
【薬屋のひとりごと】建国神話に潜む裏の顔:「選択の廟」の謎を猫猫が解き明かす
『薬屋のひとりごと』の原作小説3巻(コミカライズ版では10巻・11巻)に収録されている「選択の廟(びょう)」のエピソードは、物語の根幹に関わる建国の秘密と、壬氏(ジンシ)の正体を匂わせる重要な要素が詰まっています。
この廟は、「この地を治める者は、正しい道だけを選んで通り抜けなければならない」という建国神話の試練の場であり、その謎解きは色覚異常(色盲)という医学的な知識と、歴史の裏側を読み解く猫猫(マオマオ)の鋭い洞察力によって解明されます。
しかし、帝、壬氏、そして老宦官の間で交わされる謎めいたやりとりは、読者にとって非常に分かりにくい部分でもあります。
ここでは、この複雑な神話とトリックについて、可能な限りかみ砕いて、詳細に解説していきます。
| 内容 | 項目 |
|---|---|
| 選択の廟(びょう) | 舞台 |
| 王母 | 建国者 |
| 色覚異常(色盲) | トリックの核 |
| 建国神話の裏 | 謎の核心 |
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「選択の廟」のあらすじ:帝の再挑戦と猫猫の推理
物語は、帝から壬氏と共に呼び出しを受けた猫猫が、王母の建国神話にまつわる廟に連れて行かれるところから始まります。
帝は、「正しい道だけを選んだ者がこの地の長となる」という廟のミッションを未だクリアしておらず、何十年も使われていなかった廟に、壬氏と猫猫を連れて再挑戦を決意します。
廟の中は、一定パターンの謎解き迷路となっており、その都度、三つの扉(青・赤・緑、または赤・黒・白など)と「赤き扉を通るべからず」といった看板が設置されています。
帝の挑戦は、設問が繰り返された末に「王の子よ。だが、王母の子ではない」という否定の言葉が示され、失敗に終わりました。
しかし、猫猫は、廟の構造と建国神話の記述から、王母に色覚異常があったことを見抜き、再挑戦します。
猫猫がたどり着いた正解ルートの終着点は、廟の屋上でした。
そこは後宮全体を見渡せる高い位置にあり、老宦官によると、代々廟に選ばれた帝の最初の仕事は、ここから民衆に向けて演説することだったそうです。
トリックの核:「色覚異常」とは何か?王母の特性の利用
猫猫が「選択の廟」の謎を解き明かす鍵となったのは、建国者の王母が持っていた「色覚異常」という特性でした。
この特性を理解することが、謎解きの最初のステップとなります。
色覚異常(色盲):赤と緑の識別が難しい遺伝病
色覚異常、あるいは色盲とは、光を感じる視細胞の一部の働きが鈍ることで起こる、X連鎖遺伝病の一つです。
最も一般的なのが、赤と緑の色の区別がつきにくいという症状です。
仮に王母がこの赤緑色覚異常であったとすれば、廟の最初に出現する「赤き扉を通るべからず」という看板が立っている場所で、赤と緑の扉が同じ色に見えていたと推測されます。
この場合、王母は区別がつく唯一の色である「青の扉」を選ぶか、あるいは看板が示す「赤」がどちらかわからないため、「赤」と「緑」の区別がつかないという前提から、青しか選べないことになります。
また、色覚異常は、暗い場所で光を感じる視細胞の働きが正常に保たれるため、「暗闇でも視力が正常に保たれる」という特徴も持っています。
建国の物語では、「王母は暗闇でも遠くを見渡せる目を持っていた」と伝えられており、猫猫はこれを「王母が色覚異常であった」という医学的な根拠として利用しました。
色覚異常は男の方が発症しやすい遺伝病であり、血縁度が高くなる近親婚を避けることが予防につながるとされますが、この「血の濃さ」が、王母の裏の目的に深く関わってきます。
作中では、楼蘭(ロウラン)とその父の子昌(シショウ)も色覚異常があるキャラクターとして登場しており、子昌が羅漢(ラカン)から渡された葡萄酒の色が分かっていなかったという描写が、この特性を強調しています。
王母の建国神話と裏に隠された「血筋の乗っ取り計画」
王母の建国神話は、「遠い地の貴い血筋の女性がこの地にやってきて、天の子を宿し、その子が初代皇帝となった」というものでした。
猫猫は、この神話を「理論と想像」で現実的に読み替えます。
「西方の(色彩異常を持つ)貴い血筋の女性がやってきて、この地の長と婚姻し、子を宿した。その子が初代皇帝」
この読み替えから、猫猫は王母側の裏の目的を導き出します。
王母はよそ者であったため、簡単に受け入れられるはずはなく、この地の長と婚姻することで、男系の血を優先して継がせるという条件で、支配権を確立したと推測されます。
しかし、王母、もしくは王母と共にやってきた者たちは、男系の血を優先して継承していく子孫たちに対し、「王母の貴き血を優先しろ」と裏では不満を抱いていたと猫猫は見解を示します。
そこで考えられたのが、長の血筋を立てながら、別の方法で王母の血を未来永劫つなぐ方法、すなわち「選択の廟」でした。
廟の挑戦が失敗し「王母の子ではない」という言葉が出たのは、男系を継承しているため、王母の血が薄いぞという警告でした。
そして、子孫を「王母の故郷に近い所から色覚異常のある女性を連れてきて、妃にするように!王母の血を濃くするように!さもないとこの地を治める資格はない!」と誘導していたのです。
血筋を重んじるという名目で、王母側の血を強制的に濃くさせるという、気の長い平和的な乗っ取り計画であったと考察されます。
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帝と壬氏の謎めいたやりとり:皇族の血筋にまつわる意味深な会話
「選択の廟」のエピソードの重要な点は、建国神話の謎解きだけではなく、帝、壬氏、老宦官という三者の間で交わされる会話にあります。
このやりとりは、壬氏の真の正体と皇族の血筋について、重要なヒントを投げかけています。
「よろしいのでしょうか?」老宦官の苦い顔の真意
猫猫が再挑戦することに対し、廟を管理する老宦官は、「(公主や妃でもないのに帝の補助として)そう何度も入れるのは気が引けるね」と、牽制の言葉を投げかけます。
これに対し、帝は「ならば、おまえ(壬氏)が代わりに(猫猫を)連れていくといい」と、冗談めかしたように返答します。
この帝の発言を聞いた老宦官は、壬氏をちらりと見て、苦い顔で「よろしいのでしょうか?」と問いかけます。
この老宦官の「よろしいのでしょうか?」という言葉の意図は、「そんなこと言っちゃっていいんですか?」という拡大解釈を含んでいます。
廟は、この地の長になるための資格を有する者が、妃と共に挑戦するものであるという大前提があります。
帝の発言は、「成功すれば猫猫を妃にしつつ、壬氏がこの国を治めてもいいよ」という極めてとんでもない意味を暗に含んでおり、老宦官はそれを察して壬氏の立場を案じ、驚きと懸念を表明したのです。
この場面は、壬氏が単なる皇弟ではないという真の立場を、読者に強く匂わせる重要なシーンとなっています。
帝と老宦官の思惑:「血を薄める」提案の裏側
謎が解明された後、帝は色覚異常の無い自身を指し、「余には王母の血は流れておらぬということか?」と問いかけますが、猫猫は必ず遺伝するものではないと答えます。
この流れで、老宦官は帝に猫猫を娶らないか?と、驚くべき提案をします。
「王母がこの地を治められたのは、類まれな聡明さがあったからこそと言われています。この際、血をもっと薄めるのであれば、いっそこのような者(国内の、猫猫みたいに頭のいい者)を取り込んでいくのはいかがでしょうか?」
変人軍師・羅漢の娘である猫猫を娶るという常識外れの提案に対し、帝は「羅漢が怖いから猫猫は娶らない」と返しますが、老宦官は自分のペースで会話を進めます。
老宦官の言葉「しかし、それを快く思わない連中も多いでしょう」の「それ」は、「血に重きを置かず、血筋にこだわらない妃を娶ること」を指しています。
老宦官は、王母の血筋にこだわる勢力があることを承知の上で、あえて帝に血筋を薄める妃を娶ることを提案し、皇族の血筋に関する思惑を帝に理解させたのです。
壬氏に向けられた「お気をつけください」の警告
老宦官は、帝の理解を得た後、壬氏にも念押しをするかのように「お気をつけください」と声をかけます。
「血筋をとやかくいう輩もいるので、妃を娶る時は争いにならないようお気をつけください」
この警告は、壬氏が妃を娶ること、つまり血筋を繋ぐことが、宮廷内の争いを引き起こす可能性があることを示唆しています。
老宦官が壬氏に対して直接このような強い警告を発した事実は、壬氏が皇族の血筋において、極めて重要な位置にいることを決定的に示しています。
猫猫自身も、「壬氏は何者なのか?」と流石に疑問に思いますが、「知らぬが仏」と無関心を貫き、追求を避けました。
しかし、この無関心を貫いた姿勢のしわ寄せは、今後の物語で猫猫自身に降りかかることになります。
この「選択の廟」のエピソードは、壬氏の皇族としての真の立ち位置を明確に示し、今後の展開を予期させる、非常に重要なターニングポイントであったと考察されます。
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まとめ
「選択の廟」のエピソードは、単なる謎解きではなく、建国の裏側と皇族の血筋という、『薬屋のひとりごと』の根幹に関わる情報を提示しています。
建国の王母は、色覚異常という特性を逆手に取り、色の識別ができない者だけがたどり着ける道を「正しい道」とし、自らの血筋を濃くするための平和的な乗っ取りを企てていました。
帝、壬氏、老宦官の会話は、壬氏が皇族の血筋において特別な立場にあり、妃を娶ることが宮廷内の争いの火種になることを示唆する重要な伏線でした。
このエピソードは、小説家になろう版から文庫化にあたり加筆された話であり、壬氏の本当の立場を匂わせる最も重要な場面の一つです。
猫猫が興味のなさから壬氏の正体に気づかないというコミカルな要素も含まれますが、このエピソードを深く理解することで、物語のミステリアスな構造と権力闘争の闇をより楽しむことができるでしょう。
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