【鉄血のオルフェンズ】「クズでうざい」とヘイトを集めたイオク・クジャンの正体とは?無能な善意が引き起こした大惨事と壮絶な最期

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【鉄血のオルフェンズ】「クズでうざい」とヘイトを集めたイオク・クジャンの正体とは?無能な善意が引き起こした大惨事と壮絶な最期

 

「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」は、少年兵たちの悲壮な戦いを描き、多くの感動的なキャラクターを生み出した作品です。しかし、その一方で、視聴者から「クズでうざい」「見ていてイライラする」と、作中屈指のヘイトを集めてしまったキャラクターがいます。

それが、ギャラルホルンの名門「セブンスターズ」の一角、クジャン家の当主であるイオク・クジャンです。

彼は、悪意なく、むしろ強い正義感と情熱を持って行動しているにもかかわらず、その行動の全てが最悪の結果を招き、鉄華団や視聴者の心をかき乱しました。

本記事では、イオク・クジャンがなぜこれほどまでに嫌われてしまうのか、その「無自覚な無能さ」が引き起こした大惨事、そして鉄華団の昭弘・アルトランドとの因縁の末に迎えた壮絶な最期について、徹底的に考察していきます。

イオクの存在は、物語のシリーズ構成を担当した岡田麿里氏の狙い通り、作品の緊張感と悲劇性を高める重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

 

イオク・クジャンのプロフィール:名門「クジャン家」の当主

イオク・クジャンは、ギャラルホルンの創設に携わった名門「セブンスターズ」に名を連ねるクジャン家の当主です。

彼は、ラスタル・エリオンが率いる「アリアンロッド」艦隊に所属しており、その恵まれた立場から、高い誇りと責任感を抱いていました。

氏名イオク・クジャン
所属ギャラルホルン(セブンスターズ、アリアンロッド艦隊)
家系セブンスターズ「クジャン家」当主
搭乗機レギンレイズ(専用カスタマイズ機)

セブンスターズの地位は世襲制であり、イオク自身は、その地位にふさわしい実力や苦労を経験することなく、当主の座に就いた可能性が高いです。彼の行動原理は、「セブンスターズとしての正義」と、上官であるラスタル・エリオンへの忠誠心に基づいていました。

しかし、その強い情熱とは裏腹に、彼は軍人としての力量不足と、感情的になりやすいという致命的な欠点を抱えていました。

 

イオクが「クズでうざい」と言われる5つの理由

イオク・クジャンが視聴者から強い嫌悪感を抱かれる理由は、彼の「悪意のなさ」と「無自覚な無能さ」に集約されます。

 

理由① 根拠なき「無自覚な優秀さ」への確信

イオクの行動の根幹にあるのは、彼がセブンスターズの当主として、「自分は優秀であり、自分の正義は絶対に正しい」と無自覚に確信している点です。

この確信は、世襲制の地位と、優秀だったとされる父親の存在によって培われたと考えられます。

彼は、純粋に正しいことをしているつもりで行動しますが、その能力が著しく低いために常に裏目に出ます。しかも、失敗しても「次こそは成功すればいい」という甘い考えしか持たず、自身の過ちを深く反省することがありません。

この、「真面目だけど無能で、しかもその自覚がない」という性質が、視聴者の「見ていてイライラする」という感情を最も強く刺激しました。

 

理由② モビルアーマー「ハシュマル」の覚醒

イオクの行動で最も大きな惨事を招いたのが、モビルアーマー「ハシュマル」の覚醒です。

マクギリス・ファリドが危険視し、秘密裏に処理しようとしていたハシュマルの存在を知ったイオクは、「マクギリスが七星勲章を狙っている」という誤解から、ハシュマルが眠るプラントにモビルスーツで近づき、意図せずハシュマルを起動させてしまいました。

ハシュマルは、300年前の「厄災戦」を引き起こした、破壊と殺戮に忠実な兵器です。イオクの軽率な行動により、彼の部下が多数死亡し、農業プラントにも甚大な被害が出ました。

しかも、この惨事の後、イオク自身はお咎めなしという状況であり、彼の無能さと責任の回避が視聴者の怒りを買いました。

 

理由③ 禁断の兵器「ダインスレイヴ」の無断使用と虐殺

イオクの「クズ」っぷりが決定づけられたのが、禁止兵器ダインスレイヴの無断使用です。

ダインスレイヴは、超高速で専用弾頭を発射するレールガンであり、非人道的な殺戮兵器として条約でその使用が禁止されていました。

イオクは、「タービンズ(テイワズの輸送部門)の排除がラスタル・エリオンの利益になる」と暴走し、ラスタルに無断でダインスレイヴを使い、タービンズの艦隊に対して一方的な虐殺を実行しました。

この行動は、単なる失態ではなく、倫理的・道徳的にも許されない非人道的な罪であり、彼が「クズ」と呼ばれる最大の理由となりました。

さらに、このイオクの行動をきっかけに、禁止されていたダインスレイヴが実戦で使われ続け、結果的に鉄華団を壊滅させる決定打となりました。

 

理由④ 部下の能力とカリスマ性のミスマッチ

イオクは、軍人としての実力は低いものの、なぜか部下からは慕われる「人を惹きつけるカリスマ性」を持っていました。

しかし、彼の部下は、イオクの無能さから生じる失敗を止められず、彼の愚かな行動のために命を落としてしまうという、悲劇的な関係性にありました。

「能力のない当主と、彼を盲目的に慕う部下」という構図は、彼が単なる「お飾り当主」であり、セブンスターズの腐敗を象徴しているとして、視聴者に強い不快感を与えました。

 

理由⑤ 「憎まれ役」としての意図的なキャラクター設計

イオク・クジャンがこれほどまでにヘイトを溜めた背景には、シリーズ構成の岡田麿里氏による、「意図的なキャラクター設計」がありました。

イオクは、鉄華団の前に立ちはだかる「悪」として描かれ、視聴者が感情移入して「嫌い」と感じるよう、徹底的に愚かな行動と無責任さが強調されました。

これにより、視聴者の感情を揺さぶり、物語のクライマックスにおける「憎しみの解消」を最大化する「憎まれ役」としての役割を完璧に果たしました。

 

イオクの最期と昭弘・アルトランドとの因縁

イオク・クジャンは、その悪行の報いを受ける形で、物語終盤に壮絶な最期を迎えます。

 

タービンズ虐殺が招いた昭弘の怒り

イオクがダインスレイヴで虐殺したタービンズは、鉄華団にとっての兄貴分であり、特に鉄華団のパイロット昭弘・アルトランドにとって、タービンズのメンバーは大切な家族同然でした。

昭弘に好意を寄せていたタービンズのパイロット、ラフタ・フランクランドは、イオクと共謀したジャスレイ・ドノミコルスによって暗殺されています。

この「タービンズ虐殺」と「ラフタの死」の実行犯はイオクだと知った昭弘は、最終戦でイオクの機体と遭遇した際、「お前かァァアァァ!!!」と叫び、怒りを爆発させます。

この瞬間、二人の間に、「鉄華団の復讐」と「個人的な因縁」という、熱い決着が生まれることとなりました。

 

死亡:モビルスーツごと圧殺される壮絶な最期

イオクの死亡シーンは、アニメ2期48話で描かれました。

最終決戦で、イオクは満身創痍の昭弘・アルトランドの機体(ガンダム・グシオンリベイクフルシティ)にトドメを刺そうとしますが、昭弘は最後の力を振り絞ります。

昭弘は、自身の機体の大型シザーズ(ハサミ)で、イオクの搭乗するレギンレイズを掴み、そのままコックピットごと圧殺するという、極めて直接的で容赦のない方法でイオクに引導を渡しました。

イオクは、最後まで自身の行動が招いた結果を深く理解することなく、「自分の正義を信じたまま」圧殺されて死亡するという最期を迎えます。

このイオクの死亡シーンは、視聴者からは「モヤモヤが晴れた」「昭弘よくやった」といった歓喜の声が多く上がり、彼の最期が、鉄華団と視聴者の「憎しみの解消」というカタルシスをもたらす結果となりました。

 

イオクの声を演じた声優:島﨑信長の演技力

イオク・クジャンという、これほどまでに複雑で感情を揺さぶるキャラクターに命を吹き込んだのは、人気実力派声優の島﨑信長です。

 

島﨑信長のプロフィールと実績

島﨑信長は、宮城県出身の声優で、2009年から声優活動を行っています。

氏名島﨑信長
出身地宮城県
主な実績2013年、2021年声優アワード受賞
所属事務所青二プロダクション

彼の持つ、透明感がありながらも熱量のある声は、イオクの持つ「情熱」と「純粋さ」、そして「感情的な暴走」という、相反する要素を見事に表現しました。

 

主な出演作品と幅広い役柄

島﨑信長は、多くの人気アニメでメインキャラクターを演じています。

  • 『ダイヤのA』:降谷暁(エースの座に強いこだわりを持つ熱血ピッチャー)
  • 『ワールドトリガー』:ヒュース(クールで実力のある孤高の隊員)
  • 『呪術廻戦』:真人(無邪気で残忍な呪霊)
  • 『フルーツバスケット』:草摩由希(優雅で王子様的な存在)

イオクのような「ヘイトを集める無能な貴族」から、降谷のような熱血漢、ヒュースのような冷静沈着な役まで、幅広い役柄を演じ分ける彼の高い演技力が、イオクというキャラクターに「憎たらしさ」と同時に「どこか憎みきれない人間性」を付与していたと言えます。

 

まとめ:イオク・クジャンが示した「鉄血のオルフェンズ」のテーマ

イオク・クジャンは、「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」において、「善意と正義感を持つ者が、その無能さと無自覚さゆえに、どれほどの大惨事を引き起こすか」という、作品のもう一つの重要なテーマを体現したキャラクターでした。

彼の行動は、モビルアーマーの覚醒、禁止兵器ダインスレイヴの解禁、そしてタービンズの虐殺と、鉄華団を絶望的な状況に追い込むための「負の起爆剤」となり続けました。

その結果、彼は作中屈指の嫌われキャラクターとなり、最終的には、彼自身が踏みにじった「家族の絆」の復讐者である昭弘・アルトランドの手によって、モビルスーツごと圧殺されるという壮絶な最期を迎えます。

イオクの存在は、鉄華団の悲劇的な結末をより際立たせると同時に、彼自身の最期が視聴者に大きなカタルシスをもたらすことで、物語全体のメッセージを強化する、「完璧な憎まれ役」として機能したと言えるでしょう。

 

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