
- 【新世紀エヴァンゲリオン】とは?四半世紀を超えて語り継がれる作品の魅力
- 【新世紀エヴァンゲリオン】全26話のタイトルと英語サブタイトルが語る深層
- 第壱話から第拾話:物語の導入とキャラクターの葛藤
- 第拾壱話から最終話:深まる謎とキャラクターの変容
- 第拾壱話「静止した闇の中で」 / The Day Tokyo-3 Stood Still
- 第拾弐話「奇跡の価値は」 / She said, “Don’t make others suffer for your personal hatred.”
- 第拾参話「使徒、侵入」 / LILLIPUTIAN HITCHER
- 第拾四話「ゼーレ、魂の座」 / WEAVING A STORY
- 第拾伍話「嘘と沈黙」 / Those women longed for the touch of others’ lips, and thus invited their kisses.
- 第拾六話「死に至る病、そして」 / Splitting of the breast
- 第拾七話「四人目の適格者」 / FOURTH CHILDREN
- 第拾八話「命の選択を」 / AMBIVALENCE
- 第拾九話「男の戦い」 / INTROJECTION
- 第弐拾話「心のかたち 人のかたち」 / WEAVING A STORY 2:oral stage
- 第弐拾壱話「ネルフ、誕生」 / He was aware that he was still a child.
- 第弐拾弐話「せめて、人間らしく」 / Don’t be.
- 第弐拾参話「涙」 / Rei Ⅲ
- 第弐拾四話「最後のシ者」 / The Beginning and the End, or “Knockin’ on Heaven’s Door”
- 第弐拾五話「終わる世界」 / Do you love me?
- 最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」 / Take care of yourself.
- 【新世紀エヴァンゲリオン】物語の深層を読み解くキーワード:精神分析と哲学
- まとめ:全話タイトルの旅を終えて
【新世紀エヴァンゲリオン】とは?四半世紀を超えて語り継がれる作品の魅力
「それは 事件。
それは 勇気。
それは 逃げない事。
それは 信じる事。
それは 愛。
それは 新しい世界。
これは アニメでは無い。
ヱヴァである」
この言葉に心を震わせた方も少なくないのではないでしょうか。
1995年から1996年にかけてテレビ東京系列で放送された『新世紀エヴァンゲリオン』は、単なるSFロボットアニメの枠を超え、日本のアニメーション史に金字塔を打ち立てた作品として、今なお多くのファンを魅了し続けています。
その斬新な演出、複雑なストーリー、そして登場人物たちの繊細な心理描写は、放送当時から社会現象を巻き起こし、アニメ文化のみならず、その後の日本のサブカルチャー全体に多大な影響を与えました。
本作のタイトルである「エヴァンゲリオン(Evangelion)」は、ギリシャ語の「エウアンゲリオン(euangelion)」に由来し、「良い知らせ」や「福音」を意味するラテン語です。
このタイトルは、旧約聖書や神話に基づいた物語の根幹を示唆しており、作品全体に漂う宗教的・哲学的なテーマを象徴しているとも言えるでしょう。
2025年には、テレビシリーズ放送開始から30周年を迎えるにあたり、劇場版のリバイバル上映や記念イベント、数々のコラボレーション企画が進行しており、その熱狂は今もなお健在です。
本記事では、この不朽の名作『新世紀エヴァンゲリオン』を深く掘り下げ、特にその独創的な全話タイトルと英語サブタイトルに込められた意味、そして各キャラクターが織りなす物語の深層に迫ります。
作品の概要と物語の始まり
『新世紀エヴァンゲリオン』は、監督の庵野秀明が手掛けたSFアニメーション作品です。
庵野秀明は、『ふしぎの海のナディア』『彼氏彼女の事情』『トップをねらえ!』といった名作にも携わっており、その独特な世界観と演出は、本作でも遺憾なく発揮されています。
物語の舞台は、西暦2000年9月13日に発生した大災害「セカンドインパクト」によって世界人口の半数が失われた後の世界、西暦2015年です。
謎の生命体「使徒」が第3新東京市に襲来し、人類は国連直属の特務機関NERV(ネルフ)が開発した汎用人型決戦兵器「エヴァンゲリオン」で使徒に対抗します。
主人公の碇シンジは、NERVの最高司令官である父、碇ゲンドウによって突然第3新東京市に呼び出され、エヴァンゲリオン初号機のパイロットとなることを命じられます。
はじめは搭乗を拒むシンジでしたが、傷つき苦しむ綾波レイの姿を見て、エヴァンゲリオンのパイロットになる覚悟を決めるのです。
シンジ、そして他のパイロットたちが、人類の命運をかけて使徒と戦う中で、彼ら自身の内面と、世界の隠された真実が徐々に明らかになっていきます。
【新世紀エヴァンゲリオン】全26話のタイトルと英語サブタイトルが語る深層
『新世紀エヴァンゲリオン』の魅力の一つに、各話に付けられた独創的で示唆に富んだタイトルと英語サブタイトルが挙げられます。
これらのタイトルは単なる内容の要約ではなく、エピソードのテーマや登場人物の心理状態、さらには作品全体に流れる哲学的な問いかけを深く表現していると考えることができます。
多くの読者が「タイトルがかっこいい」「お洒落」と感じる一方で、その元ネタや込められた意味を考察すること自体が、作品の楽しみ方の一つとなっています。
ここでは、アニメ全26話のタイトルと英語サブタイトルを、その背景にある意味やファンからの考察を交えながらご紹介します。
第壱話から第拾話:物語の導入とキャラクターの葛藤
第壱話「使徒、襲来」 / ANGEL ATTACK
第壱話「使徒、襲来」の英語サブタイトルは「ANGEL ATTACK」です。
使徒が第3新東京市に襲来し、碇シンジがエヴァンゲリオン初号機のパイロットとして初めて出撃するエピソードです。
日本語タイトルは事態の緊急性を、英語サブタイトルは敵の正体、すなわち「天使」という皮肉な呼称を端的に示しています。
第弐話「見知らぬ、天井」 / THE BEAST
第弐話「見知らぬ、天井」の英語サブタイトルは「THE BEAST」です。
初号機とサキエルとの戦闘後、病院の天井を見上げるシンジが、葛城ミサトの自宅で共同生活を始めることになります。
「見知らぬ、天井」はシンジが突然投げ込まれた非日常的な状況と孤独を表す一方、「THE BEAST」は、黙示録に登場する「獣」を指すと考える見方があります。
使徒が「ANGEL(天使)」であることに対し、それに抗うエヴァンゲリオンや人類を「神を蔑む獣」と表現していると解釈するファンも少なくありません。
第参話「鳴らない、電話」 / A Transfer
第参話「鳴らない、電話」の英語サブタイトルは「A Transfer」です。
パイロットであることがクラスメイトにばれ、妹が被害に遭った鈴原トウジに殴られるシンジの姿が描かれています。
「鳴らない、電話」はシンジの孤立感や、誰とも繋がれないもどかしさを象徴する言葉です。
「A Transfer」は「転校生」や「転送」を意味し、シンジの転入と、彼を取り巻く環境の変化を指していると解釈できるでしょう。
第四話「雨、逃げ出した後」 / Hedgehog’s Dilemma
第四話「雨、逃げ出した後」の英語サブタイトルは「Hedgehog’s Dilemma」です。
心が疲弊したシンジが学校を休み、第3新東京市から逃げ出すエピソードです。
「Hedgehog’s Dilemma(ヤマアラシのジレンマ)」は、ドイツの哲学者ショーペンハウアーが提唱した心理学用語で、親密になろうとすると互いに傷つけ合い、距離を取ると孤独を感じるという、人間関係の難しさを表しています。
シンジが抱える人間関係の葛藤を象徴する、非常に象徴的なサブタイトルと言えるでしょう。
第伍話「レイ、心のむこうに」 / Rei Ⅰ
第伍話「レイ、心のむこうに」の英語サブタイトルは「Rei Ⅰ」です。
零号機の実験中の事故をきっかけに、シンジが綾波レイの自宅を訪れることで、彼女の謎めいた存在の一端が描かれます。
「Rei Ⅰ」は、レイというキャラクターの導入部であることを示しており、シンジがまだ彼女の心の奥底に触れることができない状態を暗示しているとも考えられます。
第六話「決戦、第3新東京市」 / Rei Ⅱ
第六話「決戦、第3新東京市」の英語サブタイトルは「Rei Ⅱ」です。
ラミエルとの激しい戦闘で初号機が損傷し、日本全国の電力を集めて攻撃する「ヤシマ作戦」が実行されるエピソードです。
シンジとレイが協力して作戦を成功させることで、二人の間に微かな絆が芽生え始める様子が描かれます。
「Rei Ⅱ」は、レイのキャラクター性がさらに深く掘り下げられ、シンジとの関係性にも変化が訪れることを示唆しているでしょう。
第七話「人の造りしもの」 / A HUMAN WORK
第七話「人の造りしもの」の英語サブタイトルは「A HUMAN WORK」です。
赤木リツコがシンジに「セカンドインパクト」の詳細を説明し、シンジと葛城ミサトが旧東京を訪れます。
「人の造りしもの」は、使徒に対抗するために人類が生み出したエヴァンゲリオンや、セカンドインパクトを引き起こした人類の業、そしてシンジ自身の存在意義といった、多層的な意味合いを含んでいると考えることができます。
英語サブタイトルもまた、人類の営みやその結果としての創造物、そしてその責任を問いかけているようです。
第八話「アスカ、来日」 / ASUKA STRIKES!
第八話「アスカ、来日」の英語サブタイトルは「ASUKA STRIKES!」です。
葛城ミサトの計らいで太平洋のクルージングが行われ、エヴァ弐号機のパイロットである惣流・アスカ・ラングレーが鮮烈な登場を果たします。
「アスカ、来日」は物語に新たな風を吹き込む彼女の登場を簡潔に示し、「ASUKA STRIKES!」は、彼女の攻撃的で自信に満ちた性格、そしてその強烈な存在感を表現しています。
多くのファンが、アスカの登場によって物語が一気に加速したと感じているのではないでしょうか。
第九話「瞬間、心、重ねて」 / Both of You, Dance Like You Want to Win!
第九話「瞬間、心、重ねて」の英語サブタイトルは「Both of You, Dance Like You Want to Win!」です。
使徒イスラフェルの分裂能力によりシンジとアスカが敗北を喫し、二人がシンクロ率を合わせて戦う特訓を行うエピソードです。
「瞬間、心、重ねて」は、シンクロ率を合わせるために二人が心を一つにする必要性を表しており、共同作業を通じて生まれる絆と、その困難さを描いています。
英語サブタイトルは、ミサトが二人を鼓舞するセリフに由来し、勝利への執念と、共闘することの重要性を強調しています。
第拾話「マグマダイバー」 / MAGMADIVER
第拾話「マグマダイバー」の英語サブタイトルは「MAGMADIVER」です。
浅間山火口に使徒が出現し、アスカが耐熱仕様のプラグスーツを着て火口に降りる、緊迫感あふれるエピソードです。
タイトルは、文字通りマグマの中へ潜っていくという、アスカの勇敢さや向こう見ずな性格を表現しています。
このエピソードでは、アスカのパイロットとしての能力の高さと、彼女のプライドが強く描かれています。
第拾壱話から最終話:深まる謎とキャラクターの変容
第拾壱話「静止した闇の中で」 / The Day Tokyo-3 Stood Still
第拾壱話「静止した闇の中で」の英語サブタイトルは「The Day Tokyo-3 Stood Still」です。
NERV全体が大規模な停電に見舞われ、使徒の侵入という危機的状況の中で、主要キャラクターたちが協力して事態を乗り越える様子が描かれます。
「静止した闇の中で」は、停電によって機能が停止したNERV本部と、その中で暗闇に包まれながらも活動を続ける人々の姿を対比させています。
英語サブタイトルは、第3新東京市が一時的に機能を停止した日という意味で、その緊迫した状況をストレートに伝えています。
第拾弐話「奇跡の価値は」 / She said, “Don’t make others suffer for your personal hatred.”
第拾弐話「奇跡の価値は」の英語サブタイトルは「She said, “Don’t make others suffer for your personal hatred.”」です。
衛星軌道上に使徒が出現し、エヴァンゲリオンが爆弾を受け止めるという、絶望的な作戦が実行されます。
「奇跡の価値は」というタイトルは、絶望的な状況下で生まれるわずかな希望、あるいは勝利の裏に隠された犠牲の重さを問いかけるようです。
英語サブタイトルは、リツコのセリフに由来しており、「個人的な憎しみで他人を苦しめるのはやめなさい」というメッセージは、ゲンドウや他の登場人物たちの動機に深く関わるテーマを暗示しています。
第拾参話「使徒、侵入」 / LILLIPUTIAN HITCHER
第拾参話「使徒、侵入」の英語サブタイトルは「LILLIPUTIAN HITCHER」です。
パイロットたちがテストを受けている最中に、使徒がコンピューターシステム「MAGI」に侵入する緊急事態が発生します。
「使徒、侵入」は文字通りの危機を描写していますが、英語サブタイトルの「LILLIPUTIAN HITCHER」は、スウィフトの『ガリバー旅行記』に登場する小人たち「リリパット」を想起させます。
エヴァンゲリオンが「人」であるという設定を考えると、人類を小人と表現し、使徒に「侵入される」という状況を、より文学的に表現していると考えることができるでしょう。
第拾四話「ゼーレ、魂の座」 / WEAVING A STORY
第拾四話「ゼーレ、魂の座」の英語サブタイトルは「WEAVING A STORY」です。
このエピソードは総集編となっており、これまでに起こった出来事の報告が行われます。
「ゼーレ、魂の座」は、物語の黒幕であるゼーレの存在とその目的、そして「魂の座」という言葉が示唆する人類補完計画の根幹に触れています。
「WEAVING A STORY」は、これまでの物語を「紡ぐ」という意味合いが強く、視聴者が物語の全体像を再確認する機会を与えています。
第拾伍話「嘘と沈黙」 / Those women longed for the touch of others’ lips, and thus invited their kisses.
第拾伍話「嘘と沈黙」の英語サブタイトルは「Those women longed for the touch of others’ lips, and thus invited their kisses.」です。
シンジが綾波レイに想いを巡らせ、アスカがシンジにキスを提案するなど、主要キャラクターたちの複雑な人間関係と感情が交錯するエピソードです。
「嘘と沈黙」は、登場人物たちが抱える心の闇や、本音を語れない関係性を象徴しています。
英語サブタイトルは非常に長く詩的で、他者との繋がりを求める人間の欲望と、それに伴う危うさを表現していると解釈するファンも多いです。
第拾六話「死に至る病、そして」 / Splitting of the breast
第拾六話「死に至る病、そして」の英語サブタイトルは「Splitting of the breast」です。
空中に球体状の使徒レリエルが出現し、エヴァンゲリオン初号機が飲み込まれるという異常事態が発生します。
「死に至る病、そして」は、デンマークの哲学者キルケゴールの著作『死に至る病』を想起させ、絶望や自己喪失といったテーマを暗示しています。
英語サブタイトルの「Splitting of the breast」は、クライン派精神分析における「分裂」を意味する専門用語であり、自己と他者、善と悪といった概念が分裂し、統合できない精神状態を指すと考えられます。
このエピソードは、シンジの内面的な葛藤を深く描いており、作品の心理学的側面を色濃く反映していると言えるでしょう。
第拾七話「四人目の適格者」 / FOURTH CHILDREN
第拾七話「四人目の適格者」の英語サブタイトルは「FOURTH CHILDREN」です。
赤木リツコが「四人目のパイロット」について言及し、アスカがその人選に納得がいかない態度を見せるエピソードです。
この回では、エヴァンゲリオン参号機を乗せた輸送機が日本に到着し、新たなパイロットの登場が示唆されます。
タイトルは、物語に新たな展開をもたらすキャラクターの登場を予告しており、既存のパイロットたちの人間関係にどのような影響を与えるのか、視聴者の期待を高めました。
第拾八話「命の選択を」 / AMBIVALENCE
第拾八話「命の選択を」の英語サブタイトルは「AMBIVALENCE」です。
エヴァ参号機の起動実験中に機体が暴走し、シンジが操縦する初号機がダミーシステムによって参号機を破壊する、シリーズ屈指の衝撃的なエピソードです。
「命の選択を」は、シンジが友人を乗せたエヴァを破壊するという、究極の選択を迫られる状況を描いています。
英語サブタイトルの「AMBIVALENCE(アンビバレンス)」は「両価性」や「相反する感情」を意味し、シンジが抱える葛藤や、相反する感情に引き裂かれる内面を見事に表現しています。
この出来事は、シンジの心に深い傷を残し、物語の方向性を大きく左右することになります。
第拾九話「男の戦い」 / INTROJECTION
第拾九話「男の戦い」の英語サブタイトルは「INTROJECTION」です。
参号機の一件にショックを受けたシンジが初号機に立てこもり、使徒が猛威を振るう中で、ゲンドウが初号機を起動させようとします。
「男の戦い」は、シンジとゲンドウの親子関係における確執と、それぞれの信念に基づく戦いを暗示していると考えることができます。
英語サブタイトルの「INTROJECTION(取り込み)」は、精神分析の用語で、他者の感情や特性を自分の内面に取り込むことを指します。
このエピソードでは、シンジがゲンドウの行動や言葉に影響を受け、自己の内面に取り込んでいく過程が描かれていると考察するファンも多いです。
第弐拾話「心のかたち 人のかたち」 / WEAVING A STORY 2:oral stage
第弐拾話「心のかたち 人のかたち」の英語サブタイトルは「WEAVING A STORY 2:oral stage」です。
初号機のS2機関が完全停止し、シンジが初号機に取り込まれるという、神秘的で精神的な描写が中心のエピソードです。
「心のかたち 人のかたち」は、人間の内面と外面、そしてエヴァンゲリオンという存在との境界が曖昧になるさまを描写しています。
「WEAVING A STORY 2」は、物語がさらに深まることを示し、「oral stage(口唇期)」は、フロイトの精神分析における発達段階の一つであり、自己と外界の区別が曖昧な時期を指します。
このサブタイトルは、シンジがエヴァに取り込まれ、原初的な自己の状態に戻ることを示唆していると解釈されることが多いです。
第弐拾壱話「ネルフ、誕生」 / He was aware that he was still a child.
第弐拾壱話「ネルフ、誕生」の英語サブタイトルは「He was aware that he was still a child.」です。
NERVの面々の過去エピソードが描かれ、ゲンドウや冬月、リツコの母である赤木ナオコといった主要人物の背景が明かされるエピソードです。
「ネルフ、誕生」は組織の起源を語るものですが、英語サブタイトルは「彼はまだ子供であることを自覚していた」という意味で、シンジだけでなく、大人たちもまた心の未熟さを抱えていることを示唆していると考えることができます。
このエピソードは、登場人物たちの現在の行動や心理の根源を理解する上で非常に重要な情報を提供しています。
第弐拾弐話「せめて、人間らしく」 / Don’t be.
第弐拾弐話「せめて、人間らしく」の英語サブタイトルは「Don’t be.」です。
衛星軌道上に使徒アラエルが出現し、シンクロ率が不安定なアスカは待機命令を無視して出撃します。
「せめて、人間らしく」は、エヴァのパイロットとしてではなく、一人の人間としての尊厳や感情を求めるアスカの切実な願いを表現しています。
英語サブタイトルの「Don’t be.」は、直訳すると「そうするな」となりますが、この短い言葉には、アスカの「人間らしくありたい」という願いに対する、ある種の否定や、あるいはその願いの困難さを示唆するような、多義的なニュアンスが込められていると考察するファンもいるでしょう。
アスカの精神が限界に達しつつある状況が痛々しく描かれる回でもあります。
第弐拾参話「涙」 / Rei Ⅲ
第弐拾参話「涙」の英語サブタイトルは「Rei Ⅲ」です。
二重螺旋の外見を持つ使徒アルミサエルが出現し、攻撃を受けた零号機が使徒に浸食される事態が起きます。
「涙」というタイトルは、レイが人間的な感情を発露する重要な瞬間を描いており、彼女の自己犠牲と、シンジへの深い感情が示唆されます。
「Rei Ⅲ」は、レイというキャラクターが物語の中で三度目の大きな変容を迎えることを暗示するとともに、それまでのレイとは異なる、より複雑な内面を持つ存在としての彼女を描いています。
彼女が流した「涙」の意味を、多くのファンが今もなお考察し続けています。
第弐拾四話「最後のシ者」 / The Beginning and the End, or “Knockin’ on Heaven’s Door”
第弐拾四話「最後のシ者」の英語サブタイトルは「The Beginning and the End, or ‘Knockin’ on Heaven’s Door’」です。
フィフスチルドレンとして現れた渚カヲルと、彼に唯一の安らぎを見出すシンジの交流、そして残酷な裏切りと決別が描かれます。
「最後のシ者」というタイトルには、最後の使徒である「使者」という意味に加え、ゼーレが送り込んだ「死者」、そして「信者(カヲル)」といった複数の重層的な意味が込められているという説が有力です。
英語サブタイトルの「The Beginning and the End」は、聖書における「アルファであり、オメガである」という概念を指し、物語の終焉が新たな始まりであることを示唆しています。
「Knockin’ on Heaven’s Door(天国への階段)」はボブ・ディランの名曲でも知られており、神の領域へと近づきすぎた人類の危うさを象徴しているかのようです。
第弐拾五話「終わる世界」 / Do you love me?
第弐拾五話「終わる世界」の英語サブタイトルは「Do you love me?」です。
人類補完計画が発動し、現実世界の情景が消え去り、キャラクターたちの内面のみが対話形式で語られる衝撃的な展開となります。
「終わる世界」は物理的な世界の崩壊だけでなく、個としての境界線が失われ、全人類の魂が一つに溶け合っていく過程を表現しています。
英語サブタイトルの「Do you love me?」は、本作の登場人物たちが抱え続けてきた「他者に愛されたい」という根源的な飢えと、自己の存在価値を問う切実な問いかけです。
この問いに答えを見出せないまま彷徨うシンジたちの姿に、当時の視聴者は自身の内面を重ね合わせました。
最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」 / Take care of yourself.
最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」の英語サブタイトルは「Take care of yourself.」です。
アニメ史に残る議論を巻き起こした「おめでとう」のシーンで幕を閉じる最終回は、シンジが自己肯定への第一歩を踏み出す物語として結実します。
タイトルはハーラン・エリスンのSF小説『世界の中心で愛を叫んだけもの』のオマージュであり、「アイ」は「愛」と「I(私)」のダブルミーニングであると解釈するのが一般的です。
英語サブタイトルの「Take care of yourself.」は、直訳すれば「自分を大事に」という意味であり、物語から解放されるキャラクターたち、そして視聴者へ向けた優しくも厳しい自立のメッセージであると言えるでしょう。
自分自身を愛することの難しさと、それでも生きていくことの尊さを、作品はこの一言に凝縮させています。
【新世紀エヴァンゲリオン】物語の深層を読み解くキーワード:精神分析と哲学
作品を彩るこれらのタイトルが示す通り、『新世紀エヴァンゲリオン』は全編を通じて精神分析的なアプローチが色濃く反映されています。
ヤマアラシのジレンマ、口唇期、アンビバレンスといった専門用語が物語の骨格となっており、これは制作当時の監督が抱いていた心理的葛藤や探求心の表れであると考えられます。
登場人物たちが抱える欠落感は、現代社会を生きる私たちが直面する孤独や不安と密接にリンクしており、それこそが放送から30年近く経っても色褪せない魅力の正体なのでしょう。
各タイトルが織りなす「福音」の真意
全26話を振り返ると、各タイトルの裏には常に「自分とは何か」「他者とどう関わるべきか」という問いが隠されています。
使徒(ANGEL)という外部からの脅威に対し、最終的に向き合わなければならなかったのは自分自身の内なる闇でした。
「エヴァンゲリオン(福音)」がもたらしたものは、万能の救いではなく、苦しみながらも他者と共に生きるという過酷な、しかし自由な現実への切符だったのかもしれません。
タイトルの一つ一つを反芻することで、私たちはこの物語が単なる虚構ではなく、現実を生き抜くための鏡であることを再認識させられます。
まとめ:全話タイトルの旅を終えて
『新世紀エヴァンゲリオン』の全話タイトルと英語サブタイトルを辿ることは、碇シンジという少年の心の変遷を辿る旅そのものでした。
文字情報の奥に隠された膨大なメタファーと、製作者側の遊び心、そして真摯なメッセージ性が、この作品を唯一無二の存在へと押し上げています。
今回ご紹介した各タイトルの意味や背景を意識しながら、改めて作品を見返してみると、以前とは違った風景が見えてくるかもしれません。
四半世紀を超えてなお輝きを失わないこの「事件」を、ぜひあなた自身の目で、そして心で再確認してみてください。
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