
BLACK CATの主人公・トレイン=ハートネットは、裏世界で「黒猫」と恐れられた伝説的な抹殺者でありながら、物語開始時点では賞金首を追う自由気ままな掃除屋として生きています。
冷徹な殺し屋から、笑顔で仲間と食卓を囲む青年へ。その変化の軌跡こそが、この作品の根幹をなしています。
本記事では、トレイン=ハートネットというキャラクターを、プロフィール・性格・過去・戦闘能力のすべての角度から徹底的に掘り下げます。
トレイン=ハートネットとは何者か
BLACK CATにおける立ち位置と役割
トレイン=ハートネットは、矢吹健太朗による漫画『BLACK CAT』の主人公です。
世界を裏から支配する秘密組織「クロノス」の精鋭戦闘部隊「時の番人(クロノナンバーズ)」に、特例として13番目のメンバーとして加入した元抹殺者(イレイザー)という経歴を持ちます。
物語の現在軸では、相棒のスヴェン=ボルフィードと共に賞金首を捕まえて生計を立てる掃除屋(スイーパー)として活動しています。
作品全体の構造を見ると、トレインは「過去の自分」と「現在の自分」という二つの顔を常に抱えたキャラクターとして描かれています。
冷徹な抹殺者だったころの自分を完全に否定するわけでもなく、かといって過去に縛られて生きるわけでもない。「自分が自分である限り、過去を切り捨てることなんか出来やしない」という台詞が、このキャラクターの本質を一言で表しています。
物語が進む中でクリード率いるテロ組織「星の使徒」とクロノスの抗争に巻き込まれていくトレインですが、彼はどちらの組織にも属さず、あくまでも掃除屋として、自分自身のやり方でその因縁に決着をつけることを選びます。
この立ち位置こそが、BLACK CATという作品における主人公の独自性です。
「黒猫」という異名が示す裏世界での存在感
トレインの裏世界における通称は「黒猫(ブラックキャット)」です。
この異名は単なるあだ名ではなく、クロノス在籍時代に要人暗殺を次々と成功させてきた実績に裏打ちされた、恐怖の象徴として機能していました。
黒猫は不吉の象徴とされる動物です。その名を冠した抹殺者が現れることは、すなわち死の宣告を意味しました。
掃除屋に転身した後もその名は消えておらず、賞金首たちの間では「黒猫が動いている」という情報だけで威圧効果を持ちます。
また、首輪・ジャケット・ハーディスという外見的な要素も、猫というモチーフと巧みに結びついており、キャラクターデザインの段階から「黒猫」という概念がトレインの全体像に織り込まれていることがわかります。
決め台詞「不吉を届けに来たぜ」に込められた意味
トレインの決め台詞は「不吉を届けに来たぜ」です。
この台詞は、単純に「敵を倒しに来た」という宣言以上の意味を持ちます。
「不吉」とは、黒猫という異名そのものの意味であり、この言葉を口にする瞬間、トレインはかつての自分——裏世界に死をもたらした伝説の抹殺者——としての姿に一瞬だけ戻ります。
普段は笑いながらミルクを飲み、借金を増やし続けるコミカルな青年が、この台詞を発した瞬間だけは「黒猫」に戻る。そのギャップが、この台詞を単なるキメ台詞以上のものにしています。
なお、「不吉」の受け取りは拒否できないとされており、この台詞自体が一つのルールとして作中に組み込まれている点も、キャラクターの哲学と一致しています。
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基本プロフィールと外見の特徴
身体的データと基本情報
トレイン=ハートネットの基本プロフィールは以下の通りです。
誕生日は4月13日。年齢は物語を通して23歳から24歳。身長175cm、体重65kg、血液型はO型です。
視力は両目ともに6.0という驚異的な数値を持ち、これが超人的な射撃精度を支える身体的基盤の一つになっています。
利き手は両利きですが、元々は左利きです。足のサイズは26.0cm。趣味は昼寝で、好物はミルクと海鮮料理です。
嫌いなものは女の涙・犬・害虫(ゴキブリ、ムカデなど)。好みの女性のタイプは「自分の意見をしっかり持っている女性」とされています。
アニメ版での声優は近藤隆が担当し、スモール化した子供時代のトレインは高山みなみが担当しています。
瞳の色は金色で猫目、髪の色はダークブラウンです。
黒いジャケットと首輪が語るキャラクター哲学
トレインの外見は、その性格と信条を視覚的に表現するデザインになっています。
ドーナツのような丸い装飾が付いた黒いジャケットに、襟が大きく開いた白いシャツ、黒いズボンという出で立ちは、黒猫というモチーフを意識した配色です。
左の鎖骨付近には時の番人であることを示す「XIII」の刺青があります。これは組織を脱退した後も消えることなく残っており、過去は切り捨てられないというトレイン自身の持論を体現する存在になっています。
そして最も象徴的なのが、鈴付きの首輪です。
首輪は一般的に「飼われている」状態を示すアイテムですが、トレインがそれを身につける理由はまったく逆の意味を持ちます。
「自分を飼い馴らせるのは自分だけ」という信条の表れ
トレインが首輪を着けているのは「自分を飼い馴らせるのは自分だけ」という信条の表れです。
組織の命令で動いた過去、クリードという相棒に影響を受けた過去、サヤという友人に心を開いた過去——トレインはその経験すべてを経た上で、最終的に「自分の行動を決めるのは自分だけだ」という結論に至っています。
首輪というアイテムに込められたこの逆説的な意味は、キャラクターの根幹にある自由への哲学を常に視覚化し続けます。
「飼い猫でも野良猫でも……猫は自由に生きるモンだぜ」という台詞とも直結しており、トレインにとって自由とは与えられるものではなく、自分自身で守り続けるものとして描かれています。
性格と行動原理
信条を曲げない一本筋の通った生き方
トレインの性格を一言で表すなら、明朗快活かつ大食らいの自由人です。
しかしその軽さの裏には、絶対に曲げない信条があります。
金のために掃除屋をやっているわけではなく、依頼を受ける基準は自分の納得できるものかどうかという一点に尽きます。気紛れでマイペースに見えますが、自分が「これは違う」と判断した瞬間、どれだけ損をしても方針を変えません。
行動はストレートで、他人に流されることがなく、どれだけ不利な状況でも自分のやり方を貫きます。このブレなさは、かつて冷徹な抹殺者として生きていたころから一貫しており、組織の論理ではなく自分の論理で動くという点は変わっていません。
変化したのは、その信条の中身です。かつては「生き抜くこと」「仇を討つこと」だった軸が、サヤとの出会いを経て「自由に、仲間のために生きること」へと書き換えられました。
金には無頓着だが他人には手を差し伸べる矛盾の魅力
トレインは金に対してほとんど執着を持ちません。
食欲は人並み外れていますが、物欲は薄く、余計なものを欲しがることがありません。借金に対してはある程度の危機感を持っているようですが、それも「申し訳程度」と表現されるレベルです。
この無頓着さが行動として表れた典型例が、ギャンザ討伐後の報奨金です。1500万イェンという報奨金のうち、トレインは壊れた街の復興に使うよう求め、自分が受け取ったのは10%の150万のみでした。依頼人がかつての恩人だったという事情はあるにせよ、これは掃除屋として生計を立てている人間の行動としては明らかに常軌を逸しています。
このたびスヴェンに怒られ、イヴに呆れられるというやり取りは作中で繰り返されるお約束ですが、このパターンこそがトレインというキャラクターの人間性を最もわかりやすく示しています。
金にならなくてもかまわない、損をしてもかまわない——それでも他人のために動けるのは、サヤから受け継いだ「生きることを楽しむ」という価値観が根底にあるからです。
スヴェン・イヴとのトリオが生み出すコミカルな日常
トレインの日常は、相棒スヴェンと少女イヴとの三人体制の中で展開します。
苦労性のスヴェンがトレインの行動に頭を抱え、感情表現が乏しいイヴが呆れ果てるという構図は、シリアスな戦闘シーンと対比して作品に緩急をつける機能を果たしています。
トレインが一人で謎の牛乳の歌を口ずさんでいたり、一晩シリアスモードでいたかと思えば翌日にはテンションの上げ方を忘れて天然行動をとったりと、戦闘外のトレインは徹底してコミカルに描かれています。
このギャップは意図的な設計です。黒猫という重い過去を持つキャラクターが、日常では笑いを振りまく存在として描かれることで、彼がいかに「今を生きること」に舵を切ったかが読者に伝わります。
三人のトリオは単なるチームではなく、互いの欠落を補い合う疑似家族的な構造を持っており、これがBLACK CATという作品の感情的な核になっています。
壮絶な過去と人格形成の軌跡
10歳で両親を失った原点
トレインが現在の人格を形成する上で、最初の決定的な出来事は10歳の時に訪れます。
フリーの殺し屋であるザギーネ=アクセロークによって、両親を目の前で殺されたのです。
子供のいる標的の依頼は受けないという主義を持つザギーネでしたが、依頼主に情報を秘匿されたために、結果としてトレインの両親を殺すことになりました。
10歳の子供が両親の死を目撃するという経験は、それだけで人格形成に計り知れない影響を与えます。しかしトレインの場合、この出来事はさらに苛酷な展開へとつながります。
殺し屋ザギーネのもとで生き抜いた少年時代
両親を失ったトレインは、皮肉なことにその仇であるザギーネのもとで育てられることになります。
「生きるために」そして「両親の仇を討つために」という二つの目的を胸に、トレインはザギーネから暗殺術を叩き込まれました。
ザギーネは当時のトレインよりはるかに強く、射撃技術においても圧倒的に優れていました。そのため、仇であるはずのザギーネは同時に「乗り越えるべき目標」として機能していました。憎しみと目標が同一人物に向いているという、複雑な精神状態の中でトレインの幼少期は過ぎていきます。
しかしザギーネはある日突然、別の何者かに殺されてしまいます。仇を自らの手で討つことも、力の差を埋めて乗り越えることも叶わなかったトレインは、それでも「彼を越えられる存在になることを証明するために生き抜く」という決意を固めます。
この決意が、幼くして生死が隣り合わせの闇の世界に飛び込むきっかけになりました。
18歳で時の番人XIII番目に選ばれた異例の昇格
その後、トレインは秘密結社に拾われ暗殺部隊に所属します。
この時期にクリード=ディスケンスと出会い、一時期コンビを組んでいました。
そして弱冠18歳という年齢で、クロノスの精鋭戦闘部隊「時の番人(クロノナンバーズ)」への加入を果たします。
時の番人は通常、「ナンバーズ」と呼ばれる12人で構成される組織です。しかしトレインは抹殺者としての突出した実力を買われ、特例として13番目のナンバーズとして迎えられました。
「XIII」という番号は、13という数字が持つ不吉なイメージとも重なります。左の鎖骨付近に刻まれたこの刺青は、トレインが特例の存在として裏世界に君臨していたことを示す証です。
この時期のトレインは感情を表に出さない性格で、パートナーという概念すら「足手纏い」と切り捨てていました。孤独に徹することが強さだと信じていた時期です。
サヤ=ミナツキとの出会いが変えた価値観
冷徹な抹殺者として生きていたトレインの価値観を根底から変えたのが、掃除屋の少女サヤ=ミナツキとの出会いです。
ある日、傷ついて倒れていたトレインを介抱したサヤは、猫のように自由気ままな性格を持つ女性でした。
サヤもまた壮絶な過去を持つ人物で、虐待を受けていたために10歳以前の記憶がありません。しかしそれでも過去に囚われず、前向きに世界を楽しもうとするサヤの姿勢は、復讐と孤独の中で生きてきたトレインには異質なものとして映りました。
二人はお互いを親友と認める関係へと発展します。サヤの好物であるシャケおにぎりと牛乳をトレインも好むようになったのは、サヤの影響を受けたとされています。
サヤとの交流を通じて、トレインは徐々に感情を取り戻し、笑い、楽しみ、仲間と時間を共有することの意味を学んでいきます。現在のトレインの明朗快活な性格は、この時期のサヤとの日々が土台になっています。
サヤの死が引き起こした組織脱退と転身
しかしその日々は突然終わりを告げます。
トレインの変化を受け入れられなかったクリード=ディスケンスが、サヤをトレインを変えた「魔女」と見なし、嫉妬と憎悪に駆られてサヤを殺したのです。
サヤは最期、トレインが復讐に囚われないように別れの言葉を残し、彼の腕の中で息を引き取りました。享年19歳でした。
この喪失はトレインを一時、憎しみへと引き戻します。クリードへの復讐を考えた時期もありました。しかしサヤの遺言と、後に出会う仲間たちの存在が、その憎しみを別の方向へと変えていきます。
サヤの死後、トレインはクロノスを脱走し、掃除屋へと転職します。
組織の命令で人を殺す抹殺者ではなく、自分の意志で賞金首を追う掃除屋として生きる選択は、サヤが教えてくれた「自由に生きること」の実践です。
「自分が自分である限り過去を切り捨てることなんか出来やしない」という持論は、この経緯すべてを抱えた上での言葉です。過去から目を背けず、しかし過去に縛られることもなく——それがトレイン=ハートネットという人間の生き方です。
掃除屋としての現在
スヴェン=ボルフィードとのコンビ結成の経緯
クロノスを脱退したトレインが掃除屋として活動する中で、とある町での事件をきっかけにスヴェン=ボルフィードとコンビを組むことになります。
スヴェンは元IBI(国際捜査局)捜査官で、紳士を自称する30歳の苦労人です。自由気ままに動くトレインの行動に頭を悩ませながらも、トレインの実力と人間性を認め、相棒として行動を共にします。
機械に強く手先が器用なスヴェンは、トレインのために特殊弾頭を開発し続けており、この補完関係がコンビとしての強みになっています。
性格は対照的ですが、「自分の信念に従って行動する」という点では二人は共通しています。スヴェンがトレインを怒鳴りながらも最終的には認め、トレインがスヴェンを軽く扱いながらも絶対の信頼を置く——この関係性がBLACK CATという作品のバディダイナミクスの核心です。
イヴが加わった三人体制の始まり
トレインとスヴェンのコンビに、三人目の仲間が加わります。
武器密輸商人トルネオ=ルドマンの一件で出会った少女・イヴです。
イヴはトルネオのナノマシン技術によって作られた生体兵器で、殺人マシーンとして教育されていました。人間としての感情を持たず、命令のままに動いていた彼女がスヴェンとの出会いを経て自我を芽生えさせ、トルネオのもとを離れます。
トレインはイヴをトルネオの屋敷から逃がすことに一役買い、その後の決戦でイヴを救出します。事件解決後、イヴはスヴェンに引き取られる形で三人のチームが成立しました。
イヴはトレインに対してライバル意識を持ち、いつか彼を超えてスヴェンの真のパートナーになることを目標としています。トレインはイヴの訓練に付き合いながら、感情を学び成長していく彼女を見守ります。
クリード=ディスケンスとの因縁と宿敵関係
トレインにとってクリード=ディスケンスは、単純な「敵」では語れない存在です。
かつての相棒であり、親友サヤを殺した仇であり、テロ組織「星の使徒」を率いる宿敵でもあります。
クリードはトレインへの狂信的な執着を持ち続けており、トレインが変化したことを認められず、その原因であるスヴェンを排除しようとするほどです。
トレインはクリードへの憎しみを抱えながらも、復讐者としてではなく掃除屋としてクリードと決着をつけることを選びます。
この選択の根拠は明確です。復讐のために誰かを傷つけることは、サヤが最後に願ったこととは正反対だからです。
クリードとの因縁は物語全体を貫くテーマであり、最終決戦でトレインがクリードをどう終わらせるかは、BLACK CATという作品の結論そのものです。
戦闘能力と武器の全貌
愛銃ハーディスの性能と構造
オリハルコン製リボルバーが持つ唯一無二の特性
トレインの愛銃「ハーディス」は、時の番人にだけ与えられる超金属「オリハルコン」製のリボルバー式装飾銃です。
装弾数は6発。重量は2.5kgとされています。
オリハルコンは作中における最上位の金属素材であり、この素材で作られたハーディスは、通常の銃では不可能なトレインの超高速連続早撃ちに耐え続けることができます。
銃身の下部は縦方向に三角形状に大きく伸びており、トレインはこの広い面積部分を盾として使い、敵の銃撃や攻撃を弾く際に活用します。
グリップ部分の飾りは本体と繋がった出し入れ自在のワイヤーになっており、銃を投げつけての攻撃、フェイント、敵の拘束など多目的に使用できます。
名前の由来は冥界の神「ハデス」とされています。
「攻防一体の相棒」と呼ばれる理由
ハーディスをトレインが「攻防一体のもう一つの相棒」と評する理由は、その使用方法の多様性にあります。
銃として遠距離から射撃する、盾として攻撃を弾く、鈍器として直接殴る、ワイヤーを使って投擲や拘束を行う——一丁の銃がこれだけの役割を担えるのは、オリハルコンという素材の硬度と耐久性があってこそです。
トレインの連続早撃ちはトリガーの引き速度が並外れており、通常の銃ではその負荷に耐えきれず破損してしまいます。ハーディスはトレインの早撃ちに対応できる唯一の銃であり、逆に言えばトレインの本来の戦闘スタイルはハーディス以外では発揮できません。
この銃とトレインの関係は、単なる「武器と使用者」ではなく「互いに適合した相棒」として描かれており、タイトルに「CAT」という言葉と並んでハーディスが作品のビジュアルシンボルになっている理由でもあります。
超人的な射撃技術の実態
連続早撃ち(クイックドロウ)の破壊力
トレインの戦闘スタイルの核心は連続早撃ち(クイックドロウ)です。
その速度は、並の銃のトリガー機構では負荷に耐えられず破損するほどです。ハーディスのみがその速度に対応できます。
早撃ちの速度は純粋な反射速度と筋肉制御の産物であり、この技術はザギーネのもとで幼少期から鍛え上げられたものです。銃使いとしてのプライドは高く、作中では時折射撃訓練を行う場面も描かれています。スヴェンからは「ムダ弾を撃つな」と苦言を呈されていますが、銃の腕を磨くこと自体はトレインにとって過去から続くアイデンティティの一部です。
飛来する4発の銃弾を撃ち落とす精度
トレインの射撃精度を示す最もわかりやすい場面が、敵が同時に放った4発の銃弾を自らが撃った4発の銃弾で正確に撃ち落とすというシーンです。
飛来する銃弾を撃ち落とすこと自体が常識外の技術ですが、それを4発同時にという条件で成立させるには、視力6.0という身体的能力と長年の射撃訓練の積み重ねが必要です。
この技術は遠距離における圧倒的な優位性を示すだけでなく、トレインが銃戦において「防御」も完結させられることを意味します。射撃で攻撃し、射撃で防御する——この完結性がトレインを作中最強クラスの戦闘力として位置づける根拠の一つです。
近接戦闘における体術の強さ
習得経緯不明でも達人クラスに届く格闘能力
トレインは銃使いでありながら、銃なしの素手による格闘戦でも暗殺拳法の使い手と互角以上に渡り合う実力を持ちます。
特筆すべきは、この体術がいかなる武術を正式に習ったわけでもないという点です。クロノス在籍時代にこなしてきた無数の実戦経験によって自然に身についた、型にはまらない格闘スタイルです。
「でたらめな型の動き」でありながら達人クラスと渡り合えるこの格闘能力は、トレインの反射神経と運動能力の高さが土台にあります。遠距離は射撃、近距離は体術と銃身を使った直接打撃で完全に対応できるため、トレインの戦闘には死角がありません。
黒爪(ブラッククロウ)の威力と使用場面
黒爪(ブラッククロウ)は、ハーディスを鈍器として使用する高速連続打撃技です。
トレイン自身は「黒猫の爪」と呼んでいます。
自身の高い腕力とオリハルコンの硬度が組み合わさることで、技を受けた相手の身体に爪のような痕が残るほどの威力が生まれます。
通常の弾丸が効かないアーマーを持つ相手に対しても有効であり、「道使い」の強固な防御すら打ち破る破壊力を持ちます。近距離での決定打として機能するこの技は、銃使いでありながら接近戦でも最強クラスであることを証明するトレインの象徴的な技の一つです。
黒十字(ブラッククロス)との使い分け
黒十字(ブラッククロス)は黒爪の変形型です。
通常の黒爪が爪のように払いながら連続で打撃を加えるのに対し、黒十字は腕を十字に振るって放ちます。
クリードとの最終決戦で使用されたこの技は、黒爪よりさらに局所へのダメージを集中させることができます。
黒爪と黒十字の使い分けは、状況に応じた柔軟な判断によるものです。連続の打撃で相手を崩す局面では黒爪を、特定の箇所に決定的なダメージを与える必要がある局面では黒十字を選択するという戦術的な使い分けが、クリードとの最終決戦で示されました。
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必殺技・電磁銃(レールガン)の仕組みと制約
ナノマシンによる細胞放電現象の獲得経緯
電磁銃(レールガン)は、トレインが物語後半で習得する必殺技です。
この技を得るきっかけになったのは、クリードがトレインの体内に打ち込んだナノマシン「LUCIFER(ルシフェル)」です。
ルシフェルの影響でトレインは一時的に子供の姿になりますが、その後元の体に戻る過程で、体内に残ったナノマシンを利用して自らの細胞から電気を発生させる「細胞放電現象」を身につけます。
この電気をオリハルコン製のハーディスに蓄積させることで、通常の火薬では到達できない弾速と破壊力を持つ「電磁銃」を撃ち出すことが可能になりました。
威力は岩に大穴を開けてあっさり貫通するほどで、通常の銃弾が通じない相手にも有効な、文字通りガード無視の攻撃として機能します。
電気の蓄積によって威力が増す背景には、オリハルコンという素材が持つ特殊な性質があるとされており、ハーディスが単なる銃以上の性能を発揮できる理由の一つでもあります。
1日4発という絶対的な制限が生む戦術的駆け引き
電磁銃には絶対的な制約があります。1日に撃てる最大発数は4発です。
1発撃つたびに体力を大きく消耗するため、異常なほど腹が減るという形で身体への負担が現れます。
この制限は単なる「弱点」ではなく、戦闘における戦略的な緊張感を生み出す設計として機能しています。
「星の使徒」幹部のシキとの交戦中、トレインは電磁砲は4発しか撃てないことと既に3発使ったと自ら相手に告げた上で、最後の1発を空に撃ち上げるという行動をとります。
これは残り弾数を公開することで相手の心理を動かし、電磁銃以外の手段で決着をつけるという判断の表れです。
4発という上限が存在するからこそ、何発目をどの局面で使うかという選択が戦闘に深みを与えています。
また、掃除屋同盟に対してはこの技のメリットとデメリットを包み隠さず話しており、仲間への情報共有を惜しまないトレインの信頼関係の築き方も、この制約を通じて描かれています。
炸裂・電磁銃(バースト・レールガン)使用後の代償
クリードとの最終決戦で、トレインは本来撃てないはずの5発目の電磁銃を撃ちます。
この時に使用したのが「炸裂・電磁銃(バースト・レールガン)」です。
無理に5発目を撃った反動により、トレインは細胞放電現象を使えなくなりました。電磁銃はこれ以降、永続的に封じられています。
さらに、炸裂・電磁銃の反動に耐えられず、ハーディスの銃身も破損しました。
スヴェンの手によって外見上は元通りに修復されましたが、壊れた銃身部分には別の銃のパーツが使われているため、修復後のハーディスはもはや純粋なオリハルコン製ではありません。
形は同じでも素材が変わったハーディスを持ち続けるトレインの姿は、最終決戦を経て何かを失い、それでも前に進む選択をしたキャラクターの在り方を静かに象徴しています。
スモール化とナノマシンの影響
LUCIFERによる子供化とその顛末
クリードはスヴェンを標的として「LUCIFER(ルシフェル)」というナノマシン兵器を使用しようとしました。
間一髪で駆けつけたトレインがスヴェンをかばった結果、ルシフェルはトレインの体内に打ち込まれます。
ルシフェルの効果により、トレインの体は子供の姿へと変化しました。
原作ではこの状態のトレインを「スモールトレイン」、アニメでは「ちびっこトレイン」と呼んでいます。
アニメ版でこの状態のトレインを担当した声優が高山みなみであることは、「見た目は子供、頭脳は大人」というコンセプトを意識したキャスティングと考えられます。
子供状態での戦闘制限と克服の経緯
子供の姿になったトレインは、通常の戦闘力を発揮できない状態に置かれます。
銃を撃った反動でハーディスを落としてしまうほど握力が低下しており、ワイヤーを手に巻きつけることでそれを補う場面も描かれています。
自らの力でスモール化を解除するため、元の姿をイメージする方法を試みますが、ロクにイメージできずに悶々とした状態が続きます。
しかし「銃を構えている時の自分」をイメージするという方法でこの集中を成立させ、最終的に元の体に戻ることに成功します。
この克服の過程は、トレインにとって「銃を構えている自分こそが自分の核心である」という自己認識の再確認でもあります。
また子供状態でも、「時の番人」のクランツとバルドリアスという強敵に対して一定のダメージを与えており、純粋な戦闘センスと判断力の高さはスモール化によっても失われていないことが示されています。
元に戻った後に得た新能力
スモール化から元に戻った後、トレインはルシフェルによって打ち込まれたナノマシンを完全に克服するに留まらず、そのナノマシンを自分のものとして使いこなすことに成功します。
細胞放電現象の獲得がその結果であり、ルシフェルという「クリードからの攻撃」が皮肉にもトレインの新たな力の源になりました。
敵の攻撃を逆用して自分の武器にするという展開は、どれだけ追い詰められても状況を自分の側に引き寄せるトレインというキャラクターの本質と一致しています。
意外な弱点と人間的な一面
女の涙には完全無力
作中最強クラスの戦闘力を誇るトレインですが、女の涙には完全に対応できません。
リンスレット=ウォーカーの嘘泣きに対してまんまと騙され、激しく狼狽する場面は、それを目撃したスヴェンに「情けねぇ」と呆れられるほどです。
嫌いなものとしてプロフィールにも「女の涙」が明記されており、これは嫌いというより苦手、もっと正確に言えば「完全に無力化される弱点」です。
銃弾も刃も通じないトレインが、涙一つで機能停止するというギャップは、このキャラクターが持つ人間的な脆さを示すと同時に、作品全体にコメディ的な緩和をもたらす要素としても機能しています。
集中力の欠如と読書嫌い
読書家であるイヴとは対照的に、トレインは本を読むのが苦手です。
本人の言葉によれば「目次ページで音を上げる」レベルとのことです。
スモール化した際に元の姿を思い浮かべて集中しようとしたものの、ロクにイメージできなかったという場面は、トレインの集中力の問題を具体的に示しています。
ただしこの「集中できない」という弱点は、銃を構えるという状況では解消されます。銃という文脈に置かれた瞬間にのみ集中できるというこの特性は、トレインのアイデンティティがいかに銃と結びついているかを示しています。
スヴェン談として「どうでもいいことは3秒で忘れる都合のいいオツム」とも評されており、記憶力の選択的な高低差もトレインらしい特性として描かれています。
借金を増やし続ける金銭感覚
トレインは掃除屋として生計を立てながら、その稼ぎを自分のために使うことをほとんどしません。
金のために掃除屋をやっているわけではないという本人の姿勢は、依頼の報奨金を惜しみなく放棄する行動として繰り返し表れます。
ギャンザ討伐後の1500万イェンの報奨金のうち、壊れた街の復興費用として使うよう求め、自分が受け取ったのは10%の150万のみというエピソードはその典型です。
この結果として借金は減らず、スヴェンは常に苦言を呈し続けます。
トレインはこの状況を他人事のように笑い飛ばしており、借金への危機感はあることはあるが申し訳程度という描写がされています。
金銭よりも自分の信条を優先するこの行動パターンは、トレインというキャラクターの価値観の一貫性を示す一方で、スヴェンとの日常的な衝突の原因として物語に軽みをもたらしています。
女性キャラクターとの関係性
キョウコ=キリサキからの一方的な好意
「星の使徒」のメンバーだったキョウコ=キリサキは、トレインに一方的な好意を持ちます。
享楽的な性格のキョウコがトレインに惚れたきっかけは、窮地を救ってもらったことです。
その後キョウコは「むやみやたらとブッ殺さない主義」を貫くというトレインとの約束を守り続け、時の番人の刺客に襲われても我慢するという行動を見せます。
当のトレインはキョウコの好意を鬱陶しがっており、恋愛感情を向けられることへの対応はほぼ一貫して回避です。
ただしバルドリアスとの激戦を経た後、トレインはキョウコに対して一定の信頼を置くようになっています。
好意を持つ相手への信頼は生まれても、恋愛には発展しないというこのパターンは、トレインと女性キャラクターとの関係性全般に共通しています。
リンスレット=ウォーカーとの腐れ縁
泥棒請負人のリンスレット=ウォーカーは、トルネオ=ルドマンの一件から縁が始まり、その後も繰り返し物語に絡んでくる人物です。
抜け目のない性格で、トレインに対しても計算が透けて見える接し方をすることが多く、嘘泣きでトレインを騙したのもリンスレットです。
ドラマCDではジェノス=ハザードとの関係が進展するような描写があり、それをトレインが徹底的にからかっています。
リンスレットとトレインの関係は、恋愛でも純粋な友情でもなく、互いの本音と建前が交差する独特の距離感として描かれており、その緊張感がコミカルなやり取りを生み出しています。
恋愛に発展しない徹底したスタンス
トレインは作中を通して、複数の女性キャラクターと関わりを持ちますが、自分の側から恋愛に発展するような行動をとることはありません。
恋愛そのものへの興味が薄いというよりも、関係性の優先順位が明確に「仲間・友人」に向いており、その範囲を超えることへの関心をほとんど示さないという描かれ方をしています。
サヤ=ミナツキとの関係は周囲から恋愛関係と思われていましたが、トレイン自身は「価値観のよく似た親友」と明確に否定しています。
この徹底したスタンスは、トレインが人間関係において信頼と対等さを最優先する性格から来ており、恋愛という非対称な感情の構造そのものとの相性の悪さを示しているとも読み取れます。
後日談『星の残照』でのトレイン
掃除屋を続ける選択の意味
BLACK CATの後日談を描いた小説『星の残照』でも、トレインは主人公として登場します。
物語の視点主としてはスヴェンが多く描かれていますが、トレインが依然として掃除屋を続けている事実そのものが、この作品における最大の答えです。
クロノスという組織に戻ることも、新たな組織に属することも選ばず、スヴェンとイヴと共に自由に生きることを選んだトレインの選択は、BLACK CAT本編を通じて積み上げてきたすべての経験と信条の帰結として機能しています。
『星の残照』では犯罪組織タナトスのボス・デイル=パーカーを追う中で、キョウコとの再会も描かれています。
デイルの右腕であるアムザとの激戦を制し、最終的に「黒十字」を用いて勝利しますが、手柄は警視庁組織犯罪捜査課に持っていかれ、賞金5000万イェンは受け取れなかったという顛末も、本編から一貫したトレインらしい結末です。
キョウコとの再会と約束
『星の残照』のエピローグでは、トレインとキョウコが別れ際に再会を約束する場面が描かれています。
かつて「むやみやたらとブッ殺さない主義」を守ると誓ったキョウコが、その約束を守り続けた上でトレインと再び顔を合わせるこの場面は、BLACK CATという作品が描いてきた「信条を守ること」の価値を静かに示しています。
トレインがキョウコに対して恋愛感情を持つ描写は『星の残照』でも見られませんが、信頼に基づいた再会の約束という形で二人の関係は一つの着地点を迎えています。
まとめ
トレイン=ハートネットというキャラクターは、「過去を背負いながら自由に生きる」というテーマを体現した主人公です。
10歳で両親を失い、仇のもとで育てられ、18歳で裏世界に君臨し、サヤを失い、組織を捨てた——これだけの経歴を持ちながら、物語の現在軸での彼はミルクを飲みながら昼寝をし、借金を増やしてスヴェンに怒られています。
この落差こそが、トレインというキャラクターの核心です。
過去は消えない。しかし過去に縛られて生きることも選ばない。「自分が自分である限り、過去を切り捨てることなんか出来やしない」という持論は、逃げでも諦めでもなく、すべてを引き受けた上でなお前を向くという宣言です。
ハーディスは最終決戦後に完全なオリハルコンではなくなり、電磁銃も封じられました。それでもトレインは掃除屋を続け、仲間と共に生きることを選びます。
BLACK CATという作品が最終的に描いたのは、最強の抹殺者が自由を手に入れる物語ではなく、自由に生きることを選んだ人間が自分の信条を最後まで貫く物語です。
トレイン=ハートネットは、その問いに対する一つの明確な答えとして作品に刻まれています。
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