【ゴールデンカムイ】漫画第9巻:脱獄王・白石由竹の「純愛」と「狂気」の過去を徹底解剖

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ゴールデンカムイ

【ゴールデンカムイ】漫画第9巻:脱獄王・白石由竹の「純愛」と「狂気」の過去を徹底解剖

 

ノリに乗っている漫画『ゴールデンカムイ』の単行本第9巻は、脱獄王・白石由竹の過去と複雑な心境に深く切り込み、彼がなぜ「脱獄王」となったのかという謎を解き明かします。

前巻で三派の大混戦が繰り広げられた夕張炭鉱から舞台を移し、物語は刺青人皮の真贋を見分けられるとされる人物をめぐる急展開を迎えます。

杉元は、土方歳三と対面し「のっぺらぼうに会って確かめたい事がある、それまでに金塊が見つかってもらったら困る」と決意を打ち明けます。

その後、一同は鍋料理を囲む団欒の時を持つという妙な状況で、土方から刺青人皮の判別方法を見つける必要性が提起されます。

そこで家永が思い当たる人物として挙げたのが「贋札犯」にして多くの美術品の贋作を作った「贋作師」の熊岸長庵でした。

彼が収監されている樺戸監獄へ向かう道すがら、白石は自身の過去を語り始めます。

 

【脱獄王】白石由竹の過去と「シスター宮沢」への純愛

第9巻の中心となるのは、杉元やキロランケ、土方らの前で白石が語る自身の「脱獄王」の経緯と「恋」の物語です。

 

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熊岸長庵との出会いと「あんな恋などせずに済んだのに」

白石が二十歳の時、樺戸集治監に収監され、そこで熊岸長庵と出会います。

白石はそれ以前にも幼年監獄を何度も脱走しており、樺戸では要注意人物として扱われていました。

看守たちの威嚇や検身にも引き下がらぬ白石が脱獄の機会を伺う中、熊岸に春画を頼むと、彼が描いたのは「修道女・宮沢」の絵でした。

最初は熊岸の画力に失望を覚えた白石ですが、何故かその絵に惹かれるようになります。

「あなたはどんな声、どんな顔をしている?」と、絵でしか知らない修道女に「恋」をした白石は、彼女に会う目的を胸に脱獄する決心をし、熊岸と共に計画を実行します。

この時の白石の「あんな恋などせずに済んだのに」という台詞は、その後の過酷な人生の始まりを示唆しており、世の白石スキーを唸らせるイケメン白石の姿も多めに描かれています。

 

全国監獄放浪記と「脱獄王」の誕生

樺戸から脱獄に成功した白石は、修道女に会うための情報を求めて賭場へ向かいます。

そこで群馬県の前橋脱獄で見かけたと話を聞きつけ、直にそこへ向かいます。

しかし、尋ねた門番が幼年監獄での顔なじみの看守で、再び収監されることになります。

その後も白石は自らの策で脱獄しては、金沢・秋田・京都と各地域の監獄に収監と脱獄を繰り返し、「脱獄王」と呼ばれるまでになります。

この時期に白石が全国のうまいもんを食べ歩いたのではなか、と考察する読者も多いです。

挿絵の「少女漫画」風に描かれた白石の表情が絶品で、読者は彼の純粋な「恋」に懸けた情熱を垣間見ます。

しかし、そんな白石がついに憧れていた修道女に会うものの、「面食い故にあっさり冷めてしまった」というオチが、白石というキャラクターの面白さとダメな部分を凝縮しています。

白石は囚人という犯罪者で悪人ですが、戦争には行ってはおらず、杉元とは異なり「大量殺人」を行ってはいません。

しかし、脱獄という犯罪を繰り返すことで、強制的に一般人から遠く離れた場所へ行ってしまったという皮肉が、彼の人生にはあります。

 

偽アイヌコタンの悲劇と熊岸長庵の最期

白石の過去話の後、物語は刺青人皮の真贋を巡る偽アイヌコタンでの騒動へと移ります。

 

杉元と尾形の連携、そして土方の剣技

前巻からの流れで、土方と尾形が剥製所を襲撃した鶴見の部下と激しい攻防戦を繰り広げます。

劣勢に追いやられていた尾形を杉元の鉄拳が助け、杉元は「お前が好きで助けたわけじゃねえよ」と言い聞かせます。

この一連の応戦で杉元と尾形、そして土方との間に「妙な友情」が芽生えたように見えますが、それぞれの目的は依然として異なっています。

特に土方は、羽交い絞めにしていた兵士の片足を切断するという剣術の凄みを見せ、激しい攻防戦の中でも冷静な戦いぶりを披露します。

 

偽コタンでの騒動と熊岸長庵の最期

熊岸長庵が収監されている樺戸監獄へ向かう杉元たちは、樺戸の近くにあるアイヌの村で休んでいくことにします。

そこで出会ったのが日本語ができる男・エクロㇰでした。

アシリパは村で粗末な餌しか与えられていない小熊の状態に目を留めた際、何者かに口を塞がれ連れ去られてしまいます。

実はエクロㇰたちは樺戸監獄を集団脱獄した囚人たちで、この村に潜伏しており、アシリパを連れ去った男こそがアイヌの姿をした熊岸長庵でした。

熊岸はある男により村に監禁され、贋札を作らされており、アシリパに逃すことを条件に助けを求めさせようとします。

杉元はエクロㇰの弟の言葉が偽りであることを見抜き、彼を問い詰めます。

杉元と尾形、牛山が囚人たちに激しく対抗する中、村の女性たちも「家族を殺された復讐」として立ち上がり囚人たちと激突します。

この騒動の中で、熊岸の腹部に囚人の討った毒矢が刺さり、熊岸長庵は毒が廻り息を引き取ってしまいます。

また、牛山は囚人の一人の背中に「刺青」が描かれていたことに衝撃を受け、熊を投げ飛ばして刺青を守ろうとします。

刺青を判別できる唯一の人物がいなくなってしまい、脱獄王・白石に頼るしか他ないという状況で物語は次の展開へと進みます。

 

永倉新八が語る新選組と土方歳三の若き日

第9巻では、白石の過去と並行して、土方と行動を共にする永倉新八が、自身と土方の若き日の物語を語ります。

 

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樺戸監獄での土方歳三との再会

白石の話を聞いた後、永倉は自身も樺戸集治監に来ていた時のことを話し始めます。

樺戸集治監の入口で、永倉は看守に引っ張られて連れて行かれている囚人たちの中に「土方歳三」の姿を見つけて動揺します。

永倉は典獄(監獄の長)・犬童四郎助のもとへ行き、何故土方が収監されていることを黙っていたのかと尋ねます。

永倉は看守長の計らいで、土方が収監されている独居房へと連れて行かれ、ドアの前で土方と対話を試みます。

土方は「ガムシンか?慶応4年(明治元年)だったかな、最後に会ったのは…」と、永倉にアダ名で話しかけます。

永倉は激動の歴史に流されていく若かりし新選組の剣士の頃と重ね合わせ、土方へ自身の思いを打ち明けます。

この回は、時代劇等でよく描かれる新選組の活躍ではなく、その後の行方が描かれているのが新鮮であり、土方と永倉の揺るぎない絆を改めて示します。

 

熊岸長庵の死と永倉新八の役割

永倉は刺青人皮の判別方法のために再び樺戸集治監へ行ってみると、熊岸長庵は「脱獄を企てようとして射殺された」という真実を聞かされます。

しかし、実際は偽アイヌコタンで囚人の毒矢によって命を落としており、この情報の食い違いが今後の物語に影響を与える可能性もあります。

永倉の過去話は、この作品が単なる冒険譚ではなく、激動の時代を生き抜いた男たちの歴史とドラマを描いていることを示しています。

 

群像劇の加速と白石の「ヒロイン」としての役割

第9巻では、白石の過去に加え、谷垣源次郎とインカラマッ、そしてチカパシの新たな旅立ちも描かれ、群像劇としての側面がさらに強化されました。

 

谷垣源次郎とインカラマッ、チカパシの旅立ち

谷垣とインカラマッは札幌と小樽の間の茨戸の街でアシリパたちについて尋ねていました。

二人を追う少年・チカパシも「家族みんな死んだ、待ってるひといない。俺も連れてって」と言い、彼も同行することになります。

旅は道連れとはよく言ったものですが、子供の正直な気持ちが表現されており、谷垣とインカラマッの旅路に新たな要素が加わります。

 

白石由竹をめぐる読者の考察と「ちんちん」問題

第9巻の表紙や裏表紙、そして物語の見せ場の多くで白石がフィーチャーされていることから、読者の間では「白石まみれ」という声が多く上がっています。

彼のことを公式でも「脱獄ヒロイン恋愛コミックだそうですよ」と形容する向きもあり、彼の三枚目的な言動と男前な顔立ち、そして物語の中での「さらけ出し過ぎ」な描写が読者の関心を集めています。

白石のちんちんが小さいという描写は読者に大きな衝撃を与え、作中でも杉元にdisられています。

しかし、そのちんちんの描写よりも、全身うんこまみれになったシーンのモザイクの「丁寧さ」が、ある意味で話題となりました。

「ヒロインとは一体…」という読者の困惑こそが、本作の「何でもあり」の面白さを体現しています。

白石の脱獄能力や身体能力は群を抜いている優秀な人間である一方、「博打狂い」や「面食い故に純愛があっさり冷める」というダメな部分も多く、その人間臭さが魅力となっています。

杉元に対しても、「なんだかんだ杉元を信じきれてない複雑な心境」を持ち、恐怖と罪悪感から逃げ出そうとする姿は、まさしく「ヒロイン」的なすれ違いを生んでいます。

この巻のラストでは、急に怖くなってすたこら逃げ出した白石が、しょっぱい捕まり方をするという脱獄王らしからぬ終わり方をし、次巻へと期待を繋げます。

 

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まとめ:白石由竹の過去が物語に与える深み

『ゴールデンカムイ』第9巻は、白石由竹の過去と熊岸長庵との「運命的な出会い」、そして彼を脱獄王へと駆り立てた「純愛」の顛末を描いた一冊です。

熊岸長庵の死により刺青人皮の真贋を見分けられる人物がいなくなり、脱獄王・白石の存在が物語の鍵を握るという展開になりました。

また、永倉新八が語る土方歳三の若き日の物語や、谷垣源次郎の新たな旅立ちも描かれ、物語の縦横無尽の面白さが際立っています。

登場キャラクター 白石由竹、熊岸長庵、シスター宮沢、永倉新八、谷垣源次郎、インカラマッ、チカパシ
主要な出来事 白石由竹の「脱獄王」としての過去と「恋」の物語
物語の転換点 刺青人皮の真贋を判別できる熊岸長庵の死亡
新たな展開 偽アイヌコタンでの囚人との激突と、谷垣・インカラマッ・チカパシの旅立ち
土方・永倉の過去 永倉新八が樺戸監獄での土方歳三との再会を語る

白石の脱獄能力と複雑な心境が、今後の黄金争奪戦にどのような影響を与えていくのか、次巻以降の展開から目が離せません。

【ゴールデンカムイ】のこの混沌とした世界観は、時代のドラマとキャラクターの人間臭さが見事に融合しているからこそ、読者を引きつけてやまないのでしょう。

 

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