
天人に絡まれていた新八を助けた銀時の侍魂に惹かれた新八は、銀時が営む万事屋銀ちゃんで働くこととなります。
その後、夜兎族の神楽が加わり、万事屋は「どんな仕事でも請け負う」をモットーに、江戸のかぶき町で大騒動を巻き起こしていきます。
定春は、万事屋が人間だけのメンバーで構成されていたら成立しなかった、重要なピースとなるキャラクターです。
定春のプロフィール:宇宙生物の巨大犬
定春は、万事屋銀ちゃんのメインマスコットキャラクターです。
かわいらしい見た目とは裏腹に凶暴な一面も持つ定春のプロフィールは以下の通りです。
| 内容 | 項目 |
| 種族 | 宇宙生物(狗神) |
| 性別 | オス |
| 特徴 | 真っ白な巨大な犬 |
| 拾った人物 | 神楽 |
定春は、万事屋の前に捨てられていたところを神楽によって拾われ、そのまま万事屋の仲間となりました。
神楽の愛を受けている定春は、神楽を背中に乗せて移動することもできる、体格を活かした活躍を見せています。
定春の正体と巨大化の秘密:狗神としての能力
定春は、その巨大な身体と食費から普通の犬ではないことが示唆されていましたが、物語の中でその正体が明らかになります。
定春は「狗神」であるという事実
定春は、犬の姿をした宇宙生物であり、その正体は龍穴(りゅうけつ)を守るための神殿で飼われていた狗神です。
狗神は、大昔から地球に生息していたという説や、地球にやってきた宇宙生物であるとも考えられています。
元々の飼い主である巫女の姉妹からも「大きすぎる」とされていたことから、定春は狗神の中でも特に巨大であると考察する見方もあります。
この狗神という正体が、定春が時折見せる超常的な力や巨大化という特殊能力の根拠となっています。
巨大化の原因と元の飼い主:巫女姉妹の登場
定春の元の飼い主は、アニメ45話で登場した巫女の姉妹阿音(あね)と百音(もね)です。
天人の襲来によって神殿が破壊され、生活していくことが困難になった姉妹は、定春の食費がかかりすぎるという現実的な理由から、定春を万事屋の前に捨てるに至りました。
定春が巨大化する原因は、龍穴のエネルギーが関わっていますが、万事屋で定春が飲ませていた「いちご牛乳」など、特定の液体を飲むことで一時的に覚醒し、巨大化することがあります。
アニメ45話では、巨大化した定春を元の姿に戻すため、坂田銀時たちがキャッチボールを駆使して五芒星を描き儀式を執り行うという、銀魂らしいギャグとシリアスが混在した展開が見られました。
巨大化した定春が、神楽に石がぶつかったことで狂暴化し暴走した際、銀時が定春を連れて帰ろうとする阿音のアホらしい考えを一蹴し、そのまま定春を飼い続けると宣言するシーンは、万事屋の絆が深まる重要な回でもありました。
定春の感動の主役回「犬回」のあらすじと絆
定春の主役回の中でも、特にファンの涙を誘い、定春と万事屋の絆が深く描かれたエピソードが、アニメ276話「ドッグフードは見た目より味がうすい」、通称「犬回」です。
マスコットとしての定春ではなく、万事屋の一員としての定春の優しさと覚悟が描かれた必見の登場回です。
犬回①:万事屋からの家出と子犬との出会い
犬回の物語は、金欠で困り果てた万事屋が、定春用のドッグフード3粒しか残されていない極限の状況から始まります。
坂田銀時と神楽が「世話をしている人間の苦労も理解してほしい」と訴え、ドッグフードを食べてしまったことに怒りと恨みを抱いた定春は、万事屋を家出します。
行く当てもなく江戸の町をさまよう定春は、ゴミ捨て場で一匹の子犬を見つけます。
空腹の定春は子犬を食べてしまおうとしますが、神楽に拾われた自分の過去を思い出し、子犬を見捨てることができませんでした。
定春は、まるで親犬のように子犬を世話し、川で獲った魚を身の多い胴体の部分を子犬に分け与え、自分は尻尾の部分だけを食べるという献身的な姿を見せます。
犬回②:真選組との遭遇と子犬の病気
家出2日目、子犬と一緒に町を歩き回る定春は、真選組の沖田総悟に遭遇します。
沖田は二匹を真選組のイメージキャラクターにしようと提案しますが、土方十四郎にブーイングを受け、警察犬としての適性を調べるに留まります。
定春は、褒美として出されたマヨネーズに脅威を感じ、真選組からも逃げ出してしまいます。
万事屋の知り合いたちを見つけますが、頼りにならず新たな飼い主となる可能性は見えませんでした。
子犬の具合が悪そうなことに気がついた定春は、子犬を動物病院へ連れて行こうとしますが、化け物扱いされてしまい、公園へ戻ることとなります。
犬回③:子犬の旅立ちと定春の帰還
子犬の首輪に書かれた住所を見つけ、そこに向かった定春は、そこで聞き込み中の坂田銀時に遭遇します。
銀時から子犬の飼い主がすでに病死していると知らされ、近所の住人に子犬を処分しろと言われると、定春は怒ります。
しかし、銀時の誘導で公園へ戻った定春の前には、空腹の定春のために魚を持ってきてくれた子犬の姿がありました。
子犬は餌を食べられず、やがて二匹は倒れてしまいますが、目覚めた定春は動物病院の檻の中にいました。
子犬が処分されたと勘違いして銀時に襲い掛かる定春でしたが、銀時の後ろには、新たな飼い主である女の子に迎えられて元気になった子犬の姿がありました。
銀時から「坂田家はしんどい時はすべてを仲良く分け合うのだ」と言われ、定春は再び誇り高く万事屋へと戻っていったのです。
このエピソードにより、定春は万事屋の「ペット」ではなく「家族」であり、坂田銀時たちと深い絆で結ばれていることが、読者に再認識されました。
定春を彩る声優と実写での再現度
定春のかわいらしさと魅力をさらに増幅させたのが、アニメでの声優と実写映画での表現です。
定春のアニメ版声優:高橋美佳子のプロフィール
アニメ版の銀魂で定春の声優を担当したのは、高橋美佳子です。
高橋美佳子は、定春以外にも寺門通の声優も担当しており、銀魂の実写版でも声優として出演しています。
| 内容 | 項目 |
| 名前 | 高橋美佳子(たかはしみかこ) |
| 生年月日 | 1980年5月29日 |
| 出身 | 千葉県 |
| 職業 | 声優、歌手 |
| 代表作 | 『テニスの王子様』、『魔法少女リリカルなのは』 |
高橋美佳子は、声優としてだけでなく歌手としても活躍しており、定春の愛らしい鳴き声や、時に凶暴な咆哮を見事に演じ分けました。
実写映画での定春の姿:CG表現の採用
銀魂の実写映画が制作決定した際、ファンの間で定春がどのように表現されるかは大きな注目ポイントでした。
人が乗れるサイズの巨大な犬を現実的に再現することが困難であるため、実写映画での定春は、CG映像として登場する形が採用されました。
ギャグ作品である銀魂だけに、本物の大型犬を起用する噂もありましたが、CGによる表現は原作の定春の巨大さと愛らしさを忠実に再現し、ファンを納得させました。
定春のユニークな魅力と万事屋メンバーとの関係性
定春は、万事屋のマスコットキャラクターという枠に収まらないほどのユニークな魅力を多数持っています。
定春のかわいい魅力:噛みつき癖と名前の由来
定春の魅力として定番なのが、主人公の坂田銀時を噛むという特徴です。
巨大な犬の定春に頭を齧られ、額から血を流している坂田銀時という構図は、銀魂ではお馴染みの光景です。
銀時を噛むのは、定春にとって愛情表現やじゃれつきの一種であるとも解釈でき、銀時との不器用な関係性を象徴しています。
定春という名前は、万事屋で飼われることが決まった際に神楽が名付けたもので、神楽は以前にもうさぎやフンコロガシに定春〇号と名付けていたことから、定春が神楽にとって大切なペットにつけるお気に入りの名前であることがわかります。
坂田銀時から「タツノリ」「シゲオ」などと呼ばれていたことから、定春の名前はプロ野球選手の王貞治に由来すると考察する読者が多いです。
定春と神楽・坂田銀時との深い絆
定春と万事屋のメンバーとの関係性は、定春の魅力を語る上で欠かせない要素です。
定春を拾ったのは神楽であり、定春が最も信頼し懐いているのも神楽です。
神楽が定春の背中に乗っている姿は頻繁に見られ、二人が共に行動する姿は万事屋の日常を象徴しています。
坂田銀時とは衝突することが多いですが、劇場版『銀魂完結編 万事屋よ永遠なれ』では、姿を変えた銀時の正体に定春だけが気づくという感動的なシーンが描かれました。
不仲に見えて確かな絆が積み重ねられた銀時と定春の関係性は、ファンの涙を誘う名場面の一つです。
定春のライバルたち:マスコットキャラクターの覇権争い
銀魂には、定春以外にも個性豊かなマスコットキャラクターが多数登場し、時に定春と覇権争いを繰り広げています。
定春のライバルともいえるマスコットキャラクターたちを紹介します。
エリザベス:形容しがたい不思議な相棒
エリザベスは、攘夷志士の桂小太郎の相棒として登場する、アヒルのようなペンギンのような形容しがたい不思議な見た目をしたキャラクターです。
エリザベスはボードのような物を使い、言葉を交わすのが特徴です。
エリザベスと定春はライバル関係にあり、テレビ番組で対決したり、人気投票の順位を争って拳で殴り合うという、マスコットキャラクターとは思えない激しい争いを繰り広げたこともありました。
定春の可愛らしさとは対照的なエリザベスのシュールな魅力も、銀魂の人気を支える要素の一つです。
ジャスタウェイ:爆弾の正体を持つゆるキャラ
ジャスタウェイは、細長いこけしのような形をした、ゆるキャラ的なポジションのキャラクターです。
定春やエリザベスとは違って生き物ではなく、その正体は爆弾という衝撃的な設定を持っています。
作品内に度々その姿を登場させ、知名度は高いですが、定春との特に深い関係性は描かれていません。
ジャスタウェイのシュールな存在感も、銀魂の独自の世界観を形成する重要な要素となっています。
ゴリラ:原作者から真選組局長まで
銀魂には、定春やエリザベスとは異なる意味で「マスコットキャラクター」的な扱いをされる「ゴリラ」と称されるキャラクターが三人登場します。
一人目は真選組局長の近藤勲で、新八の姉である志村妙に対するストーカー行為などから「ゴリラ」と揶揄されています。
二人目は志村妙で、近藤勲のストーカー行為を撃退する際の凄まじい暴力性から「ゴリラ」と称されることがあります。
三人目は原作者の空知英秋で、自画像をゴリラにしていることから、ファンから親しみを込めて「ゴリラ原作者」と呼ばれています。
まとめ:定春が銀魂にもたらす「家族」の存在
銀魂のマスコットキャラクターである定春は、かわいいだけでなく、龍穴を守る狗神という正体や、万事屋の絆を深める感動的なエピソードを持つ奥深い存在です。
坂田銀時を噛むという定番のギャグから、子犬を献身的に世話する「犬回」での優しさまで、定春の魅力は多岐にわたります。
定春が万事屋にもたらしたのは、「ペット」ではなく「家族」という存在であり、孤独な坂田銀時の周りに確かな居場所を築いた立役者の一人です。
定春のぬいぐるみやストラップといったグッズが高い人気を誇るのは、定春の愛らしさだけでなく、万事屋の温かい絆を象徴する存在だからでしょう。
この機会に、定春の活躍を改めて原作漫画やテレビアニメ、実写映画で復習し、定春というキャラクターの新しい魅力を発見してみてはいかがでしょうか。
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