「ブラッククローバー」の世界に突如として現れた、黒の暴牛副団長ナハト・ファウスト。
その登場は、多くの読者に大きな衝撃を与えました。常に笑みを浮かべる柔和な顔立ちとは裏腹に、主人公アスタを含む団員たちへ容赦なく厳しい言葉を投げかける姿は、まさに謎に包まれた人物像を際立たせています。
しかし、彼は単なる冷徹なキャラクターではありません。
影を自在に操る魔法、そして複数の悪魔を従える「悪魔憑き」の圧倒的な力。
そして、彼の心の奥底には、秘められた悲しい過去と、それでもなお「正しい」道を追求しようとする揺るぎない信念が隠されています。
今回は、そんな謎多きナハト・ファウストの人物像から、彼の強力な魔法、そして彼が背負う過去の真実に迫り、なぜ彼が多くのファンを魅了するのかを徹底的に解説します。
※この記事には「ブラッククローバー」の最新話までのネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
ナハト・ファウストとは?ベールに包まれた副団長の素顔
黒髪をポニーテールに束ねた中性的な容姿を持つナハト・ファウスト。
彼は長らくその存在が謎に包まれていた「黒の暴牛副団長」という重要なポジションに就いていました。
プロフィール
名前 | ナハト・ファウスト |
---|---|
年齢 | 29歳 |
誕生日 | 4月30日 |
星座 | 牡牛座 |
血液型 | A型 |
身長 | 180cm |
好きなもの | 正しい人間 |
魔法属性 | 影 |
所属 | 黒の暴牛・副団長 |
出身地 | クローバー王国 |
声優 | 下野紘 |
「始まりからずっと良い人間が一番偉い」という揺るぎない信念
ナハトは常に笑みを浮かべていますが、その性格は非常に厳格で、自分にも他人にも厳しい一面を持っています。
特に彼が掲げる信念は「始まりからずっと良い人間が一番偉い」というもの。
過去に悪事を働いた者が良い行いをして好感度を上げようとするような行為を嫌い、自分の欲求のために平気で他人を傷つける「理不尽な悪」を最も憎んでいます。
「たとえ神が赦しても悪魔が赦しても俺が赦さない」と語る彼の言葉からは、悪に対する強い憎悪と、善悪の基準が非常に明確である彼の価値観が読み取れます。
そのため、黒の暴牛のメンバーに対しても、任務に支障をきたすような悪癖を持つ者や、過去に問題を起こした者には非常に辛辣な言葉を浴びせる場面が多く見られました。
しかし、主人公アスタに対しては「愚かだけれど、良い人間で正しくて好きだ」と評価しており、彼の持つ純粋さや、決して諦めない姿勢を深く認めているようです。
読者の中には、ナハトのこの厳しい態度が、実は彼自身の過去と重なる部分があり、同じ過ちを繰り返してほしくないという、彼なりの優しさの表れではないかと考察する声も多く見られます。
黒の暴牛の副団長としての特異な立ち位置
ナハトは黒の暴牛の副団長でありながら、ほとんどアジトに姿を見せなかったため、その存在を知る魔法騎士はごく一部でした。
本人曰く、ヤミが勝手に副団長に決めたとのことですが、「魔法騎士として動ければ何でもいい。副団長ともなれば自由に色々出来て便利」と考えていたようです。
物語の重要な局面で、スペード王国での長期間にわたるスパイ活動を経て帰国。
彼は、アスタに悪魔の力を完全に引き出すための修行をつけるなど、その知識と実力で物語を大きく動かす存在となりました。
ナハトの操る影魔法と悪魔同化の極意:その圧倒的な力
ナハトの最大の強みは、自身の影魔法と、契約している4体の悪魔の力を組み合わせる「悪魔同化(ユナイト)」にあります。
変幻自在の影魔法
ナハトが操る魔法属性は「影」。
彼が触れているものを影から影へと移動させる「影の回廊」は、地形を無視した高速移動を可能にし、複数人を同時にワープさせることもできます。
これは、スパイ活動においても非常に有効な能力だったと考えられます。
また、「暗い園の誘い」は、地面から無数の影の手を出現させ、対象を地下に引きずり込む捕縛魔法です。
さらに、彼は「マナゾーン」を習得しており、周囲を影で包み込み、一切の気配を消して攻撃する「暗獄の狩り場」など、隠密性や奇襲に優れた魔法を多用します。
4体の悪魔と「悪魔同化(ユナイト)」
ナハトは禁忌の儀式「従魔の儀」によって、4体の中級悪魔と契約しています。
これらの悪魔は普段は小さくて可愛らしい姿をしていますが、悪魔同化することで、その真の力をナハトの魔法に付与し、強化することが可能です。
それぞれの悪魔には異なる特性があり、戦況に応じて使い分けます。
契約悪魔と悪魔同化形態:
- ギモデロ(狼型):特性は「群れ」。悪魔同化形態「モード:カニス」では、自身の気を持つ影の分身を無数に生み出し、本体を倒さない限り分身は消えません。これにより、相手を翻弄しながら戦うことができます。
- スロトス(馬型):特性は「剛健」。悪魔同化形態「モード:エクウス」では、鎧と盾を纏い、高い防御力を誇ります。ダンテの重力魔法空間でも活動が可能でした。
- プルメデ(猫型):特性は「俊敏」。悪魔同化形態「モード:フェリス」では、高速移動に特化した形態となり、「天影千里眼」で遠方の視界を透視できます。これにより、敵の動きを予測し、素早く対応することが可能です。
- ワルグナ(雉型):特性は「鳴声」。悪魔同化形態「モード:ガルス」では、鳥を模した姿で飛行が可能になり、鳴声を聞いた者の動きを一瞬止めることができます。最上級悪魔に対しても効果がある、貴重な足止め能力です。
ナハトはこれらの悪魔を単体で同化させるだけでなく、2体の悪魔を同時に同化させる「モード:ガルス×フェリス」や「モード:カニス×エクウス」といった複合形態も披露しています。
特に「モード:ガルス×フェリス」で放たれた「贖罪の碑」は、光も生も死も存在しない影の世界に相手を閉じ込めるという、最上級悪魔クラスの威力を持ちます。
この悪魔同化の応用力と、複数の悪魔の特性を組み合わせる戦略性が、ナハトの強さの秘密と言えるでしょう。
ナハトの過去と弟モルゲン:影に隠された悲しき真実
ナハトの冷徹な性格や「始まりからずっと良い人間が一番偉い」という信念には、彼の悲しい過去が深く関係しています。
不良だった青年時代と心優しい弟モルゲンの存在
現在の厳格なナハトからは想像しがたいかもしれませんが、彼はかつて奇抜な服装でタバコを吸うような不良でした。
自分勝手で素行が悪く、周囲からは嫌われていたと言います。
しかし、ナハトには双子の弟モルゲンがいました。
モルゲンは現在のナハトと瓜二つの容姿を持ち、人の役に立つことを進んでする心優しい人物で、魔法騎士になることを夢見ていました。
読者の中には、ナハトがモルゲンに対して、単なる兄弟以上の、尊敬や憧れといった感情を抱いていたのではないかと考察する声も多く見られます。
ファウスト家と悪魔学の悲劇
ナハトが18歳の時、両親からファウスト家が悪魔信仰に身を捧げ、代々悪魔学を研究してきた一族であることを告げられます。
ナハトはその才能を開花させ、若くして4体の悪魔と契約するに至ります。
しかし、両親の勧めもあり、最上位悪魔ルキフグスとの契約を試みた「従魔の儀」が、悲劇を招いてしまいます。
儀式は失敗し、ナハトは命拾いするものの、家族と弟モルゲンを失ってしまいます。
モルゲンが息を引き取る間際、「ナハトと二人で魔法騎士となって国を守りたかった」という夢を語ったことで、ナハトは自身の愚かさと、本当に大切にすべきものにようやく気づかされます。
この出来事が、彼の人生を大きく変える決定的な転機となりました。
ヤミとの友情と「影働き」の誓い
モルゲンの死後、傷心していたナハトに手を差し伸べたのは、かつて悪友だったヤミ・スケヒロでした。
ヤミは「将来、自分の魔法騎士団を作るから、もし実現したらそのときはオマエが副団長になって、俺と一緒に笑われろ」とナハトを誘います。
この言葉が、ナハトを黒の暴牛の副団長へと導き、彼に新たな生きる道を与えました。
ナハトがヤミの「今ここで限界を超える」という持論に否定的なのは、自身の限界を超えようとして弟を死なせてしまった過去があるためです。
また、黒の暴牛のメンバーに辛辣な態度をとるのも、昔の自分自身と彼らを重ね、同じ過ちを犯してほしくないという、彼なりの不器用な優しさの表れだと考える読者も多いようです。
ナハトは、決して自分自身を許さず、称賛や脚光を浴びることなく、一生影から「悪を以て悪を殺し続ける」ことを誓います。
この「影働き」としての生き方は、弟モルゲンへの贖罪であり、彼なりの「正しい」生き方なのです。
ナハト・ファウストの強さと魔法騎士団での評価
黒の暴牛副団長として、そして複数の悪魔を使役する「悪魔憑き」として、ナハトの実力は計り知れません。
魔法騎士団長をも凌駕する実力者?
ナハトは、魔法騎士団長たちの会議に乱入し、「会議もろくに出来ない人たちは嫌いだ」と発言するなど、彼らを甘く見ているような態度を取ることがありました。
また、ダンテとの戦いでは、蟷螂の団長ジャック・ザリッパーの重力対応能力を見て「君のことナメていたようだ」と語る場面も。
これらの発言や行動から、ナハトが他の魔法騎士団長たちの平均レベル以上の実力を持っていると考える読者が多くいます。
特に、エルフや上位悪魔との戦いで活躍したアスタにも、悪魔同化していない状態であれば勝利できると本人が語っていることから、その実力は確かなものです。
一部の読者からは、魔法騎士団長の中でもトップクラスのメレオレオナ・ヴァーミリオンと他の団長たちの間くらいの強さがあるのではないか、という見方もされています。
隠密と悪魔の使役のプロフェッショナル
ナハトの強さは、影魔法による隠密行動と、4体の悪魔を使い分ける悪魔同化の能力に集約されています。
スパイ活動においては、敵の情報を引き出し、分析する能力も非常に優れていました。
彼の持つ「悪魔学」の知識は、アスタが悪魔の力を使いこなす上でも大きな助けとなり、彼の戦略的な思考力も物語の重要な局面で遺憾なく発揮されています。
最上級悪魔ルチフェロとの戦いでは、一時的とはいえその動きを封じることに成功するなど、彼の戦闘能力は単なる中級悪魔憑きの域を超えています。
ナハト・ファウストの声優:下野紘
アニメ「ブラッククローバー」でナハト・ファウストを演じているのは、人気声優の下野紘です。
彼の演技は、ナハトの冷徹な言動と、時折見せる人間らしい感情の揺れ動きを見事に表現し、キャラクターに深みを与えています。
下野紘のプロフィール
名前 | 下野紘(しもの・ひろ) |
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生年月日 | 1980年4月21日 |
出身地 | 東京都 |
血液型 | B型 |
身長 | 168㎝ |
活動期間 | 2001年~ |
所属事務所 | アイムエンタープライズ |
デビュー作品 | ゲーム「リリーのアトリエ 〜ザールブルグの錬金術士3〜」 |
主な出演作品
- 「バカとテストと召喚獣」(吉井明久)
- 「進撃の巨人」(コニー・スプリンガー)
- 「鬼滅の刃」(我妻善逸)
下野紘の多才な表現力が、ナハトの複雑な内面を見事に描き出し、多くのファンを惹きつけています。
まとめ:ナハト・ファウストの多面的な魅力と今後の期待
「ブラッククローバー」に登場するナハト・ファウストは、一見すると冷徹で謎に満ちたキャラクターですが、その内側には深い過去と、自身の「正しさ」を追求する強い信念を抱いています。
影魔法と悪魔同化を操る強力な魔導士でありながら、自身の過去を悔い、弟モルゲンへの贖罪として「影働き」に徹する彼の生き方は、多くの読者の心を強く捉えています。
特に、ヤミとの間に築かれた不器用ながらも深い友情や、アスタに対する独自の評価は、彼の人間的な魅力を一層引き立てています。

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