
吾峠呼世晴の描く大ヒット漫画『鬼滅の刃』。
その中でも、鬼殺隊に立ちはだかる最強の敵として強烈な印象を残すのが、十二鬼月・上弦の参、猗窩座(アカザ)です。
初登場の「無限列車編」では、炎柱・煉獄杏寿郎と死闘を繰り広げ、その圧倒的な強さを見せつけました。
徒手空拳を主軸とした肉弾戦を得意とし、「術式展開 破壊殺・羅針」をはじめとする数々の強力な技「破壊殺」を操ります。
回避の名手である水柱・冨岡義勇でさえも「回避不可能」と言わしめたその技の数々は、一体どのようなものなのでしょうか。
この記事では、猗窩座が使う「破壊殺」の技名とその驚異的な強さを一覧形式で徹底的に解説。
さらに、彼の過去や技名の知られざる由来、そしてその戦闘スタイルの深層に迫ります。
『鬼滅の刃』を彩る十二鬼月・上弦の参「猗窩座」とは
まずは、猗窩座がどのような存在なのか、『鬼滅の刃』の作品情報も交えながら解説します。
『鬼滅の刃』の概要と物語の舞台
『鬼滅の刃』は、大正時代を舞台に、主人公・竈門炭治郎が鬼と化した妹・禰豆子を人間に戻すため、そして家族の仇を討つために鬼と戦う伝奇ロマン作品です。
2016年から『週刊少年ジャンプ』で連載が始まり、その独特の世界観と感動的なストーリー、そして魅力的なキャラクターたちが多くの読者を惹きつけました。
2020年3月時点でシリーズ累計発行部数は4000万部を突破し、『オリコン年間コミックランキング2019』では期間内売上1位を記録するなど、社会現象を巻き起こすほどの人気を博しています。
猗窩座の登場と「無限列車編」のあらすじ
物語は序盤の「竈門炭治郎 立志編(1~6巻)」から始まり、中盤の「無限列車編(7巻~16巻)」、そして終盤の「無限城での決戦(16巻~)」へと続きます。
猗窩座が初登場したのは、まさに物語の中盤にあたる「無限列車編」です。
炭治郎たちは、鬼殺隊の最高位である「柱」の一人、炎柱・煉獄杏寿郎から「ヒノカミ神楽」の手がかりを得るべく、彼が乗車している無限列車に乗り込みました。
しかし、その列車は鬼による事件に巻き込まれており、下弦の壱・魘夢の血鬼術によって炭治郎たちは夢の中に閉じ込められてしまいます。
苦戦の末に魘夢を打ち倒した直後、突如として現れたのが猗窩座でした。
炎柱・煉獄杏寿郎と対峙した猗窩座は、想像を絶する強さで炭治郎たちを追い詰めていきます。
猗窩座の容姿と「拳鬼」としての強さ
| 階級 | 十二鬼月・上弦の参 |
|---|---|
| 特徴 | 全身に紋様のような刺青、紅梅色の短髪 |
| 得意な戦法 | 徒手空拳の肉弾戦(拳鬼) |
猗窩座は、十二鬼月の3番目に強い鬼である上弦の参に位置します。
全身に紋様のような刺青が施され、紅梅色の短髪が特徴的な容姿をしています。
「拳鬼」の異名を持ち、体術のみで戦う肉弾戦を得意としています。
愚直なまでに「強さ」だけを追求する一面を持っており、これまで数多くの鬼殺隊の柱を葬ってきました。
無限列車編では炎柱・煉獄杏寿郎を倒し、無限城では水柱・冨岡義勇とも交戦し、義勇に手も足も出させないほどの異次元の強さを見せつけました。
彼の強さの秘訣は、後述する血鬼術「破壊殺」にあります。
「破壊殺」によって肉体を強化し、真正面からの殴り合いを繰り広げます。
その攻撃範囲は近距離から遠距離にまで及び、さらに自身を中心に全方向への攻撃を可能とすることで、一切の隙を与えません。
猗窩座の血鬼術「破壊殺」とは?技名とその驚異的な強さ一覧
猗窩座が操る血鬼術「破壊殺」は、その肉体を極限まで強化し、凄まじい威力とスピードを持つ技を繰り出します。
ここでは、彼の主要な技を一覧形式で紹介します。
術式展開 破壊殺・羅針(はかいさつ らしん)
猗窩座が武の構えを取った後、足元に雪の結晶に似た術式を展開する技です。
猗窩座が決定的な打撃を与える際に使用することが多く、この術式を展開すると猗窩座自身のステータスが飛躍的に上昇します。
この術式展開には、相手の急所への攻撃を吸い寄せるように当てる効果や、相手の動きを察知して攻撃を回避する能力が含まれます。
敵の闘気を読み取ることで、たとえ目視できなくても攻撃動作を把握し、それに対応することが可能になるのです。
無限列車で乱入した際、猗窩座はこの術式展開を即座に煉獄杏寿郎に使用し、彼を窮地へと追い詰めました。
無限城での冨岡義勇との戦いでは、序盤では使用せず、後半戦で本気を出す際に使用しています。
破壊殺・空式(はかいさつ くうしき)
単純な拳の連撃技でありながら、血鬼術「破壊殺」によって猗窩座のパワーとスピードが格段に上昇しているため、その威力は絶大です。
空中で空気を殴ることで衝撃波を発生させ、近距離だけでなく遠距離の敵にも攻撃を与えることができます。
バランスの取れた技であり、多くの状況に対応可能です。
破壊殺・乱式(はかいさつ らんしき)
無数に空気を殴ることで、前方に強力な衝撃波(拳圧)を生み出す技です。
超スピードの拳によって生み出される衝撃波は、無限列車で煉獄杏寿郎と戦った際、煉獄の「炎の呼吸 炎虎」をねじ伏せつつ大ダメージを与えるほどの圧倒的な威力を持っていました。
この技も遠距離の敵に有効で、衝撃波が飛んでくるまでの時間が非常に短いため、鬼殺隊の柱かそれに近い実力者でなければ、ほぼ対処不可能と言われています。
破壊殺・滅式(はかいさつ めっしき)
猗窩座が使う技の中でも特に絶大な威力を発揮する技です。
破壊力はもちろんのこと、スピードにも優れています。
無限列車編で、煉獄杏寿郎が最大の奥義「炎の呼吸 玖ノ型・煉獄」を使用した際に、この「滅式」で真正面から受け止められました。
結果、猗窩座は左腕を斬られながらも、煉獄の腹部を腕で貫くという壮絶な相打ちのような形となりました。
どのような技なのか詳細は不明ですが、技を使った後に周囲に大きな土煙が立ち、その直後に煉獄の腹部を貫いていることから、極めて素早い突き技であると推測されます。
破壊殺・脚式 冠先割(はかいさつ きゃくしき かむろさきわり)
敵の背後に素早く回り込み、下から上へと蹴り上げる攻撃技です。
この技を受けた炭治郎は、寸前で避けたもののわずかに触れただけで出血していました。
もし直撃していれば、体がバラバラになっていた可能性も示唆されるほどの威力を持っています。
「冠先割」とは、下から上へと長く放たれ、一気に広がる打ち上げ花火のことを指す言葉です。
技名にも猗窩座の人間時代の記憶が込められていると考えるファンも多いようです。
破壊殺・脚式 流閃群光(はかいさつ きゃくしき りゅうせんぐんこう)
上段から中段、下段へと、高速の連脚を繰り出す攻撃技です。
この技を受けた冨岡義勇は、かなりの距離まで吹き飛ばされるほどの威力でした。
目にも止まらぬ速さで繰り出される蹴りの嵐は、回避するのも困難を極めます。
破壊殺 鬼芯八重芯(はかいさつ きしんやえしん)
「破壊殺・乱式」の強化版であり、前方に怒涛の8連撃を繰り出す攻撃技です。
炭治郎はこの攻撃を、強力な威力を誇る「ヒノカミ神楽 灼骨炎陽」でようやく防ぎきるのがやっとでした。
一撃一撃が重く、連続で繰り出されるため、防御側は圧倒的なプレッシャーにさらされます。
破壊殺・砕式 万葉閃柳(はかいさつ さいしき まんようせんやなぎ)
相手の方向へ一直線に進んだ後、上下に拳を大きく振りかざして殴りつける攻撃技です。
その破壊力は地面を粉々に粉砕するほど高く、炭治郎は間一髪のところで回避しています。
もし回避できていなければ、地面と同じように粉々になっていたと推測されるほどの危険な技です。
破壊殺・脚式 飛遊星千輪(はかいさつ きゃくしき ひゆうせいせんりん)
素早い動きで相手の急所へ潜り込み、下から上へと蹴り上げる攻撃技です。
うねる衝撃波と共に連続で蹴り上げるため、たとえ攻撃を防いでも吐血するほどの威力があります。
防御を試みてもダメージを免れることができない、非常に厄介な技と言えるでしょう。
終式・青銀乱残光(しゅうしき あおぎんらんざんこう)
全方位に向かって100発もの衝撃波を与える、猗窩座が繰り出す最高の技です。
水の呼吸を極め、回避技を最も得意とする冨岡義勇の実力をもってしても、全ての衝撃波を捌ききることは不可能と言わしめたほどの強さを誇ります。
威力もスピードも他の技より格段に増しており、まさに必殺の一撃です。
炭治郎は「透き通る世界」に入ったことでこの技を回避することができましたが、この時にヒノカミ神楽と水の呼吸のどちらを使ったのかは作中で明確には描かれていません。
猗窩座(アカザ)の過去と技名の隠された由来
猗窩座は鬼と化してから百年以上もの間、上弦の座を不動のものとしてきました。
その過程で数多くの鬼殺隊の柱を葬ってきた残虐な鬼であり、「強者は永き生をもって至高の領域にいたるのがことわり」という信念を心に秘めています。
なぜ彼がそれほどまでに強さにこだわるのか、その理由は彼の人間時代の壮絶な過去に深く関係しています。
そして、彼の技名には、人間時代の切ない思い出が隠されているとされています。
貧しかった人間時代:狛治(はくじ)
猗窩座が人間だった100年以上前、彼の名前は狛治でした。
病に苦しむ父親と二人で暮らし、父親の薬代を稼ぐために強盗を繰り返す日々を送っていました。
ある日、強盗が露見して奉行所に捕まり、百叩きの刑に処されますが、それでも彼は反省の色を見せず、再び強盗をすると宣言しました。
狛治にとって、父親は自分を犠牲にしてでも守りたかった存在だったのです。
しかし、それから間もなく、父親は自ら命を絶ってしまいます。
父親の遺書には「真っ当に生きろ、まだやり直せる」と綴られていました。
この出来事が、狛治の心に深い傷を残しました。
慶蔵と恋雪との出会い
最愛の父親を失い、生きる意味を見失った狛治は荒れた日々を送っていました。
そんなある日、喧嘩をしている狛治の前に慶蔵という男が現れます。
慶蔵に殴りかかった狛治でしたが、武術「素流」の達人である慶蔵には全く歯が立ちませんでした。
慶蔵は狛治を、自身が営む道場へと連れて帰ります。
慶蔵は人助けをしたことで道場を譲り受けたものの、狛治が連れてこられた時には門下生が一人もいませんでした。
その土地を狙っていた剣術道場の者たちから嫌がらせを受けていたためです。
慶蔵には病弱な娘・恋雪がいました。
妻は娘の看病に疲れて入水自殺をしており、慶蔵は狛治の精神的な強さを見込んで彼を弟子にし、恋雪の看病をするように言い渡します。
婚約と、そして突然の別れ
狛治は恋雪の看病をすることになりましたが、恋雪の体は非常に弱く、一日中つきっきりでなければなりませんでした。
しかし、父親の看病に明け暮れていた狛治にとって、それは苦しいことではありませんでした。
むしろ、恋雪が良く泣くことに困惑しつつも、次第に絆を深めていきます。
祭りの日、恋雪は狛治に自分を置いて祭りに行くように言いますが、狛治は「今日行けなくても来年も再来年も花火が上がるからその時に行けばいい」と、恋雪への思いやりがこもった言葉をかけました。
それから三年後、恋雪は狛治の献身的な看病のおかげで、人並みの暮らしができるほどに回復していました。
ある日、二人の様子を見ていた慶蔵は、狛治に恋雪と祝言をあげて道場を継がないかと提案します。
そしてその年は、狛治と恋雪が二人で花火を見に出かけることができました。
そこで狛治は恋雪に「本当にオレでいいんですか?」と問いかけ、恋雪は「狛治が良い」と答えます。
狛治は「オレは誰よりも強くなって、一生あなたを守ります」と誓いました。
しかし、二人が祝言を挙げることはありませんでした。
「猗窩座」への変貌
父親の墓に結婚報告をしに行った狛治でしたが、道場に戻ると、慶蔵と恋雪は非業の死を遂げていました。
かつて道場に嫌がらせをしていた剣術道場の者たちが、井戸に毒を入れたためでした。
怒りに狂った狛治は、隣の剣術道場を襲撃し、素手だけで67名もの人間を殺害します。
そしてその夜、返り血を浴びたまま彷徨っていた狛治は、鬼舞辻無惨と遭遇します。
無惨の腕を額に入れられ、狛治として最後に残した言葉は「もう…どうでもいい…全て…が…」でした。
この悲劇的な過去が、猗窩座の「弱者を嫌い、強さを求める」という信念の根底にあると考えるファンが多いです。
守りたかった大切な人々を守りきれなかった後悔が、彼を強さへの執着へと駆り立てたのかもしれません。
破壊殺の技名に込められた「花火」と「雪の結晶」
猗窩座が使う「破壊殺」の技名には、ある共通の特徴があります。
それは、全ての技名が「花火の名前」を由来としている点です。
これは、人間時代の狛治が恋雪と花火を見に行った大切な思い出が基になっていると考えられています。
また、「術式展開 破壊殺・羅針」を使用した際に足元に広がる雪の結晶のような術式には、壱から拾弐までの数字が記載されています。
この数字は、かつての婚約者である恋雪が付けていたアクセサリーの模様に酷似しています。
猗窩座自身は、これらの技名や術式の由来を意識していない可能性がありますが、無意識のうちに深い想いが込められていると考えるファンが多く、その悲劇性が彼のキャラクターに深みを与えています。
脅威の再生力を持つ戦闘スタイル
猗窩座の戦闘スタイルは、まさに戦闘狂と呼ぶにふさわしい肉弾戦です。
圧倒的なスピードと攻撃力を誇るだけでなく、鬼ならではの「脅威の再生力」が彼の戦闘スタイルに大きく影響しています。
刀で腕を斬られても瞬時に再生するなど、鬼殺隊がいくら斬りつけても時間稼ぎにすらならないほどのチート級の強さを持っています。
炭治郎との最終決戦で頸を斬られた際も、もし猗窩座が己の敗北を認めなければ復活していた可能性すら示唆されており、その生命力と強さは計り知れません。
「破壊殺・羅針」の強さと唯一の弱点
猗窩座は強者には笑顔を向け、相手の技を称賛したり、鬼へと勧誘したりと、常に余裕の姿勢を貫きます。
さすが上弦の座を不動のものとしてきただけの実力と精神力を持っていると言えるでしょう。
彼の強さを支える「術式展開 破壊殺・羅針」はどれほどの強さを持っているのでしょうか。
そして、この術式には弱点が存在するのでしょうか。
「破壊殺・羅針」の圧倒的な強さ
猗窩座のステータスを大幅に上昇させる「術式展開 破壊殺・羅針」の強さの秘訣は、他にもあります。
この術式展開は、相手の急所への攻撃をまるで吸い寄せるかのように命中させ、さらに相手の動きを察知して攻撃を回避するという効果も持ち合わせています。
敵の闘気を読み取ることで、目視せずとも攻撃動作を完全に把握し、それに対応することが可能になるため、まさに「無敵」に近い状態を作り出します。
無限列車に乱入した際、猗窩座はこの術式展開を即座に煉獄杏寿郎に使用し、彼を窮地へと追い詰めていきました。
無限城での冨岡義勇との戦いでは、序盤では術式展開を使用せず、後半戦で本気を出す際に使用しています。
「透き通る世界」と「太陽の光」が唯一の弱点
「術式展開 破壊殺・羅針」は、相手の攻撃を吸収し、相手の動きを察知して回避できるなど、一見すると無敵に思えます。
しかし、この術式にも明確な弱点が存在します。
それが「透き通る世界」と「太陽の光」です。
太陽の光は禰豆子以外の鬼全てが共通して持つ弱点ですが、「透き通る世界」に関しては、この術式展開の効果を完全に断ち切ってしまうという特性があります。
「透き通る世界」とは、敵の筋肉や血流などの動向が透き通るように見える能力です。
この能力を持つと、相手の動きがスローモーションのように見え、攻撃や回避が格段に容易になります。
炭治郎が猗窩座との戦闘でこの能力を覚醒させ、猗窩座の羅針を掻い潜って頸を斬り落とすことに成功しました。
この描写からも、「透き通る世界」がいかに「破壊殺・羅針」にとって脅威であるかが伺えます。
まとめ:悲劇を背負いし「拳鬼」猗窩座の魅力
『鬼滅の刃』の猗窩座が使う「破壊殺」について、その技名や強さ、そして隠された由来までを一覧形式で紹介してきました。
猗窩座を倒すには、太陽の光に当てるか、「透き通る世界」に入って対抗するという2つの方法しかなく、その異次元の強さは読者に衝撃を与えました。
彼の強さは、人間時代の壮絶な過去から引き継がれていることが明らかになり、多くの読者がその悲劇に心を打たれました。
彼が弱者を嫌い、強さを求める理由は、大切だった父親、恋雪、慶蔵を守りきれなかった自分を許せないという深い後悔と悲しみに根差しています。
そんな人間味あふれる過去を持つ猗窩座が登場する「無限列車編」は、映画化されて大ヒットを記録しました。
鬼としての残虐な一面と、人間時代の悲しい過去、そして強さへの純粋な執着が混じり合った猗窩座は、『鬼滅の刃』の物語において、忘れられない強烈なキャラクターとして今もなお語り継がれています。
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