今回は、お金と奴隷をテーマに扱った作品、ハイパーインフレーションを紹介したいと思います。
ハイパーインフレーションは、ネットの掲示板でも連載当初から自称漫画通の方々を唸らせているほどの作品で、AnimeJapan 2023ではアニメ化してほしい作品でも一位に選ばれています。
最近、名作を次々と生み出しているジャンプ+で連載されていた作品で、強豪だらけのジャンプ+でも話題となっていた作品です。
ハイパーインフレーションとは?
ハイパーインフレーションは、お金をテーマに取り扱った作品
現在より100年か200年ぐらい前の世界っぽい時代
奴隷だったガブール人であるルークが、体からお金を出すという不思議な能力を神から与えられ、その力で覇権国家ヴィクトニア帝国と戦うというストーリー
ギャンブル漫画のような心理戦が見所の作品です。
精巧な偽札とはいえ、通し番号が全て同じという重大な欠点を持つ偽札
この偽札を使って少年ルークがガブール人を救うため反乱を起こします。
取引上手なルーク
主人公であるルークは力こそ非力ですが、ベルク札の偽物を作れるようになる前から、帝国の人と取引をして利益を得ていたり交渉上手です。
敢えて非力な主人公だからこそ力で解決するのではなく交渉力が生きています。
元々、偽の硬貨を偽造して帝国に渡していた過去があるルークでしたが、ガブール神から得た偽札を体から生み出す力を活用して世界経済を脅かす存在にまでなります。
もし頭の悪い悪人がこの能力を得ても、少し偽札を使って番号が公表されて使えなくなって終わってしまっていたかもしれませんが、言い換えれば絵柄のついた紙切れを出すこの能力で次々とピンチを切り抜けていきます。
救世主伝説
作中で登場するガブール人には、稀に特別な力をガブール神から授かる者がいます。
今作ではルークが偽札を作っていますが、武器やバッタ、病気など他にも能力があるようです。
戦王、蛾王、病王、麻王のように過去の救世主たちには名前に「王」が冠せられていることから、力を発動したガブール人はいずれも偉業を成し遂げていると思われます。
グレシャムの動きが魅力的
この作品の魅力と言えば、グレシャムの金の事しか考えていないという信念から生まれる動きにあります。
もし、ハイパーインフレーションが実写化されることがあれば、凄くキモイおっさんの方がグレシャム役をやることになりそうですが、漫画でも十分キモさが伝わってきます。
見た目はキモいですが、グレシャムがハイパーインフレーションの中で一番魅力的なキャラクターです。
「ピンチこそ金になる」という考えの持ち主で、命の危機に晒されている場面でもお金の取引を始めたり、お金の為ならとんでもない力を発揮するという
「そこまでやるか」と思えるようなキャラです。
このぐらい、お金に貪欲だったらみんなお金持ちになるのかもしれませんw
あらすじ
序章、反乱
奴隷だったガブール人という種族だったルーク
後に奴隷制度は廃止されますが、差別を受け貧しい生活をしていたガブール人
そんなある日、大奴隷商人グレシャムが奴隷の密貿易の為、奴隷狩りを始めます。
奴隷狩りによってルークの姉であるハル姉が奴隷のオークションに掛けられ失踪してしまいます。
同時にルークはガブール神から生殖能力と引き換えに体からニセ札を生み出せる能力を得ます。
ただしこのニセ札、一万ベルク札のみで、超精工ではあるものの、通し番号が全て同じだったため普通に使うことは出来ない。
この使えないニセ札とハル姉を巡り帝国とガブール人との間で戦いが始まります。
チキンゲーム
奴隷、財宝、船、すべてを持ってグレシャムから売られたハル姉を探しに行くために帝国へと向かったルークでしたが、船の中には船員として引き入れたグレシャムの部下たちが裏切ってしまいます。
グレシャムに追いつかれたルークたちは、グレシャムの部下を人質に取りますが、グレシャムは動じる様子もなく追いかけてきます。
グレシャムの部下たちに火器を捨てられてしまい、グレシャム側の船には大砲が積んであります。
圧倒的不利の中、ルークたちは、船に乗っていたグレシャムの財宝を次々と捨てていき、精神的ダメージを与えていき、二隻のチキンレースが始まります。
ゼニルストン自治領
ようやく無事に帝国内へと潜入できたルークたちでしたが、ハル姉がいまだ奴隷制度の残る地区、ゼニルストン自治領へと送られていたことがわかりました。
これまでルークは、大人たちにいいようにやられてその都度、機転を利かせてピンチを凌いできましたが、遂に救世主として立ち上がる決意をします。
ハル姉だけを救うことを目的として戦ってきたルークですが、ガブール人全体を救うための戦いが始まります。
用語一覧
ガブール人
白い髪、赤い目、少し尖った耳が特徴の民族
恩人や功労者を「救世主」と呼ぶ習慣があり、慕い従うという風習がある。
ヴィクトニア帝国
「日の沈まない国」と呼ばれる覇権国家、言語はヴィクト語
ゼニルストン自治領
人権意識の向上で奴隷制度が禁止された帝国とは違い、いまだに奴隷制度が残る地区
主な産業は農業
グレシャム商会
金の事しか考えていないグレシャムの商会
表向きは、大きな貿易会社、しかし裏では、禁制品や関税の高い品物を密貿易している商会
キャラクター一覧
ルーク
両親を奴隷で失った奴隷の少年、生殖能力を失う代わりに一万ベルク札を生み出す能力を得た
商談が得意で、力を得る前から偽の金貨を帝国に売ったりしていた。
グレシャム
大奴隷商人で、敵も味方もなくどちらが金になるかという事のみを考えて行動する商人
金の為なら驚異的な力を発揮する。
ルークとの取引の公平な際には、取引に納得したフリをして取引を済ませ、その上で全て奪う方が儲かるという理由で裏切るほどの人物
フラペコ
グレシャムの優秀な部下、船の操縦などが出来るがガブール語は話せない
15年前に革命で故郷を追われ孤児で悪党だったころにグレシャムに出会い、その腕を買われて部下となる
ダウー
ルークとは違い体がデカくなるという神からの加護を貰った人物
オークションに出すためグレシャム商会が麻酔で眠らせていたが奴隷船で目を覚る。
驚異的な身体能力を持つ
レジャット
ガブール系ヴィクトニア人、帝国から密命を受けて「ガブール人の特別な力」について探っていたところ、密貿易の奴隷狩りにあってしまう
ルークの危険性にいち早く気付いた人物、ダウーと張り合えるほどの格闘術を持っている。
コレット
ヴィクトニア帝国、秘密情報部所属
非力だけど射撃の腕は超一流、二丁銃の使い手、銃を信仰しており非力な人でも力のある人に勝てる銃を普及したいと考えている。
銃マニアでもあり、珍しい銃には目がない
ヨゼン
ヴィクトニア帝国、秘密情報部所属
事故で無人島に漂着したところを帝国の捕鯨船に保護される。
遠い国の刀という武器を扱う剣客
クルツ
元奴隷、帝国に居たガブール人、娘がさらわれて一億ベルク要求されていたところでルークと出会い5000万ベルク借りる
まとめ
今回は、金と奴隷との戦いを描いた作品、ハイパーインフレーションを紹介しました。
味方なのか敵なのかよくわからないグレシャムの動きに注目、ハイパーインフレーションの話はグレシャムの動きによって大きく左右されていると言ってもいいと思います。
常にどちらが金になるかを考えており、金になるルークの為なら自らの足すらも犠牲にするというほどの人物です。
中途半端に貪欲な人間は不快に思われる方も多いと思いますが、ここまで金に貪欲だと愛らしく見えて仕方ないから不思議です。
ハイパーインフレーションは、主人公であるルークは、非力であり偽札しか出せないという不利な状況から世界をひっくり返そうとするという斬新なストーリーです。
ルークは機転が利き、何度もピンチを切り抜けることは出来ますが、敵はルークの更に先を見通して攻撃を仕掛けてきたりと常に完全勝利という訳でもないというところも魅力です。
逆転から逆転の繰り返しで最後にとんでもない大逆転を見ることが出来ました。
今作は登場キャラが少ないんですが、最初から最後までグレシャムが10人分ぐらいの笑いと感動を提供してくれる作品
是非ご覧になってみてください(^^)/
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