
D.Gray-manの主人公・アレン・ウォーカーは、この作品で最も謎が多いキャラクターです。
ノアとイノセンス、敵と味方、過去の自分と現在の自分、という二重どころか三重四重の矛盾を一つの肉体に抱えながら「僕はエクソシストだ」という信念だけを軸に歩き続けるその姿が、読者を20年以上引きつけてきた核心です。
この記事では、アレン・ウォーカーのプロフィール・外見・性格・イノセンスの全形態・来歴・ネアとの関係・35年前の真実・アポクリフォスとの因縁まで、原作に基づいて全て網羅します。
アニメ『D.Gray-man HALLOW』まで観た方も、原作の最新話まで追っている方も、この記事でアレン・ウォーカーという人物の全体像を改めて整理してください。
アレン・ウォーカーの基本プロフィールと外見の変化
アレン・ウォーカーは仮想19世紀末のヨーロッパを舞台に活動するエクソシストです。
国籍はイギリスで、身長は168cmから始まり物語の進行とともに174cmまで成長しています。
体重は58kgから変動し、血液型はO型、誕生日は不明ですがマナに拾われたのは12月25日と記録されています。
推定年齢は15〜16歳とされていますが、35年前に存在し若返って現在の姿になっているというネアの発言があり、実際の来歴はこの数字よりはるかに複雑です。
白髪・ペンタクル・奇形の左腕|生まれつきの異形と実の親に捨てられた来歴
アレンの外見で最も目を引くのは白髪、左目の上に刻まれた逆さのペンタクル、そして普段は手袋で隠している赤黒い左腕です。
髪の色はもともと茶髪でしたが、AKUMA化したマナを破壊した際に色素が完全に抜けて白くなりました。
本人もこの白髪を多少気にしており、染めようとしたこともあるものの、すぐに白く戻ってしまうため染めるのをやめたと25巻の談話室でティモシーを通して語られています。
左腕は生まれつき寄生型のイノセンスが宿っており、血のように赤黒く変色した状態が普段の姿です。
この異様な外見が原因で実の親に捨てられ、サーカスに買われるという過酷な出発点を持っています。
左目上のペンタクルはAKUMAとなったマナを破壊した際に受けた呪いの痕跡であり、これがアレンのAKUMA探知能力の源泉でもあります。
前髪の分け目が変わった理由|167夜のクロスとの面会後に起きた心境の変化
作中でアレンの前髪の分け目が真ん中分けから左側分けに変化する場面があります。
これは第167夜でクロスと面会した直後のことで、呪いの傷のある左側で分けるようになりました。
公式ファンブック『灰色ノ記録(グレイログ)』の中で作者・星野桂はこの変化について「心境の変化をビジュアルで表したいと思って分け目を変えたら、アレンの動揺と必死さが伝わってきた」と語っています。
さらにアレンはペンタクルをあえて晒すことでマナから愛されていたと主張し始めており、リナリーがこの変化になんとなく勘づく描写も挟まれています。
見た目の細部にまで心理状態を反映させるという作者の演出の緻密さが、この一場面に凝縮されています。
「赤腕」と呼ばれたサーカス時代からアレン・ウォーカーを名乗るまでの経緯
サーカスに買われた幼少期のアレンは、異形の左腕から「赤腕」と呼ばれていました。
まともな名前を持たず、雑用をこなしながら過ごしていたこの時期のアレンは、現在の礼儀正しい姿とは真逆の言葉遣いの悪いやさぐれた少年で、「友達なんかいらない」とまで言い切っていたと描かれています。
小説版では記憶がない状態だったことも示されており、自分が何者であるかを知らないまま生きていた時期があったことがわかります。
サーカスで雑用をしていたところを旅芸人・マナ・ウォーカーに拾われ、大道芸を仕込まれて各地を旅する日々が始まります。
「アレン・ウォーカー」という名前はマナの死んだ犬の名「アレン」を引き継ぎ、またマザーが「歩く人」という意味で「ウォーカー」と呼んだことから名乗るようになりました。
「赤腕」という蔑称から人の名前を得るまでの過程に、マナという存在がアレンの人格形成にいかに深く関わっているかが見えます。
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アレン・ウォーカーの性格と二面性|礼儀正しいお人よしと「黒アレン」の正体
アレンの性格を一言で表すなら「礼儀正しいお人よし」です。
人間であれば誰とでも敬語で接し、物腰が柔らかく、場を和ませる立ち振る舞いを取ります。
ただし、その表の顔の下にはある特定の状況で豹変するもう一つの顔があります。
紳士的な表の顔と、カードゲームで豹変する「黒アレン」が生まれた修行時代の事情
「黒アレン」という呼称を付けたのはラビです。
カードゲームや金銭の話題が出たとき、あるいはポーカーの場に立ったとき、アレンは普段の穏やかな表情が消え、命懸けで習得したえげつないイカサマを平然と仕込んでくる別人格を見せます。
この黒アレンが生まれた背景は、師匠・クロス・マリアンとの修行時代にあります。
クロスは自身の莫大な借金を弟子であるアレンに丸ごと押し付けるという師匠とは思えない行為を繰り返しており、その借金はジャスデビが押し付けられた100ギニー(約200万円)を「はした金・軽過ぎる」と一蹴するほどのレベルです。
借金取りに追われながら生き抜くために覚えたイカサマ博打が、アレンにとっての生存技術でした。
修行時代のトラウマはアルコールへの苦手意識にもつながっており、酒の席ではアレンの脆い部分が表に出ます。
表の紳士的な顔と、金と勝負の話で豹変する「黒アレン」の二面性は、過酷な修行時代が削り出した人格の二層構造として機能しています。
神田ユウとの衝突と根底にある共通点|なぜ2人は反りが合わないのか
アレンが唯一敬語を外して感情的に衝突するのが神田ユウです。
顔を合わせれば喧嘩になり、神田からは「モヤシ」と呼ばれ続けます。
この反りの合わなさの根本にあるのが、2人の価値観の表面的な対立です。
アレンはAKUMAに内蔵された魂を救済したいという思いでエクソシストを続けており、敵であっても助けようとする行動原理を持ちます。
神田は母親代わりのアニタや多くの仲間をAKUMAやノアに殺されてきた過去から、ノアやAKUMAへの憎悪が人一倍強く、アレンの「敵を救う」という姿勢に対して偏見を抱いています。
しかし何かと言葉がハモったり息ぴったりの行動をとるなど、根は2人とも似ているとラビやリナリーが指摘しています。
北米支部でアルマの復活と第二使徒計画の真実が明かされた際、アレンが神田とアルマの殺し合いに割り込み2人を守ろうとした行動が、神田の中でのアレンへの見方を変えるきっかけとなりました。
教団から追われる身になったアレンを支える存在として神田が機能するようになった経緯は、この2人の関係性の変化を丁寧に積み重ねてきた物語の成果です。
アレン・ウォーカーのイノセンスの全形態と進化の条件
アレンのイノセンスは寄生型であり、左手甲に宿っています。
寄生型は装備型と異なり、適合者の肉体の一部が直接武器化するため、イノセンスとのシンクロ率が高く、イノセンスの力をより大きく引き出せる反面、体力の消耗が激しく寿命も短い傾向があります。
また、体内のイノセンスが侵入してきたダークマターを浄化するため、AKUMAの血のウイルスで死ぬことがないという特性も持ちます。
アレンのイノセンスはこれまで観測されたことのない特異な働きを繰り返しており、ハートである可能性が早い段階から示唆されています。
第一形態「十字架」|奇形の左腕に宿った爪がAKUMAを粉砕するまで
入団当初の形態が「十字架(クロス)」です。
発動すると左腕全体が銀色の巨大な鉤爪のような形状に変化し、AKUMAの硬質な装甲を容易く粉砕します。
神田との初任務(南イタリアのマテール)の際に腕が変形する機能を獲得し、遠距離攻撃も可能となりました。
最大解放時には咎落ちしたスーマンを鷲掴みにできるほどの巨大化が可能で、大きさを自在にコントロールできます。
初期のシンクロ率の最高値は83%と記録されており、この段階ではイノセンスがアレンの思いに反応して発動に似た状態になっているだけという、まだ本来の力を発揮していない原石に近い状態でした。
この形態はティキ・ミックによって破壊され、さらに心臓に穴をあけられるという絶体絶命の経験を経て次の形態への扉が開きます。
真の姿「神ノ道化」|アジア支部のLv3との死闘で覚醒した白いマントの意味
「神ノ道化(クラウン・クラウン)」はアジア支部でのLv3との戦闘で覚醒したイノセンスの真の姿です。
全身を真っ白なマントで覆い、マントには「善の道化師(クラウン)」の仮面が付いた二又のフードが付いています。
「十字架」が腕部のみの変化だったのに対し、「神ノ道化」は全身を覆う形へと次元を変えた進化です。
細く洗練された形状の爪となり、Lv3のAKUMAの装甲すらも粉砕する高い攻撃性を持ちます。
爪やマントは伸縮自在で、用途に合わせて形状を変化させることが可能です。
この覚醒の条件は能力値の積み重ねではなく、信念の更新でした。
「AKUMAを救済するために自分は存在する」という一点から「AKUMAと人間(ひと)を愛し、右手で人を、左手でAKUMAを救う」という信念へとアレンが心の底から切り替わったとき、イノセンスは真の姿を見せます。
この覚醒が精神的成長を直接イノセンスの進化に結びつけるという、D.Gray-man という作品の根幹にある思想を最も雄弁に示した場面です。
なお、纏ったマントを「操る」ことで疲弊した肉体を強引に動かすことも可能ですが、最悪「死」に至る恐れがあるという代償も付きます。
最終形態「退魔ノ剣」|江戸の箱舟でシンクロ率が臨界突破した際に現れた白亜の大剣
「退魔ノ剣(-D-)」は江戸の箱舟でのティキとの交戦中にイノセンスとのシンクロ率が臨界突破したことで発動した「神ノ道化」の新形態です。
十字架が刻印された白亜の大剣で、その形状は千年伯爵の大剣と瓜二つでありながら配色が真逆という、見た者を動揺させる外見を持ちます。
千年伯爵はこの剣を目にして奇縁を感じずにはいられなかったと描かれており、ロードはアレンのこの姿に伯爵の姿をダブらせています。
この剣はアレンの左腕そのものであるため、発動中は左腕が剣に変化した隻腕状態になります。
ただし元の「神ノ道化」へ転換(コンバート)することも可能で、剣が手元から離れていてもアレンの意思で手元に呼び戻すことができます。
最も際立った特性が「人を斬らずに悪だけを斬る」という剣の性質です。
人間に対しては刃がすり抜けてしまいますが、AKUMAやノアが触れれば致命傷を負います。
なお痛みを伴わずに突き刺すことは可能で、アレンはこの性質を利用して怪盗Gを脅迫し正体と居場所を突き止めるという場面で使っています。
この剣の性質が象徴しているのは、アレンの戦う理由そのものです。
「人を傷つけない剣」という矛盾した存在が、アレンという矛盾の主人公に宿っていることは偶然ではありません。
左目の呪いとAKUMA探知能力|半径300m以内の悪魔を見抜く力の成長過程
アレンの左目はAKUMAとなったマナに殺されかけた際に傷つけられたことで呪いを宿しています。
初期段階では目が変色する程度でしたが、クロウリーの城での戦いで呪いが深化し、AKUMAを見る際に左目が2つのスコープのように変化するようになりました。
現在では障害物があっても半径300m以内のAKUMAを探知可能となり、AKUMAに内蔵された魂を現実に映し出して他の人間にも見せることができるようになっています。
この能力の本質は戦闘強化ではなく、「AKUMAの中に閉じ込められた人間の魂が見える」という点にあります。
普通の人間にはAKUMAが悪性兵器にしか見えないのに対し、アレンにはそこに苦しみ続ける人間の魂が見えています。
これがアレンにAKUMAを「救済すべき存在」として見させている能力であり、彼の信念と直結した力です。
👉【D.Gray-man】AKUMA(アクマ)の進化と脅威:全レベル形態と特殊能力一覧
アレン・ウォーカーの来歴|赤腕時代から教団離脱までの時系列整理
アレン・ウォーカーの来歴は、「赤腕」という名前もない存在から始まり、マナとの出会い、クロスとの修行、教団入団、そして教団からの離別という大きな流れで構成されています。
各フェーズでアレンが何を失い、何を得て、何を決意したかを整理します。
サーカスからマナ・ウォーカーとの出会い、そしてAKUMA化させてしまった夜
サーカスで雑用をこなしていた名前もない少年は、旅芸人のマナ・ウォーカーに拾われます。
マナとともに道化師として各地を遍歴する日々の中で、アレンは大道芸を仕込まれ、初めて人に愛される経験をしました。
この時期にマナが飼っていた犬「アレン」の名を引き継ぐ形で「アレン・ウォーカー」を名乗るようになります。
しかしマナはまもなく死去し、深い悲しみに囚われたアレンのもとに通りかかった千年伯爵がマナの魂を呼び戻せると唆します。
千年伯爵の言葉に従ったアレンが呼び戻したマナの魂は、AKUMAという悪性兵器として蘇り、アレン自身を殺そうとします。
このとき初めてイノセンスが発動し、AKUMAとなったマナをアレンの左腕が破壊しました。
この一夜でアレンは「自分の手で愛する人を破壊した」という消えない傷と、「AKUMAに内蔵された魂が見える」という左目の呪いの両方を同時に受け取ります。
その後放心状態のアレンを拾ったのが黒の教団エクソシスト元帥・クロス・マリアンです。
クロス・マリアンの弟子として積んだ3年間の修行とエクソシスト入団
クロスに弟子入りしたアレンは3年間の修行を積みます。
クロスのことはエクソシストとしての道を示してくれた恩人として尊敬していますが、この修行時代は借金地獄の日々でもありました。
クロスが借金取りに追われるたびに全てをアレンに押し付けるという行為を繰り返したため、アレンは命懸けでイカサマ博打を習得し、生活費と借金返済を賭けのカネで稼ぐという生活を送ります。
3年の修行を経てクロスからエクソシストと名乗ることを許されたアレンは、正式な手続きのために黒の教団本部へと旅立ちます。
入団時は左眼の呪いを門番に見られ「千年伯爵の手先」と勘違いされて迎撃に出た神田に斬りつけられるという出会いをしています。
入団後の初任務は南イタリアの古代都市「マテール」でのイノセンス回収で、神田とともに向かいました。
イノセンス破壊・心臓貫通から「神ノ道化」覚醒までの再生の経緯
物語の大きな転換点が、ティキ・ミックによるイノセンス破壊と心臓貫通です。
咎落ちしたスーマンを救おうとしたアレンはティキと遭遇し、イノセンスを奪われ、心臓に穴をあけられます。
しかしアレンのイノセンスは破壊直後から霧散した状態でアレンの周辺を漂い続け、さらにその一部が心臓の穴を埋めるという他のイノセンスでは観測されたことのない現象を起こします。
フォーによってアジア支部に運び込まれたアレンは、イノセンス復活のための訓練を続けます。
その最中にティキの命令でLv3のAKUMAがアレンを殺しに現れ、自分を守るために戦うフォーを救うべく自らAKUMAの前に身を投げ出します。
追い詰められた状況の中でアレンは「AKUMAだけでなく仲間たちという大切なものがある」という気づきを得て、信念を「AKUMAを救済するために存在する」から「AKUMAと人間を愛し、右手で人を、左手でAKUMAを救う」へと更新します。
この信念の更新がイノセンスを「神ノ道化」として覚醒させ、Lv3を破壊するに至ります。
14番目の発覚から教団を追われアポクリフォスに狙われるまでの経緯
14番目のノアであることが教団内で問題視されるようになったアレンは、ルベリエの命でリンクを監視につけられクロスとの接触を禁じられます。
北米支部での神田とアルマの戦いに割り込んでアルマを庇ったことでネアが覚醒しかけますが、自力でネアを抑え込みます。
しかしこれを咎められて牢に入れられた直後、アポクリフォスに融合を迫られます。
突如現れたティキとロードに助けられたアレンは、自分の中のネアと決着をつけると仲間に誓い教団を後にします。
教団からは完全に裏切り者扱いされエクソシストとしての資格を凍結された状態で、教団とノアの双方から狙われるという立場になります。
離脱後はクロス元帥のパトロンであるマザーのもとを頼り、その後3か月間はピエロに扮して大道芸で生活費を稼ぐという、出発点のサーカス時代を思わせる生き方で逃走を続けました。
14番目のノア「ネア」とアレンの関係|体内に宿る別人格の正体と覚醒の条件
アレン・ウォーカーというキャラクターを語るうえで避けて通れないのが、体内に潜伏するネアという存在です。
ネアはアレンを乗っ取ろうとしており、アレンはネアに乗っ取られまいとしながらもネアについて知ろうとするという、奇妙な共存関係がこの作品の後半の中心テーマです。
ネアとはどんな存在か|千年伯爵を目指し一族を裏切った14番目の過去
ネアは14番目のノアです。
35年前に自身が千年伯爵となるべくノアの一族を裏切り、11人ものノアを殺して逃亡しました。
最後は千年伯爵に殺されており、通称「14番目」と呼ばれています。
ネアはノアメモリーを持っていないため、通常のノアのような転生(死亡後に次の宿主へと生まれ変わる転生)ができません。
26巻の談話室によると、ネアは記憶の移植によって転生しており、今のアレンの体の中に記憶を宿す形で潜伏し復活の時を待っていたことが明かされています。
アレンの体を使って表に出た際は、髪が巻き毛となり目が金色に変わります。
アレンがネアのメモリー移植先として選ばれた理由と「代償」の意味
ネアがメモリーの移植先としてアレンを選んだのは、ネアにとってアレンが「友」だったからです。
25巻221夜でネアがアレンを友と呼んでいることが語られています。
しかしここで確定している重要な事実があります。
35年前のアレンは軍人であり、アレンはネアにとある願いを叶えてもらう、その代償に宿主になったのでした。
つまり、アレンは「無償の犠牲」として選ばれたのではありません。
ネアに「何かを叶えてほしい」と願い、その対価として宿主になることを自ら申し出たという構造です。
現在のアレンがネアのメモリーを抱えているのは、35年前のアレン自身がそれを望んだ結果であるという事実が、物語を読む上での根幹的な認識として置かれています。
ネアが表に出た瞬間の描写と、再びアレンの中に戻った理由
ネアが初めて完全に表に出たのは北米支部でアルマとの戦いによってアレンが瀕死になった際です。
しかしその直後、ティムキャンピーが突然発した導術によって「左目を無効化する結界」が破れ、左目に宿るマナの呪いの効果によって再びアレンの中へと戻りました。
この場面で示されているのは、アレンの左目に宿るマナの呪いがネアの覚醒を抑制する機能を持っているという事実です。
マナという存在が死後もアレンの左目を通してネアを引き留めているという構造は、この作品の設定の深みを示す最も重要な描写のひとつです。
その後もネアは折を見てアレンの体の主導権を奪おうとし、アレンはそれを自力で抑え込みながら「ネアについてもっと知りたい」という思いを持ち続けています。
35年前の「アレン」とは何者か|確定事実と考察を分けて整理する
「35年前のアレン」はDグレのファンの間で最も議論になり続けているテーマです。
長い間多くの読者が誤解していた点があり、現在確定している事実は以下の通りです。
原作で確定している35年前のアレンの情報|軍人・ネアの宿主・若返りの3点
現在の原作において確定している35年前のアレンに関する情報は3点です。
1点目は職業で、35年前のアレンは軍人でした。
2点目はネアとの関係で、ネアにとある願いを叶えてもらう代償として宿主になることを自ら申し出た人物でした。
3点目は若返りの事実で、35年前の時点では若くても30代とされていたアレンが、現代では少年の姿にまで若返っています。
この若返りの原因は原作の確定情報の中には明記されておらず、不明です。
25巻で「ネアの友」として語られていること、本を片手にネアに「生命の螺旋」について語りかけている場面がネアの回想に登場しているという情報もありますが、これらは外見の描写や会話の断片であり、軍人という確定設定と組み合わせて読む必要があります。
長い髪の眼鏡の人物は先代ブックマンJrだった|長年の誤認が解消された経緯
長年のDグレファンの間で「35年前のアレン」と信じられていた人物がいます。
長い髪をハーフアップにし丸眼鏡をかけた人物で、ネアの回想にたびたび登場していました。
この人物こそが35年前のアレンであると多くの読者が確信していましたが、原作の進行によってこの認識が覆されました。
この長髪眼鏡の人物は先代ブックマンJrであり、アレンではなかったことが明かされています。
この誤認が解消されたことで「では35年前のアレンとはどんな外見なのか」という新たな謎が生まれ、キャンベル邸に向かうアレンたちの行動と絡めて今後明かされることへの期待が高まっています。
記憶を消したのはアポクリフォスか|若返りと記憶喪失の黒幕を考察する
若返ったアレンが「赤腕」と呼ばれて以降、それまでの記憶を失っているという事実があります。
ただし断片的な記憶は残っており、ネアとかつて交わした約束があったこと、昔誰かに抱きしめられたことなどはかすかに覚えていました。
記憶の操作という能力を作中で持つ存在として確定しているのがアポクリフォスです。
27巻235夜でこの記憶喪失の場面が描かれていますが、その直後にアポクリフォスが現れた描写が存在しており、記憶を消したのがアポクリフォスであることは状況証拠として極めて濃厚です。
なぜアポクリフォスはアレンの記憶を消す必要があったのかという問いへの答えは現時点では不明ですが、アポクリフォスが「赤腕」時代からアレンを見出していたとするならば、アレンが千年伯爵を倒す存在であるという長期的な見立ての中での行動だったのかもしれません。
若返りの方法についても、アポクリフォスがその能力を備えていた可能性を排除できません。
ただしアポクリフォスの能力範囲は現時点でも未知の部分が多く、若返りに関与したという確定情報はありません。
アポクリフォスとアレンの関係|自立型イノセンスが主人公に融合しようとする理由
アポクリフォスはD.Gray-manの後半において、教団・ノアのどちらとも異なる第三の脅威としてアレンの前に立ちはだかります。
枢機卿(カーディナル)という人間の姿に擬態して登場するこの存在が自立型イノセンスであるという事実は、当初読者にとっても教団の人間たちにとっても完全な驚きでした。
アポクリフォスとはどんな存在か|記憶改ざん・遠隔操作・自立行動の能力
アポクリフォスは人間に擬態した自立型イノセンスです。
自我と自己修復能力を持ち、他人の記憶を改ざんする能力を持っています。
イノセンスを遠隔操作する能力も持ち、その能力の範囲は他のあらゆる存在と一線を画します。
長い裏歴史を記録してきたブックマンでさえこの存在の記録を持っておらず、教団にとっては本部へのルル=ベルの侵入によって初めて接触した完全な未知の存在でした。
教団の科学班及び関係者はイノセンスに意志があることは認識していましたが、独立して行動できるという事実は知らなかったことが、この存在の登場で明らかになります。
アポクリフォスの能力は現時点でも全貌が判明していない部分があり、「不明」として残っている要素が多数あります。
なぜアポクリフォスはアレンに狙いを定めたのか|ハートとの関係から読み解く
アポクリフォスがアレンに融合しようとする理由として明示されているのは、アレンの中にいる14番目・ネアを消去するためです。
アポクリフォスはハートを守ることを目的として動いており、ノアとイノセンス両方を内包するアレンという存在がハートに近い可能性をアポクリフォスが見出しているとも読めます。
入団時にイノセンスの番人・ヘブラスカはアレンのイノセンスが「黒い未来で偉大な時の破壊者を生む」という預言をしており、ブックマンからは「時とは千年伯爵のことであり、千年伯爵を倒すものであるかもしれない」と言われています。
アポクリフォスが「赤腕」の時代からアレンを千年伯爵を倒す存在として見出していたとするなら、融合によって14番目を消し去りイノセンスの器としてアレンを完成させるという長期計画の一部として、記憶の消去も若返りへの関与も位置づけられる可能性があります。
ただしこれは現時点では推測の域を出ておらず、確定情報ではありません。
アポクリフォスとアレンの因縁の全容は、キャンベル邸へと向かうアレンたちの行動の中でいずれ明かされるはずです。
まとめ|アレン・ウォーカーというキャラクターの本質はどこにあるか
アレン・ウォーカーを一言で定義するなら、「自分が何者かを知らないまま、何者であっても歩き続けると決めた人間」です。
ノアなのかイノセンスの器なのか、35年前の自分の意志の産物なのか、アポクリフォスの計画の駒なのか。
どれも否定できないまま、アレンは「僕はエクソシストだ」という一点だけを拠り所に歩き続けています。
イノセンスの覚醒が精神の更新と連動していたように、アレンの力の変化は常に「何のために戦うか」という問いへの答えの変化と一致してきました。
「AKUMAを救済するために存在する」から「人間とAKUMAの両方を愛する」への更新がイノセンスを「神ノ道化」へと進化させたように、アレンという主人公の強さは肉体スペックではなく信念の深さから来ています。
35年前の自分が何を願い、何を代償に差し出したかという謎が解けたとき、アレン・ウォーカーというキャラクターの全体像が初めて完成します。
その答えを待ちながら原作を読み続けることが、D.Gray-manというこの20年以上続く物語の最大の楽しみのひとつです。



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