
賀来ゆうじ先生が描く和風ダークファンタジー『地獄楽』の単行本第9巻は、天仙様(てんせんさま)たちとの激しい死闘が続く一方で、主人公たちを絶望の淵に突き落とす最大の危機が発覚する巻です。
倒しても倒しても再生する鬼尸解(きしかい)の天仙を相手に、画眉丸(がびまる)たち人間は多大な犠牲を払いながらも戦いを繰り広げていますが、この戦いが島の外の世界を巻き込む恐るべき計画の「足止め」にすぎなかったという、衝撃の真実が明らかになります。
本記事では、蓮(リエン)が企む「倭国全土丹化計画」の全貌と、満身創痍の状態で因縁の敵と対峙した士遠(しおん)の執念、そして人間たちが不本意ながらも協力して強大な敵を打ち破る逆転劇について、徹底的に解説します。
【地獄楽】絶望的な真実:蓮の「倭国全土丹化計画」の全貌
画眉丸、杠(ゆずりは)が蘭(ラン)との激戦の末に倒れ、巌鉄斎(がんてつさい)チーム、士遠チーム、そして仙薬を求めて煉丹宮へ向かった佐切(さぎり)とめいの一行も、それぞれ天仙様との遭遇を避けられませんでした。
島から生きて戻るという当初の目的すら意味をなさなくなるかもしれないという、人類史上最悪の計画が、この9巻で明らかになります。
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佐切と桂花の対話:戦闘拒否の天仙が明かした未来
仙薬を求めて煉丹宮へ到着した佐切とめいが出会ったのは、この場所に本来いるはずの蓮ではなく、天仙のひとりである桂花(グイファ)でした。
桂花は顔を隠すように本を広げ、「僕は争う気はない」、「邪魔しないなら僕も何もしない」と、戦闘を避けたいという姿勢を見せます。
めいによれば、桂花は元々人見知りが激しい天仙ですが、最近はその傾向がさらに強くなっているとのことです。
佐切は、島への侵入やその後の振る舞いについて詫びつつ、これ以上の殺し合いは無駄であること、そして自分たちは黙って島を出るので見過ごしてほしいという「休戦の提案」を桂花に持ちかけます。
驚くべきことに、桂花を襲っていた凄まじい圧力は消え失せ、彼は佐切たちの戦う意志がないことを確認すると、その提案を受け入れたかに見えました。
しかし、桂花は「もう意味ないと思うけど、生きて倭国(わこく)に帰っても」と衝撃的な発言を口にします。
天仙にも感情があり、人間と変わらない「心」があることが描かれてきた中で、桂花が戦いを拒否しつつも、この絶望的な言葉を淡々と告げた背景には、蓮の恐るべき計画の存在があったのです。
神獣「盤古」の恐怖:極楽蝶の卵と完成された丹
桂花は自らの力、すなわち「明目法」と呼ばれる儀式によって、タオの宿るものを媒体に運命の吉凶を見る力、霊符を通して別の場所の現在の姿を映し出す幻影を佐切とめいに見せつけます。
それによって映し出された幻影は、蓮が道士(どうし)とともに船出の準備をしている様子であり、蓮が船で向かう先は、佐切たちが生まれ育った「倭国」でした。
蓮の目的は、倭国の人間を全て丹(たん)にするという、おぞましいものです。
船に積み込まれているのは、刺した人間を花化(かけ)させる極楽蝶の卵であり、これを日本で羽化させ、国中にばら撒くことで、日本中の人々を花化させるというのです。
そして、花化したすべての人々がやがて大きな一つとなり、神獣「盤古(ばんこ)」と呼ばれる巨大な存在へと変化します。
その盤古から、蓮が求める「完璧な丹」が精製されるというのです。
佐切は、天仙が人間に対してなぜこのような行為に及ぶのか理由を尋ねますが、桂花は「人間は仙薬の材料」と淡々と答えるのみでした。
この計画が実行されてしまえば、画眉丸たちが島で戦ってきた意味は失われ、倭国の人間は全滅します。
この絶望的な幻影と真実を知った佐切は、そのおぞましさに吐き気を覚えるほど動揺しますが、蓮の凶行を阻止することが、島からの脱出よりも優先されるべき最大の目標となったのです。
【地獄楽】四人組の逆転劇:合体鬼尸解・菊花&桃花への連携攻撃
佐切が絶望的な計画の全貌を知る一方で、島の別の場所では、巌鉄斎、付知、賊王の亜左弔兵衛(あざちょうべい)、弟の桐馬(とうま)の四人組が、合体鬼尸解した天仙・菊花(ジュファ)と桃花(タオファ)を相手に激戦を繰り広げていました。
菊花と桃花が合体し、羽が生えて空を飛ぶその姿は、まさに最強であり、あまりの衝撃的な状況に、四人全員が茫然としてしまいます。
彼らが地上へ降らせる胞子が付着した巌鉄斎の様子がおかしくなるなど、この天仙は圧倒的な力で人間たちを追い詰めます。
巌鉄斎・付知・弔兵衛・桐馬:不本意な共闘が生んだ光明
弔兵衛は花化(かか)した身体で菊花・桃花へ飛び掛かって斬りつけますが、すぐに触手による反撃を食らってしまいます。
この極限の状況下で、地上へ落ちた弔兵衛をからかう巌鉄斎、言い返す弔兵衛、そして兄を心配しまくる桐馬と、相変わらず一筋縄ではいかない人間たちですが、付知が冷静に3人を宥め、不本意でも協力するよう提案します。
元々、弔兵衛と桐馬は、弟の無事を最優先する弔兵衛の思惑で天仙側についたかに見えましたが、彼らが世界を花に変えようとする天仙に完全に与するはずもなく、この不本意な「四人組」の共闘が始まります。
戦い方について桐馬と巌鉄斎が揉める中でも、菊花・桃花は容赦なく触手をぶつけてきますが、自分だけでどうにかしようとする弔兵衛を桐馬が助け、さらに桐馬は付知と手を繋いで菊花・桃花へ向かって駆け出すという、感動的な連携が生まれます。
この一連の行動は、桐馬が兄以外の人とも協力できるようになるという、彼の成長を示すものであり、この殺伐とした物語の中での希望の光と言えるでしょう。
相克のタオが導いた活路と巌鉄斎の快刀
桐馬が付知のタオの効果を高めたおかげで、付知のタオと相克(そうこく)である桃花へ攻撃が効き、人間側は天仙たちへ一気に畳み掛ける活路を見出します。
しかし、菊花・桃花はことごとく攻撃を捌いてしまい、丹田(たんでん)を破壊することができません。
そこで巌鉄斎が「攻撃の隙を作る」と言って駆け出し、桐馬が付知を庇うという連携を経て、巌鉄斎はついに菊花・桃花の下へ潜り込むことに成功します。
巌鉄斎は、刀を振るって合体した天仙二人を「一刀両断」し、斬り離すという偉業を成し遂げます。
これは、巌鉄斎がこれまでの戦いで開花させた、タオを見切る「眼」と「八洲無双の剣龍」としての剣術の極意が結実した瞬間であり、天仙の異常な再生力を抑え込めれば、人間側が勝利に繋げられるという光明が差し込みました。
この戦いは、能力の相性や技術もさることながら、不本意ながらも「生きて帰る」という目的の下で協力し合った人間たちの「想い」が、圧倒的な天仙の力を上回った瞬間として、読者に大きなカタルシスを与えました。
【地獄楽】士遠の執念とヌルガイの決断:典坐の仇討ちと仲間への想い
巌鉄斎チームの激闘と並行して、士遠とヌルガイの二人も、士遠にとって因縁の敵である天仙・ヂュジンと対峙していました。
士遠は、かつての弟弟子・典坐(てんざ)の仇を打つという強い執念に囚われ、満身創痍の身で戦いを続けていました。
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因縁の対決の行方:士遠VSヂュジンの満身創痍の激闘
士遠は、ヂュジンを250回も殺し、あちこちに転がるヂュジンの無数の死体を前に、ヂュジンの再生は遅くなっているものの、同時に士遠自身の体力も限界に近付いているという状況でした。
ヂュジンは、タオを大量に消費し老人のような姿になっていましたが、切り離された己の身体のパーツを操って士遠とヌルガイを攻撃するという、天仙ならではの異常な攻撃を仕掛けてきます。
士遠は「典坐の仇を打つ」という執念に突き動かされ、満身創痍の身でありながらもヂュジンへ戦いを挑み続け、典坐の最期を思い、痛みを堪えようとします。
しかし、ヂュジンはとある方法でタオを回復させ、さらに身体の一部を鬼尸解させたことで、戦況は振り出しに戻ってしまいます。
士遠は、己の命と引き換えにしてでもヂュジンを殺す気満々であり、ヌルガイへここから離れるよう指示しますが、その脳裏をよぎるのは、母と共に旅芸人をしていた幼い頃、そして山田家に入ってきた典坐のことでした。
士遠は典坐に憧れていましたが、士遠もまた典坐に憧れていたという、二人の深い絆が回想シーンで描かれます。
士遠の自己犠牲とヌルガイの命を懸けた説得
士遠は、ヂュジンの胚珠(はいしゅ)を刀で串刺しにしているものの、ヂュジンの蔓(つる)が士遠の身体を侵蝕し、このままでは死んでしまうという絶体絶命の状況に陥ります。
典坐の死に際に自分が下した「正しい」判断を許せずにいる士遠は、自分を命と引き換えにヂュジンを道連れにしようとしますが、一旦はこの場を立ち去ったヌルガイが再び飛びつきます。
ヌルガイは、士遠の身体から蔓を毟り取り、タオを回復させるために固く抱きつきます。
士遠はヂュジンへ止めを刺すことに固執しますが、ヌルガイはヂュジンのタオの再生には時間が掛かるだろうから、放置して皆の元へ行こうと説得します。
この士遠の自己犠牲的な行動は、「正しい」判断を下したはずなのに、それでも典坐を救えなかった自分を責める、彼の深い苦悩の現れであると読者は分析したでしょう。
ヌルガイは、典坐の無念を晴らすことを諦めようとしない士遠へ、典坐の死の直前の様子について語り始め、士遠の「命」を優先させ、強引に戦線から離脱させるという「正しい」決断を下します。
この二人のやり取りは、典坐の仇を討つという「執念」よりも、仲間の命を優先するという「人間的な絆」が勝利した瞬間であり、多くの読者が感動を覚えたシーンでした。
【地獄楽】島の終焉か、新たな戦争か:追加上陸組の脅威と人間同士の衝突の予感
天仙との激しい戦闘が相次いで決着し、人間たちは一時の休息を得ますが、蓮の恐るべき計画と、新たな勢力の来訪によって、物語はさらなる混沌へと向かいます。
情報共有と新たな局面への移行
菊花・桃花との戦いを終えた巌鉄斎、付知、桐馬は、ケガの治療をしたり、巌鉄斎の眼帯の位置について意見をぶつけ合ったりと、束の間の平和な時間を過ごしますが、そこに弔兵衛が現れ、蓮が本土(倭国)の人間を丹にしようとしているという、絶望的な情報を伝えます。
弔兵衛は、天仙との戦いは「足止めにすぎない」と語り、この島を脱出するだけでなく、蓮の計画を阻止するという、新たな使命が人間たちに課せられたことを示唆します。
一方、ヌルガイに肩を借りて歩く士遠も、島を出た後についてヌルガイと話していたところ、急に地鳴りと何かが崩れたような音を聞きます。
これらの地鳴りは、蓮の船出によるものか、それとも新たな勢力の来訪によるものなのか、島に何が起こっているのかという緊張感が募ります。
最悪の来訪者・殊現と山田家同士の衝突
この地鳴りは、天仙との戦いに集中していた人間たちが、一時的に忘れかけていた「追加上陸組」が蓬莱へ到着したことを予感させるものでした。
殊現(しょうげん)を筆頭とした追加上陸組は、罪人のみならず、山田浅ェ門の名前を汚す者も殺す気満々であり、彼らの存在は蓮の計画と並ぶ、人間たちにとっての大きな脅威となります。
これまで、佐切、士遠、付知は、罪人と監視役という垣根を越えて共闘し、絆を深めてきましたが、殊現は、衛善(えいぜん)の死を目の当たりにしたことで、その狂気的な正義感を露わにしています。
そのため、彼らが罪人である画眉丸たちだけでなく、罪人と共闘した佐切、士遠、付知といった山田浅ェ門たちに対しても、容赦なく刀を向ける可能性が非常に高いと読者は見ています。
天仙という「化け物」との戦いに加えて、「山田家」同士での戦い、すなわち人間同士の衝突の発生が予感され、物語の勢力図はますます混沌としていくのです。
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【地獄楽】まとめ
漫画『地獄楽』第9巻は、人間たちが天仙との激闘を繰り広げる中で、最大の敵である蓮が、倭国全土の人間を丹にするというおぞましい計画を企てていることが発覚し、物語の目的が「島からの脱出」から「人類の存続」へと一変する、重要な転換点となりました。
巌鉄斎と付知、弔兵衛、桐馬の四人組は、不本意ながらも連携し、合体鬼尸解した菊花と桃花を斬り離すという、大きな戦果を挙げます。
一方、士遠とヌルガイは、典坐の仇であるヂュジンを倒したものの、士遠は典坐の死の真相を知ったヌルガイによって、命を救われ、戦線から離脱しました。
これにより、蓮、そして戦闘を避ける桂花を除いて天仙は一時的に倒されましたが、弔兵衛からの情報によって、すべての戦闘が蓮の計画のための「足止め」にすぎなかったことが判明します。
そして、最悪の来訪者である殊現を筆頭とした追加上陸組が蓬莱へ到着したことを予感させ、天仙との戦いに加えて、山田家同士の衝突という新たな戦いの火種が生まれます。
天仙との決着、蓮の計画の阻止、そして追加上陸組との衝突という、いくつもの大きな展開が待ち受ける10巻に向けて、物語は最高の緊張感の中で続いていきます。
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