
【青のミブロ】血の立志団編の終焉:ナギの死を乗り越えて
安田剛士が描く新選組青春活劇『青のミブロ』第10巻は、あまりにも残酷だった「血の立志団」との戦いのエピローグから始まります。
目の前で力尽きたナギの死、そして陽太郎一家の全滅という現実に、主人公のちりぬ におは深い喪失感に囚われていました。
「人は理想や哲学を持って進むから美しく尊いんじゃないか」という問いを胸に憔悴するちりぬ にお。しかし、時代は彼の足が止まることを許しません。
斎藤はじめが公家の姉小路公知の護衛という過酷な任務を通じて運命の残酷さを知る一方で、少年たちは再び「希望」という名の夢を見るために歩き出します。
ちりぬ にお
| 役職 | 壬生浪士組(ミブロ)隊士・新選組監察 |
| 葛藤 | ナギの死を通じて、理想論の限界と現実の残酷さに直面する |
【青のミブロ】近藤勇の覚悟と芹沢鴨の暴走:大坂編の波乱
舞台は大坂へと移り、物語は実在の歴史的事件を軸に加速していきます。
大坂力士乱闘事件を引き起こし、組織のコントロールを失いつつある筆頭局長・芹沢鴨。それに対し、局長・近藤勇は自らの背中で「ミブロのあるべき姿」を示そうとします。
近藤勇vs内山彦次郎:時代劇のような手に汗握る対峙
大坂の悪徳与力として恐れられる内山彦次郎に対し、近藤勇は一歩も引かずに立ち向かいます。
口下手で不器用ながら、仲間のため、そして民のために放たれる近藤勇の「恫喝」には、組織のリーダーとしての凄まじい胆力が宿っていました。
このシーンに対し、読者からは「これぞ荒々しいミブロを束ねる漢の姿」「時代劇のワンシーンのような緊張感」と絶賛の声が上がっています。
芹沢鴨
| 立場 | 壬生浪士組筆頭局長。元水戸天狗党の浪士 |
| 孤独 | 武家の出としてのプライドと、農民出身の近藤たちとの埋められない溝に苦しむ |
【青のミブロ】ついに集結する幕末の巨星たち:坂本龍馬と桂小五郎
第10巻における最大のサプライズは、のちに時代を動かすことになる大物たちの登場です。
ちりぬ におは長州の桂小五郎と、そして斎藤はじめは土佐の坂本龍馬と、それぞれ運命的な邂逅を果たします。
坂本龍馬:リアリストとしての圧倒的な存在感
本作の坂本龍馬は、他の幕末作品とは一線を画す「淡々としたリアリスト」として描かれています。
日本という国をひっくり返そうとする底知れないエネルギーを秘めつつも、目の前の斎藤はじめとフラットに対話する姿は、強烈なカリスマ性を放っています。
斎藤はじめとの出会いが、のちの歴史における「斎藤一による坂本龍馬暗殺説」などのミステリーをどう紐解いていくのか、ファンの間で考察が白熱しています。
坂本龍馬
| 出自 | 土佐藩脱藩浪士 |
| 特徴 | 既存の価値観に縛られない自由な発想を持つ、時代を先取る天才 |
【青のミブロ】組織の闇と「監察」ちりぬ におの新たな視点
物語の後半では、ミブロが「新選組」としての形を整える中で、内部抗争の火種が鮮明に描かれます。
新たに加わった参謀・伊東甲子太郎。北辰一刀流の達人であり、高い教養を持つ彼は、近藤勇や土方歳三とは異なる「新選組の乗っ取り」という野望を抱いています。
「二人の局長」と派閥争いの開幕
組織が巨大化するにつれ、土方歳三への忠誠を貫く派閥と、伊東甲子太郎の思想に同調する派閥に隊士たちの心は揺れ動きます。
ちりぬ におは「監察」という役割を任されることで、組織の表面的な正義だけでなく、その裏側にあるドロドロとした欲望や駆け引きを俯瞰で見ることになります。
斎藤はじめがスパイとして伊東派に潜入し、独りで孤独な戦いを続ける姿を目の当たりにしたちりぬ におは、「本当の正義とは何か」を再び自問自答せざるを得なくなります。
伊東甲子太郎
| 役職 | 新選組参謀。北辰一刀流伊東道場の主 |
| 目的 | 新選組の権力を掌握し、自らの政治的理想を実現すること |
第10巻の考察:現代の読者に問いかける「誠」の道
第10巻では、歴史の大きな流れの中にちりぬ におという「フラットな目線」を持つ少年を置くことで、読者自身に「お前ならどう見る?」と問いかけているような深みがあります。
芹沢鴨に聖書の例え?安田剛士流の独創的な解釈
特筆すべきは、元水戸天狗党である芹沢鴨に対し、聖書の例え話を用いてその内面を分析するような描写です。
本作の芹沢鴨は単なる暴君ではなく、彼なりの苦悩や恩義を抱えた複雑な人間として描かれています。特に田中太郎にとっては恩人でもある芹沢鴨が、なぜ破滅への道を歩んでしまうのか。その悲劇性が物語に奥行きを与えています。
桂小五郎
| 立場 | 長州藩士。逃げの小五郎と称される剣の達人 |
| 役割 | ちりぬ におの前に現れ、倒幕の志を静かに語る |
第10巻のまとめ:激動の「油小路の変」へ向けて
『青のミブロ』第10巻は、前半の涙の完結編から後半の政治的駆け引きが渦巻く新章まで、息つく暇もない展開の連続でした。
| 主要イベント1 | 血の立志団編完結。ちりぬ におが精神的再生を果たす |
| 主要イベント2 | 大坂にて内山彦次郎を圧倒。近藤勇の局長としての資質が光る |
| 主要イベント3 | 坂本龍馬、桂小五郎、伊東甲子太郎の登場により物語が全国規模へ拡大 |
次巻、第11巻以降では、新選組を二分する内部抗争がいよいよ表面化し、芹沢鴨の処遇を巡る重大な決断が下されることになります。
ちりぬ におは監察として、斎藤はじめはスパイとして、自分たちの「誠の道」をどう見出すのか。
坂本龍馬たちがもたらす時代の風が、ミブロをどこへ運んでいくのか。最も青く、最も熱い新選組の物語は、いよいよ核心へと迫ります。
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