
人気ファンタジー漫画『七つの大罪』において、主人公メリオダスと共に旅をするマスコット的存在の豚、それがホークです。
「残飯処理騎士団団長」を自称し、メリオダスの作る激マズ料理を処理する姿や、時にツッコミ役として活躍する姿は、読者に愛されてきました。
しかし、この可愛らしい豚には、物語の根幹に関わる大きな謎が隠されていました。
ホークの目に隠された、魔神王や過酷な環境である煉獄との繋がり、そして彼自身の悲しい正体について、物語の重要なネタバレを交えながら深く掘り下げていきます。
この記事を読めば、ホークが単なるマスコットではない、物語に不可欠な存在であることが分かるでしょう。
【七つの大罪】とはどんな作品?
『七つの大罪』は、鈴木央による「週刊少年マガジン」の看板作品として、2012年から連載され、累計発行部数2000万部を突破する大ヒットファンタジー漫画です。
物語は、かつて王国転覆を企てたとされる伝説の騎士団「七つの大罪」が、リオネス王国の第3王女エリザベスと共に再集結し、王国の危機を救うために立ち上がる姿を描いています。
初期の「リオネス王国奪還編」では、七つの大罪のメンバーが揃い、魔神族復活を目論むヘンドリクセンとの戦いが繰り広げられました。
続く「十戒編」では、3000年前の聖戦の真相、メリオダスとエリザベスにかけられた呪い、そして魔神族の精鋭「十戒」との壮絶な戦いが描かれ、物語はクライマックスへと向かいます。
その人気は漫画やアニメに留まらず、フィギュアやゲーム、コラボカフェなど、多岐にわたるグッズ展開がなされており、その熱狂ぶりがうかがえます。
主要キャラクターは、憤怒、嫉妬、強欲、怠惰、色欲、暴食、傲慢といった、人間の欲望をモチーフにした罪を背負っており、それぞれの罪と向き合いながら成長していく姿が描かれます。
ホークは、そんな個性豊かな七つの大罪のメンバーと共に旅をする、唯一無二の存在なのです。
ホークの基本プロフィールと役割
| 本名 | マイルド |
| 年齢 | 16歳 |
| 身長 | 100cm |
| 体重 | 140kg |
| 血液型 | B型 |
| 誕生日 | 8月6日 |
| 出身地 | ホークママの中 |
| 闘級 | 30(魔力0/武力25/気力5) |
ホークは、七つの大罪の冒頭から登場する、人語を理解し話すことができるピンク色の豚です。
豚の平均よりも体格は大きく、お尻のクローバーの痣がチャームポイントとされています。
自称「残飯処理騎士団団長」として、メリオダスが営む移動式酒場「豚の帽子亭」の残飯処理を一手に引き受けます。
性格は、破天荒なメリオダスに対し、ツッコミを入れることが多く、根拠のない自信に満ちあふれていますが、基本的に気のいい人物です。
メリオダスとは、七つの大罪が指名手配された直後、彼が記憶を失っていた穴蔵の中で出会い、それ以来、ホークママと共に旅をしています。
バンからは「師匠」と呼ばれて慕われるなど、七つの大罪のメンバーにとって欠かせない存在となっています。
ホークの持つ魔力「変身(トランスポーク)」
ホークは、物語の途中でドルイドの試練を受けたことで魔力が開花し、戦闘で活躍する場面が増えていきます。
その魔力は「変身(トランスポーク)」と呼ばれ、魔力を持つ生物を食べることで、相手の特徴をトレースし、その能力や特性を排便するまで使用できるというユニークな能力です。
食べた生物によってホーク自身の闘級も変化するため、強い生物を食べるほど、ホークも強くなります。
これまでにホークが変身した姿と闘級は以下の通りです。
【暴龍ver.】:闘級610。ドラゴンのような姿に変身し、鼻から炎を吐くことができます。耳が肥大化し、翼の代わりに一瞬だけ浮かび上がることができます。
【サンドクローラーver.】:闘級190。足がなくなり、胸ビレと尾ビレを持つ魚のような姿に変身し、地面の中を自由に移動できます。
【赤色魔神ver.】:闘級1030。身体が赤く変化し、頭頂部に魔神の角が生えます。人間の言葉は話せなくなりますが、感情や知性は残ったままです。この姿で「残飯息吹(ざんぱんブレス)」という強烈な悪臭を放つブレス攻撃を繰り出し、十戒のフラウドリンをたじろがせるほどの威力を発揮しました。
また、彼はマーリンから譲り受けた「バロールの魔眼」を左耳に付けており、これにより相手の闘級を測ることもできるようになりました。
魔神族の長「魔神王」とはどんな人物か
ホークの正体と深く関わってくるのが、魔神族の長である魔神王です。
物語の重要人物でありながら、長らくその全貌は謎に包まれていました。
彼は3000年前の聖戦で、女神族を束ねる最高神と共に、ブリタニアに存在する全種族を巻き込んだ壮絶な戦いを繰り広げた人物です。
魔神王の強大さは、作中最強と言われる最高神と力が拮抗していることからも明らかであり、その圧倒的な魔力は想像を絶します。
彼にはメリオダス、ゼルドリス、エスタロッサ(マエル)の3人の息子がいます。
メリオダスとエリザベスに呪いをかけた張本人でもあり、物語の全ての元凶と言える存在です。
読者の間では、その威圧的な容姿と圧倒的な強さから、カリスマ的な存在として畏怖されています。
魔神王と最高神、作中最強の二大神
『七つの大罪』の世界には、魔神族を統べる魔神王と、女神族を統べる最高神という、二柱の神が存在します。
彼らは世界のバランスを司る存在であり、その力は文字通り作中最強です。
3000年前の聖戦は、この二大神がそれぞれの種族を率いて戦ったものであり、ブリタニア全土を巻き込む大災厄となりました。
魔神王が闇の力を象徴するのに対し、最高神は光の力を象徴しており、両者の力は互いに拮抗しています。
この二大神が、自分たちの意思に背いたメリオダスとエリザベスに対し、残酷な呪いをかけたことが、物語の全ての始まりでした。
彼らの存在は、物語のスケールを大きく引き上げており、単なる騎士の物語ではない、神話的な要素を深く与えています。
メリオダスとエリザベスにかけられた呪い
魔神王と最高神は、種族を超えて愛し合ったメリオダスとエリザベスに対し、それぞれ恐ろしい呪いをかけました。
魔神王がメリオダスにかけたのは「永遠の生」という呪いです。
彼は年を取ることもなく、たとえ死んでも煉獄から蘇り、愛するエリザベスの死を何度も何度も目の当たりにするという、永遠の苦痛を強いられました。
一方、最高神がエリザベスにかけたのは「永劫の輪廻」という呪いです。
彼女は人間として短い生を繰り返し、転生する度に前世の記憶を全て失います。
そして、メリオダスと出会い、前世の全ての記憶を思い出してしまったら、どのような力が働こうとも必ず三日後に死んでしまうという、残酷な運命を背負わされました。
この二つの呪いは、メリオダスを「生き続ける者」、エリザベスを「死に続ける者」という対極の存在とし、3000年間にわたって、彼らを苦しめ続けたのです。
ホークの正体は、このメリオダスにかけられた呪いと深く関わってきます。
最強の人物が囚われる「煉獄」とはどんな場所なのか
現在、魔神王は「煉獄」という場所に囚われています。
煉獄は、七つの大罪の作中において、最も過酷で恐ろしい環境として描かれています。
賢者の都ベリアルインの長であったマーリンの父の言葉によれば、煉獄は「灼熱と極寒が入り混じる大気と猛毒の大地」であり、生ける者の肉体を破壊し、死せる者の魂を蝕む場所です。
特に恐ろしいのは、その歪んだ時空です。
煉獄での一分の時の流れは、人間界での一年にも相当し、滞在するだけで肉体と魂は急速に疲弊していきます。
煉獄には、魂を砕かれた亡者や、獲物を求め跋扈する化物(煉獄の生物)のみが生息しており、作中では、煉獄に足を踏み入れて無事に戻って来られた者はいないとされていました。
ホークの正体が明らかになる前は、この過酷な煉獄と、可愛らしいマスコットのホークの間に関係性があるとは、誰も予想できませんでした。
煉獄とつながるホークの「目」の秘密
物語の重要な局面で、七つの大罪のメンバーはホークの目に隠された秘密を知ることになります。
メリオダスが魔神王になることを選び、仲間の元を去った直後のことです。
マーリンがホークの顔を覗き込み、彼の瞳の中を解析すると、ある驚愕の事実に気づきます。
「ホーク殿そなた…煉獄と繋がっているな…」
なんと、ホークの目を通して、煉獄からの謎の声が聞こえたのです。
この声の正体こそが、煉獄に囚われている魔神王でした。
この事実により、ホークが単なる豚ではないこと、そして彼の目が煉獄とブリタニアの世界を繋ぐ「回廊」のような役割を果たしていたことが判明しました。
ホークの正体は「魔神王の目」だった
ホークの目が煉獄と繋がっていることが判明したことで、彼の正体は「魔神王の目」として利用されていたことが明らかになります。
メリオダスが魔神王になるために仲間を去る際、ホークに対して放った言葉がその決定的な証拠でした。
「オレたちが苦しむ様を盗み見てさぞ楽しかっただろう…魔神王…」
煉獄に囚われ、外の世界の情報を自ら得ることができない魔神王は、ホークの目を通じてメリオダスやその仲間たちの動向を常に監視していたのです。
魔神王がホークを選んだ理由は、煉獄の生物であるホークが、ブリタニアの生物にはない異常な耐久力を持っているためでした。
メリオダスを監視するために、これまでにも多くの生物を監視役として送り込みましたが、些細なことで死んでしまい、ホークだけが生き残ったのです。
この真実は、読者にとっても大きな衝撃であり、愛すべきマスコットが実は恐ろしい魔神王の監視役だったという、物語の持つ深さと残酷さを象徴する瞬間でした。
しかし、ホーク自身には、魔神王の目としての自覚は一切なく、彼が裏切り者でないことは、バンを心配する言動からも明らかです。
ホークとメリオダスのかつての相棒「ワンドル」との関係性
ホークの正体を探る上で、かつてメリオダスの相棒だった鳥「ワンドル」の存在も重要です。
ワンドルもホークと同様に人語を話すことができましたが、16年前のダナフォール滅亡の際に命を落としています。
ホークの年齢が16歳であること、そしてホークが「昔は空を飛んでいた記憶もある」と話していたことから、「ホーク=ワンドルの生まれ変わり」という考察が長らくファンの間で有力でした。
さらに、ホークの口の悪さや、ワンドルの胸とホークのお尻にあるマークが似ていることも、この説を裏付けていました。
物語の真相では、ホークは煉獄の生物であることが判明しましたが、ワンドルの死からホークの誕生までの期間がぴったり16年であるという事実は、偶然と呼ぶには出来過ぎています。
読者の間では、ワンドルが魔神王に呪いをかけられ、豚の姿として煉獄の生物マイルドに転生させられたのではないか、という見方もされていました。
ホークの真の正体と本名
ホークの正体は、人間界の生物ではなく、魔神王によってメリオダスの監視役として連れてこられた煉獄の生物であることが判明しました。
彼の真の本名は「マイルド」で、煉獄で生まれた在来種の一種です。
彼は生まれてすぐに魔神王に攫われ、現世に送り込まれたため、自身が煉獄の生物であるという自覚や、煉獄での記憶を一切持っていませんでした。
この事実は、ホークのプロフィールに記載されていた「出身地:ホークママの中」という謎の記述にも繋がってきます。
ホークママ自身も、十戒の攻撃を飲み込むほどの謎の存在であり、その正体は物語で明かされることはありませんでしたが、ホークママは単なる豚ではなく、ホークの持つ煉獄の特質を隠すための器だったという考察がなされています。
誰もが知る豚の姿をしながら、実は過酷な煉獄で生まれたマイルドであったというギャップが、ホークの物語に深い意味を与えています。
煉獄での兄弟ワイルドとの再会
ホークの正体が明らかになった後、メリオダスの感情を取り戻すためにバンがホークの目を通して煉獄へと向かいます。
バンはそこで、ホークの兄であるワイルドと遭遇しました。
ワイルドはホークと同じく煉獄の生物で、煉獄に囚われたメリオダスの感情を取り戻そうとするバンとメリオダスに協力します。
実はワイルドは、16年前に魔神王に攫われた弟マイルド(ホーク)を探し、魔神王に挑み続けていました。
その戦績は「12万118戦12万118敗」という絶望的なものでしたが、彼は弟を思う強い心で戦い続けていました。
ワイルドは魔神王との戦いで既に身体がボロボロになっており、現世の時間でメリオダスとバンを戻すために、己の生命力を爆発させる「野生大解放」を使い命を落としてしまいます。
全ての戦いが終わった後、ホークはマーリンに頼み、煉獄へ向かい、兄ワイルドの墓を作ろうとします。
そこでホークが見たのは、死んだはずのワイルドでした。
ホークがワイルドと初めて兄弟としての再会を果たした時、ワイルドは「もってあと100万年…」と自分の寿命を告げました。
現世の時間の流れで生きてきたホークは「丈夫!!!!」と驚きますが、時の流れが早い煉獄での100万年は、人間界の基準からすれば十分長い寿命だったのです。
この再会は、ホークが持つ煉獄の生物としての特質と、彼の持つ愛すべき優しさが交差する、感動的な場面となりました。
まとめ
『七つの大罪』の愛すべきマスコット、ホークの正体は、煉獄の生物「マイルド」であり、魔神王に利用されていたという衝撃的な真実が明らかになりました。
彼の目はメリオダスを監視するための回廊という悲しい役割を担っていましたが、結果的にはバンが煉獄へ行き、メリオダスの感情を取り戻すための唯一の道となりました。
彼の持つ異常な耐久力と、種族を超えた絆は、物語の重要なターニングポイントを生み出しました。
ホークの物語は、単なるギャグパートだけでなく、3000年の聖戦、魔神王の企み、そして煉獄という世界の構造にまで深く関わる、非常に重要な要素だったのです。
彼の正体と、兄ワイルドとの感動的な再会を知ることで、『七つの大罪』の物語をより深く、そして多角的に楽しむことができるでしょう。



コメント