
2015年に『週刊少年ジャンプ』で連載を開始し、2017年からはテレビアニメも放送されたブラッククローバーは、田畠裕基先生による王道魔法冒険ファンタジーとして、国内外で大きな注目を集めています。
無力な主人公アスタと天才親友ユノという対照的なライバル関係、そして魔法帝を目指すという少年漫画の熱いストーリー展開は、多くの読者を魅了してきました。
しかし、その王道さゆえに、連載当初は「二番煎じ」や「設定が既視感に溢れている」といった厳しい意見も多く、その評価は賛否両論が入り混じるものでした。
本記事では、このブラッククローバーに寄せられた好意的な評価(いい感想)と否定的な評価(悪い感想)を多角的に集約・分析し、本作がどのようにしてその評価を乗り越え、大人気作品へと成長を遂げたのかを徹底的に解説していきます。
国内外の読者の声や、アニメ制作の裏側に関する情報も交えながら、ブラッククローバーの真の魅力に迫ります。
ブラッククローバーとは?作品の概要とあらすじ
ブラッククローバーは、田畠裕基先生が『週刊少年ジャンプ』で連載する魔法冒険ファンタジー漫画です。
田畠先生は、前作『HUNGRY JOKER』で第7回金未来杯を受賞するなど、その才能は高く評価されていました。
本作は、魔法がすべての世界クローバー王国を舞台に、魔法が全く使えない少年アスタが、魔力の天才ユノと共に魔法帝を目指して奮闘する姿を描いています。
原作漫画情報:連載開始と累計発行部数
ブラッククローバーの連載は2015年に『週刊少年ジャンプ』でスタートしました。
連載開始前には『少年ジャンプNEXT!!』で読み切り作品として掲載され、読者の反響を経て連載化に至った経緯があります。
単行本は着実に巻数を重ね、物語が進むにつれて人気は加速。
連載初期には「打ち切り候補」という声もあったものの、その予想に反して人気は上昇し、累計発行部数700万部を突破するなど、ジャンプの看板作品の一つとして不動の地位を築き上げました。
漫画本編以外にも、ジョニー音田先生による小説作品『ブラッククローバー 暴牛の書』や『ブラッククローバー 騎士団の書』が発売されるなど、メディアミックスも積極的に展開されています。
アニメ情報:放送開始と制作スタッフ
2017年10月からは、テレビ東京系列にてアニメの放映が開始されました。
制作はStudioぴえろが手掛け、シリーズ構成は『キャプテン翼』なども手掛けるベテラン脚本家の筆安一幸さんが務めています。
アニメは現在まで長期間にわたって放送が続けられ、『ブラッククローバーセレクション 〜黒の暴牛傑作選〜』として再放送が行われるほどの人気ぶりです。
当初は作画や演出で厳しい意見もあったものの、吉原達矢監督(当時)をはじめとするスタッフの熱意により、徐々にバトルシーンのクオリティが向上し、原作ファン以外のアニメ視聴者も獲得していきました。
物語のあらすじ:無力なアスタと天才ユノのライバル関係
物語は、かつて世界を魔神から救った魔導士が魔法帝となり、その地位が代々クローバー王国を平和に導いている時代から始まります。
主人公のアスタと、親友にしてライバルのユノは、共に孤児院で育ち、魔法帝になるという大きな夢を胸に日々を過ごしていました。
15歳の魔導書(グリモワール)授与式で、天才ユノは伝説の「四つ葉のクローバーの魔導書」を手にしますが、アスタには魔導書が現れませんでした。
なぜなら、アスタには魔力が全く備わっていなかったからです。
しかし、ユノの魔導書を狙う盗賊に襲われた際、アスタの手に悪魔が宿ると言われる「五つ葉のクローバー」が刻印された「反魔法の魔導書」が現れます。
このブラッククローバーの魔導書を手に、アスタは魔法騎士団「黒の暴牛」に入団し、魔法帝を目指す熾烈な戦いに身を投じていくというのが、物語の導入です。
ブラッククローバーの好意的な評価と熱い感想
ブラッククローバーが多くのファンを獲得した最大の要因は、その少年漫画の王道を真正面から描いた点にあります。
初期の厳しい意見を跳ね返すほど、連載が進むにつれてその魅力は読者に強く伝わっていきました。
好評価①:少年漫画の王道設定を貫く熱さ
読者からは「まさに王道、ライバルっていいよね!!」といった声や、「この手の熱い王道バトル漫画に弱い」という感想が多く寄せられています。
無力な主人公が特別な力(反魔法)を手にし、天才のライバルと共に頂点を目指すという設定は、読者が少年漫画に求める熱さとカタルシスを忠実に満たしています。
特に、アスタとユノの「ライバルで親友」という関係性は、世界的大ヒット漫画NARUTOにおけるナルトとサスケの関係性を彷彿とさせると指摘する声もありました。
この比較は、ブラッククローバーが王道ジャンプ漫画の系譜を受け継ぐ存在として、多くの読者に受け入れられたことを示しています。
「夢はデカく、叫べ!」という作中のメッセージにも表れているように、ブラッククローバーは、まっすぐな「熱」を読者に感じさせてくれると高く評価されています。
好評価②:熱量の高いバトルシーンと作画の進化
ブラッククローバーは、魔法を使った激しいバトル描写も高く評価されています。
漫画においては、魔法の壮大さと、アスタの反魔法による物理的な迫力が融合した戦闘が魅力です。
そしてアニメでは、当初の評価は低かったものの、回を重ねるごとにバトルシーンの作画に気合いが入っていると評判になりました。
特に、吉原達矢さんがコンテ・演出・原画などを手掛けた回は、その作画クオリティの高さから「神回」と呼ばれ、NARUTOの人気バトルシーンに並ぶとまで評価する声が上がったほどです。
アニメの長編連載では、作画の安定性を保つことが難しい中で、重要なバトル回にスタッフの魂が溶けるほどの心血が注がれていたことは、ファンに大きな感動を与えました。
「バトルシーンよいなあ」というシンプルな感想が、読者の心を動かした熱量を物語っています。
好評価③:個性的で魅力的なキャラクターたち
ブラッククローバーの大きな魅力の一つが、多種多様な能力を持った個性的なキャラクター設定です。
主人公アスタが所属する「黒の暴牛」をはじめ、登場する魔法騎士団員たちは、それぞれが強烈な個性と背景を持っています。
例えば、黒の暴牛のゴードン・アグリッパは、その奇抜な風貌と、内気で憎めない性格のギャップで読者から愛されています。
また、「残念なイケメン」として読者にツボに入ったのが珊瑚の孔雀副団長キルシュです。
彼は度を超えたナルシストという残念要素を持つイケメンとして描かれており、読者は登場するごとに増えていく「キャラの濃い」登場人物の中から、自分の推しを見つける楽しみを得ています。
作品の「歪みの無い王道」なストーリー展開に加え、こうしたキャラクターデザインのオリジナリティーと多様性が、読者からの好意的な評価を支える重要な要素となっています。
ブラッククローバーに寄せられた厳しい意見や悪い評価
大人気作品となったブラッククローバーですが、連載初期からアニメの放送初期にかけては、その「王道さ」ゆえに厳しい意見や酷評が集中していた時期がありました。
特に、すでに多くのファンタジー作品が存在する中で、設定の類似性やアニメの演出が批判の的となりました。
酷評①:物語や設定が「ありきたり」「二番煎じ」
ブラッククローバーに対する批判の多くは、物語や設定が「ありきたり」であるという点に集中していました。
「かなり王道路線やなこれ、悪く捉えるとありきたりと言うかナルトで見た」といった声に代表されるように、NARUTOやFAIRY TAILといった先行する人気少年漫画との類似性が頻繁に指摘されました。
魔力が使えない主人公、天才のライバル、そして魔法騎士団という設定が、一部の読者には既視感として映り、「二番煎じ」の評価を生んでしまった側面は否定できません。
特に、多くの作品を見ている熱心なアニメファンや漫画ファンは、展開が「ありきたりになってしまった」と感じると、他に多くの作品があるため、途中で視聴や購読を止めてしまうという行動も見られました。
この「王道」と「ありきたり」の紙一重の評価をどう乗り越えるかが、初期のブラッククローバーにとって大きな課題でした。
酷評②:アニメ初期の主人公アスタの「叫び声」と「ノリ」
アニメの放送開始当初、最も多くの酷評を集めたのが、主人公アスタの「叫び声」に関するものでした。
「主人公がとりあえずずっとうるさいからそこがマイナス」「連続する叫んだ声が普通に不快やった」といった声がSNS上で多く見られました。
アスタを演じた梶原岳人さんが当時新人声優として異例の抜擢だったこと、そして原作でも熱血漢で叫ぶことが多いアスタというキャラクターが、アニメ化によってその傾向が強調された結果、視聴者の中には「不快感」を訴える層が生まれてしまったのです。
また、作品全体の「ノリ」が肌に合わないという意見も同時に発生しました。
「全体的にノリがなんだか…うん」「展開ワンパターンで同じノリだから何も引っかからない」という感想が示すように、物語の内容とは別に、作品のテンポや雰囲気が合わないと感じる層も一定数存在しました。
この「ノリ」や「叫び声」といった感覚的な要素は、作品の評価を二分する大きな要因だったと言えます。
酷評③:アニメの作画クオリティに関する指摘
アニメブラッククローバーの初期において、作画クオリティに関する厳しい指摘も多く見られました。
「作画が酷すぎて笑けるw」といった意見や、具体的なシーンを切り取って「作画崩壊しすぎて大草原」と拡散される事態も発生しました。
長期にわたるアニメシリーズでは、制作スケジュールの都合上、放送回ごとに作画スタッフが入れ替わることで、クオリティにバラつきが生じることが少なくありません。
ブラッククローバーも例外ではなく、特に静止画でキャラクターの顔などが崩れている瞬間が切り取られ、話題になることがありました。
しかし、前述の通り、物語の重要なバトル回では驚異的な作画クオリティが披露されており、この「回による差」もまた、当時のアニメ評価を複雑にしていた要因の一つと言えます。
アニメ「ブラッククローバー」の声優陣に関する評価
アニメブラッククローバーは、初期のアスタの叫び声に関する賛否両論があった一方で、全体としては豪華な声優陣を起用している点が高く評価されていました。
豪華声優陣の起用と高い評価
「声優豪華すぎん???」という感想が示すように、ブラッククローバーには、多くの人気と実力を兼ね備えた声優がキャスティングされています。
主人公アスタやライバルのユノには、当時若手で勢いのある声優を起用する一方で、物語のキーマンである魔法帝ユリウスには大人気声優の森川智之、アスタの上司である黒の暴牛団長ヤミ・スケヒロには同じく人気声優の諏訪部順一がキャスティングされました。
さらに、福山潤や水樹奈々といったベテラン・人気声優が脇を固めることで、アニメは「好きな声優さんたくさん出てて最高」という評価を獲得し、幅広い世代のニーズに刺さる布陣を敷くことに成功しています。
この豪華なキャスティングは、作品のスケールの大きさを感じさせ、初期の作画や演出に対する批判的な意見を相殺するほどの大きな魅力となりました。
主人公アスタの声優への賛否両論
前述の通り、主人公アスタの担当声優梶原岳人さん(当時新人)には、視聴者から賛否両論が寄せられました。
特に「叫び声が不快」という厳しい意見が多く、新人の異例の抜擢に対する不安や違和感が大きかったことがうかがえます。
しかし、物語が進むにつれて、アスタの熱血漢な性格や諦めない姿勢が、梶原さんの熱演によって徐々に視聴者に受け入れられていきました。
新人だからこそのむき出しのエネルギーと、キャラクターの成長と共に声優自身も成長していく過程が、ブラッククローバーという作品のテーマとシンクロし、最終的にはアスタのイメージを確立するに至ったと評価されています。
これは、声優の演技が物語の評価に直結するアニメというメディアにおいて、非常に挑戦的であり、かつドラマチックな展開だったと言えるでしょう。
ブラッククローバーに関する海外からの評価と意見
近年、日本のアニメは海外で絶大な人気を誇りますが、ブラッククローバーも例外なく海外から様々な評価を受けています。
日本国内と同様に、海外の視聴者からも「ストーリーは面白そうだけど、アスタの叫び声はかなりうざい」といった、賛否両論の意見が多く寄せられていました。
海外の熱心なアニメファンは、多くの作品を見ているため、既視感を覚える傾向が強いです。
「ものすごい既視感のあるアニメだな。まるでナルトとフェアリーテールから生まれた子供みたい」という表現は、ブラッククローバーが少年漫画の王道要素を濃縮していることを示しています。
その一方で、海外でも人気を集めるジャンプ漫画僕のヒーローアカデミアと比較し、「明るいタイプの主人公だからヒロアカよりは楽しめるだろう」という、好意的な比較意見も見られました。
ただし、「今年見た中でワーストの第一話だったよ」という極端に厳しい意見も存在しており、第一話で視聴者を惹きつけることに苦戦した側面はあったようです。
しかし、物語が進み、激しいバトルシーンの作画が向上し、王道ストーリーが盛り上がっていくにつれて、海外でも「初期は酷評されたが、最終的に大化けしたアニメ」として再評価され、人気を獲得していきました。
これは、王道展開が持つ普遍的な魅力が、国境を超えて最終的に多くのファンに届いた結果と言えるでしょう。
まとめ
ブラッククローバーは、連載・アニメ開始当初に「王道すぎる」「二番煎じ」という厳しい酷評に晒され、特にアニメのアスタの叫び声や作画の不安定さが議論の的となった作品です。
しかし、その批判を乗り越え、結果として国内外で大人気作品へと成長しました。
その成功の鍵は、少年漫画の王道設定を歪みなく、そして熱量高く描き続けた点にあります。
無力な主人公が努力と反魔法で困難を打ち破り、天才のライバルと切磋琢磨し、個性豊かな仲間と共に成長する物語は、読者が少年漫画に求めるカタルシスを忠実に提供しました。
アニメにおいても、豪華な声優陣の熱演や、重要なバトルシーンでの作画スタッフの情熱が、初期のマイナス評価を払拭し、作品の熱さを視聴者に伝えることに成功しました。
「ありきたり」や「二番煎じ」という言葉は、見方を変えれば「王道」であり、読者が普遍的に面白いと感じる要素を多く含んでいる証拠です。
ブラッククローバーは、その王道を愚直に貫き通すことで、真の人気作品へと昇り詰めた稀有な例と言えるでしょう。
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