近未来サバイバルの金字塔「7SEEDS」。田村由美先生による壮大なSF少女漫画で、地球の大規模災害によって人類を滅亡から救うために選ばれた若者たちのサバイバルストーリーです。
少女マンガ特有の繊細な絵柄に、一見古臭さを感じてしまうかもしれません。しかし、その絵からは想像できないほどの壮大なスケールと、ハードなサバイバルドラマが展開されています。
主人公のナツたちが直面するのは、隕石衝突によって文明が崩壊した後の世界。仲間との絆、食料や水といった生存のための戦い、そして再生への希望。少女マンガの枠を超えた、圧倒的なストーリーが読者を魅了します。
あらすじ
ある日、自分の好きなものばかり並んでいた食卓、「学校なんてなくなればいい」と思いながら日々寝ていたというナツ、いつものように眠りにつき目覚めるとそこには学校はなく、突然嵐のなかに放り込まれて物語はスタートします。
嵐の中、命からがら上陸した不思議な島で、ある日突然、4人のサバイバルが始まります。
寝ていたら突然遭難したはずの彼らでしたが一通り必要なものがそれぞれリュックに詰められています。しかし時計と携帯電話と財布がないことに気付きます。
それもそのはず、彼らが目覚めた場所は携帯や財布は必要のない場所だったんです。
大量の白いゴキブリや獣食植物など日本ではお目にかかれないような生き物が次々とナツ達を襲います。そんななか一人、年の離れた牡丹に違和感を感じ始めるのでした。
7人が揃った時、牡丹から事の全容がナツ達に伝えられます。地球に巨大隕石が衝突し、恐竜を絶滅させたような「衝突の冬」が来ると予測されました。
この災害を乗り切るための最終プロジェクトが作品のタイトルにもなっている『7SEEDS(セブンシーズ)プロジェクト』だったのです。
若くて優れた遺伝子、数百という条件で選ばれ、それでも選びきれなかったため名前で選ばれたそうです。日本では7人ずつ5つのチーム(春夏秋冬+夏B)が組まれました。
面白いのが優秀な遺伝子を選んだはずのプロジェクトだったんですが、最初に出てくるキャラたちはどうみても乱暴者だったり臆病者だったりとこのプロジェクトには向いていないと感じていたんですが、実は夏のBチームだけは「落ちこぼれ集団」だったんです。
サバイバルの舞台となった島は、どこか海外の孤島だと思いましたが意外にも長崎の近海でした。推測の範囲ですが、直径数十キロの隕石が海に落下して海面が上昇していました。
舞台が、全く未知の世界でもなく、起きたら魔法が使えるようになってるわけでもなく、普通に暮らしていたはずの日本がどれぐらい未来かもわからない時代へ突然飛ばされるというシュチュエ―ションは近い将来起きるかもしれません。
舞台が日本だったことが他人ごとではないと親近感を覚えます。
まとめ
息もつかせぬハラハラドキドキの展開と、登場人物たちの魅力、育ってきた環境の全く異なる人間たちの、それぞれの葛藤や成長。
それぞれが壁を乗り越えていく過程は私たちの現実世界でも当てはまるものだと思います。
今作は「この人が主人公だ!」という感じがしなくて話ごとチームごとにスポットが当たりそれぞれが主人公で時には仲間との悲しい別れもあります。
7SEEDSでの目的はほかの漫画のように巨大な敵を倒すでもなく大秘宝を求め旅するでもない
ただこの世界で「生きる」ということ、一時の楽しみで終わらない、読み終わった時、心に救いを、そして現実を生きる力を与えてくれる作品です。
登場人物一覧
夏のチームB
石清水ナツ
主人公の1人です。当初は内向的で自分の殻にこもってしまう性格でしたが、過酷なサバイバル生活の中で様々な経験を積み、徐々にたくましく成長していく姿が印象的なキャラクターです。
青田嵐
夏のBチームのメンバーで、主人公の1人です。水泳部のエースとして活躍していた少年でしたが、7SEEDSプロジェクトに参加し、過酷なサバイバル生活の中でリーダーとしてチームを支えていきます。
麻井蝉丸(18)
夏のBチームのメンバーです。元不良少年で、口が悪く喧嘩っ早い性格ですが、根は優しく仲間思いな一面も持ち合わせています。サバイバル生活の中で、徐々に仲間との絆を深め、たくましい戦士へと成長していく姿が印象的なキャラクターです。
天童まつり(16)
夏のBチームのメンバーです。天真爛漫で明るい性格の持ち主で、チームのムードメーカーとして活躍しています。持ち前の明るさで、周囲の人々を元気づける存在です。
守宮ちまき(19)
夏のBチームのメンバーです。美術大学に通うマイペースな性格の青年ですが、彫刻家としての才能は非常に高く、サバイバル生活の中でもその実力を発揮します。
草刈蛍(12)
天気を百発百中で当てることができる少女。優れた観察力と植物に関する知識を持っています。サバイバル生活では、この能力を活かして、食料や薬草などを探し出す活躍を見せました。
百舌戸要
7SEEDSプロジェクトの発案者であり、プロジェクトの責任者である総理大臣の甥です。彼の家系は当時の首相の家系であり、幼少時に誘拐されて山中に置き去りにされ、2週間の遭難を経験しました。
この経験から、未来では0から生活を成立させる力が必要だと信じ、夏のAチームの選抜プログラムを組んだのです。
彼はサバイバル技術に優れており、年齢不詳のキャラクターとして描かれています。
早乙女牡丹【ガイド】
夏のBチームのメンバーで、元警察官という経歴を持つ女性キャラクターです。厳しいサバイバル生活の中でも、冷静沈着な判断力と高い戦闘能力でチームを支え、仲間からは「牡丹姐さん」と呼ばれ慕われています。
春のチーム
末黒野花(すえぐろのはな)(17)
美しい目とふわふわの髪を持つ美少女で、男勝りな性格で知られています。
彼女は幼少期からサバイバル技術を学び、その知識を活かしてチームメンバーを救ってきました。
父親は「7SEEDS」プロジェクトの責任者であり、彼女の過去には秘密が隠されています。
また、彼女の彼氏である青田嵐との関係も物語に影響を与えています。
新草ひばり
春のチームの一員で、12歳の少女です。
彼女は解凍に失敗したため、他の春のチームのメンバーと同時期には目覚めず眠り続けていました。
しかし、海を漂っているところを嵐らに救出され、物語が始まります。
彼女は平安時代から続く新草本家の跡取り娘であり、覚醒後は高飛車な態度で嵐たちをあしらっていました。
遠縁である夏のBチームの草刈螢に対しては、一方的に劣等感を抱いています。
野火桃太郎(のびももたろう)(12)
12歳の少年で、春のチームに組み込まれています。彼は神童と呼ばれ、博識な少年として描かれ特に記憶力が高いことから選抜された一人です。
甘茶藤子
春のチームに配属された17歳で、医者を志望しています。
茨城県出身で、過去にボランティアで海外協力に行った経験があります。
非常にクールな印象の強い女性クルーで、花のよき親友としても知られています。
春チームがバラバラになった際には一度行方不明になりましたが、無事に合流できました。
鯛綱ちさ
春のチームに所属している18歳の少女です。石川県金沢市出身で、名家・鯛綱家に生まれた政治家の家系です。彼女は控えめな性格でありながら、頼れる存在として描かれています。
角又万作
18歳で、寺に生まれた四男坊であり、関西出身です。冷静沈着で和風の肉体派で、感情を漢詩で表すなど風情も持ち合わせています。
また、弓道二段の腕前を持っています。クールで達観した様子があり、その冷静さは若さからは想像できないほどです。
雪間ハル
音楽家一家に生まれ、ピアノが得意で絶対音感を持っています。当初は音楽家の道が閉ざされたことで自棄になっていましたが、花に音楽への想いを再確認させられ、各地で音楽を奏でることに活路を見出すようになりました。
また、犬好きな一面もあります。後に夏Aチームの小瑠璃と出会い、お互いに惹かれ合っていく関係となります。
柳踏青【ガイド】
春のチームのガイドであり、元自衛隊員です。
彼の外見はボサボサのヘアーとヒゲ顔を持つ男性で、冷静かつ豪胆な性格をしています。
リーダーシップが高く、時折傲慢な態度を取ることもありますが、チームへの責任意識は強いです。
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