2018年4月に新しいシリーズが放送され、昨年10月には実に30年ぶりの新作が制作されるなど、常に私たちを魅了し続ける『ルパン三世』。
この大人気アニメを語る上で欠かせないのが、主人公ルパン三世の愛車たちではないでしょうか。
オープニングシーンで鮮烈な印象を残し、作品の中でも必ずと言っていいほど登場する数々の車は、単なる移動手段以上の存在感を放っています。
実は、ルパン三世には「大泥棒」以外のもう一つの顔があることをご存じでしょうか。
これを知っている人は、かなりの『ルパン三世』ファンと言えるでしょう。
今回は、そんなルパン三世の華麗なる愛車遍歴を、アニメシリーズや劇場版に登場した具体的な車種とともに深掘りしていきます。
フィアットやメルセデスベンツといった名車の数々が、どのようにルパン三世の物語を彩ってきたのか、一緒に見ていきましょう。
ゴージャス! ルパン三世の愛車一覧とその魅力
『ルパン三世』を観ていると、常にゴージャスでかっこいい車たちが登場し、車好きの視聴者であればすぐに車種を特定できるかもしれません。
しかし、車に詳しくない方にとっては、あまりにも多数のメーカーの車が登場するため、見分けるのが難しいと感じることも少なくないでしょう。
意外にも、ルパン三世の愛車は仲間たちと群れをなして走るシーンも多く、その一台一台に個性があります。
今回ご紹介する車種の一覧を参考に、街中で見かける車に「これもルパンの愛車に似ている!」と気づくと、作品をより一層楽しめるかもしれません。
ルパン三世 PART1の愛車:フェラーリとメルセデスベンツ
愛車:F1カー フェラーリ312B
『ルパン三世 PART1』の第1話は、F1レースのシーンから華々しく幕を開けます。
ここで登場するのが、ルパン三世のもう一つの顔、「F1レーサー」としての姿です。
作中では「フェラーリ」ではなく、親しみを込めてか「フェラリー」と呼ばれています。
ルパン三世がこのF1レースで優勝するところから、彼の長く壮大な物語が始まることを考えると、この車は記念すべきスタート地点を飾る一台と言えるでしょう。
フェラーリ312B:実車解説
フェラーリ312Bは、言わずと知れたフォーミュラ1カーです。
1970年から1975年にかけて開発され、車名の「312」は「3000ccの12気筒エンジン」を意味し、「B」はボクサーエンジン(水平対向エンジン)に由来しています。
この第1話でしか見られない希少な登場も、ファンにとっては特別な意味を持つと考える人も多いようです。
愛車:メルセデスベンツSSK
TVシリーズの初期、特に『PART1』では、ルパンはメルセデスベンツSSKによく乗っていました。
エンブレムはそのままではなく、円の中に十字が入った独自のデザインになっており、車体色は鮮やかな黄色が特徴です。
このメルセデスベンツSSKの登場により、「ルパン=メルセデスベンツ」という強い印象が多くの視聴者の心に刻まれました。
さらに驚くべきは、ルパン三世のメルセデスベンツSSKには、フェラーリのボクサーエンジンが搭載され、500馬力にまでパワーアップしているという設定です。
これは、ルパンがいかに車にもこだわりを持っているかを示すエピソードとして、ファンにはよく知られています。
メルセデスベンツSSK:実車解説
実際のメルセデスベンツSSKは、車体の右側に3本の排気パイプが特徴的なクラシックカーです。
アニメでのアングルも実車に忠実に描かれており、細部へのこだわりが感じられます。
時折、街中でこの希少なメルセデスベンツSSKを見かけることがありますが、ルパンの愛車に憧れて乗るエンスージアストは意外と多く、中には仮装して乗るファンもいると聞きます。
ルパン三世 PART2の愛車:イタリアの名車アルファロメオ
愛車:アルファロメオ・グランスポルト・クアトロルオーテ
『PART2』では、ルパンの愛車はメルセデスベンツSSKからアルファロメオ・グランスポルト・クアトロルオーテへと変わります。
車体色は情熱的な赤色となり、パッと見ただけでは分かりにくいかもしれませんが、エンブレムはフロントグリルの上部に付いています。
この車種変更は、ルパンの新たな冒険の舞台設定や、作品全体のトーンの変化を示唆しているとも考えられます。
アルファロメオ・グランスポルト・クアトロルオーテ:実車解説
アルファロメオ・グランスポルト・クアトロルオーテの特徴の一つは、フェンダーアーチがバンパーまで長く伸びている点です。
このディテールによって、メルセデスベンツSSKとは異なる車種であることが識別できます。
アニメでのアイキャッチ効果もあり、赤色の印象が非常に強いですが、実車はメルセデスベンツSSKと非常によく似ています。
しかし、右側にある3本の排気パイプがないことや、フェンダーアーチの形状、そして正面から見た際の「顔つき」の違いから、詳しいファンは簡単に見分けることができるようです。
ルパン三世 PART3の愛車:再びドイツの名車メルセデスベンツ
愛車:メルセデスベンツSSK
実は『ルパン三世 PART3』は、前のシリーズと比べてあまり広く知られていないかもしれません。
このシリーズでは、ルパンのジャケットの色がピンクに変わり、顔つきも以前とは異なる印象を与えました。
そして、愛車は再びメルセデスベンツSSKに戻りますが、今回は清潔感のある白色です。
放送時間が巨人戦と重なることが多く、その影響で1か月近く放送されない時期もあったようですが、作品としての評価は決して低くありませんでした。
白のメルセデスベンツSSKは、ピンクのジャケットとのコントラストが際立ち、新たなルパンのイメージを構築していました。
メルセデスベンツSSK:ディテール解説
メルセデスベンツSSKとアルファロメオ・グランスポルト・クアトロルオーテは、全体的なフォルムが似ているため見分けがつきにくいと言われますが、車の「顔つき」に注目すると違いが明確です。
フロントグリルの形状や、エンブレムの付き方が異なります。
特に、エンブレムが突起して付いているのがメルセデスベンツSSKの特徴です。
白いメルセデスベンツSSKは、初期のシリーズで使用されていたものとはまた異なる印象を与え、ルパンがこの車種を深く愛用していることが伺えます。
ルパン三世 PART4とPART5の愛車:イタリアの国民車フィアット
愛車:フィアット・アバルト695
『ルパン三世 PART4』はイタリアが舞台となり、ルパンの愛車もイタリアを代表する車、フィアットへと変更されます。
しかし、ただのフィアットではありません。
ルパンが選んだのは、高性能チューンアップが施されたフィアット・アバルト695です。
ちなみに、作中で登場するパトカーはアルファロメオでした。
フィアット・アバルト695:実車解説
実際のフィアット・アバルト695は、高性能な改造が施された車両です。
アバルト仕様の車には、必ず「サソリのマーク」が入っているのが特徴で、これはアバルトの創業者であるカルロ・アバルトがさそり座であったことに由来すると言われています。
可愛らしい見た目からは想像もつかないほどのパワーを秘めているのが、このフィアット・アバルト695の魅力であり、まさにルパンのキャラクター性を反映していると考えるファンも多いようです。
愛車:フィアット・アバルト(PART5)
最新作の『PART5』でも、ルパンは引き続きフィアット・アバルトを使用しています。
今回は鮮やかな黄色で登場し、この小さな車は実は初期シリーズから度々登場しており、ルパンにとっては馴染み深い存在であることが示唆されます。
『PART4』と基本的な車種は同じですが、色が異なることでシリーズごとの雰囲気を視覚的に区別しています。
劇場版ルパン三世の愛車:時代を象徴する名車たち
劇場版『ルパン三世』では、その作品ごとに異なる魅力を放つ愛車たちが登場し、物語を盛り上げてきました。
映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間』の愛車:メルセデスベンツSSK
1978年12月に公開された、初の劇場版『ルパン三世 ルパンVS複製人間』。
テレビシリーズ『PART1』が1971年10月から1972年3月までの放送だったことを考えると、映画版でもルパンは『PART1』で愛用していた黄色いメルセデスベンツSSKを再び使用しています。
これは、『PART2』が好評だった中で、『PART1』のような「大人のルパン」を見たいというファンの声に応え、ターゲットを大人に設定した映画ならではのこだわりだったと考えられます。
メルセデスベンツSSK:映画での活躍
映画でもテレビシリーズ『PART1』で使用していたメルセデスベンツSSKが採用され、そのレトロな魅力がスクリーンいっぱいに広がりました。
黄色い車体が印象的で、ルパンのトレードマークの一つとして認識されています。
映画『ルパン三世 カリオストロの城』の愛車:フィアット500
1979年に公開された映画『カリオストロの城』は、「ルパン三世」という作品を代表する一本として、今もなお多くの人に愛されています。
この作品でルパン三世の愛車として多くの人が真っ先に思い出すのが、あの黄色いフィアット500ではないでしょうか。
作中のフィアット500でのカーチェイスは、多くの視聴者に最高のワクワク感を与えた名シーンとして語り継がれています。
山道で大型バスを華麗に避けていくフィアット500の走行シーンは、ルパンの卓越した運転テクニックはもちろんのこと、車の頑丈さをも窺わせます。
しかし、その激しい走行に「シャシが心配」という声も多く、その無茶な走りがルパンらしさを際立たせているという見方もあります。
急カーブを曲がる際のフィアット500の挙動は、車の限界を超えているように見え、シャシへの負担は計り知れないものがあったでしょう。
さらに、前から飛んできたハンバー・スーパー・スナイプの部品がボンネットに直撃しても、フィアット500は走り続け、そのタフネスぶりには驚かされます。
次元がハンバー・スーパー・スナイプのタイヤを狙って正確に撃ち抜くシーンも、ルパン三世シリーズで頻繁に見られるような、仲間たちの連携の妙が光る瞬間です。
番外編として、クラリスが乗っている車はシトロエン、そして彼女を追っている車はハンバー・スーパー・スナイプでした。
この逃避行を見たルパンは、クラリスを助けるべく、自身のフィアット500でカーチェイスに加わります。
崖の壁を疾走するフィアット500は、一体どれほどのスピードを出していたのでしょうか。
そして、ルパンたちはクラリスたちの車の前へと見事に割り込むことに成功します。
崖の上の林を抜けてきたフィアット500には、たくさんの木々が付着しており、このあたりになると車のシャシの心配どころではなくなります。
うまくクラリスを追いかける車は破壊できましたが、クラリスの安否が気になるところです。
フィアット500の足元もかなりダメージを受けているように見えました。
ルパンたちは、車の中で気絶しているクラリスを発見し、珍しく次元が運転を代わります。
クラリスを助けようと、彼女の車に移ろうとするルパンでしたが、最終的には木にぶら下がる状態に。
しかし、ルパンはクラリスを助けるために体を張って守り抜き、最終的には木が折れて二人とも落下してしまいます。
ここまでが、『カリオストロの城』で最も有名なフィアット500のカーチェイスシーンです。
フィアット500:『カリオストロの城』仕様
『カリオストロの城』でルパンが愛用したフィアット500は、この作品を象徴するアイコン的な存在です。
この映画は、日本でフィアットの名前を広く知らしめた作品でもあり、当時この車を知っていたとしたら、かなりの車好きだったと言えるでしょう。
さらに、この作品ではフィアット以外にも数多くのメーカーの車が登場しており、細部にまでこだわった描写が、車好きの心を掴んだ理由の一つだと考えられています。
ルパンの愛車がメルセデスベンツからフィアットになった理由
ルパン三世の愛車遍歴を見ると、初期のメルセデスベンツSSKから、後のフィアット500へと変化していることが分かります。
この変更には、番組の路線変更や、制作上のディテールが関係していると言われています。
『ルパン三世 PART1』の放送途中では演出の路線変更があり、その影響で、当初のメルセデスベンツSSKに加えて、淡い空色のフィアット500も登場するようになりました。
そして、映画『カリオストロの城』の監督である宮崎駿からは、作画の都合上、ディテールが複雑なメルセデスベンツSSKよりも、シンプルで描きやすいフィアット500への注文があったと言われています。
確かに、メルセデスベンツSSKと比較すると、フィアット500はディテールが複雑ではありません。
また、キャラクターデザインの大塚康生の愛車がフィアット500であったことも、この車種が作品に登場するきっかけの一つになったという見方もあります。
制作側の意図と、クリエイターの個人的な愛着が、ルパンの愛車遍歴に影響を与えていたと考えると、作品への愛着がさらに深まるのではないでしょうか。
ルパン三世の愛車一覧でもっと作品を楽しもう!
いかがでしたでしょうか。
今回は、ルパン三世が乗ってきた印象的な愛車たちを一覧でご紹介しました。
実際には、今回取り上げた車種以外にも、フォルクスワーゲン、テスラ、マセラッティ、BMW、ルノーなど、さまざまな車が登場しています。
F1レーサーの顔も持つほど車を愛するルパン三世にとって、愛車は単なる道具ではなく、彼自身の分身とも言える存在なのでしょう。
次にルパン三世の作品を観る際には、ぜひ彼の愛車にも注目してみてください。
また、街中で今回紹介した車を見かけたら、ルパン三世の華麗なドライビングテクニックや、彼と愛車が織りなすスリリングな物語を思い出してみてはいかがでしょうか。
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