あなたは『デスノート』に登場する死神たちの中で、最も人間らしい死神は誰だと思いますか? 退屈を紛らわせるリューク、食いしん坊なシドウ…様々な死神が登場する中で、ひときわ異彩を放っていたのが、弥海砂に寄り添う死神、レムです。
名前を書かれた人間が死んでしまう恐ろしいノート「デスノート」を巡る、夜神月とLの壮絶な頭脳戦。その物語に深く関わってくるレムは、単なる死神の枠を超え、ある特別な感情を持っていました。
今回は、謎に包まれた死神界から人間界に降り立ったレムにスポットを当てます! 彼女の過去、デスノートのルールに精通した実力、ミサとの特別な絆、心に残る名言、そしてそれぞれのメディアで描かれた壮絶な最期まで、じっくりと深掘り。
さらに、レム以外に登場する個性豊かな死神たちや、レムに命を吹き込んだ声優・キャストもご紹介します!
死神レムとは? 基本プロフィールと「愛情」を知る性格
死神レムは、主人公の夜神月についている死神リュークとは異なるタイプの死神です。リュークが人間界のものを面白がる傍観者なのに対し、レムは特定の人間、弥海砂に強い感情を抱いていました。
レムのプロフィールを見てみましょう。
・性別:メス
・好きなもの:愛情
・嫌いなもの:夜神月
見た目は色白で骨ばった、やや威圧感のある姿をしていますが、プロフィールにある「好きなもの:愛情」という点が、他の死神とは大きく異なります。
死神は通常、人間の寿命を奪い、自分の寿命に換えて生きる存在であり、人間への干渉は最小限に留めるのが掟です。しかし、レムは人間の愛情を理解し、自らも愛情を求めるような、死神らしからぬ一面を持っています。
リュークからは「スカスカしたメスの死神」なんて言われていましたが、その内面は非常にまじめで愛情深く、かつ冷酷さも持ち合わせています。
特に弥海砂に対しては、親が子を見守るような深い愛情を注いでおり、彼女の幸せを誰よりも願っていました。
この「人間味」ともいえる愛情深さが、レムという死神の最も大きな特徴であり、物語に深く関わっていく原動力となります。
レムがなぜこれほどまでに人間、特にミサに愛情を注いだのか、その過去を掘り下げてみましょう。
レムと弥海砂、その特別な絆の始まり
レムが弥海砂に特別な感情を抱くようになった背景には、もう一体の死神、ジェラスの存在がありました。
友ジェラスの死が結んだ絆
レムは人間界に降りてくる前、死神界で友人であるジェラスと共にいました。ジェラスは、人間のアイドルである弥海砂に恋をしてしまい、彼女の寿命が尽きる運命を変えるために、デスノートを使ってミサを殺そうとしたストーカーを殺害しました。
しかし、これは「人間に好意を持ち、その人間の寿命を延ばすためにデスノートを使うと死ぬ」という死神界最大の禁忌を犯す行為でした。結果、ジェラスは灰となって消滅してしまいます。
レムは、ジェラスがミサに注いだ深い愛情と、そのために消滅した壮絶な最期を目の当たりにしました。ジェラスの遺品となったデスノートを手に取ったレムは、ジェラスのミサへの想いを引き継ぎ、そのノートをミサに渡すために人間界に降り立ったのです。
レムがミサに注いだ親心のような「愛情」
人間界でミサと行動を共にするようになったレムは、ミサが持つ天真爛漫さの裏に、強盗によって家族を失った悲惨な過去があることを知っています。
ジェラスと共に過去からミサを見守ってきた経験も相まって、レムはミサに対して単なる死神と人間という関係を超えた、まるで親が子を見守るような深い愛情を抱くようになります。
この愛情は非常に強く、ミサに危害が及ぶ可能性があれば、相手が誰であろうと容赦なく排除しようとします。
特に、自身の目的のためにミサを利用しようとする夜神月に対しては、強い嫌悪感と警戒心を隠しませんでした。レムにとって、ミサの幸せが何よりも優先されるべきことだったのです。
心に響く、あるいは死神らしからぬレムの名言
レムは、ミサへの愛情や人間に対する複雑な感情から、多くの印象的な言葉を残しています。死神レムの思想や心情が垣間見える名言をご紹介します。
ジェラスの恋を理解した言葉
ジェラスがミサを見つめる様子を見て、レムはすぐにその感情を見抜きました。
「私はすぐにピンときた…こいつこの娘に恋してる…って。」
死神には無縁と思われがちな「恋」という感情を、レムは正確に理解していました。このことから、レム自身も人間的な感情を理解する素地を持っていたことが分かります。
死神が死ぬ条件に言及
デスノートのルールについて、レムは非常に詳しい死神でした。死神が死ぬ条件についても語っています。
「死神を殺す方法は…人間に恋させることだ。」
これは、ジェラスがたどった運命であり、後にレム自身にも当てはまることになる悲しい真実です。死神は人間の寿命を奪うことで生きながらえますが、人間の命を救うなど、人間に肩入れしすぎると消滅するという、死神界の非情な掟を示しています。
ミサを案じる言葉
第2のキラとして夜神月に関わっていくミサを、レムは常に心配していました。
「危ない遊びだなー殺されるかもよ…わかってる?」
これは、夜神月の気を引こうと無謀な行動に出ようとするミサへの忠告です。レムのミサに対する深い愛情と、彼女の身を案じる親心のような気持ちが強く表れています。
また、夜神月がミサを危険に晒そうとしている状況で、レムが問いかけた言葉も印象的です。
「ミサ、ライトをまだ死ぬほど好きか?」
ミサの夜神月への一途な想いを知りながらも、彼女が利用されている状況を憂い、問いかけるレムの苦悩が伝わってきます。
人間に対する見解
夜神月の狡猾さや、デスノートを巡る人間の醜い争いを見て、レムは人間に対して辛辣な言葉を放ちました。
「人間って生物は実に醜い…」
強欲で裏表があり、平気で他者を欺く人間の姿は、愛情を知るレムには耐えがたいものだったのかもしれません。死神という超越的な存在から見た、人間の本質を捉えた言葉と言えるでしょう。
夜神月の恐ろしさを語る
Lを自身の計画通りに追い詰めていく夜神月の頭脳を見て、レムは畏怖の念を抱きました。
「しかし夜神月…死神をも殺すとは…死神をも超えている…」
死神界の掟を利用してLを殺害させ、さらにレム自身の命まで奪うことになった夜神月の策略は、死神であるレムにとっても想像を超えたものだったようです。
人間の、それも高校生の夜神月が、死神をも手玉に取るほどの存在になったことに、レムは恐ろしさを感じています。
ミサへの最期の言葉
自身の消滅を悟ったレムが、最期にミサへ向けて語りかけた言葉は、多くの読者の涙を誘いました。
「ごめんよ…ミサ」
「考えてみれば私がおまえにノートをあげなければ…「死神の憑いた人間は不幸になる」…本当だったのかもしれない。ごめんよ…ミサ。」
ミサの幸せを願ってデスノートを渡したことが、結果的にミサの人生を大きく狂わせてしまったことへの後悔と、ミサへの愛情が詰まった最期の言葉です。
ジェラスの死に様を見て「死神に憑かれた人間は不幸になる」というリュークの言葉を思い出したレムの、切ない心情が伝わってきます。
様々なメディアで描かれたレムの壮絶な最期
レムという死神の物語は、ミサを守るという強い意志のもと、悲劇的な最期を迎えます。この最期は、デスノートのルール、特に死神界の掟の厳しさを読者に強く印象付けました。
原作・アニメ版:ミサを守るための消滅
原作漫画およびテレビアニメ版では、レムは弥海砂の命を救うためにデスノートを使用し、消滅します。夜神月の巧妙な策略により、ミサが第2のキラだと特定され、逮捕・死刑執行寸前まで追い詰められた状況でした。
ミサの幸せを願うレムにとって、彼女の死は何よりも避けたいことでした。死神は人間の寿命を延ばすためにデスノートを使うと消滅するという掟があるにも関わらず、レムはミサを救うため、Lとワタリの名前をデスノートに書き込み、二人を殺害。結果として、レム自身は砂のように崩れ去り、消滅しました。
ミサへの深い愛情ゆえに、自らの命を投げ出した壮絶な最期は、多くの読者の心に深く刻まれました。
他のメディアでのレムの最期
実写映画版でも、レムは原作と同様にミサを守るためにLを殺害し、消滅します。この時、映画版のLは自らの名前をデスノートに書くことで死期を操作していましたが、レムが先にLの名前を書いたため、Lもレムによって殺される形となりました。
テレビドラマ版では、Lの最期が原作と異なるため、レムの最期もそれに関連する形で描かれています。
舞台版ミュージカルでも、レムはミサへの愛情からLを殺害し消滅しますが、その描写は舞台ならではの演出で描かれています。
このように、メディアによって細部は異なりますが、「ミサへの愛情ゆえに死神の掟を破り、消滅する」というレムの最期の核となる部分は共通しており、レムというキャラクターの根幹を成しています。
レムだけじゃない! 『デスノート』に登場する個性的な死神たち
『デスノート』の物語を語る上で欠かせない存在が「死神」です。人間界にデスノートを持ち込み、物語のきっかけを作ったリュークをはじめ、様々な個性を持つ死神たちが登場します。レム以外にも、印象的な死神たちが数多く登場しました。
退屈しのぎの死神:リューク
物語の発端となったデスノートを人間界に落とした張本人であり、主人公・夜神月についている死神です。性別はオス。人間界の退屈を嫌い、面白い出来事を求めて行動します。
人間の行動を観察し、時に月を面白がったり、助言のようなことをしたりしますが、あくまで傍観者としての立場を貫き、月の味方でも敵でもありません。
人間界のリンゴが好物で、リンゴのためなら月に協力することもあります。レムとは対照的に、人間の感情にはほとんど興味を示さない、純粋な死神と言えるでしょう。
ミサを愛した死神:ジェラス
レムの友人であり、弥海砂に恋をして死神の掟を破り消滅した死神です。性別はオス。見た目はつぎはぎだらけで、まるでゾンビのよう。
死神界からミサをずっと見守っており、彼女の寿命が尽きる運命を変えようと、デスノートを使ってストーカーを殺害しました。
その行為が死神界最大の禁忌に触れ、灰となって消滅。彼の残したデスノートが、レムを通じてミサの手に渡り、物語が大きく動き出すきっかけとなります。
ノートをなくした死神:シドウ
リュークが人間界に落としたデスノートの本来の持ち主です。非常に鈍感で臆病な性格。好物はチョコレート。
自分のノートがないことに長らく気づかず、寿命が迫ってきたことでようやく人間界に降りてきました。月やSPKのメンバーと関わることになり、物語にコミカルな要素をもたらします。最終的にはリュークからノートを取り戻し、死神界へ帰っていきました。
デスノートの管理者:死神大王
死神界の頂点に君臨し、デスノートを管理している存在です。その姿はほとんど謎に包まれており、原作やアニメ本編には直接姿は現しませんでした。
しかし、特別編ではリンゴと引き換えにリュークに2冊目のデスノートを渡す際に姿を現しています。他の死神からは「ジジィ」と呼ばれており、デスノートの管理はあまり徹底されていないようです。デスノートのルールを定める、死神界の絶対的な権力者です。
その他の個性的な死神たち
『デスノート』には、レム、リューク、ジェラス、シドウ以外にも、様々な見た目や性格の死神が登場します。
例えば、巨大な身体と斑点が特徴のミードラ(メス、好きなもの:湿気)、賭け事と昼寝好きの半人魚のようなデリダブリー(オス)、デリダブリーと仲が良く、いつも賭け事で負けているグック(オス)。
身体中に宝石を纏い、死神界のアドバイザー的な存在であるアラモニア=ジャスティン=ビヨンドルメーソン(オス)。
そして、身体中に目玉があり、死神ランクが大王に次ぐとされるヌ(メス、好きなもの:懺悔、嫌いなもの:音)など、多種多様な死神が登場します。
さらに、実写映画『デスノート Light up the NEW world』には、6冊ルールなどの情報をもたらすベポ(オス)や、竜崎に憑き「忠実な友」と呼ばれ、最後は竜崎のために消滅するアーマ(メス)といった映画オリジナルの死神も登場しました。
これらの死神たちの多様な姿や性格は、『デスノート』の世界観に深みを与え、「死神」という存在が決して一様ではないことを示しています。
レムのように人間に愛情を注ぐ死神もいれば、リュークのように人間界を観察対象として面白がる死神、シドウのようにどこか抜けている死神など、その個性は豊かです。
これは、作者が「死神」という超常的な存在を、単なる記号ではなく、それぞれの意志や感情(死神としての性質上、人間とは異なりますが)を持つ存在として描こうとした結果なのではないかと考える見方もあります。
レムに命を吹き込んだ声優・キャスト
様々なメディアで展開された『デスノート』において、レムという個性的な死神に命を吹き込んだ声優やキャストをご紹介します。
アニメ版声優:斉藤貴美子
テレビアニメ『デスノート』でレムの声を担当したのは、声優の斉藤貴美子です。レムの持つ落ち着いた雰囲気、そしてミサへの愛情から生まれる母性や怒りといった感情を、深みのある声で見事に表現しました。
斉藤貴美子さんの演技により、アニメ版のレムは多くの視聴者に強い印象を残しました。
実写映画版声優:池畑慎之介☆(ピーター)
2006年の実写映画版でレムの声を担当したのは、俳優の池畑慎之介☆さんです(通称:ピーター)。映画監督の金子修介さんは、レムを「中性の感じだが、母性を持ち、イメージは男性」と考えており、「彼しかいない」と池畑慎之介☆さんを起用した理由を語っています。
池畑慎之介☆さんの独特の声質と表現力が、実写映画版のレムに神秘的かつ母性的な魅力を与えました。
テレビドラマ版声優:恒松あゆみ
2015年のテレビドラマ版『デスノート』でレムの声を担当したのは、声優の恒松あゆみです。アニメや海外ドラマの吹き替えなど、多岐にわたる分野で活躍する恒松あゆみさんが、ドラマ版レムのキャラクターに合わせて演技しています。
まとめ:レムが教えてくれた「愛情」と「犠牲」
今回は、『デスノート』に登場する死神レムに焦点を当て、その過去、能力、そして壮絶な最期までを詳しくご紹介しました。
レムは、単なる物語の進行役としての死神ではなく、友人ジェラスの想いを引き継ぎ、弥海砂に深い愛情を注いだ、非常に人間味あふれるキャラクターでした。
死神界の掟を破ってでもミサを守ろうとした彼女の行動は、「愛情」や「犠牲」といったテーマを読者に強く問いかけます。
リュークや他の死神たちとの比較を通して、レムの特殊性や、『デスノート』における死神という存在の多様性も見えてきました。
レムの最期は悲劇的でしたが、その根底にあったミサへの揺るぎない愛情は、多くの読者の心に響き、レムが今もなお多くのファンに愛される理由となっています。
あなたは、死神レムのどのようなところに最も魅力を感じますか? 『デスノート』は、登場人物たちの複雑な心理描写や、倫理観を問うテーマ、そして予測不能なサスペンス展開が魅力の作品です。
まだ読んだことがない方や、アニメ、映画、ドラマなどで異なる描写を楽しみたい方は、この機会にぜひ『デスノート』の世界に触れてみてください。
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