
『キングダム』には数々の壮絶な戦いが描かれてきましたが、合従軍の激戦を乗り越えた秦国で勃発した「屯留(とんりゅう)の反乱」は、多くの読者の心に深く刻まれるエピソードです。
この内乱は、単なる反乱に留まらず、キャラクターたちの成長や、複雑な人間関係、そして歴史の深い部分に触れる物語として描かれています。
今回は、『キングダム』における屯留の反乱について、原作漫画で何巻・何話に収録されているのか、その詳しいあらすじ、そして史実ではどのような出来事だったのかを徹底的に解説していきます。
さらに、多くの読者が涙した感動のシーンにも焦点を当て、その魅力を深掘りしていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
『キングダム』の基本情報
『キングダム』は、原泰久による日本の漫画で、2006年から『週刊ヤングジャンプ』にて連載が始まりました。
2013年には第17回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞し、2025年4月時点で累計発行部数は1億1千万部を突破する大ヒット作となっています。
最新コミックスは2025年3月18日に75巻が発売されました。
物語の舞台は、紀元前の古代中国・春秋戦国時代末期。
「天下の大将軍」を目指す孤児の少年・信と、中華統一を志す若き秦王・嬴政を中心に、激動の時代を生きる人々の群像劇が描かれます。
テレビアニメはNHKで第5シリーズまで放送されており、実写映画も大成功を収めるなど、多岐にわたるメディアミックス展開で人気を博しています。
屯留(とんりゅう)の反乱とは? 原作の収録巻数も解説
秦国が五カ国連合軍との合従軍の戦いを終え、辛くも存亡の危機を脱した直後、国内で発生したのが「屯留の反乱」です。
この反乱は、単なる地方の騒乱ではなく、秦の権力構造の奥深くに根差した陰謀が絡む複雑な事件として描かれています。
原作コミックでの登場巻数とアニメ化
屯留の反乱が描かれているのは、原作コミック34巻の368話「兄弟の今~蕞出陣前~」から、35巻の378話「正義~互いの正義~」までです。
テレビアニメでは、2022年4月から放送が開始された第4シリーズの冒頭エピソードとして描かれ、その詳細な心理描写と迫力あるアクションが話題を呼びました。
反乱の概要
屯留は、かつて趙の領地であり、多くの趙の民が暮らす秦の東北部の重要な拠点です。
合従軍の戦いの後、趙の李牧が「秦に激しい内乱が起きる」と予言した通り、突如として趙軍2万が屯留へ侵攻を開始します。
大戦後の混乱期に趙が再び軍を動かしたことに不審を抱いた嬴政ですが、この趙軍の動きこそが、後に明らかになる大がかりな陰謀の序章でした。
物語は、秦王・嬴政の弟である成蟜が、自身の正妻・瑠衣の故郷でもある屯留へ向かうところから始まります。
彼は趙軍を撃退するために派遣されますが、そこで予期せぬ裏切りと罠に直面することになるのです。
屯留(とんりゅう)の反乱のあらすじ(ネタバレ解説)
ここからは、『キングダム』で描かれた屯留の反乱のあらすじを、詳細なネタバレを交えながら解説していきます。
趙軍の侵攻と秦の困惑
李牧の不穏な予言通り、趙軍2万が秦の東北部にある屯留へ侵攻を開始します。
大戦で疲弊しているはずの趙が再び軍を動かしたことに、嬴政は不審感を抱きます。
屯留はかつて趙の領地だったため、住民が趙に寝返る可能性もあり、秦は速やかに軍を投入する必要がありました。
しかし、王翦、蒙武、桓騎といった主要な将軍たちはそれぞれ別の地域に配置されており、すぐに対応できません。
2万という趙軍の規模を考えれば、将軍級の指揮官でなければ対処は難しい状況でした。
呂不韋の提案と成蟜の出陣
窮地に陥った秦の重臣たちの前で、宰相の呂不韋が、嬴政自らが軍を率いて屯留へ向かうことを提案します。
昌文君はこれに猛反発しますが、他に有効な手段が見つかりません。
そんな中、突如として嬴政の異母弟である成蟜が現れます。
彼は呂不韋の提案を一蹴し、「たった2万の軍勢に大王を出陣させるなど、何か企てでもあるのか」と問い詰めます。
そして、王族である自分が赴けば軍の士気も上がると主張し、屯留への出陣を自ら志願します。
この時、成蟜の正妻である瑠衣が、自身の故郷である屯留に滞在していたことも、成蟜の決断を後押しした要因の一つと考えられます。
屯留での罠と成蟜の拘束
成蟜が屯留に到着すると、2万の趙軍を率いる眛広将軍は、手始めに秦の大輪を陥落させ住民を虐殺します。
しかし、成蟜軍は到着後わずか半日で趙軍を撤退させることに成功します。
あっけない趙軍の撤退に違和感を覚える成蟜のもとに、城主代行を務める蒲鶮が挨拶に現れます。
成蟜が瑠衣の居場所を尋ねると、蒲鶮は豹変し、「今度こそ王座を奪い返しましょう」と成蟜を唆します。
既に兄・嬴政への忠誠心を抱いていた成蟜は、蒲鶮の言葉に乗ることなく瑠衣の居場所を問い詰めます。
しかし、蒲鶮は瑠衣の居場所を明かさず、無礼な態度を取ったため、成蟜は部下の袁夏に蒲鶮を討つよう命じます。
しかし、その袁夏は、同じ成蟜の部下である龍羽に殺害されます。
部下の裏切りに驚愕する成蟜は、いつの間にか蒲鶮の部下たちに取り囲まれ、拘束されてしまうのでした。
蒲鶮は王族を拘束するという大罪を犯し、さらに成蟜の名を騙って軍を結成し、屯留から反乱を起こすという恐ろしい計画を実行に移します。
信と飛信隊の派遣
屯留で成蟜を首謀者とする反乱軍が結成されたという知らせが秦王・政のもとに届くと、首都・咸陽は大騒動に陥ります。
しかし、嬴政は一連の出来事に違和感を覚えます。
合従軍の戦いを終えたばかりの趙が突然屯留に侵攻したこと、そして趙軍があっさりと撤退したことなどを考え、嬴政は成蟜が誰かに陥れられたのではないかと疑念を抱きます。
反乱軍の討伐には壁が大将として率いる討伐軍が派遣されますが、嬴政は戦いの中で正しい状況判断ができ、成蟜を無事に救い出すことができる者が必要だと考えます。
その役目を、嬴政は飛信隊に任せることを決め、信に出動を命じるのでした。
呂不韋の暗躍と成蟜の脱獄
屯留に到着した壁将軍率いる討伐軍と反乱軍の戦いは、撤退したはずの趙軍まで再び現れ、大混戦となります。
しかし、飛信隊が合流したことで、趙軍も反乱軍も撃退に成功します。
河了貂の証言により、戦いの間、一度も成蟜が姿を見せていないことが判明し、嬴政はやはり反乱軍が成蟜の名を騙っており、成蟜が陥れられたことを確信します。
屯留の反乱を主導したのは蒲鶮でしたが、この反乱の真の黒幕は、秦国の宰相である呂不韋でした。
秦国を我が物にしようと企む呂不韋は、王族同士で争わせることを画策し、1年前から蒲鶮を手なずけ、趙軍とも秘密裏に接触していたのです。
この真相に気づいた成蟜は、牢番を説き伏せて脱獄に成功します。
混乱を極める城内で、成蟜がわき目も振らずに向かった場所は、瑠衣が捕らえられている牢獄でした。
駆けつけた成蟜は瑠衣を救い出しますが、この時既に成蟜は腹を刺されており、重傷を負っていました。
成蟜の最期と遺言
蒲鶮が部下を伴って追ってくる中、体力の限界を迎えた成蟜は、外に出て助けを呼べと言って瑠衣を一人で行かせます。
瑠衣は成蟜を助けるために必死で出口に向かい、どうにか飛信隊と出会うことができました。
成蟜の状況を聞いた信は瑠衣と共に駆けつけますが、そこにいたのは蒲鶮の死体と、その傍らに倒れている瀕死の成蟜でした。
瑠衣が必死に呼びかける中、成蟜は最期の力を振り絞り、信に「秦王・政の盾となれ」と政を支えるよう命じます。
そして、愛する瑠衣には、残される成蟜派と共に政に協力してほしいこと、そして「初めて会った時から、お前に惚れている」という心の底からの愛の言葉を遺して息を引き取ります。
この成蟜の壮絶な最期は、多くの読者の涙を誘う感動的なシーンとして語り継がれています。
屯留(とんりゅう)の場所と史実との関連性
『キングダム』で重要な舞台となった屯留ですが、その場所はどこにあり、史実ではどのような出来事があったのでしょうか。
屯留の地理的特徴
屯留は、秦の東北部に位置し、首都・咸陽からは遠く離れた場所です。
『キングダム』作中では、元は趙の領土だったとされており、趙の首都・邯鄲に行くほうが近いという描写があります。
また、屯留は成蟜の正妻である瑠衣の出身地でもありました。
屯留という地名の意味
「屯留」という言葉の意味を紐解くと、「屯」は人々が集まる場所、「留」はその場所にとどまる、という意味合いがあります。
ただし、この地名の具体的な由来については、明確な記録は残っていません。
史実における「成蟜の乱」
『キングダム』で描かれた屯留の反乱は、史実にも実在する「成蟜の乱」を基にしています。
紀元前239年、趙に対して攻撃を行った成蟜は、屯留で蒲鶮の軍勢を率いて反乱(謀反)を起こしたと記録されています。
この反乱に対して秦は討伐を行い、反乱軍は徹底的に鎮圧されました。
首謀者である成蟜は屯留で死亡したとされており、その死因は自殺だったという説もあります。
史実における黒幕
『キングダム』作中では、屯留の反乱の黒幕は呂不韋であったと描かれていますが、史実では王弟である成蟜自身が黒幕とされています。
成蟜自身が王に対して謀反を起こしたという記録が残されていますが、その真の動機や背景については不明な点が多いです。
しかし、王族として王座への強い欲望を抱くのは当然である、という見方も存在します。
『キングダム』では、この史実を巧みに利用し、呂不韋というもう一人の権力者を絡ませることで、物語にさらなる深みとドラマ性を加えています。
屯留(とんりゅう)の反乱における感動シーン
屯留の反乱は、激しい戦いだけでなく、登場人物たちの人間ドラマが色濃く描かれ、多くの感動を生み出しました。
特に読者の心に残った感動シーンをいくつかご紹介します。
成蟜が瑠衣に語りかけた最期の言葉
最も感動的なシーンの一つとして挙げられるのが、死にゆく成蟜が瑠衣に語りかけた最期の言葉です。
これは原作コミック35巻の377話「剣と盾~政の支え~」で描かれています。
蒲鶮との戦いで重傷を負い、瀕死の状態に陥った成蟜は、愛する妻・瑠衣に最後のメッセージを伝えます。
多くの部下が自分から去っていった中でも、変わらず自分の側にいてくれた瑠衣に、成蟜は感謝の想いと、そして「初めて会った時から、お前に惚れている」という、心の底からの愛の言葉を遺しました。
かつては悪逆非道な印象が強かった成蟜が、最期に見せた瑠衣への純粋な愛と、夫としての姿に、多くの読者が涙しました。
このシーンは、成蟜というキャラクターの深い人間性と、彼と瑠衣の間の強い絆を強く印象付けました。
成蟜の死に対する瑠衣の言葉
続いての感動シーンは、成蟜の死後、瑠衣が嬴政に語った言葉です。
これは原作コミック35巻の378話「正義~互いの正義~」で描かれています。
反乱終結後、咸陽にて瑠衣は政に対し、かつては政を憎んでいた成蟜が、政と関わるうちに兄として尊敬の念を抱くようになったと語ります。
そして、「きっと、もっとお話をしたかったと思います」と、兄弟として深く語り合えなかった成蟜の無念と、その背景にある兄弟愛を代弁しました。
瑠衣のこの言葉は、権力争いの中にありながらも、家族としての絆や、人が成長していく尊さを感じさせるシーンとして、読者の心に響きました。
このエピソードを通じて、成蟜というキャラクターは、当初の悪役から、多くの読者から愛される魅力的な人物へと変貌を遂げたと言えるでしょう。
まとめ
『キングダム』における「屯留の反乱」は、王弟・成蟜が起こしたとされる内乱でありながら、その裏には秦の宰相・呂不韋の深い陰謀が隠されていました。
この反乱は、史実にも「成蟜の乱」として記録されていますが、『キングダム』では、そこに作者・原泰久独自の解釈と人間ドラマが加わり、より深みのある物語として描かれています。
特に、命を落とすことになった成蟜が、最愛の妻・瑠衣と交わした最後の言葉は、多くの読者の感動を呼び、彼のキャラクターを決定づける重要なシーンとなりました。
「屯留の反乱」は、秦が中華統一へ向かう道のりの中で、避けては通れない大きな試練であり、登場人物たちの絆や成長が試される重要な転換点でもありました。
テレビアニメ第4シリーズでも描かれ、原作漫画でも高い評価を得ている「屯留の反乱」。
まだこのエピソードを体験していない方も、改めて読み返したい方も、ぜひ成蟜と瑠衣の物語に注目して『キングダム』を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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