
週刊少年ジャンプの連載が完結し、テレビアニメも大きな話題を呼んだ大人気作品「マッシュル-MASHLE-」。
魔法が全ての世界で、魔法が使えない主人公マッシュ・バーンデッドが、鍛え抜かれた筋肉のみで困難を打破していくという斬新な設定が、多くの読者を魅了しました。
初期のシュールなギャグテイストから、物語が進むにつれて熱いバトルアクションへと変貌を遂げた本作において、特に読者に強烈な印象を残したのが、ラスボスであるイノセント・ゼロの息子たち、「悪魔の五つ子(デビルクンタブレット)」ではないでしょうか。
彼らはマッシュの実の兄でありながら、敵として立ちはだかるという複雑な関係性で、物語に深いドラマと緊張感をもたらしました。
今回は、そんな【マッシュル】の物語を語る上で欠かせない「悪魔の五つ子」に焦点を当て、その正体や驚異的な能力、そして彼らが辿った悲劇的な運命について、詳しく掘り下げていきます。
彼らの背景やイノセント・ゼロとの関係性、さらに読者からの評価や考察も交えながら、その魅力を余すことなくお伝えしてまいります。
「マッシュル-MASHLE-」とは? 筋肉と魔法が織りなす異色ファンタジー
まずは、「マッシュル-MASHLE-」という作品がどのような物語なのか、改めてその概要をご紹介しましょう。
本作は、甲本一氏によって生み出されたファンタジー漫画で、2020年から2023年まで「週刊少年ジャンプ」にて連載されました。
単行本は全18巻で、2023年10月に完結巻が刊行されています。
テレビアニメ版も大きな人気を博し、2023年4月から7月にかけて第1期が放送され、続く第2期「神覚者候補選抜試験編」は2024年1月から3月まで放送されました。
物語の舞台は、誰もが魔法を使い、その優劣が全てを決定する「魔法界」です。
この世界では、生まれつき顔に刻まれる「アザ」の数によって魔法の資質が測られ、アザを持たない「魔法不全者」は社会から排除されるという厳しい現実がありました。
そんな世界で、主人公マッシュ・バーンデッドは、魔法が一切使えない特異な少年として登場します。
彼は人里離れた森の奥で義父のレグロ・バーンデッドに育てられ、魔法が使えないことを隠しながら、来る日も来る日も筋力トレーニングに励む日々を送っていました。
その結果、マッシュは常人離れした身体能力と、いかなる魔法をも物理で粉砕する驚異的な筋肉を手に入れます。
しかし、彼の秘密が露見し、平穏な生活を脅かされたことから、なぜか魔法学校に入学し、魔法界のトップである「神覚者」を目指すことになるのです。
「ハリー・ポッター」シリーズを彷彿とさせる魔法学校の舞台設定と、そこに「ワンパンマン」のような圧倒的な物理的強さを持つ主人公がぶつかるという異色の組み合わせが、本作の大きな魅力と言えるでしょう。
読者からは、そのギャップから生まれるシュールな笑いや、筋力で魔法をねじ伏せる爽快なバトル展開に、多くの支持が集まりました。
「悪魔の五つ子(デビルクンタブレット)」とは? イノセント・ゼロの息子たちの正体に迫る
物語の中盤から、マッシュたちの前に立ちはだかる強大な敵として登場するのが、「悪魔の五つ子」、通称「デビルクンタブレット」です。
彼らは、この世界の裏で暗躍する犯罪組織「無邪気な淵源(イノセント・ゼロ)」の幹部であり、その名が示す通り、イノセント・ゼロの実の息子たちであることが後に明かされます。
当初は謎に包まれた存在でしたが、彼らの登場によって物語はシリアスなバトル路線へと加速し、マッシュたちの戦いはより苛烈なものになっていきました。
「五つ子」という呼称ですが、物語の展開から、彼らが同時に生まれた兄弟というよりは、イノセント・ゼロによって生み出された存在、あるいは異なる時期に生まれた兄弟であると考える読者も少なくありませんでした。
彼らは皆、イノセント・ゼロに絶対的な忠誠を誓い、「父さん」あるいは「お父様」と呼び慕っていました。
しかし、イノセント・ゼロ自身は、彼らを自身の目的を達成するための「道具」としか見ていなかったことが判明します。
この冷酷な事実を、五つ子たちがどこまで理解していたのかは、作中では明確に描かれず、彼らの悲劇性を一層際立たせる要素として残りました。
マッシュ・バーンデッドは「悪魔の五つ子」の末弟だった
物語最大の衝撃の一つは、主人公マッシュ自身も、実はイノセント・ゼロの実の息子であり、悪魔の五つ子の末弟、つまり「六男」であったという事実です。
マッシュは、セル・ウォーやイノセント・ゼロとの対峙を通じて、自身の出自を知ることになります。
イノセント・ゼロは、不老不死の心臓を作り出すための「造体禁忌魔法」の発動に、自分と血の繋がった6つの心臓を必要としていました。
そのため、魔法不全者として生まれたマッシュを忌み嫌いながらも、その心臓を狙っていたのです。
マッシュは、生まれて間もなくレグロに拾われ、森の奥で静かに暮らしてきました。
レグロは、かつて孤独と絶望の中で自ら命を絶とうとした際、アザのない赤ん坊のマッシュを見つけ、自らの境遇と重ね合わせる形で彼を育てる決意をします。
この過去を知る読者からは、マッシュとレグロの親子関係の尊さや、血の繋がりを超えた深い愛情に感動の声が上がりました。
実の父親に道具としてしか見られていなかったという事実は、マッシュに大きな衝撃を与えますが、同時に神覚者になるという目標をより強く抱かせ、精神的な成長を遂げる要因ともなりました。
血の繋がりはあれど、マッシュとイノセント・ゼロの間には、互いを道具としてしか見ない親と、育ての親との絆を大切にする子の、深い溝が存在していたのです。
「悪魔の五つ子」それぞれの能力と個性
ここからは、イノセント・ゼロの息子たちである「悪魔の五つ子」が、それぞれどのような個性と能力を持っていたのかを詳しく見ていきましょう。
彼らは皆、神覚者に匹敵する、あるいはそれ以上の強大な魔法の使い手であり、マッシュやその仲間たちを幾度となく苦しめました。
長男:ドゥウム
ドゥウムは、悪魔の五つ子の長兄であり、「無邪気な淵源」の一員です。
中性的な容姿のイケメンとして描かれ、常に目をマスクで覆っているのが特徴的でした。
彼は五兄弟の中でも飛び抜けた実力者であり、他の兄弟たちからも畏怖の念を抱かれる存在です。
普段は冷静沈着で、無益な殺生を好まない理知的な性格ですが、自分を不快にさせる存在に対しては容赦がありません。
その実力は、神覚者のライオ・グランツと対峙した際に、およそ5割の力で退け、初めてマッシュと戦った時も同様に5割の力で彼を倒したほどです。
マッシュが修行を経て強くなった後の再戦でようやくフルパワーを出し、激闘を繰り広げました。
ドゥウムの主な武器は巨大な剣で、これを用いた白兵戦を得意とします。
さらに、空間に鏡を出現させる「鏡魔法(ミラージュ)」を操り、自身の分身を作り出したり、物量攻撃を仕掛けたりする戦法で敵を圧倒しました。
特に「ミラージュセコンズ・カロイルスーコーブズ」は、上空に無数の鏡を出現させ、そこから多数の剣を放つ強力な技として描かれています。
その理知的なキャラクター性と圧倒的な強さから、敵方でありながらファンからの人気と支持も厚いキャラクターでした。
ドゥウム プロフィール
| 家族構成 | イノセント・ゼロの長男 |
| 特徴 | 中性的な容姿、冷静沈着、目をマスクで覆っている |
| 使用魔法 | 鏡魔法(ミラージュ)、ミラージュイリュージョン、ミラージュセコンズ・カロイルスーコーブズ、サモンズフレイヤなど |
| 強さ | 五兄弟最強、神覚者を圧倒する実力、最古の杖に選ばれた |
次男:ファーミン
悪魔の五つ子の次男であるファーミンは、ドレッド風味のヘアスタイルと、ピエロを思わせる服装が特徴的なキャラクターです。
しかし、その外見とは裏腹に、極めて好戦的で狂気じみた性格の持ち主であり、他の兄弟たちからも疎まれるほどでした。
残忍で凶悪な一面を持ち、他人の持ち物を異常に欲しがり、手に入れるとすぐに破壊するという奇癖も持っていました。
自らを「自由主義者」と称していましたが、その行動はまさに破滅的であり、読者からはその予測不能な言動に恐怖を感じる声も上がっています。
ファーミンが操るのは「透明魔法(トランス)」です。
この魔法を駆使して相手を翻弄し、神覚者オーター・マドルとの戦闘では、辺り一帯を砂に変えるオーターの魔法によって砂の中に沈んでいき、死亡しました。
ファーミン プロフィール
| 家族構成 | イノセント・ゼロの次男 |
| 特徴 | ドレッドヘア、ピエロのような服装、好戦的で狂気的な性格 |
| 使用魔法 | 透明魔法(トランス)、デキウスインクラネイション |
| 強さ | 神覚者オーター・マドルに敗北 |
三男:エピデム
悪魔の五つ子の三男、エピデムは、スーツにメガネという紳士的な風貌と、口の下にある×印のアザが印象的なキャラクターです。
真面目そうに見える外見とは裏腹に、彼もまた狂気的な一面を持っており、特に「プリン」に対しては偏執的な愛情を抱いていました。
このプリンへの異常な執着は、シュークリームを偏愛するマッシュとの対比として、読者に強い印象を残しています。
エピデムは「マッドサイエンティスト」としての顔も持ち、人間から魔力を奪うウイルスを開発し、それをばら撒いたことでランス・クラウンの妹アンナの魔力を奪うという非道な行為も行っています。
彼の魔法は、最強の金属とされる「オリハルコン」を生み出す能力です。
このオリハルコンを武器に変形させて攻撃したり、自身の体に纏わせて肉弾戦に用いたりするなど、頭脳を駆使した多彩な戦法を得意としていました。
かつては巨人族を倒したこともあるほどの強さを誇りますが、ドット・バレットが「自戒人(イーラ・クロイツ)」に覚醒した猛攻撃を受けて死亡しました。
エピデム プロフィール
| 家族構成 | イノセント・ゼロの三男 |
| 特徴 | スーツにメガネ、紳士的な風貌、プリン狂い、マッドサイエンティスト |
| 使用魔法 | オリハルコン生成魔法 |
| 強さ | 巨人族を倒す、ドットの自戒人覚醒で敗北 |
四男:デリザスタ
悪魔の五つ子の四男であるデリザスタは、左右の目の下にある直角に曲がった二本のアザと、後頭部の日輪を思わせる飾りが特徴的なキャラクターです。
金髪に瞳孔が開いた大きな瞳も印象的で、お調子者で派手好き、そして刹那主義的な性格が前面に出ていました。
自分の能力と強さに絶対的な自信を持っており、対戦相手を見下したような言動が目立ちます。
魔心臓の存在を最初に明かしたのもデリザスタであり、その派手好きな性格がうかがえます。
デリザスタが使用するのは「矛」を生み出す魔法で、その矛は「アスカロン」と名付けられています。
アスカロンは物量と質量を駆使して相手を追い詰める強力な武器であり、数十人のエルフ族を倒すほどの力を誇りました。
「貫けないものはない」とまで言われるほどの貫通力を持つアスカロンを操り、レイン・エイムズとフィン・エイムズの兄弟と戦いますが、二人の連携攻撃を受け、最終的にレインに顔を真っ二つに斬られて死亡しました。
デリザスタ プロフィール
| 家族構成 | イノセント・ゼロの四男 |
| 特徴 | 派手好き、お調子者、刹那主義者、自信家 |
| 使用魔法 | 矛(アスカロン)生成魔法 |
| 強さ | 数十人のエルフ族を倒す、レインとフィンの連携に敗北 |
五男:ドミナ・ブローライブ
悪魔の五つ子の末っ子であるドミナ・ブローライブは、女性と見紛うほどの美しい中性的な容姿と、セミロングのヘアスタイルが特徴的です。
右頬には二本の矢印が円を描くような独特のアザがあります。
ドミナは五兄弟の中で最もイノセント・ゼロを崇拝しており、父親からの愛情を一身に受けたいと強く願っていました。
幼い頃にマッシュと出会っていたことが判明しており、自分よりも幼い兄弟の存在を知って、マッシュに激しい嫉妬心と敵愾心を抱いていました。
マッシュからは「ファザコン」と一言で切り捨てられるなど、その歪んだ愛情表現は読者からも様々な反応がありました。
イノセント・ゼロが「強大な魔法使い」と認めるほどの能力と強さを有しており、水魔法の使い手です。
水そのものを膨大な質量にして放ったり、水を矢に変形させて攻撃したりと攻撃面も強力ですが、水を盾にして防御したり、水の中に相手を閉じ込めたりするなど防御面にも秀でた、バランスの取れた魔法使いでした。
マッシュとの戦いを優位に進めるも、最終的には改心し、マッシュを救うために闇のマグマに落ちますが、神覚者に救出されます。
その後もマッシュをサポートしますが、イノセント・ゼロの魔法で真っ二つにされて死亡するという壮絶な最期を迎えました。
彼の改心と悲劇的な結末は、多くの読者に強い印象を残し、そのキャラクター性に深みを与えたと考えるファンも多いでしょう。
ドミナ・ブローライブ プロフィール
| 家族構成 | イノセント・ゼロの五男 |
| 特徴 | 中性的な美貌、セミロングヘア、イノセント・ゼロへの強い崇拝、嫉妬深い |
| 使用魔法 | 水魔法 |
| 強さ | イノセント・ゼロが認めるほど、マッシュとの戦いを優位に進める |
「悪魔の五つ子」の魔心臓と悲劇的な結末
「マッシュル-MASHLE-」の世界では、魔法にまつわる神秘的で、時に残酷な設定が数多く登場します。
悪魔の五つ子にもまた、彼らの存在を特徴づける異色の設定が設けられていました。
それが「魔心臓」です。
この章では、デビルクンタブレットの魔心臓がどのようなものであったのか、そして彼らが辿った最期について、詳しく解説してまいります。
悪魔の五つ子に埋め込まれた「魔心臓」とは
悪魔の五つ子は全員が、自身の本来の心臓を父親であるイノセント・ゼロに預けていました。
そして、代わりに体内に埋め込まれていたのが「魔心臓」と呼ばれる特殊な心臓です。
魔心臓には、イノセント・ゼロの強大な魔力が込められており、彼らはこの心臓の力によって、驚異的な回復能力と無限に近い体力を手に入れていました。
相手の攻撃を受けて傷ついても、魔力が尽きない限りは傷を瞬時に治癒することができ、疲労を感じた際も魔心臓の魔力で回復が可能だったとされています。
さらに、定期的にイノセント・ゼロの血を輸血することで、ほぼ不死身の状態を維持することができたのです。
しかし、この魔心臓にも弱点がありました。
魔力がなくなれば、その効果は失われてしまうため、マッシュやその仲間たちは、この弱点を見抜き、五つ子たちを追い詰めていきました。
魔心臓という設定は、イノセント・ゼロが息子たちを「道具」としか見ていないことの象徴であり、彼らの命が常に父親の掌中にあったことを示唆しています。
読者からは、この設定によって五つ子の強さがより際立つと同時に、彼らの運命の悲劇性が強調されるという見方も多く聞かれました。
「悪魔の五つ子」それぞれの最期
強大な魔心臓の力を持っていた悪魔の五つ子ですが、マッシュやその仲間たちとの激しい戦いの末、それぞれが異なる結末を迎えました。
その壮絶な最期を振り返りましょう。
デリザスタの最期
四男デリザスタは、神覚者レイン・エイムズと弟フィン・エイムズの兄弟と対峙します。
二人の連携攻撃を受け、レインの強力な一撃によって顔を真っ二つに斬られ、死亡しました。
自らの強さに絶対的な自信を持っていたデリザスタにとって、兄弟の連携によって倒されるという結末は、皮肉なものだったと言えるでしょう。
エピデムの最期
三男エピデムは、ランス・クラウンとドット・バレットを相手に戦いました。
ドットを庇ったランスの姿に激昂し、その怒りが引き金となって「自戒人(イーラ・クロイツ)」に覚醒したドットの猛攻撃を受け、敗れ去り死亡します。
狂気的なマッドサイエンティストとしての一面が強かったエピデムですが、彼の最期は、仲間を守ろうとするマッシュたちの絆の強さを際立たせるものとなりました。
ファーミンの最期
次男ファーミンは、神覚者オーター・マドルとの戦闘で命を落としました。
オーターの辺り一帯を全て砂に変えるという圧倒的な魔法によって、砂の中に沈んでいき死亡します。
狂気的な性格で自由を標榜していたファーミンですが、その自由も強大な魔法の前に儚く散る結果となりました。
ドミナの最期
五男ドミナは、マッシュとの戦いを通じて、イノセント・ゼロの真意とマッシュの温かさに触れ、改心する兆しを見せます。
マッシュを救うために闇のマグマに落ちるという行動に出ますが、神覚者によって救出されました。
その後もマッシュをサポートするなど、彼の心境の変化は多くの読者に感動を与えました。
しかし、最終的にはイノセント・ゼロの冷酷な魔法によって真っ二つにされ、死亡するという悲劇的な結末を迎えます。
ドミナの改心とその後の死は、イノセント・ゼロの非情さと、彼が息子たちを本当に道具としか見ていなかったことを強く印象づけるシーンとなりました。
唯一の生存者:ドゥウム
悪魔の五つ子の中で、唯一生き残ったのが長兄のドゥウムです。
彼はマッシュとの激闘の末に敗北しますが、死亡することはありませんでした。
ドゥウムは他の兄弟たちとは異なり、理知的な判断力と冷静さを持ち合わせていました。
彼の生存は、読者にとって、イノセント・ゼロに利用されながらも、どこかで自らの意思を持っていた彼の人間性を象徴するかのようにも映ったかもしれません。
五兄弟それぞれの壮絶な戦いと結末は、マッシュの成長を促す重要な要素であり、物語全体に深い陰影とドラマをもたらしました。
「無邪気な淵源(イノセント・ゼロ)」の正体と恐るべき目的
悪魔の五つ子の父親であり、「マッシュル-MASHLE-」の物語における最大の敵、それが「無邪気な淵源(イノセント・ゼロ)」です。
彼の存在は、物語全体を覆う謎の中心であり、その正体と目的が明らかになるにつれて、読者はさらなる衝撃を受けることになります。
この章では、イノセント・ゼロの正体、そして彼が何を目指していたのか、さらにその驚異的な能力と強さについて、詳細に解説してまいります。
イノセント・ゼロの驚くべき正体
イノセント・ゼロは、自身の名を冠する闇組織「無邪気な淵源」の頭目であり、本作のラスボスとして君臨しました。
彼の正体は、この魔法世界を創ったとされる伝説の闇魔法使いアダム・ジョブズの一番弟子であり、イーストン魔法学校校長のウォールバーグ・バイガンとは兄弟弟子でありながら、長年のライバル関係にあったのです。
アダムとウォールバーグが「弱き者を助ける」という思想を共有していたのに対し、イノセント・ゼロは異なる道を選びました。
彼はアダムの教えを自分に都合の良いように解釈し、ひたすら自分自身のために生き、自己を高めることだけに腐心してきたのです。
その結果、彼は人間としての生き方を捨て、のっぺらぼうのような容姿へと変貌しましたが、元の顔に戻すことも可能でした。
イノセント・ゼロの過去は、彼がどのようにしてその歪んだ思想を持つに至ったのか、そしてなぜマッシュたちの前に立ちはだかることになったのかを理解する上で、非常に重要な要素となっています。
不老不死への執着:イノセント・ゼロの目的
イノセント・ゼロが人生でただ一つ成し遂げられなかったこと、それが「不老不死」になることでした。
魔法界において、不老不死となる魔法は存在せず、ある意味で禁忌とされていました。
そこでイノセント・ゼロは、禁じられた「造体禁忌魔法」の発動を目論みます。
この魔法の真の目的は、自らの血を引く6つの心臓を用いて、不老不死の心臓を作り出すことでした。
彼が悪魔の五つ子やマッシュの心臓を必要としたのは、まさにこのためであり、息子たちを自らの野望を叶えるための「道具」としか見ていなかったことを如実に示しています。
読者からは、この究極のエゴイズムに強い嫌悪感や憤りを感じると同時に、一人の魔法使いが到達しうる負の極致としての凄みに圧倒されたという感想も多く寄せられています。 イノセント・ゼロにとって、血縁とは絆ではなく、単なる「材料」に過ぎなかったのです。
圧倒的な強さ:時を操る魔法「タイムズ」
イノセント・ゼロが最強の魔法使いの一人と称される所以は、彼が操る「時魔法(タイムズ)」にあります。 時間を加速、遅延、停止させるだけでなく、対象の時間を巻き戻して傷を治癒したり、存在そのものを消し去ったりすることさえ可能でした。
作中では、校長ウォールバーグとの頂上決戦においてその真価が発揮され、空間そのものを削り取る魔法さえも時間操作で無効化する絶望的な強さを見せつけました。
また、ドゥウムたちが持っていた「魔心臓」の供給源も彼自身であり、その魔力量は底が知れません。
物理攻撃の極致であるマッシュの筋肉に対し、概念的な「時間」で対抗する姿は、本作における矛と盾の究極のぶつかり合いとして描かれました。
「悪魔の五つ子」に対する読者の評価と考察
物語の終盤を盛り上げた「悪魔の五つ子」たちですが、完結後もファンの間では彼らについての熱い議論や考察が続いています。
彼らが単なる悪役以上の魅力を持っていた理由を、いくつかの視点から紐解いてみましょう。
敵ながらあっぱれ! その個性的なキャラクター性
読者の間では、五兄弟それぞれの際立った個性が高く評価されています。
特に長男ドゥウムの「圧倒的な強者感」や、三男エピデムの「プリンへの執着」といったギャグとシリアスの絶妙なバランスは、マッシュルらしいと好意的に受け止められました。
また、五男ドミナの「父親に認められたい」という悲痛な承認欲求は、多くの読者の共感を呼び、単なる記号的な悪役ではない人間味を感じさせました。
彼らがマッシュと戦う中で見せた、それぞれの「譲れないもの」や「狂気」が、バトルを単なる数字の削り合いではなく、魂のぶつかり合いへと昇華させていたのです。
「家族」というテーマから読み解く悲劇
本作の裏テーマの一つに「家族の在り方」があるという考察も根強く存在します。 レグロとマッシュの「血は繋がっていないが愛がある親子」に対し、イノセント・ゼロと五つ子の「血は繋がっているが愛がない親子」という対比は、非常に残酷でメッセージ性の強いものでした。
五つ子たちがイノセント・ゼロに尽くせば尽くすほど、その忠誠が裏切られる結末は、家族という言葉の重みを読者に問いかけました。
「もし彼らがマッシュのようにレグロに拾われていたら、別の人生があったのではないか」という二次創作的な考察も盛んであり、彼らの悲劇性が作品の深みを増していたことは間違いありません。
まとめ:「悪魔の五つ子」がマッシュルに残したもの
「悪魔の五つ子(デビルクンタブレット)」は、その強大な魔法と特異な出自によって、マッシュ・バーンデッドの物語を完結へと導く重要な役割を果たしました。
彼らは主人公の壁となり、時にはマッシュ自身のルーツを鏡のように映し出す存在として、最後まで戦い抜きました。
彼らが辿った運命は決して明るいものではありませんでしたが、マッシュが示した「筋肉による正義」と、仲間や育ての親との絆の強さを証明するためには、彼らという強大で悲しい鏡が必要だったのかもしれません。
物語が完結した今、改めて彼らの戦いやセリフを見返すと、イノセント・ゼロという絶対的な孤独の中で、彼らなりに何かを求めていた足跡が見えてくるはずです。
マッシュの前に立ちはだかった「兄たち」の勇姿を、ぜひもう一度単行本やアニメで確かめてみてください。
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