
ゴールデンカムイ第29巻:函館・五稜郭に全勢力が集結!ついに金塊の謎が解ける
| 函館・五稜郭 | 主な舞台 |
| 土地権利書、砂金 | 金塊の正体 |
| 杉元佐一、アシリパ、鶴見篤四郎、土方歳三、ソフィア | 主要キャラクター |
| 第281話〜第290話 | 収録話数 |
野田サトルの描くゴールデンカムイ第29巻は、物語が最大の臨界点を迎える一冊です。
刺青人皮の暗号が示す場所は、かつて戊辰戦争の終焉の地となった函館・五稜郭であることが判明しました。
本巻では、杉元佐一、アシリパ率いる一行、鶴見篤四郎率いる第七師団、土方歳三の元に集う旧幕府軍の残党、そしてソフィア率いるパルチザンが、一堂に会することとなります。
第29巻の特筆すべき点は、単行本化にあたって大幅な加筆修正が行われ、物語の密度が飛躍的に高まっていることです。
特に金塊の隠し場所を特定する過程や、鶴見篤四郎が描く狂気じみた軍事国家の構想、土方歳三の若かりし頃の回想などは、連載時以上に深掘りされています。
物語のゴールが金塊探しから「アイヌの未来」へと変容していく中、読者は歴史の大きなうねりに立ち会うことになります。
アイヌの未来を託された「土地権利書」とウイルクの真意
| 土地権利書 | ウイルクがロシア領事館から回収したもの |
| 榎本武揚 | 権利書に署名した開拓使長官 |
| アイヌの自立 | 土地を法的に守るための最終手段 |
アシリパたちが五稜郭内で発見したのは、かつてウイルクがロシア領事館に隠し、後に五稜郭へ移した土地権利書でした。
この権利書は、榎本武揚がアイヌとの間で交わした契約を証明するものであり、北海道の広大な土地がアイヌの所有物であることを法的に保証する極めて重要な文書です。
かつてウイルクが黄金を武器に変えることを厭わなかったのは、圧倒的な力で民族を守るためでしたが、最期に娘のアシリパへ託したのは、暴力ではなく「法」による守護でした。
金塊が既に土地に姿を変えていた事実に、黄金目当ての囚人たちは困惑しますが、アシリパはこの「土地こそがアイヌのカムイである」という結論に、強い感銘を受けます。
しかし、物語はここで終わりません。
権利書の発見と同時に、門倉利運が持つ最後にして最大のヒントが機能し、ついに本物の金塊、すなわち膨大な量の「砂金」が五稜郭の馬室に眠っていることが明らかになります。
第七師団による猛攻!鶴見篤四郎が語る「阿片」と軍事国家の夢
| 駆逐艦 | 鯉登大之進(モスパパ)が率いる海からの援護 |
| 阿片(ケシ) | 軍資金を確保するための鶴見篤四郎の構想 |
| 月島基 | 鶴見篤四郎の影として忠実に作戦を遂行 |
金塊の所在が明らかになった直後、鶴見篤四郎率いる第七師団が五稜郭を包囲します。
海上からは鯉登音之進の父である鯉登大之進が指揮する駆逐艦が艦砲射撃を開始し、五稜郭は瞬く間に火の海と化します。
ここで衝撃的なのは、鶴見篤四郎が兵士たちに語った未来の構想です。
鶴見篤四郎は、戦死した兵士たちの遺族を救うという大義を掲げつつ、満州に広大なケシ畑を作り、阿片の密売によって得た軍資金で日本を世界最強の軍事国家にするという、独裁的な野望を露わにします。
ページをめくると広がる、美しいケシの花畑の上を気球で飛ぶ鶴見篤四郎の姿は、狂気と美しさが同居する、野田サトル作品ならではの圧巻の表現です。
この計画を聞いた鯉登音之進は、かつての盲目的な心酔から離れ、冷静に「上司としての鶴見篤四郎」を観察するようになり、彼自身の精神的な成長が描かれる点も見逃せません。
「幕末の狂犬」永倉新八と鶴見篤四郎の知略戦
| 永倉新八 | 土方歳三の盟友にして新撰組最強の剣士 |
| 白旗 | 降伏を装った交渉手段 |
| 回天丸の主砲 | 旧幕府軍が隠し持っていた切り札 |
圧倒的な火力を誇る第七師団に対し、土方歳三陣営の永倉新八が動きます。
永倉新八は一人で第七師団の前に立ち、白旗を掲げて鶴見篤四郎との交渉に臨みます。
最初は紳士的に言葉を交わす二人ですが、ひとたび交渉が決裂するや、互いに口汚く罵り合い、それぞれの信念が激突する様は本作のハイライトの一つです。
特に永倉新八が、かつての「新撰組二番隊組長」としての殺気を一瞬で取り戻すシーンは、読者を震えさせるほどの迫力があります。
この交渉の裏で、土方歳三はかつて五稜郭に隠蔽していた旧幕府軍の遺産である「大砲」を稼働させる準備を進めていました。
新旧の世代が混ざり合うこの戦場において、永倉新八という「歴史の生き残り」が果たす役割は極めて大きく、彼の知略が第七師団を翻弄します。
杉元佐一とアシリパ:金塊発見がもたらす相棒契約の転機
| 相棒契約 | 金塊を見つけた時点で終了するという約束 |
| 杉元佐一の笑顔 | 金塊発見により梅子の手術費が確保できた喜び |
| アシリパの不安 | 金塊が見つかることで杉元佐一と離れることへの恐れ |
ついに砂金を発見した杉元佐一とアシリパですが、その反応は対照的です。
杉元佐一は、第一話の冒頭で見せたのと同じ「砂金を手にした手の形」で黄金を掴み、目的が達成されたことに安堵の笑みを浮かべます。
これで幼馴染である梅子の目を治す手術代が手に入る、という杉元佐一の一途な想いが結実した瞬間でした。
しかし、それを見つめるアシリパの表情は晴れません。
彼女にとって金塊探しは杉元佐一と一緒にいるための理由でもあり、目的が達成されることは、二人の「相棒契約」が終わり、杉元佐一が去ってしまうことを意味していました。
金塊という呪われたカムイが、ようやくその姿を現したとき、皮肉にも二人の絆は最大の試練を迎えます。
黄金の光が降り注ぐ中、二人が交わす言葉なき視線には、これまでの旅のすべてと、これからの別れを予感させる切なさが凝縮されています。
ゴールデンカムイ第29巻まとめ:最終決戦の号砲は鳴らされた
| 項目 | 内容 |
| 金塊の正体 | 土地権利書と、馬室に隠された膨大な砂金 |
| 鶴見篤四郎の野望 | 阿片密売による軍事国家の樹立 |
| 土方歳三の決意 | 五稜郭を再起の地として死守 |
| 杉元佐一とアシリパ | 金塊発見による相棒契約の岐路 |
ゴールデンカムイ第29巻は、すべての伏線が函館・五稜郭という一つの点に収束する、正念場の巻となりました。
実写映画化という衝撃的な発表とともに発売された本巻は、単行本派にとっても本誌派にとっても、加筆によってキャラクターの感情がより深く描かれた完璧なリライト版と言えます。
もはやこれは単なる金塊探しではなく、それぞれの「大義」と「愛」を懸けた、全勢力による総力戦です。
次巻、第30巻からは、ついに五稜郭内での直接戦闘がさらに激化し、一人、また一人と主要キャラクターが退場していく過酷な展開が予想されます。
野田サトルが描く「不死身の杉元」と、アイヌの未来を背負う少女アシリパの旅路は、どのような結末へと向かうのか。
歴史の闇に消えた黄金が、今、戦火の中で最も激しく輝きを放っています。
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