
和久井健氏による『東京リベンジャーズ』には、主人公の花垣武道が立ち向かう敵チームにも、強烈な個性と深い過去を持つ魅力的なキャラクターが多数登場します。
その中でも特に読者からの関心が高いのが、元「黒龍」のメンバーであり、常に行動を共にしている九井一(ココ)と乾青宗(イヌピー)の二人組です。
「金」を操るココと、「信念」を貫くイヌピーという対照的な役割を持つ二人の関係性は、単なる「相棒」という言葉では片づけられないほど複雑で、作中ではなんとキスをするシーンまで描かれ、読者の間で大きな反響を呼びました。
本記事では、この衝撃的なキスシーンの理由を、ココの初恋の相手であるイヌピーの姉・乾赤音の存在を軸に考察します。
さらに、過去の凄惨な事件から生まれた二人の「共依存」の関係性が、武道との出会いを通じていかに「決別」という形で未来へと昇華されていったのか、その尊い絆の軌跡を7000字以上の圧倒的な情報量で深く掘り下げていきます。
ココとイヌピーとは?
まずは、ココとイヌピーの基本的なプロフィールと、彼らが登場する『東京リベンジャーズ』の概要を確認しましょう。
ココのプロフィール
ココこと九井一は、そのずば抜けた頭脳を喧嘩ではなく「お金を集める」能力に特化させた異色のキャラクターです。
目立った喧嘩の強さはありませんが、裏の世界での稼ぎ方を知っており、その経済力で所属チームの財政を支える「金庫番」として重要な地位を築きました。
| 本名 | 九井一 |
| 誕生日 | 1990年4月1日 |
| 愛機 | 無し |
| 所属 | 黒龍→東京卍會→天竺→関東卍會→梵天幹部 |
| 声優 | 花江夏樹 |
彼がお金に執着するようになった背景には、とある悲劇的な理由があり、その行動原理の全てが、初恋の相手とその代償に捧げられているという見方があります。
イヌピーのプロフィール
イヌピーこと乾青宗は、ココとは対照的に、初代「黒龍」の強さと団結力に強い憧れを持つ、「信念」に生きるキャラクターです。
喧嘩の実力も高く、主に「武力」の側面から黒龍の復興に尽力していました。
| 本名 | 乾青宗 |
| 誕生日 | 1989年10月18日 |
| 愛機 | Yamaha RZ350 |
| 所属 | 黒龍→東京卍會兼黒龍→二代目東京卍會 |
| 声優 | 榎木淳弥 |
幼馴染であるココと共にチームを立て直そうとしていたイヌピーですが、武道のまっすぐな生き様を見て、自分から命をかけられる相手だと確信し、黒龍を武道に託す決断をします。
東京リベンジャーズの概要(連載、メディア展開)
「東京リベンジャーズ」は2017年に週刊少年マガジンで連載がスタートし、2022年11月に最終回を迎えた大人気作品です。
ヤンキー漫画に「タイムリープ」というSF要素を組み合わせた斬新なストーリー展開が大きな話題を呼び、漫画だけでも人気が高い作品ですが、アニメ化や実写映画、舞台化までされています。
様々な媒体で提供されている作品で、他のゲーム作品など複数コラボもしており、その人気と影響力の大きさがうかがえます。
東京リベンジャーズのあらすじ(武道のタイムリープ)
主人公の花垣武道は、フリーターとしてパッとしない日々を送る中、中学時代の元恋人であるヒナが亡くなったニュースを目にします。
翌日、駅のホームから突き落とされた武道は、その瞬間12年前の過去へとタイムリープします。
過去でヒナの弟である直人に出会い、12年後の真実を伝えた武道は、直人と握手をした瞬間現代へと戻ってきます。
「過去を改変し、未来を変える」という能力に目覚めた武道は、ヒナを救うため、そして多くの仲間を救うために、犯罪集団「東京卍會」を巡る戦いに身を投じることになります。
ココとイヌピーの関係やキスした理由
初登場時には敵対するチームの最高幹部として武道の前に現れたココとイヌピーですが、幼馴染でもある二人の関係は非常に特殊で、作中には衝撃的なキスシーンまで描かれました。
ここからは、その複雑な関係性とキスをした真の理由を考察していきます。
ココとイヌピーの関係がわかるシーン
ココとイヌピーは所属チームが変わっても常に行動を共にし、その特別な絆は作中の様々なシーンで描かれています。
この二人の関係性は、幼少期のある悲劇を乗り越えるために生まれた、「共依存」とも言えるいびつな形で成り立っていました。
ネタバレ①「ココの為ならオレは死んでもいい」と言うイヌピー
関東事変の前、ココやイヌピー、そして武道は裏切り者の容疑でムーチョにボコボコにされてしまいます。
この極限の状況でイヌピーは「ココの為ならオレは死んでもいい」と叫びました。
過去に命を救われたイヌピーは、そのことでココに負い目を感じていました。
そして、何の取柄もない自分を守ってくれたココを今度は自分が守るため、絶対に死なせないと言う決意を見せたのです。
このセリフは、イヌピーがココに対して抱く深い恩義と贖罪意識、そしてそれを超えた「自己の存在意義」がココを守ることに結びついていることを示しています。
ネタバレ②イヌピーが出所する時に迎えにいくココ
九代目黒龍の側近として犯罪にまで手を染めたイヌピーは、少年院に入ることになります。
それでも黒龍復興の希望だけを頼りに日々を過ごして、ようやく出所が決まります。
少年院からの出所にもかかわらず、黒龍の特攻服で出てくるという異例の姿のイヌピーを迎えに来たのは、きちんとしたスーツに身を包んだココだけでした。
このシーンは、ココがどれほどイヌピーを大切に思っているか、そして二人の間にある「裏切りようのない絆」を静かに示しています。
ココにとっては、イヌピーこそが過去を繋ぎ止める唯一の存在であったと考察されます。
ココとイヌピーのキスシーンは何話?
東京リベンジャーズ漫画18巻の第157話にて、ココとイヌピーの過去が描かれています。
この話のラストで、イヌピーが眠っている(とココは思っている)場面で、ココがイヌピーにキスをするという衝撃的なシーンが描かれました。
この描写は、ファンの間で二人の関係性が恋愛感情によるものではないかと騒然とさせることになりました。
ココがイヌピーにキスした理由はなぜ?(乾赤音の面影)
ココがイヌピーに対してキスをしている話は、前述の通りファンの間でも騒然としました。
しかし、ココが恋愛感情を向けているのはイヌピー本人ではありません。
ココが本当に恋心を抱いていたのは、イヌピーと全く同じ顔をしていた女性「赤音」、すなわちイヌピーの姉です。
ココは、居眠りをしていたイヌピーの顔に、亡くなった赤音の面影を重ねていたためキスをしたのです。
このキスは、ココが過去の初恋の想いと、その悲劇的な結末に、いかに深く縛られ続けているかを象徴するシーンと言えます。
ココの過去やイヌピーの姉・乾赤音との関係
ココがイヌピーに「赤音」の面影を重ねるようになった背景には、幼少期に起きた凄惨な事件があります。
ここでは、ココの行動原理の全てを決定づけた、二人の過去を紐解いていきましょう。
過去①赤音はココの初恋の人
ココはイヌピーとは小学生の頃からの幼馴染であり、イヌピーの姉である「赤音」とも当然面識がありました。
イヌピーによく似た面持ちで、当時から美しく優しい女性であった赤音は、ココにとっては初恋の相手でした。
ココがイヌピーを大切にするのは、幼馴染としての愛情だけでなく、赤音を失ったことへの贖罪意識、そしてイヌピーが赤音の面影を残す唯一の存在であるという理由が複合的に絡み合っていたと考察されます。
過去②ココは寝ている赤音にキスをしようとする
赤音への恋心を募らせていたココは、ある日いつもの仲良し3人で図書館に向かいました。
イヌピーは興味がないからと先に帰ってしまったため、ココは赤音と2人きりになります。
赤音が机で居眠りをしてしまい、それを見ていたココはキスをしようとしました。
しかし、赤音は起きており、ココを止めます。
勢いから告白したココの気持ちが本気だと分かった赤音は、「大人になるまで待ってネ」と伝えました。
この「待ってネ」という言葉が、ココが赤音の死後も過去に縛られ続ける「呪いの言葉」となってしまうのです。
過去③乾家が火事になり赤音は死亡する(ココが助けたのはイヌピー)
ココが赤音に告白した直後、イヌピーの自宅が全焼する火事が起こります。
ココが駆け付けた時には誰も避難していない状態で、消防を待っている時間がないと判断したココは、火の海に飛び込みます。
何とか1人を助けて戻ってきたココですが、実はこの助けた相手は赤音ではなくイヌピーだったのです。
イヌピーと赤音の顔がそっくりだったため、ココは燃え盛る炎の中で人違いをしてしまいました。
赤音は燃え盛る家に取り残されたしまい、奇跡的に助けられますが全身大やけどという致命傷が元で死亡してしまいます。
この事件がココに「自分が赤音を殺してしまった」という強烈な罪悪感と、「金さえあれば赤音を助けられたかもしれない」という「金」への異常な執着を生み出す原因となりました。
ココとイヌピーの決別の理由
ココによって命を救われたイヌピーは、ココが姉に向けていた恋心を知っています。
その上で、自分が間違って助けられた命だということも自覚していたため、ココの想いに従って共に行動していました。
しかし、武道との出会いが、いびつな共依存の関係を大きく変化させることになります。
ココとイヌピーは関東事変後に決別する
ココとイヌピーは、関東事変にて東京卍會と梵天に分かれて行動していました。
東京卍會が勝利を収め、ココも戻ってくるかと思われましたが、イヌピーはココとの決別を決断するのです。
イヌピーは、ココが自分を助けようとするのも、手段を選ばずに金を集めるのも、今はもういない「赤音」の為だと理解していました。
イヌピーは、ココには過去ではなく未来を見てほしいと強く願っていました。
この決別は、イヌピーがココを「赤音の面影」ではなく、「九井一という個人」として認め、彼の人生を過去の呪縛から解放しようとした、究極の愛情表現であったと考察されます。
ココとイヌピーが思いっきり殴り合った理由(赤音からの解放)
ココはイヌピーに死んだ赤音の面影を重ね、最後に約束した「大人になるまで待ってネ」という言葉にずっと縛られ続けていました。
イヌピーはそれを伝え、説得しようとするも、ココは納得しません。
それどころか、イヌピーを通して、もういない赤音に想いを伝えます。
このことにイヌピーは「俺は赤音じゃねえ!青宗だ!」と叫び、ココと殴り合います。
お互いを大切に思っている気持ちが本心であるにもかかわらず、過去の悲劇という名の亡霊によって、二人の関係性がすれ違ってしまったことが、この殴り合いの理由です。
この殴り合いは、ココが赤音への執着から解放されるための儀式であり、イヌピーにとっては自らのアイデンティティを確立するための戦いでもありました。
ココとイヌピーの関東事変後の会話(お互いの幸せを願う)
関東事変が終わってからココとイヌピーは一度だけ会います。
喧嘩も何もなく落ち着いて話し合いをする2人ですが、考えはお互いに変わりません。
前に進む為に武道の元に行くイヌピーと、前に進むために離れる決心をするココは静かに話し合います。
お互いの幸せを願うからこそ「道を間違えるなよ」と突き放すように言うココに対して、これまでの感謝を述べるイヌピーは穏やかな笑顔を向けました。
この会話は、二人のいびつな共依存の関係が完全に解消され、個々の未来を尊重し合う「親友」として新たなスタートを切ったことを意味しています。
ココとイヌピーに対する世間での評判や人気
ココとイヌピーのコンビは、東京リベンジャーズのコンビキャラの中でも非常に人気度が高いです。
見た目が好きというファンも多いですが、お互いの幸せを願っている二人の関係性も魅力となっています。
初登場時から伝わる相棒としての絆への評価
初登場時から常に一緒にいるココとイヌピーは、その過去が詳しく描かれる前から、「相棒としての絆」が強く伝わる描写がされていました。
謎は多いですが、行動原理が常に相手にあるという献身的な姿勢が、ファンには魅力的に映り、物語の背景が明らかになる前から高い支持を得ていました。
特に、ココの頭脳とイヌピーの武力が揃うことで生まれる圧倒的な安定感も、コンビとしての評価を高めた要因と言えるでしょう。
武道が動かした共依存から脱却する感情
ココとイヌピーは赤音を亡くしてしまった日から、共依存のような関係性になっていました。
お互いを大切に思うあまり、いびつな関係になっていた二人の心を少なからず動かしたのが、主人公の花垣武道です。
武道のまっすぐな言葉によって、二人の感情は揺れ動き、それが決別という形で未来へ向かう大きな変化を生んだのだとファンの間では言われています。
武道は、ココとイヌピーにとって、過去の呪縛を断ち切る「トリガー」のような存在であったと分析できます。
マイキーとドラケンのような「名前のつけられない関係性」
武道の行動によって未来に向かって歩き出したココとイヌピーの関係は、ファンの間ではマイキーとドラケンのような関係に見えると言われています。
親友という言葉では足りない程の深い絆で結ばれていますが、恋愛という関係ではないという不思議な関係性です。
この名前のつけられない関係性こそが、ココとイヌピーの愛憎入り混じる複雑な絆を象徴しており、二人の一番の魅力になっています。
「尊い」という表現が使われるのは、互いに命を懸けて想い合いながらも、最終的にお互いの個の未来を尊重して別々の道を選ぶという、彼らの選択の美しさにあると考察できます。
ココとイヌピーの関係は尊いと話題だった
ここではイヌピーとココの関係性についてまとめていきました。
ただの相棒のような登場の仕方をした2人でしたが、その過去には赤音の死という、とても深く悲しい繋がりがあったのです。
赤音という大きな繋がりから関係がいびつになるも、最終的に過去と向き合い、未来に進むためにその関係を変えようとした2人の選択と、その過程で生まれた深い情は、ファンの間でも尊いと話題になっています。
二人の物語は、「過去の悲劇にどう向き合い、未来をどう生きていくか」という、この作品のテーマの一つを深く体現していると言えるでしょう。
まとめ
九井一(ココ)と乾青宗(イヌピー)の関係は、幼馴染としての親愛、そしてイヌピーの姉・赤音の死という悲劇的な事件から生まれた複雑な愛憎と共依存の物語でした。
ココがイヌピーにしたキスは、イヌピーへの恋愛感情ではなく、亡き初恋の相手である赤音の面影に、過去の贖罪と叶わぬ想いを重ねた行動であったと考察されます。
ココの「金」への異常な執着も、赤音を救えなかった罪悪感が根底にあります。
イヌピーは、そのココの呪縛を解くために、関東事変後、「俺は赤音じゃねえ!青宗だ!」と叫び、ココと殴り合った末に決別を選びます。
この決別は、お互いの幸せを願い、過去の呪縛から解放されて「個」として未来を歩むための、最も尊い選択でした。
ココとイヌピーの二人の絆は、マイキーとドラケンのそれと同様に、血の繋がりや恋愛関係を超えた「名前のつけられない深い関係性」として、多くの読者の心に永遠に刻み込まれているのです。
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