
SPY×FAMILYの東雲とは?
『SPY×FAMILY』の物語は、西国の凄腕スパイ・黄昏ことロイド・フォージャーが、東国に潜入し極秘任務オペレーション〈梟〉を遂行する中で展開します。
そんな緊張感あふれる東国で、ロイドの「ライバル」を自称し、読者に強烈なインパクトを残したのが、エリートスパイ東雲(しののめ)です。
しかし、彼の活躍は「エリート」とは程遠く、作中ではロイドの胃を痛めさせるようなトラブルを連発するポンコツぶりを見せつけました。
スパイファミリーの作品情報
『SPY×FAMILY』は、漫画家の遠藤達哉によるホームコメディ漫画です。
週刊少年ジャンプ+にて2019年3月25日より連載がスタートし、閲覧数・コメント数・発行部数で最高記録を更新し続ける、少年ジャンプ+史上初の大ヒット作として知られています。
その爆発的な人気を背景に、2022年4月よりテレビアニメの放送が開始され、国内外で大きな話題となりました。
スパイファミリーのあらすじ
物語の舞台は、東西両陣営が仮初の平和を成立させている東国(オスタニア)と西国(ウェスタリス)です。
東国の政治家ドノバン・デズモンドが東西間の平和を脅かす危険人物として浮上したため、西国の情報局WISEは凄腕スパイ・黄昏を東国に送り込み、デズモンドと接触させるという極秘任務オペレーション〈梟〉を発動させます。
黄昏は任務遂行のため、精神科医ロイド・フォージャーとして偽装家族を結成し、娘アーニャをデズモンドの息子が通う名門イーデン校に入学させようと奮闘します。
東雲の登場は、ロイドがこのオペレーション〈梟〉を遂行している最中、イーデン校に潜入したタイミングでした。
東雲(しののめ)のプロフィール
東雲は、東人民共和国のエリートスパイを自称する人物で、初登場回はコミックス5巻に収録された第27話「MISSION:18 家庭教師の叔父/〈東雲〉」です。
| コードネーム | 東雲(しののめ) |
| 自称 | 東人民共和国のエリートスパイ |
| 初登場回 | コミックス第5巻(第27話) |
| 依頼主 | ジョージ・グルーマン(グルーマン製薬社長の息子) |
「東雲」という名前は、黄昏(たそがれ)が日没後を指すのに対し、夜明け前を意味する「東雲」を、西国の黄昏に対抗しうる東国のスパイとして、自ら名乗った暗号名とされています。
このネーミングセンスから、彼の自己肯定感の高さと目立ちたがり屋な性格が強く示唆されており、後の彼の行動原理を理解する上での重要なヒントとなっています。
スパイファミリーの東雲のスパイとしての実力と任務
自称エリートスパイの東雲ですが、その実態はロイドの知るスパイ像とはかけ離れたものでした。
彼の能力と行動を分析することで、ロイドが抱えるオペレーション〈梟〉の日常的な困難が浮き彫りになります。
東雲のスパイとしての実力や能力
東雲のスパイとしての総合的な実力は非常に低い、というのが大方の読者の見方です。
その最大の理由は、スパイにとって致命的な欠陥である目立ちたがり屋な性格の持ち主だからです。
情報収集を徹底し、変装で周囲に溶け込むロイドとは異なり、東雲は事前に警備情報などを調べない、変装をしないなど、三流スパイにあるまじき行動ばかりをとります。
しかし、ロイドでさえ驚愕したのが、東雲の身体能力と胆力の高さです。
警備員に見つかりそうになった際に、ポールに捕まって鯉のぼりのように体を真横に浮かせるという離れ業を披露し、ロイドは「なんという筋力と胆力!」と驚きを隠せませんでした。
読者の間では、「もし東雲が目立たない努力を覚えれば、その規格外の身体能力をもって凄腕スパイに化ける可能性を秘めているのではないか」という期待の声も上がっています。
東雲の任務遂行のための行動をネタバレ
東雲がイーデン校に潜入したのは、依頼主からの依頼を遂行するためでした。
その行動はスパイ活動の定石を完全に無視したものであり、ロイドと東雲が繰り広げる「ポンコツスパイ vs 凄腕スパイの尻拭い」という構図が、このエピソードの最大の魅力となっています。
以下で、彼の印象的な「やらかし」を6つのシーンに分けて掘り下げていきます。
東雲の任務遂行のための行動:詳細なネタバレ
東雲がロイドとニアミスしたイーデン校での任務は、東雲のポンコツぶりとロイドのプロ意識が強烈に対比される、非常にコミカルなエピソードでした。
ネタバレ①怪しい移動の仕方(黄昏とのニアミス)
任務を遂行すべくイーデン校に忍び込んだ東雲は、ダミアン・デズモンドのテストの点数を改ざんしようと行動を開始しました。
しかし、彼は変装もせず、目立つ場所で無駄にアクロバティックな動きをしながら移動するという、スパイとしてはあるまじき行為を冒頭から披露します。
教員になりすまして周囲に溶け込んでいたロイドは、その怪しい移動の仕方をする東雲を発見し、「なんだあの無駄な動きは…!!」と衝撃を受けました。
読者の多くは、この時点で東雲が「黄昏のライバル」ではなく、物語を盛り上げる「おもしろ要員」であると確信したことでしょう。
ネタバレ②警備員に見つかりかける(斬新な回避法)
目立つ動き方をしていた東雲は、案の定、途中でイーデン校の警備員に見つかりかけます。
警備員の巡回ルートや時間帯を事前に調べていなかったという、スパイの初歩的な準備を怠っていたことが原因です。
しかし、ここで彼は前述の通り、驚異的な身体能力を見せつけ、看板になりすますという奇想天外な方法で警備員をやり過ごしました。
この光景を目撃したロイドは、「まさか高度な心理戦…? 本当は凄いスパイなのではないか?」と疑心暗鬼になり、読者にも「ポンコツなのか天才なのか」という混乱と笑いを提供しました。
ネタバレ③大胆な侵入の方法(空き巣のような手口)
奇抜な方法でピンチを回避した東雲は、目当ての建物に到着しますが、その侵入方法もまたスパイらしからぬ大胆さでした。
一般的にスパイは、キーピックなどを用い、極力痕跡を残さないように建物に侵入するものですが、東雲はなんと扉の窓を肘で割り、割れた窓を経由して鍵を開けるという、まるで空き巣のような手口を用いたのです。
さらに、割ったガラスをそのままにして立ち去ろうとしたため、「誰かがよからぬ目的で侵入した」ことが一目瞭然の状態になってしまいます。
ロイドは、自分の任務に支障が出ることを危惧し、割れたガラスの傍にサッカーボールを置いて、「偶然ボールが窓を割った」ように見せかけるカモフラージュをするという、東雲の尻拭いに奔走しました。
ネタバレ④手のひらにメモをしている(黄昏の胃を痛める)
大胆な行動で目的地へと向かう東雲は、途中で守衛がいる扉を通らなければならないことを知らずに動揺し、銅像を倒して守衛に見つかってしまいます。
彼はとっさに情報学の教師だと名乗ってその場をやり過ごそうとしましたが、入室にはIDの提示が必要でした。
IDを持たない東雲は警察を呼ばれそうになりますが、またしてもロイドが予備のIDで彼を助けます。
しかし、ロイドが「この落ちていたIDはあなたのですが?」とフォローしたのに対し、東雲は「え?そんなの知らない」と素直に答えてしまい、ロイドは愕然とします。
さらに、東雲がIDを受け取る際に見えた彼の手のひらには、なんと任務の内容がメモしてありました。
このスパイとして致命的な行為に、ロイドはあまりにも衝撃的で理解不能だったため、逆に「手のひらにメモするとは、何か高度な暗号なのか?」と深読みしてしまうほどでした。
ロイドのプロの常識が、東雲のポンコツぶりによって崩壊していく様子は、読者に大きな笑いをもたらしました。
ネタバレ⑤保管庫のパスワードがわからない(黄昏のフォロー)
ロイドの助けでどうにか目的地である第7保管庫のドアまでたどり着いた東雲は、手のひらにメモしていたパスワードを入力しますが、なんとそのパスワード自体を間違っていたという失態を演じます。
エラーが表示され、気まずい空気が流れる中、東雲はロイドに向かって「ちょっとトイレ行ってくる。お先にどうぞ」と言い放ち、ロイドに保管庫のドアを開けさせました。
ロイドは、東雲の任務が自分の任務に悪影響を及ぼすことを恐れ、やむなく保管庫を開錠し、東雲が先に侵入する事態となりました。
この図々しさこそが、東雲の規格外の胆力を示すものとして、多くの読者に記憶されています。
ネタバレ⑥テストに自らのサインを残そうとする(任務失敗の決定打)
保管庫に入った東雲は、気絶したフリをしていたロイドを背後から襲ったものの、大した効果はなかったため、ロイドは様子を見るために気絶したフリを続行します。
東雲は目的のテスト用紙のケースを開け、ダミアンのテストの点数を改ざんし、任務を達成したと悦に浸りました。
そして、彼は変装中のロイドの前で、自身の才能が黄昏を越えてしまっていると言い放ち、極めつけにはダミアンのテストに自らのサインを残そうとしました。
この前代未聞の目立ちたがり屋な行為に、ロイドはついに耐えきれず思わずツッコミを入れてしまい、東雲に自分が気絶していないことがバレてしまいます。
東雲は、ロイドに自分の偉業を口外しろと言い残して、再びアクロバティックな移動でその場を後にしました。
スパイファミリーの東雲の依頼主を考察
東雲の任務は、ダミアン・デズモンドのテストの点数を改ざんすることでしたが、彼の依頼主は一体誰だったのでしょうか。
この依頼主が、東雲の行動以上に、フォージャー家の任務に間接的な影響を及ぼすことになります。
東雲の依頼主はジョージ・グルーマン
東雲が雇われたのは、東国にあるグルーマン製薬という会社です。
そして、東雲に直接任務を依頼したのは、その製薬会社の社長の息子であり、アーニャやダミアンと同じイーデン校の生徒であるジョージ・グルーマンでした。
東雲は、このジョージの世話役であるじいやによって雇われたスパイであり、彼の任務は一企業の私的な復讐劇のために実行されていたのです。
ジョージ・グルーマンが東雲を雇った目的
ジョージ・グルーマンが東雲に依頼した任務、すなわちダミアン・デズモンドのテストの点数改ざんの目的は、ダミアンの成績を下げて退学に追い込むことでした。
その最終的な目的は、ダミアンの父親であるドノバン・デズモンドが運営しているデズモンドグループを混乱させることにありました。
ジョージの父親が経営していたグルーマン製薬が経営不振に陥り、デズモンドグループに買収されていたからです。
ジョージは、この買収によって家族が路頭に迷うことになると勘違いし、デズモンド家への個人的な復讐として東雲を雇ったのでした。
しかし、後の展開で、デズモンドグループは実際にはかなりの好条件でグルーマン製薬を買収しており、ジョージの思い込みと早とちりであったことが判明します。
ジョージは、このエピソードをもってイーデン校を去ることになり、読者からは同情や哀れみの声が上がりました。
ジョージ・グルーマンの性格
東雲の依頼主ジョージ・グルーマンは、被害者意識が強く、思い込みが激しい性格が窺えます。
彼は、倒産を阻止できなければ家族が路頭に迷うと勝手に思い込み、世界を呪い、合唱コンクールで皆と一つになりたいと願い、最後は同級生から餞別を貰うなど、その感情の起伏の激しさと悲劇のヒロインぶりが、読者からはコミカルに受け止められています。
東雲とジョージ、どちらも「自分の思い込み」によって行動を決定している点で、似た者同士であったと考える見方もあります。
スパイファミリーの東雲のその後
強烈な印象を残した東雲ですが、任務は果たして成功したのでしょうか。
彼の任務の結末は、ロイドのオペレーション〈梟〉を遂行する上でのプロの判断によって左右されました。
東雲は任務に失敗し解雇された?
東雲は、手こずりながらも目的のテスト用紙を改ざんし、任務を完遂したと思い込んでいました。
しかし、この一部始終を見ていたロイドは、東雲の任務がオペレーション〈梟〉に悪影響を及ぼすことを危惧します。
なぜなら、ターゲットであるドノバン・デズモンドの息子ダミアンが、成績不振によって退学してしまえば、ロイドがデズモンドと接触する唯一の機会である懇親会への道が閉ざされてしまうからです。
そこでロイドは、東雲が細工したテストの点数を元の状態に戻すという、二重の改ざんを行いました。
そのことを知らない東雲は、所属企業からの電話で任務失敗を知らされ、企業からもクビになってしまったという結末が描かれています。
東雲の任務失敗は、彼のポンコツな行動ではなく、ロイドのプロの仕事によってもたらされたという、皮肉な結果となりました。
東雲の再登場はある?
東雲が登場するのは、原作コミックスの第27話と第28話のわずか2話分だけです。
任務に失敗し所属企業をクビになった東雲は、それ以降作中には登場していません。
しかし、そのあまりにも強烈なキャラクター性と、ロイドさえも驚愕させた身体能力の高さから、読者の間では「再登場を熱望する」声が非常に多いです。
アニメ版で東雲の声を人気声優の中村悠一が担当したこともあり、「豪華声優を一度きりで終わらせるはずがない」「別の仕事をして再登場するのではないか」と、今後の展開を予想するファンは少なくありません。
スパイファミリーの東雲と関係するその他キャラ
東雲のエピソードは、フォージャー家やイーデン校の主要な登場人物たちとの関係性を浮き彫りにしました。
ロイド・フォージャー(黄昏)
東雲とロイドは、「スパイ」という共通の立場にありながら、その実力とプロ意識はまさに東と西、そして黄昏と東雲のように真逆です。
ロイドは、任務遂行のため本名を捨て、ロイド・フォージャーという偽名でオペレーション〈梟〉を遂行しています。
東雲との出会いは、ロイドにとって「プロの常識が通用しない」という、新たな種類のストレスを生み出すことになりました。
ダミアン・デズモンド
東雲の任務の直接的な被害者となるのが、東国要人ドノバン・デズモンドの次男であるダミアン・デズモンドです。
ダミアンは、アーニャのクラスメイトであり、ユーイン・エッジバーグとエミール・エルマンという二人の取り巻きを連れて歩く、ガキ大将的な存在です。
当初はアーニャをいじめていましたが、アーニャに殴られたことや、その後のやり取りを通じて、次第にアーニャを異性として意識するようになるという、物語の重要なキャラクターでもあります。
デミトリス・デズモンド
デミトリス・デズモンドは、ターゲットであるドノバン・デズモンドの長男であり、ダミアンの兄です。
彼は、イーデン校の卒業生で国内屈指の優等生であり、すでに父親にも周囲にも認められている特待生です。
東雲とは直接の面識はありませんが、ジョージの依頼によってダミアンの答案が改ざんされた際、デミトリスも巻き添えになり、危うく赤点を取るところでした。
ロイドのオペレーション〈梟〉において、長男デミトリスは父ドノバンと近い存在として、今後物語の鍵を握る可能性を秘めています。
スパイファミリーの東雲に関する感想や評価
東雲というキャラクターは、わずか2話の登場ながら、その強烈な個性で読者の間で高い人気を獲得しています。
彼の行動に対しては、「ポンコツ」「アホ」といった声が多く聞かれますが、これらは「面白い」という好意的な評価として受け取られています。
特に、「黄昏の胃を痛めるキャラがさらに登場する」という点で、東雲はロイドとアーニャ・ヨルの関係性とはまた違ったコミカルな緊張感を作品にもたらしました。
アニメ版での登場を楽しみにするファンも多く、東雲の「残念でカッコいい」キャラクター像が、ロイドのスマートさとの対比を生み出し、作品のギャグ要素を大きく補強したと評価されています。
まとめ
『SPY×FAMILY』に登場する東雲(しののめ)は、西国の黄昏に対抗する東国のエリートスパイを自称する人物です。
しかし、その実態は目立ちたがり屋なポンコツスパイであり、ロイド・フォージャーがオペレーション〈梟〉を遂行する中で、彼のプロ意識を揺さぶる存在となりました。
東雲の任務は、依頼主ジョージ・グルーマンによる個人的な復讐のために、ダミアン・デズモンドのテストを改ざんするというものでしたが、最終的にはロイドの二重改ざんによって任務失敗に終わり、彼は企業をクビになってしまいました。
東雲の規格外の身体能力と図々しいまでの胆力は、多くの読者に強烈なインパクトを残し、今後の再登場に期待が集まるキャラクターです。
東雲のエピソードは、東西の諜報戦というシリアスなテーマに、ユーモラスな日常の混乱を持ち込み、『SPY×FAMILY』の魅力を一層深めてくれました。
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