藤谷製薬の社員たちが山岳レクリエーションに参加したことから始まる物語。
しかし、岩砕山で突如現れた巨大な猿のような生物によって、彼らは生死をかけた戦いに巻き込まれていきます。
緊迫感と人間関係の描写が魅力で、読者を引き込むホラー作品。
この物語は、社員たちの過去や人間ドラマ、そして生き残りをかけた戦いが交錯する、緊迫感あふれる作品です。
あらすじ
藤谷製薬の社員たちは、薬害問題による社会的な苦境を乗り越えるためのチームビルディングとして、谷川岳の次に危険とされる岩砕山を訪れます。
しかし、キャンプ初日の夜に、鉈(ナタ)のような凶器を持った巨大な猿のような生物と遭遇し、翌朝には同僚の行方不明に気づきます。
生き残った社員たちは、下山を目指して登山を続けますが、猿は複数いることが判明し、次々と襲撃を受けて仲間が危機に陥ります。さらに、猿側に内通者がいるのではないかという疑惑も浮上し、疑心暗鬼が蔓延していきます。
極限状況に追い込まれた人間たちは、次第に本性を現し始めます。仲間を見捨てて逃亡したり、他人を犠牲にして生き残ろうとしたりする者も現れます。
主人公の早乙女は、そんな状況の中でも仲間を守ろうと奮闘しますが、絶望的な状況の中で、彼自身の精神も徐々に追い詰められていきます。
襲ってくる猿は、人間並みの知能を持ち、巧妙な罠を仕掛けたり、武器を使いこなしたりします。また、複数匹で連携して行動することもあり、生存者たちは絶望的な状況に追い込まれていきます。
物語は、生存者たちが互いに疑心暗鬼に陥り、危険な状況に陥っていくというクライマックスへと向かっていきます。
誰が敵なのか、誰が味方なのか分からなくなった状況の中で、早乙女は最後の力を振り絞って、仲間を守ろうとします。
果たして、早乙女たちは無事に下山することができるのか? そして、謎の猿の正体とは? 衝撃的な結末が待っています。
見所
『モンキーピーク』は、山の恐怖や登場人物の絶望をリアルに描いています。
魔猿からの逃走、飢餓状態、極限状態の中でも堂々と君臨する容赦ない山の姿はまさに圧巻で、過酷な環境の中で次々とピンチが訪れます。
猿たちが知能を持っていることが明らかになり、社員たちは次々と襲撃されていきます。
猿との戦いはもちろんメインですが、「本当に猿なのか?」という謎もあり、一筋縄ではいかない展開が楽しめます。
感想
作中では過酷な環境で下山を目指し山を登っていくんですが、今作を通して僕が思うのは一番怖いのは人間なんだろうなというところです。
自然や魔猿は、山に立ち入らなければ危険ではありません。
しかし、作中では山に入る前の会社での日常生活に問題があった場合が殆どで、それが過酷な環境下で浮き彫りになったというだけです。
しかも、作中で人を傷つけたり攻撃したりする描写も魔猿や山より人間の方が多い気がします。
進撃の巨人でもそうでしたが、このような圧倒的脅威の前に一番危険なのは取り乱し本性を露にした人間なのかもと思えてしまいます。
そう考えると、モンキーピークの世界は誰の日常にもあるのかもしれません。
登場人物
早乙女 稜(さおとめ りょう)
23歳の営業担当で、物語の主人公です。過去のトラウマから「2人の命を奪った」と語り、社員たちから敬遠されています。頂上で生き残り、皆のために前に進むことを決意します。
驚異的な体力と運動神経、元ヤンの根性、そして主人公補正を駆使してさまざまな困難を乗り越えています。彼は顔面に放たれた矢を歯で齧って止めるなど、人間離れした芸当を見せています。
宮田(みやた)
23歳の営業担当で、早乙女とは同期入社であり、学生時代からの友人です。
明るいムードメーカーですが、抜け目のない一面を見せることもあり、物語の「人間味担当」とも言える人物です。明るく社交的で、周囲を気遣う性格の持ち主ですが、一方で弱さも見せる等身大の人物として描かれています。
佐藤 貴子(さとう たかこ)
31歳の経理担当、佐藤貴子は責任感と真面目さを持ちながらも、気が強く、厳しい性格の女性です。
レクリエーション登山では班長を務め、周囲を統率しようとしますが、その強引な態度から反発を受けることもありました。幼少期の母親の教えから、人に頼ったり弱みを見せることが苦手で物語序盤は、疑心暗鬼と葛藤に苦しみます。
安斎(あんざい)
34歳の法務担当で、屈強な体格と戦闘力を誇り、社員達を統率するリーダーシップを持ちますが、冷酷で厳格な性格の持ち主です。学生時代のアメフト部主将の経験から厳しい指導に慣れていますが、部員達から結果が出せなかったことを責められた経験が心の傷となっています。
物語序盤は、責任感と正義感から社員達をまとめようとしますが、その厳しさゆえに反発を受け、次第に冷酷な独裁者へと変貌していきます。社員達を拷問にかけたり、疑いをかけられた者たちを容赦なく排除したりと、狂気の行動に走るようになります。
林
茶髪のボブヘアの林は、優しく穏やかで献身的な女性です。社員達を労り、励まし、特に早乙女を支え続けます。しかし、実は藤谷製薬の薬害被害を受けた弟を救うために、猿の仲間となり、社員達を裏切っていました。
早乙女にこの事件と悪人の報いを後世に語り継いでほしいと託し、微笑みながら息を引き取ります。優しい裏切り者であり、悲しい真実を抱えた女性でした。
猿(さる)
岩砕山に潜む、人間並みの知能と圧倒的な力を持つ謎の巨大猿。
漆黒の体毛に覆われ、血のように赤く光る目を持つ魔猿は、人間を超えた知能と身体能力を持ち、岩砕山を支配する恐怖の存在です。
鋭い爪と牙で人間を軽々と屠り、巧妙な罠で獲物を仕留め、言葉巧みに操り、容赦なく襲い掛かる。
その正体は謎に包まれ、人工生命体なのか、異世界の生物なのか、それとも過去の科学実験の失敗作なのか、誰も知る由がありません。
しかし、その恐ろしさは疑う余地がなく、人間は魔猿の前に無力であり、絶望的な恐怖に支配されます。
魔猿は、単なるモンスターではなく、人間性の闇を象徴する存在であり、自然への傲慢な態度に対する警鐘であり、真の恐怖とは何かを教えてくれる存在と言えるでしょう。
まとめ
藤谷製薬の社員たちが、山岳レクリエーションで遭遇した恐るべき惨劇。
謎の巨大猿、襲い来る恐怖、そして人間の本性を暴くサスペンスホラー。
緊迫感あふれるストーリー展開と、リアルな描写で読者を圧倒する作品です。
人間ドラマ、謎解き要素も魅力
山登りが好きな人、サスペンスやホラーが好きな人、人間ドラマに興味がある人、謎解きが好きな人に特におすすめです。
あなたも、極限状態に追い込まれた人間たちの狂気と絶望を体験してみませんか?
今すぐ『モンキーピーク』を読んでみてください!
※暴力的な描写が含まれるため、苦手な人はご注意ください。
詳細
原作: 志名坂高次
作画: 粂田晃宏
ジャンル: サスペンス、ホラー
掲載誌: 週刊漫画ゴラク
単行本: 既刊12巻
特徴
リアルな登山描写
息詰まるサスペンス
人間ドラマ
謎解き要素
おすすめポイント
山登りが好きな人
サスペンスやホラーが好きな人
人間ドラマに興味がある人
謎解きが好きな人
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