
つくしあきひと先生が描くダークファンタジー漫画『メイドインアビス』は、愛らしい絵柄とは裏腹に、極めて過酷な世界観と容赦のないストーリーで読者を魅了しています。
物語の大きな鍵となるのが、アビスの深部へと挑む「ラストダイブ」、別名「絶界行」です。
この言葉が意味するのは「二度と戻れない」旅。
なぜラストダイブはそこまで過酷なものとされているのでしょうか。
この記事では、ラストダイブの定義から、その背景にあるアビスの呪いのメカニズム、そしてこの命がけの冒険に挑んだ勇敢な探窟家たちについて、詳しく解説します。
死を覚悟する最後のダイブ:ラストダイブ(絶界行)とは?
物語の根幹をなす「ラストダイブ」という言葉は、一体どのような意味を持つのでしょうか。
まずは、その定義と『メイドインアビス』の世界観についておさらいしておきましょう。
ラストダイブ(絶界行)の意味
『メイドインアビス』において、ラストダイブ(絶界行)とは、アビスの深界六層よりもさらに下を目指す探窟を指します。
「ラストダイブ」という名前は、探窟家としての人生における「最後のダイブ」を意味しています。
なぜなら、深界六層より下の階層では、上昇負荷の呪いが極めて危険なものとなり、生身の人間が無事に戻ることはほぼ不可能とされているからです。
そのため、ラストダイブは、探窟家として最後に挑む、文字通り命を懸けた冒険なのです。
また、「絶界行」という漢字表記は、「絶対に人間として戻れない世界へ行く」という意味が込められており、その絶望的な状況をより強く示唆しています。
『メイドインアビス』の概要
『メイドインアビス』は、つくしあきひと先生が『WEBコミックガンマ』で連載しているダークファンタジー漫画です。
主人公は、アビスに魅了された少女リコ。
彼女は、記憶を失った少年型ロボット・レグと共に、行方不明となった母ライザを探すため、アビスの底を目指す冒険に出ます。
可愛らしいキャラクターデザインとは裏腹に、物語は人間の精神をえぐるような過酷な展開やグロテスクな描写が多く、そのギャップが多くの読者に衝撃を与え、大人向けの作品として人気を博しています。
2017年のアニメ化をきっかけに知名度が飛躍的に高まり、劇場版やゲーム化もされるなど、国内外から注目を集める作品となりました。
ラストダイブしたら二度と戻れない?呪いの真実
ラストダイブが「二度と戻れない」冒険であるとされるのは、アビスに満ちる「力場」と、それに伴う「上昇負荷」の呪いが原因です。
深層に行くほどにその呪いは強力になり、深界六層では探窟家に致命的な影響を及ぼします。
この呪いの詳細を知ることで、ラストダイブがいかに過酷な挑戦であるかが理解できます。
深界六層以降の呪い
アビスには、下へ降りる際には影響がありませんが、上に登ろうとすると人体に様々な負荷をかける上昇負荷の呪いが存在します。
この呪いは、深さが増すにつれて段階的に重くなっていきます。
そして、深界六層に達すると、その呪いは「人間性の喪失もしくは死」という極めて過酷なものになります。
探窟家が深界六層から上昇しようとすると、体の原型を留めることができず死亡するか、かろうじて生き残っても「成れ果て」と呼ばれる異形へと変貌してしまうのです。
そのため、深界六層より下は「絶界」と呼ばれ、人間が生きて戻ることは決してできない領域とされています。
レグが地上に戻れた理由
これまでの歴史の中で、深界六層以降から地上に無事に戻ってきた人間は一人もいませんでした。
しかし、物語の冒頭で、レグが人間の姿を保ったまま地上までたどり着いたことが示されています。
その理由は、レグが人間ではないからです。
レグは姿かたちは少年そのもので、触れた感触も人間と変わりありませんが、その正体は人間ではないロボットでした。
人間ではないレグは、アビスの上昇負荷の呪いを一切受けません。
レグの存在は、アビスの呪いのメカニズムを解明する上で重要な鍵を握っていると考えられています。
命を懸けて絶界行を決行した探窟家たち
深界六層以降の危険性を理解しながらも、自らの好奇心や目的のためにラストダイブを決行した探窟家たちが存在します。
ここでは、作中で描かれた、あるいは示唆された勇敢な探窟家たちを紹介します。
ラストダイブを決行したキャラクターたち
ライザ
リコの母親であり、白笛を持つ伝説の探窟家「殲滅卿」ライザは、リコを孤児院に預けてから約10年前にラストダイブを決行しています。
彼女は、アビスの底に何があるのかを知るため、そしてリコが自由に生きられるようにという願いから、二度と戻れない旅に出ました。
その後、消息を絶っており、死亡したのか、それとも成れ果てとして生きているのかは謎に包まれています。
リコが旅立つきっかけとなった「奈落の底で待つ」というメッセージは、彼女が未だ旅の途上にあることを示唆していると考えるファンも多いようです。
リコ
本作の主人公であるリコは、母ライザを追うため、ラストダイブを自らの意思で決行しました。
彼女はまだ「赤笛」という見習い探窟家の階級ですが、仲間の助けと持ち前の好奇心、そして強い探求心で、深界六層という未知の領域までたどり着きました。
深界六層で成れ果てとなった探窟家たちと出会い、アビスの奥深くに何があるのかを知ろうとする彼女の決意は、並大抵のものではありません。
リコは、ラストダイブという過酷な運命を自ら選択し、その先にある未知の世界へと歩みを進めています。
レグ
リコと共に旅をする少年型ロボットのレグは、ラストダイブを共にするリコの心強いパートナーです。
人間ではないため上昇負荷の呪いを受けず、強力な武器「火葬砲」も使用できることから、リコが深界六層までたどり着けたのはレグの存在が大きいでしょう。
彼は、失われた自分の記憶を取り戻すという目的のため、そして何よりリコを守るため、アビスのさらに深部へと進むことを決意しました。
ナナチ
リコとレグが深界四層で出会った「成れ果て」のナナチも、ラストダイブを決行した一人です。
元々はボンドルドの実験台にされた孤児でしたが、上昇負荷の呪いによって「力場」を見分ける能力を身につけ、成れ果てとなりました。
リコとレグとの出会いを経て、親友ミーティの最後の願いを叶えたナナチは、二人の旅に同行することを決意します。
成れ果てとして、アビスの呪いのメカニズムを知るナナチの存在は、リコたちのラストダイブを支える上で不可欠なものとなっています。
ゲーム『メイドインアビス』とラストダイブ
2022年に発売されたゲーム『メイドインアビス 闇を目指した連星』にも、ラストダイブという概念は登場します。
ゲーム内でのラストダイブが持つ意味について、見ていきましょう。
ゲームでのラストダイブ
『メイドインアビス』は、漫画やアニメの世界観を忠実に再現したゲームとしても人気を博しています。
ゲームのストーリーは、原作者のつくしあきひと先生が監修しており、プレイヤーは自らが主人公となり、アビスを探窟する体験ができます。
ゲームには、原作のストーリーを追体験する「HELLO ABYSS」モードと、オリジナルキャラクターで冒険する「DEEP IN ABYSS」モードがあります。
「DEEP IN ABYSS」モードでは、プレイヤーは深界五層までしか探窟できません。
ゲーム内におけるラストダイブとは、深界六層へ挑むために必要な条件をすべて満たし、ついにその冒険に挑めるようになること、つまりゲームクリアを意味しているのです。
このことから、ゲームではプレイヤーに、ラストダイブという旅の出発点に立つまでの過酷さと達成感を味わってもらうことが目的だと考えられます。
まとめ:ラストダイブが読者に与える期待と衝撃
『メイドインアビス』におけるラストダイブは、単なる冒険の通過点ではありません。
それは、探窟家が人として戻れないことを承知の上で挑む、究極の挑戦です。
その先に何があるのか、誰も想像できない未知の領域に足を踏み入れる登場人物たちの姿は、読者の好奇心を強く刺激し、今後の展開への期待をますます高めています。
ラストダイブという言葉に込められた「死の覚悟」と、それでも前に進もうとする探窟家たちの強い探求心は、この作品の大きな魅力の一つです。
リコたちは、人として戻れないと知りながらも、アビスの底を目指すことができるのでしょうか。
そして、彼らが最終的にたどり着く場所で、一体何が待ち受けているのでしょうか。
今後の物語から目が離せません。




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