『呪術廻戦』完結後の世界に残された謎
芥見下々先生による人気漫画『呪術廻戦』が、2024年秋に約6年半にわたる連載に幕を下ろしました。
連載初期から「ポスト『鬼滅の刃』」とも呼ばれ、圧倒的な人気を誇った本作は、綿密に張り巡らされた伏線や、読み応えのある展開で多くの読者を惹きつけました。
特に、アニメや映画で初めて作品に触れたファンからは、そのディープな世界観や練り込まれた設定に引き込まれるという声が多数聞かれます。
しかし、物語が完結した今、多くの読者が「あれは結局どうなったの?」と首をかしげる未回収の伏線や謎が残されています。
今回は、完結後の『呪術廻戦』の世界で、読者が特に気になっている未解明な伏線や設定、そして物語の最終盤に対するさまざまな評価について、詳しく解説していきます。
物語の根幹に関わる未解明な伏線
『呪術廻戦』という物語の根幹をなすであろう、主要キャラクターに関する謎や、設定に関する重要な伏線がいくつか未回収のままとなりました。
虎杖悠仁の出生と能力の謎
主人公である虎杖悠仁の出生には、多くの謎が秘められていました。
常人離れした身体能力の理由は、物語の終盤で徐々に明らかになっていきます。
彼の父である虎杖仁は、両面宿儺の双子の片割れの生まれ変わりであり、母である虎杖香織は、羂索に乗っ取られた肉体でした。
虎杖悠仁は、羂索の「何か」の目的のために生み出された存在であり、宿儺とは甥と叔父の関係、あるいは魂の観点では実質的に父子の関係にあることが示唆されています。
しかし、伏線として登場した虎杖仁が、死んだはずの妻、香織(羂索)との再婚に疑問を抱かなかった理由や、その後の行方は不明のままです。
また、両面宿儺や裏梅が、虎杖の容姿が過去の播磨の術師に似ていると発言していましたが、その人物が誰で、宿儺とどのような関係だったのかは、最後まで明かされることはありませんでした。
歌姫と東堂とメカ丸の顔の傷
ご提示いただいた情報にある通り、東堂の顔の傷は師匠である九十九由基によるものだと判明しましたが、庵歌姫の顔の傷がどのようにできたのかは、物語が完結した現在も不明のままです。
また、メカ丸(与幸吉)は傀儡を操作しているため、本体の顔に傷を負っていること自体が謎でしたが、これも最終的に明かされることはありませんでした。
両面宿儺の術式の詳細と人生を変える機会
最強の呪いの王である両面宿儺は、斬撃術式「解(カイ)」と「捌(ハチ)」を主に扱いますが、炎の術式「開(フーガ)」も使用しました。
この術式の「■」に入る部分は「竈(カミノ)」だと判明しましたが、なぜ調理と関係があるのか、その詳細は明らかになっていません。
また、両面宿儠の人生には、呪いでなく人間として生きる機会が2度あったことが示唆されています。
そのうちの1人は付き人の裏梅でしたが、もう1人は後ろ姿しか描かれず、名前も明かされることはありませんでした。
乙骨憂太の祖先と、パンダの魂の変容
特級術師の乙骨憂太は、五条悟によると菅原道真の子孫とされていました。
しかし、「死滅回游」で登場した過去の術師、烏鷲亨子は、乙骨の雰囲気から「藤原」と呼んでおり、彼の本当の祖先がどちらなのかは不明なままです。
また、夜蛾正道が作り出した突然変異呪骸であるパンダは、兄のゴリラと姉のトリケラトプスの魂を失い、自身の魂が一つだけになってしまいました。
複数の魂が互いを観測し合うことで自我を保っていたと考えると、魂が一つだけになったパンダに今後どのような変異が起こるのか、という疑問が残ります。
多くの読者が納得できなかった最終回
『呪術廻戦』は、連載期間を通じて多くの伏線を張り、複雑な人間関係や設定を丁寧に描いてきました。
そのため、読者は全ての謎が解明される、壮大で緻密な結末を期待していました。
しかし、最終回が多くの批判を呼んだ背景には、いくつかの共通した不満点が挙げられます。
唐突な展開と伏線の放置
最終回の結末が「ひどい」と言われる最大の理由の一つに、物語の展開が唐突に感じられた点が挙げられます。
両面宿儺との決着や、伏黒恵が救出されるまでの過程が急ぎ足で描かれ、読者が物語のクライマックスに期待していた「熱さ」や「カタルシス」が薄れてしまったという意見が多く見られます。
さらに、多くの伏線が未回収のまま物語が完結したことで、読者のフラストレーションはピークに達しました。
虎杖の祖父が残した「お前は強いから人を助けろ」という言葉の真意、虎杖が宿儺の術式をどう会得したのか、一億人呪霊の存在、天元と宿儺の関係性など、物語の根幹に関わる部分が解明されないまま終わったことが、読者の不満につながりました。
人気キャラクターの結末に対する不満
五条悟や伏黒恵といった人気キャラクターの扱いが、多くの読者にとって受け入れがたいものでした。
圧倒的な最強術師である五条悟は、両面宿儺との戦いで敗北し、死亡しましたが、その死に様やその後の詳細が十分に描かれなかったことが不満を招きました。
また、伏黒恵は、両面宿儺に身体を乗っ取られ、義姉である伏黒津美紀を自らの手で殺すという最悪な展開を迎えたにもかかわらず、最終的に宿儺の支配から解放される過程がほとんど描かれませんでした。
物語の重要人物が、十分に活躍する場を与えられずに終わってしまったと感じる読者は少なくありませんでした。
ハッピーエンドへの違和感
『呪術廻戦』は、これまで重厚なテーマやダークな展開が続いてきた作品でした。
多くのキャラクターが犠牲となり、凄惨な戦いが繰り広げられたにもかかわらず、最終回では虎杖たちが平穏な日常を取り戻し、任務をこなす姿が描かれました。
この「ハッピーエンド」に対して、一部の読者は「これまでの作風とトーンが違いすぎる」という違和感を抱きました。
特に、五条悟の死後、生徒たちが新たなスタートを切るという結末は、多くの読者が想像していたものとは異なっていたようです。
物語の締めくくり方として不自然に感じた読者も多く、これも批判の一因となりました。
未回収伏線の詳細を徹底考察
ここからは、特に注目された未回収の伏線や設定について、より深く掘り下げていきます。
呪術界上層部の内通者
五条悟は、呪術高専内部に内通者がいると睨んでいました。
メカ丸こと与幸吉が内通者だったことは明らかになりましたが、五条や仲間たちが疑っていた上層部にもう一人の内通者がいたのかは、不明のままです。
一部の読者の間では、作中で明確な描写はなかったものの、天元と羂索が古くからの知り合いであり、呪術界上層部が羂索のシナリオに加担していた可能性を指摘する声もありました。
天元と星漿体の謎
呪術界の要である天元は、不死の術式を持ちながら、500年に一度「星漿体」と同化することで肉体の進化を抑えています。
しかし、物語の終盤で、天元は羂索に取り込まれてしまい、その詳細は不明なままです。
また、天元の「皮肉」として、両面宿儺の即身仏が保護されていた理由や、そもそも「星漿体」の詳しい設定も解明されませんでした。
九十九由基が元星漿体であるという設定も、物語に生かされることなく終わってしまいました。
その他の未回収伏線
『呪術廻戦』には、他にも多くの謎が残されています。
庵歌姫の顔の傷や、九十九由基とラルゥの関係性、単行本の扉絵が対になっている理由など、多くの読者が考察を楽しんでいた部分が未解明のままとなりました。
また、羂索が所持している術式の数や、天使のルーツについても、詳細は不明です。
人気キャラクターのその後の行方
多くの読者が結末に納得できなかった一方で、最終回がハッピーエンドとして描かれたことに救いを感じた読者も少なくありませんでした。
ここでは、最終決戦を生き延びたキャラクターたちのその後について、学習した情報を元に整理します。
東堂葵
渋谷事変で片手を失い、術式「不義遊戯」が使えなくなったと思われていた東堂葵は、「人外魔境新宿決戦」で再登場しました。
失った左腕にビブラスラップを装着することで術式を復活させ、さらにパワーアップした姿で戦いに加わりました。
最終回での直接的な描写はありませんでしたが、彼の活躍は多くの読者に希望を与えました。
パンダ
パンダは戦闘で二つの魂を失いましたが、最終回まで生き残りました。
内包された魂が夜蛾正道の子供の魂ではないかという考察もありましたが、真偽は不明のままです。
一つの魂になってしまったパンダに今後どのような影響があるのか、という点は未だに読者の間で議論されています。
禪院直哉
禪院直哉は、禪院真希との戦いで死亡しましたが、その死に様から呪霊となって再登場しました。
イモムシのような姿に変貌し、再び真希と対峙しましたが、再び敗北しました。
最終回では彼の姿は描かれませんでしたが、その壮絶な結末は彼のキャラクター性を際立たせました。
髙羽史彦
羂索との戦いで死亡したと思われていた髙羽史彦ですが、最終的に生存していたことが判明しました。
相方(羂索によく似た髪型)とネタ合わせをする姿が描かれ、彼の物語はハッピーエンドを迎えました。
回収済みの伏線『呪術廻戦』の物語を彩った伏線がついに明らかに
芥見下々先生による漫画『呪術廻戦』は、連載開始当初から多くの謎や伏線を張り巡らせ、読者の考察を掻き立ててきました。
物語が終盤に差し掛かるにつれ、これまで謎に包まれていたキャラクターたちの背景や、物語の核心をなす設定が次々と明らかになり、読者に大きな驚きを与えました。
記事執筆時点では伏線とされていた謎も多く解明されています。
ここでは、過去に未回収とされていた謎や伏線が、物語の進行とともにどのように解明されていったのかを詳しく解説します。
ついに明かされたキャラクターたちの秘密
物語の重要人物でありながら、その詳細が不明だったキャラクターたちの背景がついに明らかになりました。
乙骨憂太の「現在」と強さの理由
乙骨憂太は、劇場版『呪術廻戦 0』で特級過呪怨霊・祈本里香を解呪し、その呪力の塊を失ったことで、一時的に弱体化したのではないかと考察されていました。
しかし、「死滅回游」編で再登場した乙骨は、その強さが健在であることが判明します。
乙骨は呪具に頼らず、自身の呪力操作で術式を使いこなす訓練を積んでいました。
さらに、里香の呪霊としての形は消えましたが、その愛は呪力として乙骨の元に留まり、特級過呪怨霊・里香と同等の力を、指輪を媒介とした「接続」によって行使していることが明らかになりました。
この「接続」は、愛の呪いそのものであり、0巻で描かれた二人の関係性が、彼の強さの根源となっていることが判明しました。
乙骨の「今」の強さは、紛れもなく彼自身の努力と、里香との強い絆によって支えられていたのです。
呪術界の要、天元の正体
呪術界の均衡を保つ存在である天元は、不死の術式を持ち、500年に一度「星漿体」と同化することで肉体の進化を防ぐ必要がありました。
しかし、物語に本格的に登場したのは「死滅回游」編に入ってからです。
天元は、虎杖悠仁や伏黒恵たちに「死滅回游」の目的を教える役割を担っていましたが、その後、羂索に取り込まれてしまいます。
この展開により、読者の間で囁かれていた天元の裏切り者説は否定されました。
天元が虎杖たちを裏切ったのではなく、あくまでも利用されていたことが明らかになったのです。
天元が結界術に長けていること、そして「死滅回游」の結界が天元の結界をベースに作られていたことから、「死滅回游」を終わらせる権限を持つのは天元本人でした。
この事実は、天元が羂索の計画の重要な駒であったことを示しており、彼の存在が物語の根幹に深く関わっていたことが判明しました。
謎に包まれていた裏梅の正体
両面宿儺の側近として登場した裏梅は、その中性的な容姿と、宿儺に絶対的な忠誠を誓う姿勢から、その正体に多くの謎が残されていました。
平安時代の術師であり、両面宿儺と面識があることが判明していましたが、その詳細な関係は不明でした。
最終的に、裏梅は過去の人間であり、両面宿儺の付き人として千年前に宿儺と行動を共にしていたことが明らかになりました。
裏梅は、両面宿儺に人生を変える機会を与えた人物の一人として、彼の孤独な道に寄り添っていた存在だったのです。
「梅」という名前から、菅原道真や五条家との関連性も考察されていましたが、物語で明言されることはありませんでした。
呪術界の真実が明らかに
キャラクターの謎が解明される一方で、呪術界の真実や、これまで語られてこなかった設定も次々と明らかになりました。
伏黒津美紀の昏睡と結末
伏黒恵の義理の姉である伏黒津美紀は、中学卒業後まもなく原因不明の病で昏睡状態に陥っていました。
八十八橋の呪いが原因かとも思われましたが、呪いを祓っても津美紀は目を覚ますことはありませんでした。
その後、「死滅回游」が始まった際に目覚めた津美紀は、過去の術師・万の受肉体となっていたことが判明します。
津美紀が昏睡状態になった真の原因は、羂索が「死滅回游」の準備を進める中で、術式を持たない津美紀に接触したことで、その呪力に当てられてしまったためでした。
この事実により、津美紀が長期間昏睡していた理由が明確になりました。
しかし、目覚めた津美紀は万の肉体に乗っ取られており、最終的に万は両面宿儺によって殺害されました。
津美紀自身の自我がどうなったのか、その結末は読者の間で議論が続いています。
禪院直哉の壮絶な結末
禪院直哉は、禪院真希との戦いで重症を負い、その後に真希の母親に刺されて死亡しました。
術師が呪力を持たない攻撃で死ぬと呪霊に転じる可能性があるという伏線は、直哉の死によって現実のものとなります。
直哉は、イモムシのようなおぞましい呪霊の姿となって再登場し、再び真希と対峙しました。
その壮絶な結末は、彼の傲慢な性格と、生前の呪いの深さを象徴しているかのようでした。
彼の再登場は多くの読者に衝撃を与えましたが、その結末は物語のダークな側面を際立たせるものでした。
虎杖の身体能力の秘密
主人公・虎杖悠仁の驚異的な身体能力は、連載当初から読者の間で謎とされていました。
砲丸投げの世界記録を大きく上回る記録や、常人離れした身体能力は、天与呪縛によるものかとも考察されていました。
しかし、最終的に彼の身体能力は、両面宿儺の指を取り込んだことによるものであると判明しました。
呪物である宿儺の指を取り込んだことで、虎杖の肉体は呪力に順応し、並外れたフィジカルを手に入れることができたのです。
この伏線は、物語の初期から張られており、虎杖というキャラクターの特異性を決定づける重要な要素でした。
最終回がもたらした議論と今後の展望
『呪術廻戦』の最終回は、連載が終了した今もなお、様々な議論を呼んでいます。
多くの読者が未回収の伏線や謎の解明を望んでおり、それらが今後スピンオフや関連作品で回収されるのではないかという期待が高まっています。
一方で、作品の完成度を損なう恐れがあるため、無理に続編を作るべきではないという慎重な意見も存在します。
最終回が描いた「新しいスタート」は、読者それぞれに今後の物語を想像させる余地を残しました。
『呪術廻戦』という作品が、完結後もなお多くの読者に語り継がれているのは、それだけ多くの人々の心を惹きつけ、物語の結末について考えさせる力があった証拠だと言えるでしょう。
以上、呪術廻戦の未回収伏線と最終回について解説しました。
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