
北の大地を舞台に繰り広げられる黄金争奪戦は、単行本第6巻でも快調に展開します。
敵味方の勢力がほぼ出揃い、ひとまずの目的地が決まった今、物語はクライマックスへ一直線とはいかず、思わぬ最凶の脱獄囚との死闘、そしてマカロニウェスタンばりの大乱戦が描かれることになります。
アシリパの父の友人キロランケの言葉から、謎の囚人「のっぺらぼう」こそがアシリパの父であるという新たな局面を迎えた黄金争奪戦。
真実を確かめるため、のっぺらぼうが収監された網走監獄へ向かうこととなった杉元・アシリパ・白石・キロランケの四人ですが、途中立ち寄った札幌でとんでもない事態が待ち受けていたのです。
この巻の核となるのは、殺人ホテルを舞台に繰り広げられる抱腹絶倒ものの乱戦と、土方・永倉コンビが茨戸の宿場町で見せるハードなバイオレンスです。
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杉元一行が札幌で宿泊した「札幌世界ホテル」は、一見妖艶な女将が切り盛りする宿でしたが、その正体こそが刺青脱獄囚の一人でした。
女将はある目的のためにホテルを改造し、目を付けた宿泊客を惨殺している「殺人鬼」だったのであります。
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この女将の殺人ホテルに、土方の腹心ともいうべき「精力絶倫の元柔道王」不敗の牛山が宿泊します。
牛山は女将に大欲情し、一方女将側も牛山の体を(別の意味で)狙うことになります。
そんな火薬庫の上に腰掛けたような状態とは知らずに牛山と出会った杉元とアシリパは、互いの正体を知らずに意気投合します。
唯一牛山の正体を知る白石は女将に捕らわれの身となり、人間関係が最高に入り組んだ状況でついに(文字通りの)大爆発が起こるのです。
杉元は前の巻に続き「行った先で変態殺人鬼と出くわす」という展開に遭遇しますが、これは刺青人皮を背負う凶悪犯を追っていればこそ、と解すべきでしょう。
ホテルを舞台に繰り広げられるスリリングかつ抱腹絶倒ものの乱戦・混戦は、まるでドリフのコントのような面白さを持ち、個性の固まりのような面々が短い間にそのキャラクター性を存分に発揮してみせます。
この混沌とした状況こそが本作の人気の一端を示しています。
網走監獄の黄金:剥がされた刺青人皮の謎と争奪戦の幕開け
杉元一行から離れて巻の後半で描かれるのは、土方・永倉コンビが茨戸の宿場町で繰り広げる「用心棒」ばりのハードなバイオレンスです。
花沢勇作の運命:旗手としての条件と家族の対立
茨戸の支配権を巡り日泥一家と久寿田一家が警察を巻き込んでにらみ合いを続ける中に、飄然と現れた老人――いや生き残りの強者二人(土方歳三と永倉新八)は、破落戸たちを容赦なく叩き潰しては己の値を釣り上げていきます。
実は彼らの狙いはこの地にあるという刺青人皮でした。
さらに同様の狙いで現れた元・第七師団の凄腕スナイパー「尾形」も加わり、緊張感が高まりに高まったクライマックスでは一大銃撃戦が繰り広げられるのです。
これまで要所要所でその凄みを見せてきた土方ですが、今回は戦士としてだけでなく、幕末の「戦争」を生き抜いた指揮官としての凄みを遺憾なく発揮してくれます。
ここに、どちらかといえば抑え役的なムードだった永倉もついに大噴火し、まさかの数少ないギャグパートまで披露します。
策略の舞台:帝国ホテルでの洋食マナー大騒動
これまで個対個の戦いがほとんどであった本作においては比較的珍しい集団対集団の戦いに、読者は大いに興奮させられました。
土方が見せる「戦争」を生き抜いた指揮官としての凄みは、尾形という凄腕のスナイパーをも加えた乱戦を巧みに収束させ、物語に重厚な深みを与えています。
こうした展開を目にすると、やはり「戦争」から帰ってきたばかりの杉元と土方が全面対決する日が、いよいよ楽しみになるではありませんか。
裏切りと再会:銃弾が引き裂いた杉元と菊田の運命
様々な勢力の思惑が入り乱れる展開となってきたため、主人公コンビの出番が奪われがちなのが少々残念なところではありますが、しかしこの混沌ぶりこそが伝奇ものの最大の醍醐味です。
鶴見中尉の思惑と銃撃:菊田が杉元を庇った真意
札幌世界ホテルでの変態殺人鬼との戦いから一転し、茨戸で描かれた土方たちの集団戦は、「極上の味」を読者に提供してくれました。
杉元一行はのっぺらぼうを追い網走へと向かい、土方一派は刺青人皮を狙い、それぞれの思惑と狂気を秘めた勢力が北海道を舞台に激突するこの状況は、物語のスケールをさらに拡大させています。
この巻ではグルメ展開が少なめになっていた点はあるものの、バイオレンスとコメディ、そして歴史的な背景を持つ土方の戦略が見事に融合しており、『ゴールデンカムイ』の多面的な面白さが再確認できます。
網走監獄への旅路はまだ続きますが、途中で出会う個性豊かな強敵たちとの戦いが、物語をますます面白くしていくことは間違いありません。
まとめ
『ゴールデンカムイ』第6巻は、札幌世界ホテルを舞台にした殺人鬼と不敗の牛山、杉元たちの「ドリフ的」な大乱戦と、茨戸の宿場町で土方歳三・永倉新八が見せる、マカロニウェスタンを彷彿とさせる集団の銃撃戦という二つの大きな局面を描きました。
| 前半のハイライト | 札幌世界ホテルでのスリリングな乱戦。女装殺人鬼の女将と、土方の腹心・不敗の牛山が登場 |
| 後半のハイライト | 茨戸の宿場町での集団戦。土方が指揮官としての凄みを発揮し、尾形、永倉も加わり銃撃戦へ |
| 土方の役割 | 戦士だけでなく、幕末の戦争を生き抜いた指揮官としての戦略的な凄みを遺憾なく発揮 |
| 主人公たちの動き | のっぺらぼうの真実を確かめるため、キロランケと共に新たな目的地「網走監獄」へ向かう |
| 物語の評価 | 主人公の出番は少なめながらも、混沌とした群像劇としての面白さと各キャラの個性的な活躍が際立つ |
個と個の激突から集団の戦闘まで、物語のスケールを拡大させた第6巻は、杉元と土方の全面対決への期待を否応なしに高める一冊となりました。
網走監獄への旅路は依然として危険に満ちており、次なる刺青人皮との遭遇が待ち望まれます。
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