「食」をテーマに、圧倒的なスケールと想像力で読者を魅了した大人気漫画『トリコ』。
主人公の美食屋トリコと料理人小松が、未知の食材を求めて世界中を旅する壮大な冒険物語は、多くのファンの心を掴んで離しませんでした。
物語が終盤に差し掛かると登場する、グルメ界の頂点に君臨する8体の猛獣たち、通称「八王」の存在は、その圧倒的な強さと存在感で、読者に衝撃を与えました。
今回は、そんな八王のメンバーを捕獲レベルや能力、作中での活躍を基に徹底的に解剖し、強さの秘密に迫ります。
さらに、彼らのその後の動向や、ラスボスとの戦いで見せた意外な一面についても深く掘り下げていきます。
『トリコ』とは？
『トリコ』は、「週刊少年ジャンプ」で2008年から2016年まで連載された、島袋光年による「バトルファンタジー漫画」です。
主人公は、美食屋として世界中の未開の美味を追い求めるトリコ。
相棒の料理人小松と共に、誰も見たことのない食材「フルコース」を完成させるため、危険な猛獣や過酷な環境に立ち向かっていきます。
この作品の世界観を特徴づけるのが、登場する猛獣や食材に設定された「捕獲レベル」というユニークな概念です。
この捕獲レベルは、その食材を捕獲する難易度を示す数値であり、値が高ければ高いほど、その猛獣は強く、希少で、そして美味しいとされています。
捕獲レベルの詳細
捕獲レベルの基準は非常に分かりやすく設定されています。
例えば、猟銃を持った熟練の狩人10人でようやく仕留められる猛獣が、捕獲レベル1と定義されています。
物語の序盤に登場する巨大なガララワニでさえ、捕獲レベルはわずか5でした。
しかし物語が進むにつれて、捕獲レベルはインフレを極め、人間が生存することが困難な「グルメ界」では、捕獲レベルが1000を超える猛獣が多数登場します。
そして、今回ご紹介する八王の捕獲レベルは、なんと全員が6000を超えています。
この数値がいかに規格外であるか、その時点で彼らの圧倒的な強さがうかがえるでしょう。
『トリコ』に登場する八王とは？
八王とは、美食がひしめくグルメ界で、それぞれのエリアの頂点に君臨する8つの種族の長の総称です。
彼らは単に捕獲レベルが高いだけの猛獣ではありません。
それぞれがそのエリアの生態系のバランスを保つ「番人」であり、時には害獣から地球上の生物を守る「守護者」としての役割も担っています。
その実力はまさに天災を超越し、足跡一つで数千年にわたり周囲の環境を変化させるほどの圧倒的なオーラを放っています。
八王たちは互いに呼応し合うことができ、誰か一体が本気で戦う際には、他の八王たちも危険を察知して近づかないという暗黙のルールがあるほどです。
物語の終盤、美食屋四天王が束になっても全く歯が立たないほどの強さを誇り、その圧倒的な存在感で読者に強烈な印象を残しました。
また、八王はそれぞれがアカシアのフルコースと密接な関係を持っており、その存在はトリコ世界の「食」の根源に関わる重要な鍵を握っています。
八王メンバーをランキング形式で紹介！
それでは、ここからが本題です。
八王メンバーを、公式に設定されている捕獲レベルを参考に、強さのランキング形式でご紹介していきます。
ただし、作中では単純な捕獲レベルだけでは測れない「相性」や「特殊能力」が重要になることも多いため、このランキングはあくまで目安としてお楽しみください。
第8位：猿王バンビーナ
捕獲レベル6000という驚異的な数値を持つ猿王バンビーナが、残念ながら最下位にランクインです。
しかし、これはあくまで捕獲レベルの順位であり、戦闘能力が劣っているわけではありません。
バンビーナは、巨大生物がひしめく八王メンバーの中で珍しく人間ほどの体格（普段は身長1.5m）をしています。
種族名は「キンタマントヒヒ」という非常にユニークなもので、本名は「バンビーノ」ですが、亡くなった恋人への思いから「バンビーナ」を名乗っています。
彼が住むエリア7は「八王の庭」と呼ばれ、バンビーナ自身は戦うことを「猿武」という名の遊びと考えています。
その遊びのレベルは常軌を逸しており、ただの「あっち向いてほい」で四天王の首が数十回ねじ切れるほど。
本気を出すと毛皮が弾け飛び、ツルツルの体に変貌し、その一振りで人工衛星を切り裂くほどの衝撃波を放ちます。
捕獲レベルが最下位の6000なのは、他の八王と比べると体格の点で不利なためと考えられますが、純粋な戦闘力と破壊力は八王の中でもトップクラスだという見方も根強くあります。
第7位：鳥王エンペラークロウ
通称「空の番長」と呼ばれる鳥王エンペラークロウも、猿王バンビーナと同じく捕獲レベル6000です。
グルメ界の全ての制空権を支配しており、その存在は他の八王さえも侵そうとはしません。
翼を一度羽ばたかせるだけで、周囲に毒の竜巻を発生させる恐るべき能力を持っています。
さらに厄介なのは、その影に入った者の思考を停止させ、ゆっくりと命を奪う「烏王の影」という能力です。
影から逃れようと上空に飛んでも、口から太陽ほどの巨大な光球を吐き出し、強制的に影を作り出すという完璧なコンボ攻撃を仕掛けてきます。
エンペラークロウは、アカシアのフルコースの一つ「ドリンク・アトム」と関係があり、その体はアトムと同じ成分で構成されています。
この能力は人間や一般的な猛獣に対しては絶大な効果を発揮しますが、他の八王のように物理的な破壊力に特化しているわけではないため、ランキングでは下位になりました。
第6位：馬王ヘラクレス
伝説の幻獣ヘラクの長である馬王ヘラクレスは、捕獲レベル6200です。
八王屈指の肺活量を持ち、その呼吸そのものが驚異的な破壊力を持っています。
吸気は周囲一帯を真空状態にするほどの力で、これを「絶滅の呼吸」と呼び、呼気は地球をぶち抜いて宇宙にまで到達するほどの威力があります。
ヘラクレスが住むエリア8が雨の大陸と呼ばれるのは、その呼吸がもたらす気候変動によるものです。
普段は非常に大人しく、主な食事は空気という平和主義な性格ですが、出産を邪魔されそうになると容赦なく敵を殲滅します。
ヘラクレスは、アカシアのフルコースの一つ「食王エア」と関係があり、エアのエネルギーを使って子供を産みます。
作中では、その圧倒的な強さを垣間見せるシーンはあったものの、戦闘描写が少ないため、ランキングは下位となりました。
第5位：蛇王マザースネーク
全ての蛇の母と呼ばれるマザースネークは、捕獲レベル6310です。
その全長は22万km以上にも及び、これはトリコ世界の巨大化した地球の円周分に匹敵するほどの途方もない長さです。
その巨体からは想像もできないほどの速度で移動し、その移動速度は光速に達すると言われています。
マザースネークのもう一つの恐るべき能力は、全てを消化する強力な消化液です。
過去には、同じ八王の鯨王ムーンと戦ったとされており、その激戦の舞台は立ち入り禁止区域に指定されるほどの爪痕を残しました。
その圧倒的なサイズと速度、そして消化能力は、単なる物理的な強さだけでなく、あらゆる生物を「食」の根源から圧倒する力を持っています。
確実な戦闘能力と作中での存在感から、堂々の5位にランクインです。
マザースネークは、アカシアのフルコース「デザート・アース」と関係があります。
また、八王の中で唯一、アカシアやネオとの戦いで死亡したとされています。
第4位：鹿王スカイディア
捕獲レベル6450という高数値を持つ鹿王スカイディアは、その体そのものが大陸と称されるほどの巨体を誇ります。
全長6万m、全高1万mという規格外のサイズで、背中には捕獲レベル4000を超える猛獣たちが生息する広大な森を抱えています。
八王の中でも特に温厚な性格で、普段は戦いを嫌い、背中に住む猛獣たちに戦闘を代行させています。
しかし、ひとたび怒らせると、その能力は他の追随を許しません。
対象を「裏のチャンネル」という不可思議な空間に送り込み、そこでは体感1秒で数億年の時が流れるという超絶な時間加速を起こします。
これにより、普通の生物なら一瞬で朽ち果ててしまいます。
さらに恐ろしいのは、この空間に自身の背中の住民である強力な猛獣たちを送り込み、相手を足止めするというチート級の能力を持っている点です。
戦闘シーンがほとんど描かれていないため、その真の実力は未知数ですが、特殊能力や仲間を巻き込んだ戦い方では最強の猛獣と言えるでしょう。
スカイディアは、アカシアのフルコース「肉料理ニュース」と関係があります。
第3位：狼王ギネス
バトルウルフという伝説の種族の長である狼王ギネスは、捕獲レベル6550です。
八王の中では比較的小型（体高55m）ですが、その圧倒的なスピードと鋭い牙、そして嗅覚は他の追随を許しません。
ギネスの嗅覚は、相手のあらゆる情報を読み取るだけでなく、魂を吸い込むほどの力を持っています。
また、前足の一撃は、宇宙から視認できるほどの衝撃波を地球に与えるほどの破壊力を誇ります。
バトルウルフは、かつて世界最大の大陸を支配した種族ですが、現在は絶滅の危機に瀕しています。
ギネスは、物語の終盤でアカシアやネオとの戦いに加わり、その圧倒的な実力を見せつけました。
主人公トリコのパートナーであるバトルウルフのテリークロスは、ギネスの子孫にあたります。
ギネスはアカシアのフルコース「GOD」と関係があります。
第2位：竜王デロウス
一万年生きていると言われる伝説の翼竜、竜王デロウスは、捕獲レベル6590で堂々の2位です。
生涯で一度しか生えない鋭い牙で、グルメ界の頂点に君臨しています。
主人公トリコの相棒である料理人小松の包丁は、このデロウスの牙から作られており、人間が一振りするだけで山をも切り裂くほどの切れ味を持っています。
デロウスのもう一つの恐るべき能力は、「異次元レーザー」です。
これは、口から放たれる圧倒的な破壊力を持つ光線であり、形あるもの全てを破壊するほどの威力を持っています。
このレーザーは、ジョアの「空切り」すら無効化し、アカシアにも有効なほど強力な攻撃です。
デロウスは、アカシアのフルコース「センター」と関係があります。
ネット上の読者からは「生涯たった1本の牙で戦うんじゃないのか？」というツッコミもありましたが、これは「牙のみで戦う必要がないほど、他の能力でも圧倒的だった」という見方もあります。
第1位：鯨王ムーン
八王最強の座に輝いたのは、捕獲レベル6600の鯨王ムーンです。
別名「ブラックホールホエール」と呼ばれ、その名の通り、近づくあらゆる生物をブラックホールのように飲み込んでしまいます。
この能力から逃れるには、光の速さを超える必要があり、ほとんどの生物は避けることができません。
ムーンはアカシアのフルコース「魚宝アナザ」と関係があり、アナザがムーンから逃げる際に七獣の身体を利用したという描写からも、その捕食者としての圧倒的な強さがうかがえます。
マザースネークとの戦いが伝説として残されていることからも、その実力は別格です。
「月を吸い込んだ」という噂もあるほど、そのスケールは桁外れであり、最強の八王に相応しい存在です。
八王は死亡？引退？
物語のクライマックス、アカシアやネオとの最終決戦において、八王の面々はどのような結末を迎えたのでしょうか。
この戦いによって、八王のメンバーのうち、マザースネークが唯一死亡したとされています。
その他の八王は、命を落とすことはありませんでしたが、八王としての資格を喪失し、引退を余儀なくされました。
「なぜ、引退したのか？」と疑問に思う方もいるかもしれません。
これは、「一度でも敗北を知った王は、もはや王ではない」というグルメ界の自然の掟によるものです。
ネオやアカシアとの戦いで敗北を喫した八王たちは、その座を降り、グルメ界は新たな八王の座を巡って群雄割拠の時代を迎えることとなります。
これにより、トリコ世界の生態系は新たなステージへと移行し、新世代の強者たちが次々と現れることになりました。
この展開は、常に進化し続ける「食」の世界観を象徴していると言えるでしょう。
八王とアカシア、ネオとの戦闘結果
八王の圧倒的な強さについては、これまで述べてきた通りです。
しかし、彼らが最終決戦でアカシアやネオに敗北した描写を見て、「八王は弱いのでは？」と感じた読者も少なくなかったようです。
これには、いくつかの理由が考えられます。
まず、ラスボスであるネオやアカシアの強さが、八王の捕獲レベルを遥かに超える、まさに規格外の存在であったことが挙げられます。
彼らは、「食」の根源そのものを操り、通常の生物とは異なる次元の力を持っていたため、八王の攻撃が通用しなかったのです。
また、物語の後半で捕獲レベルのインフレが著しく進んだことも、八王が相対的に弱く見えた一因かもしれません。
作中では、バトルウルフと互角と言われたデビル大蛇の原種でも捕獲レベル5100でした。
八王の強さは間違いなく最強レベルですが、それでもラスボスという「神」のような存在の前では、その強さがかすんで見えてしまうのは仕方のないことだったと言えるでしょう。
八王と四獣はどっちが強い？
物語の序盤に登場した、グルメ界に生息する四獣と八王はどちらが強いのでしょうか。
この疑問については、答えは非常にシンプルです。
捕獲レベルを比較すれば、その差は歴然です。
四獣は全員が合体しても捕獲レベルは350に過ぎません。
一方、八王の捕獲レベルは最低でも6000です。
八王からすれば、四獣は一瞬で片付けられるような相手であり、この二つを比較すること自体が無意味なほど、両者には圧倒的な実力差があります。
この捕獲レベルの差こそが、物語が進むにつれてトリコたちが経験する「食」のスケールの拡大を物語っています。
八王の子孫を紹介！
八王の引退後、その強大な血は次世代に受け継がれています。
中でも、美食屋四天王のパートナーとして旅を共にしていた八王の子孫たちは、物語の序盤から読者に親しまれてきました。
彼らはまだ子供ですが、秘められた潜在能力は本物であり、作中でもその片鱗を見せる描写が数多くあります。
トリコのパートナー：テリークロス
狼王ギネスの子孫であるバトルウルフのテリーは、物語の序盤でトリコに救出され、かけがえのないパートナーとなりました。
当初は子供で捕獲レベルも高くありませんでしたが、物語が進むにつれて「伝説の一族」の名に恥じない驚くべき成長を遂げていきます。
最終回では、引退したギネスの跡を継ぐため、群れへと帰っていきました。
八王候補として、今後の活躍が期待されています。
ココのパートナー：キッス
四天王ココのパートナーであるキッスは、鳥王エンペラークロウの子孫です。
主な役割はココのサポートであり、自身の羽をばらまいて視界を奪う「ブラインドフェザー」という技で、ココを援護します。
また、ココの移動手段としても活躍しています。
サニーのパートナー：クイン
四天王サニーのパートナーであるクインは、蛇王マザースネークの子孫です。
子供ながら時速400kmで移動するほどの速さを持ち、並みの猛獣なら一飲みにしてしまうほどの戦闘能力を見せました。
相手に巻き付いて締め付ける戦闘方法を得意としており、サニーの移動手段としても重要な存在です。
トリコの四天王を紹介！
ここからは、八王をフルコースの一つとするため、日々「美食屋」としての腕を磨いている四天王を紹介します。
彼らはそれぞれが特異な能力を持っており、物語の進行とともに成長を遂げていきます。
主人公：トリコ
本作の主人公で、美食屋として並外れた身体能力と筋肉を誇ります。
得意技は、衝撃が時間差で伝わる「釘パンチ」や、相手を切り裂く「ナイフ」など、テーブルマナーを模したユニークな戦闘方法を好んでいます。
「人生のフルコース」を完成させるため、世界中を旅する美食探求者です。
毒の美食屋：ココ
四天王の一人で、美食屋と占い師を兼任しています。
体内に毒を培養する能力を持ち、これを武器にして戦います。
「ポイズンライフル」や「ポイズンソード」など、毒を自在に操る技を駆使します。
温厚な性格ですが、敵対する者には容赦なく毒を浴びせる冷酷さも持ち合わせています。
美の美食屋：サニー
四天王の一人で、髪の繊維に怪物「ヘアーモンスター」を宿しています。
自在に髪を操りながら戦う独特のスタイルを持ち、相手の攻撃を跳ね返す「フライ返し」や、髪を束ねて放つ「ヘアパンチ」などが得意です。
美しいものに目がなく、フルコースも美味しさより見た目で選ぶという、ユニークな美意識を持っています。
音の美食屋：ゼブラ
四天王の一人で、その危険性から牢獄に囚われていた過去を持つ異色の人物です。
トリコ同様、筋肉質で優れた身体能力を持ちますが、主に「声」を使って戦います。
「サウンドバズーカ」や「死音」といった、音の衝撃波や精神攻撃を得意とします。
物語の登場時は危険人物とされていましたが、最終的には四天王の一人として八王討伐に協力しました。
次郎の正体は？
伝説の美食屋次郎は、物語の鍵を握る重要なキャラクターです。
彼は、八王の一角である狼王ギネスと深い関係を持っています。
次郎は「バトルウルフ」の牙を受け継いでおり、その圧倒的な力はギネス本人にも匹敵すると言われています。
実際、次郎はギネスの捕食方法を真似て、敵を「ノッキング」で捕獲していました。
このノッキングという技は、相手の動きを止めるだけでなく、生命活動そのものを一時的に停止させるほどの絶大な威力を持つ、次郎の代名詞とも言える能力です。
次郎は、単なる美食屋ではなく、グルメ界の生態系を維持するための「グルメ細胞」を巡る戦いにおいて、重要な役割を担う存在でした。
彼の正体と能力は、八王の存在と密接に関わっており、物語を読み解く上で欠かせない要素です。
まとめ
今回は、トリコの世界に君臨する八王たちを、捕獲レベルや能力、その後の動向に焦点を当てて徹底解説しました。
捕獲レベル6000という規格外の数値を持つ彼らは、それぞれが独自の生態系と能力を持ち、トリコ世界の広大さと奥深さを象徴する存在です。
最強の捕獲レベルを誇る鯨王ムーンから、個性の光る猿王バンビーナまで、どの八王も非常に魅力的でした。
また、彼らがラスボスに敗れ、引退するという結末は、単なる「強さ」のインフレで終わるのではなく、美食界の生態系が新たな世代へと受け継がれていくという、より深いテーマを描いていると言えるでしょう。
これを機に、トリコを読み返してみると、新たな発見があるかもしれません。
ぜひ、グルメ界の冒険をもう一度楽しんでみてください。
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