「大将軍」という夢を追いかけるのは、主人公の信だけではありません。
信と同世代の若き将軍たちもまた、その座を虎視眈々と狙い、日々戦場を駆け巡っています。
中でも信の良きライバルであり、理解者でもある蒙恬が率いる「楽華隊」は、信の「飛信隊」にも負けず劣らずの結束力を誇る精鋭部隊です。
今回は、その楽華隊の副長として蒙恬を支える陸仙に焦点を当て、彼の驚くべき過去や秘められた強さ、そして壮絶な最期までを深掘りしていきます。
蒙恬の右腕と称される陸仙の真実に迫りましょう。
【キングダム】中華統一の夢を描く壮大な物語
陸仙が活躍するキングダムは、原泰久が「週刊ヤングジャンプ」で2006年から連載している中華時代劇漫画です。
古代中国の春秋戦国時代末期を舞台に、後の始皇帝となる嬴政が中華統一を目指す壮大な物語が展開されます。
主人公の信は、大将軍になるという幼い頃からの夢を抱き、嬴政の覇業を武人として支え、戦場を駆け抜けていきます。
当初は時代背景の知名度から人気低迷の時期もありましたが、その圧倒的な物語性と魅力的なキャラクター描写が読者の心をつかみ、瞬く間に人気を獲得しました。
2025年4月時点でコミックス累計発行部数は1億1千万部を突破しており、2023年11月発売の70巻では集英社青年誌初の1億部達成という快挙を成し遂げています。
また、第17回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞するなど、出版業界でも非常に高く評価されています。
メディアミックスも盛んで、テレビアニメはNHKで第5シリーズまで放送されており、実写映画化やゲーム化など多岐にわたる展開を見せています。
特に実写映画は異例の大ヒットを記録し、続編が制作されるほどの人気を博しました。
最新コミックスは2025年3月18日に75巻が発売され、物語はさらに深く進んでいます。
楽華隊の副長、陸仙の素顔に迫る
陸仙は、蒙恬率いる楽華隊の2人いる副長の一人として登場したキャラクターです。
蒙恬が率いる部隊において、常に前線に立つ武の目立つ武将として描かれています。
楽華隊の中心人物の一人であり、高い武力を持つだけでなく、別働隊を率いることを任されるなど、その実力と信頼の高さがうかがえます。
陸仙のプロフィール
| 所属 | 楽華隊 |
| 役職 | 副長 |
| 主な武器 | 槍 |
| 特徴 | 観察力、洞察力に優れる。出世欲がない。 |
| 蒙恬との関係 | 蒙家家臣、蒙恬を「若」と呼ぶ。 |
冷静沈着で控えめな性格
陸仙は、蒙恬の読みにくい思考をいち早く察知し、戦場で的確に動けるほどの優れた観察力と洞察力の持ち主です。
彼は楽華隊の中心人物的な存在として、隊員からの信頼も厚い性格をしています。
また、同格でありながら年上である副長の胡漸に対しても、必要とあらば苦言を呈するなど、信頼関係に裏打ちされた率直な一面も持ち合わせています。
一方で、自身の出世には興味がなく、非常に欲がない性格であることも特徴です。
そのあまりの欲の無さは、胡漸から「力があるくせに欲が浅くひかえめで時々本気でイラッとくるが頼りになる」と評されるほどでした。
しかし、この控えめな性格こそが、彼が蒙恬を支える「右腕」として、最適な存在であると考える読者も多いようです。
秦国随一の槍使いにも匹敵する武力
陸仙は槍を用いた戦闘を得意としており、その武力は非常に高い評価を受けています。
特に、同じく槍使いである玉鳳隊の王賁に匹敵する強さを持つと評されるほどです。
自身はまだ王賁には及ばないと謙遜していますが、戦場では蒙恬と共に前線で戦い、その重量感ある突撃は敵にとって大きな脅威となっています。
将としての能力も高く、楽華隊ではその強さから別働隊を任されることも多く、その作戦を実行する実力を持ち合わせています。
観察力と洞察力に優れる陸仙は、蒙恬の言動にいち早く反応することで、結果的に楽華隊の戦果を高めるのに貢献してきました。
当初、彼が率いる兵団の強さは突出したものではなく、ある種の楽華隊の弱点とも言われていましたが、胡漸の後任として愛閃が加わり、その兵団も加わったことで、楽華隊全体がより強固な部隊へと進化しています。
これにより、陸仙が本来持つ強さをさらに発揮しやすい状況が生まれていると考える読者も多いでしょう。
史実には登場しないオリジナルキャラクター
蒙恬を支える陸仙ですが、実は史実にはその記録がなく、キングダムオリジナルのキャラクターです。
陸仙が仕える蒙恬自体は実在しますが、史実では武将としてよりも文官として嬴政に仕えたとされており、「楽華隊」を率いたという記録も残されていません。
そのため、陸仙も信や飛信隊のライバルである楽華隊と共に、物語を盛り上げるために創作されたキャラクターと考えられています。
キングダムに陸仙が登場した理由としては、楽華隊＝蒙恬と胡漸という2人のイメージを払拭し、楽華隊が独立した一つの部隊として成長していく様を表現する意図があったのではないかという見方もあります。
飛信隊が史実には存在しないキャラクターを増やしていくのと同じように、楽華隊もまた、物語の進行に合わせてその規模と多様性を広げていったと言えるでしょう。
蒙恬と胡漸、そして陸仙の深い関係性
陸仙は、自身が在籍する楽華隊の隊長である蒙恬を非常に高く評価しています。
戦場では蒙恬の檄にいち早く反応し、完璧にサポートするなど、隊長と副長として厚い信頼関係で結ばれている様子が描かれています。
陸仙は蒙恬のことを「若」と呼び、蒙家に仕える家臣でもあることがうかがえますが、蒙恬を「様」付けで呼ぶ一方で、弟の蒙毅には「さん」付けで呼ぶなど、蒙恬に対する特別な思い入れが描写されていると考える読者もいます。
蒙恬も陸仙を深く信頼しており、作戦の軸に組み込むことも少なくありません。
胡漸との師弟のような絆
楽華隊の副長は陸仙だけでなく、胡漸も務めています。
胡漸は蒙恬が生まれた時からの教育係であり、蒙恬に対してはまるで孫を可愛がるかのような過保護な一面が見受けられます。
陸仙は時にその過保護さを諌めることもありますが、胡漸を深く慕っている様子も描かれています。
窮地に陥った胡漸を「俺の子供を抱くんでしょ」と鼓舞する場面は、陸仙の胡漸への深い敬愛と信頼が表れており、読者の胸を打つ名シーンとして記憶されています。
胡漸もまた陸仙を高く評価しており、「槍の腕とて実はあの王賁にもひけをとらぬ」と言わしめるほどでした。
しかし、陸仙自身は謙虚にその実力にはまだ及ばないと否定するなど、欲のない態度を見せています。
胡漸はそんな陸仙に対し、「お前は力があるくせに欲が浅くひかえめで時々本気でイラッとくるが頼りになる」と本音を漏らしつつも、自身が蒙恬を援護できない状況では陸仙にその役目を託すなど、絶大な信頼を寄せていました。
蒙恬を「じぃ」と呼ぶ胡漸だけでなく、蒙恬を若くして支える陸仙にも同様の愛情が注がれていたことが、読者からは感じ取れるのではないでしょうか。
陸仙の活躍と壮絶な朱海平原の戦い
王賁にも匹敵する実力を持つ陸仙は、これまでの戦いでも数々の重要な場面で活躍してきました。
例えば、魏国の山陽に攻め入った戦いでは、蒙恬が祖父蒙驁のために普段は行わないような檄を飛ばした際、陸仙はいち早くその意図を察知しました。
楽華隊が単独で突撃するのではなく、飛信隊や玉鳳隊が敵将輪虎の元へ到達するための援護に回ることで、秦軍の勝利に貢献しています。
また、キングダム最大の戦いの一つである合従軍との函谷関の戦いでも、陸仙は別働隊を率いて蒙恬をサポートしました。
楚軍千人将の白麗は、その弓の腕で秦軍の将を狙撃し、指揮系統を乱す厄介な敵でしたが、蒙恬が白麗の早期排除を決断します。
この作戦成功の裏には、陸仙の活躍がありました。
陸仙は重機馬隊を率いる別働隊として楚軍の意識を引きつけ、蒙恬が白麗の懐に入り込み負傷させることに成功し、結果的に秦軍が楚軍に勝利を収めることに繋がっています。
そして、彼の最も大きな活躍の一つが、朱海平原の戦いです。
楽華隊が数倍の兵力を持つ趙の隠れた名将、紀彗を相手取る必要があったこの戦いで、胡漸から蒙恬の援護を任された陸仙は、伏兵術を用いて見事に紀彗軍を翻弄し、自ら先陣を切って活躍しました。
この活躍が、秦軍の勝利に大きく貢献しています。
胡漸の死、そして奮起した陸仙
陸仙が命を落としていてもおかしくなかったシーンとして挙げられるのが、朱海平原の戦いの夜に起きた出来事です。
この時、趙軍総大将龐煖が突如として楽華隊を襲撃するという大事件が発生しました。
蒙恬は秦軍の作戦会議に参加するため不在でしたが、この襲撃により胡漸を含む多くの楽華隊兵が斬られてしまいます。
陸仙もこの襲撃に巻き込まれてもおかしくない状況でしたが、幸運にも生存していました。
世話役であり、その後も自身を支え続けてくれた胡漸が斬られたことを知り、陸仙は大きなショックを受け、蒙恬を心配します。
しかし、蒙恬は逆に陸仙に「胡漸への涙は戦の後だ」と喝を入れ、奮起を促します。
この蒙恬の言葉を聞いた陸仙は、胡漸の分まで奮起することを誓い、その後も蒙恬の右腕として活躍し続け、蒙恬が将軍へと出世する大きな支えとなりました。
胡漸の死は楽華隊にとって大きな痛手でしたが、陸仙がその意志を継ぎ、より一層蒙恬を支える存在として覚醒するきっかけとなったのです。
アニメ【キングダム】陸仙を演じた声優たち
アニメキングダムで陸仙の声を担当したのは、時期によって2人の声優がいます。
当初、陸仙の声を担当したのは高橋英則でした。
高橋英則は2000年代から声優として活躍しており、アニメはもちろん、吹き替えやドラマCDなどでも幅広く活躍しています。
キングダムでは陸仙の他にも、飛信隊の竜川や崇原、山の民の将軍タジフ、魏の将軍朱鬼など、複数のキャラクターを兼役で演じており、その演じ分けの巧みさに驚く読者も多いです。
彼の代表作には、「うたの☆プリンスさまっ♪」の桐生院ヴァン、「NARUTO」のトルネ、「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」の猿飛木ノ葉丸、「刀剣乱舞ー花丸ー」の石切丸などがあります。
そして、アニメキングダム第3シーズンからは、陸仙の声優が大西弘祐に交代しています。
大西弘祐は2010年代から声優として活躍し、「ましろのおと」の藤原二郎、「NOBLESSE -ノブレス-」のM-21などを務めています。
キングダムでは陸仙の他、万剛、張迅、彭英などのキャラクター、さらには名前を持たない兵士の声まで担当し、作品を支えています。
アニメシリーズの長期化に伴う声優の交代は、時に視聴者の間で話題になりますが、大西弘祐もまた、陸仙のキャラクターに新たな魅力を吹き込んでいます。
読者から見た陸仙の評価と魅力
キングダムの読者からは、陸仙に対して多くの好意的な感想が寄せられています。
蒙恬よりもイケメンではないか、という声が上がるほど、彼の容姿は読者から支持されており、隠れた人気を誇るキャラクターの一人です。
史実には実在しないキングダムオリジナルのキャラクターでありながら、要所でしっかりと活躍が描かれている点も、彼の評価を高めている要因と言えるでしょう。
また、陸仙はキングダム作中で周囲との関係性が丁寧に描かれている点も評価されています。
蒙恬や胡漸との絆はもちろんのこと、蒙毅との関わりなども描写されており、それぞれの関係性が細かく描かれることで、特に蒙恬に対する彼の特別な感情が浮き彫りになっていると指摘する読者もいます。
「一番好きなキャラクター」とは少し違うかもしれませんが、「こんな風になりたい」と理想像として陸仙を挙げる読者も少なくありません。
優秀でありながら自身が上に立つことよりも、蒙恬を支えることに生きがいを感じているような彼の立ち回りは、多くの読者にとって共感を呼び、感情移入しやすいキャラクターであると考えられています。
アニメでの高橋英則や大西弘祐による声の演技についても、「兼役で様々なキャラクターを演じているのに気づかなかった」という声が多く、声優としての実力の高さが作品の魅力向上に貢献していると評価されています。
まとめ：蒙恬の右腕、陸仙のこれから
キングダムの陸仙は、「こんな風になりたい」という理想のキャラクター像とも言われるほど、有能な副官として楽華隊を支える存在です。
その強さは胡漸から王賁に迫ると評されるほどであり、将としても非常に優れた側面を持っています。
それでいて、自身が出世することよりも蒙恬を支えることを生きがいとしているキャラクターであり、楽華隊をはじめとした周囲との関係性も非常に良好です。
史実には実在しないキングダムオリジナルのキャラクターでありながらも、楽華隊の副長という確固たる立場を築き、蒙恬の活躍を考える上で、今後もキングダム作中で重要な役割を担っていく可能性が高いキャラクターの一人です。
まだキングダムを視聴していない方は、ぜひ陸仙の活躍や、彼と蒙恬、胡漸との深い絆にも注目しながら、この壮大な物語を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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