
花沢健吾による異色の忍者アクション漫画『アンダーニンジャ』は、戦後も秘密裏に存在する20万人もの現代忍者たちの活躍を描き、そのシュールな世界観と予測不能な展開で多くの読者を魅了しています。
2023年にはテレビアニメが放送され、さらに実写映画化も決定するなど、その勢いはとどまるところを知りません。
本記事では、物語の核となる二大忍者組織NINとUNに所属する忍者たちから、主人公の潜入先である講談高校の生徒、そしてアパートの個性的な住人に至るまで、70人を超える主要登場人物を一挙に紹介します。
また、彼らが所属する組織の目的や、雲隠一族が持つ特殊な能力、そして実写版での設定の違いなど、作品を深く楽しむための専門的な情報と独自の分析を加えて解説していきます。
『アンダーニンジャ』とは?作品概要とシュールな世界観
漫画『アンダーニンジャ』の概要とアニメ化情報
『アンダーニンジャ』は、2018年から「週刊ヤングマガジン」で連載されている花沢健吾の漫画作品です。
現代の日本を舞台に、GHQによって解体されたはずの忍者組織が、姿を変えて存続しているという衝撃的な設定から物語は始まります。
作品の特徴は、忍者という「非日常」を、ニートや高校生という「極めて日常的な設定」と融合させている点にあります。
シュールでギャグ要素も多く、読者からは「大人向けの忍者漫画」として高い評価を得ています。
2021年9月にアニメ化が発表され、2023年に放送されたことで、そのユニークな世界観がさらに広がりを見せました。
20万人の忍者が暗躍する現代:あらすじと物語の導入
戦後、組織を解体された日本の忍者たちは、その後も20万人ともいわれる巨大な集団として秘密裏に活動を続けていました。
精鋭忍者は国家レベルの紛争の裏で暗躍する一方で、主人公・雲隠九郎のような末端の忍者は仕事にあぶれ、ニート同然の生活を送っています。
そんな九郎のもとに、上からの指示で「講談高校へ潜入せよ」という重大な忍務が舞い込みます。
この潜入をきっかけに、九郎は国家転覆を目論む裏の忍者組織UN(アンダーニンジャ)の陰謀に巻き込まれ、壮絶な戦いに身を投じることになります。
物語の導入で描かれるニートと忍者の対比は、現代社会の格差や無常観を反映していると分析する読者も多く、単なるアクション漫画に留まらない深みを作品に与えています。
忍者組織NINとUN:対立する二大勢力
NIN(National Intelligence of NINJA)の構造と末端忍者の実情
NIN、すなわちNational Intelligence of NINJAは、戦後も日本国内で暗躍を続ける表の忍者組織です。
約20万人が所属する巨大組織であり、上忍・中忍・下忍という階級制度が存在します。
組織を統率するのは七人衆という機関で、彼らの中からNINの頭領である果心居士が選出されます。
NINの精鋭たちは秘密裏に暗殺や破壊活動などを行いますが、その巨大さゆえに、九郎のような末端の下忍(ノンキャリ)には仕事が回ってこないという組織の歪みを抱えています。
この「仕事のない忍者」という設定は、現代の非正規雇用やワーキングプアの問題を暗に風刺しているという見方もあります。
UN(Under NINJA)の目的とNINを上回る科学力
UN、すなわちUnder NINJAは、NINから離脱した忍者たちによって組織された裏の忍者組織です。
国家崩壊やNINの撃破を最終目的としており、国家権力とNINの対立を煽り、共倒れを企んでいます。
組織の全容は謎に包まれていますが、所属メンバーはNINの精鋭とも渡り合える猛者ばかりが揃っていることが特徴です。
UNは、偽札製造などで莫大な資産を手にしているだけでなく、NINさえも上回る科学力を所持していることが作中で描かれています。
常軌を逸した兵器、例えば全身を透明化できる摩利支天の特殊潜像迷彩などに酷似した装備や、宇宙兵器「遁」を狙う作戦の立案能力など、その科学力と知略はNINにとって最大の脅威となっています。
UNの行動原理は、NINという「巨大で腐敗した権威」に対する反逆であり、一部の読者からは「自由を求める者たち」として、複雑な共感を呼んでいます。
NIN所属の登場人物:雲隠一族と講談高校潜入組
主人公・雲隠九郎:ニートにして最強のクローン忍者
| 職業 | ニート→高校生(潜入) |
| 役職 | 下忍(ノンキャリ) |
| 所属 | NIN |
| ニンドルネーム | No.9 |
| 特徴 | 無精髭を生やした青年。常に裸足。雲隠虹郎の全ての忍術を継承した「虹郎のクローン」説あり。 |
九郎は、ボサボサの黒髪に無精髭、そして常に裸足という、非常にワイルドで浮世離れした風貌の青年です。
実年齢は24歳でありながら、17歳を自称し、ニート同然の生活を送っていました。
彼の最大の強みは、雲隠一族最強と言われる雲隠虹郎の忍術を全て継承したと言われている点です。
九郎が虹郎のクローンではないかという説が囁かれるほど、その潜在能力は計り知れません。
九郎のプロフィールと「読心術」「ハッタリ」の能力
九郎は、一見するとやる気がなく、無気力に見えますが、その実は嘘が得意で、ハッタリによって敵を翻弄することができます。
さらに、読心術にも長けており、かつての親友である奇跡はもちろん、猫に脳を移植されたしのぶ(猫平)の思考まで完璧に読み取ることができます。
しかし、彼は全国の苗字の多さランキングを異常に気にするという奇妙なコンプレックスを抱えており、「佐藤」や「鈴木」といった上位の苗字に敗北感を感じ、逆に「野辺地」のような極端に珍しい苗字に畏敬の念を抱いています。
マジックテープの財布を持っているものの、中にお金は入っていないなど、「最強の能力と末端の生活感」という強烈なギャップが、九郎のキャラクターを際立たせています。
実写版ではこの苗字を気にする性格がさらに強調され、ユーモラスなリアクションを見せる場面が多いようです。
九郎は、講談高校潜入中にUNの山田美月に敗北し、口内から上顎にかけて切断され死亡するという衝撃的な最期を遂げますが、彼の残した情報(山田の鼻)は後の戦局に大きく影響します。
雲隠一族最強の男・雲隠虹郎(No.7)と雲隠兄弟たち
雲隠一族は、NINの中でも最も優秀な忍者を多数輩出してきた一族です。
その中でも雲隠虹郎(No.7)は、推定年齢32歳で、雲隠兄弟最強の男とされています。
レインボーハウンドやUNキラーなどの異名を持ち、要人警護やNHK(忍者放送協会)の人気番組『おっさんといっしょ』の「殺すお兄さん」役も務めていました。
虹郎は、UNの爆弾兵器に囲まれた際に、加藤に「雲隠一族(NIN所属)が神隠一族(UNと関係)を滅ぼす」と言い残し、生死不明となりますが、その体の一部がロボット化していたことが明らかになり、読者に大きな衝撃を与えました。
雲隠兄弟は、一郎から零まで存在し、「四郎」は不吉として存在しないとされていますが、牢にその名前が彫られていたことから、その真相は謎に包まれています。
次期主人公・雲隠十郎:奔放な性格と「NIN 10KG」の円盤
| 職業 | ニート→? |
| 役職 | 下忍 |
| 所属 | NIN |
| ニンドルネーム | 天(てん) |
| 特徴 | 九郎亡き後の主人公。20歳。九郎以上に奔放で口が悪い。常に「NIN 10KG」の円盤を装着。 |
雲隠十郎は、九郎亡き後の新たな主人公として登場します。
20歳で下忍でありながら、忍者組織NIN最強の男とされており、九郎や虹郎たち一桁台の時代は終わったと公言するほどの自信家です。
性格は九郎以上に奔放で自分勝手であり、暴力で何でも解決しようとし、大野の食べ物を無断で食べたり、初対面のドミニクにカツアゲを仕掛けたりするなど、その問題行動は枚挙にいとまがありません。
常に胸部と背中に「NIN 10KG」と書かれた特徴的な円盤を装着しており、これが相手に触れられると自動的に攻撃する仕組みになっています。
一見脳筋に見えますが、UNがアップロードした映像を猫による撮影だと見抜くなど、高い観察眼も持っています。
九郎や十二郎と違い財布を持ち歩かず、常に金欠であることも、その破天荒な性格を象徴しています。
雲隠十一(くノ一最強の女)と十二郎(情報分析担当)
| 氏名 | 雲隠十一(とくいち) |
| 特徴 | 九郎の妹(16歳)。雲隠兄弟唯一の女性で「くノ一最強の女」。十二郎とは二卵性双生児で、先に生まれたため姉。 |
| 氏名 | 雲隠十二郎(じゅうにろう) |
| 特徴 | 垢抜けない眼鏡の少年(16歳)。雲隠兄弟のなかでは数少ない常識人。「NIN少年上級部隊最強の男」。情報分析が得意。 |
雲隠十一は、九郎の妹にあたる雲隠兄弟唯一の女性で、くノ一最強の女とされています。
十二郎とは二卵性双生児ですが、母親の胎内で十二郎を騙して先に産まれたため姉となり、十二郎からそのことを根に持たれているという、忍者らしからぬユニークな兄弟関係を持っています。
快活な性格でいつもニコニコしていますが、いやらしい言動も多く、そのギャップが魅力となっています。
現在は講談高校襲撃の生存者である野口の身辺警護にあたっています。
雲隠十二郎は、眼鏡をかけた垢抜けない少年で、雲隠兄弟の中では数少ない常識人であり、十郎の問題行動の尻ぬぐいをすることが多いです。
ニンドルネームはJr.(ジュニア)で、NIN少年上級部隊最強の男とされています。
自室に6台のモニターを設置し、情報分析を得意としており、十郎に山田の脅威性を伝えるなど、知略面で組織を支える重要な役割を担っています。
講談高校潜入任務メンバー
キャリア組の中忍・加藤:九郎への指示と裏切り
| 職業 | 宅配便「志能便」の配達員 |
| 役職 | 中忍(キャリア) |
| 所属 | 元NIN→UNへ寝返り |
| 特徴 | 九郎に任務を与える。冷静に見えるが苛烈な性格。戦闘力は上位クラス。 |
加藤は、九郎に講談高校潜入の指示を与えた中忍(キャリア)で、役職は副隊長です。
普段は宅配便「志能便」の配達員として勤務しており、眼鏡をかけた地味な青年ですが、憂さ晴らしにアポ電強盗を殺害するなど、獰猛で苛烈な本性を隠し持っています。
NINの七人衆に絶望し、最終的には佐々魔の提案でUN側に寝返り、処刑の場である『おっさんといっしょ』を爆破して、五十嵐と共に姿をくらまします。
この「キャリア組の裏切り」は、NINという組織の末期的な腐敗を象徴していると分析する見方が多いです。
九郎の旧友・日比奇跡:落雷による落第と因縁
| 職業 | 高校生(潜入) |
| 役職 | 下忍 |
| 所属 | NIN |
| 特徴 | 九郎の旧友。「サンダー日比」の異名を持つ元不良。韻の踏み方が微妙なラップを繰り出す。 |
日比奇跡は、九郎と同じく講談高校に潜入している下忍で、九郎の忍者学校時代の友人でした。
かつて練馬区のヤンキー全員をしめた伝説の不良で、「サンダー日比」という異名を持ちます。
卒業試験で九郎の策にハマり、落雷を受けて落第したため、顔の右側にリヒテンベルク図形という傷跡が残っており、九郎に対して恨みを持っているようです。
しかし、九郎を恨みながらも、九郎本人に対しては気遣いを見せるなど、その複雑な感情が読者の間で考察の的となっています。
戦闘時には耐電体質を利用し、電撃パーカーを身につけて戦います。
くノ一・鈴木:編集者としての顔と「若者の匂い」への苦手意識
| 職業 | 書籍編集者/高校生(潜入) |
| 役職 | 下忍→忍長 |
| 所属 | NIN |
| 特徴 | 吉田昭和の担当編集者。金髪が地毛のくノ一。男性の加齢臭が性癖。 |
鈴木は、講談高校潜入任務に参加したくノ一で、その裏では歴史小説家・吉田昭和の担当編集者を務めています。
金髪が特徴の美しい女性でありながら、ハイレベルな戦闘技術と辛辣な性格を兼ね備えています。
彼女の個性として最も特徴的なのは、若者の匂いが苦手で、講談高校では常に白マスクをしている一方で、男性の加齢臭が性癖であるという点です。
吉田や担任の加齢臭を気に入っている描写から、その性癖の特異性が、忍者という非日常的な存在と結びつき、彼女のキャラクターを一層魅力的にしています。
九郎は名字ランキングで彼女に敗北感を感じていました。
NIN七人衆の孫・蜂谷紫音:腹話術と房中術の使い手
| 職業 | 高校生(潜入) |
| 役職 | 下忍 |
| 所属 | NIN |
| 特徴 | ゆるふわ系の見た目。クマのぬいぐるみを所持。NIN最高幹部七人衆トップ・多羅の孫。 |
蜂谷紫音は、ゆるふわ系の見た目と、常に持ち歩くクマのぬいぐるみが特徴的な下忍です。
本人は快活な性格ですが、ぬいぐるみを介した腹話術で暴言やセクハラまがいの言葉を吐くという、二面性を持っています。
さらに、敵の女性を戯術(第二種房中術、色仕掛け)で懐柔するなど、したたかな一面も持ち合わせています。
彼は小津の弟子であると同時に、NIN最高幹部七人衆のトップである多羅の孫という、極めて重要な血筋を持っています。
これは、NIN内部の権力闘争において、彼が重要な駒であることを示唆しており、後の展開における彼の役割に注目が集まっています。
NINの中堅・上級忍者たち
降忍(こうにん)した元一等忍尉・佐々魔:奇行の裏に隠された正体
| 職業 | 浮浪者 |
| 役職 | 元一等忍尉→下忍 |
| 所属 | 元NIN→UNと関係 |
| 特徴 | 浮浪者の風貌だが、その正体は女性。髪の毛の中に小鳥を飼っている。UNへの寝返りを加藤に促した。 |
佐々魔は、浮浪者の中年男性のような風貌をしていますが、その正体は女性であり、その変装は忍研が開発した摩利支天のβ版装備によるものです。
元は一等忍尉という高位の忍者でしたが、何らかの忍務のために降忍し、現在は下忍として活動しています。
母乳を飲ませようとしたり、髪の毛の中に小鳥を飼っていたりと奇行が目立ちますが、加藤や小津の元隊長であり、鈴木の師でもあるという、NIN内部での影響力は絶大です。
UNと何かしらの関係を持っており、投獄された加藤にUNへ寝返るよう促したことから、彼女がNIN内部の崩壊に深く関与していると考察されています。
情報統制担当・小津:平の弟子・日比乱乱と師弟関係
| 職業 | 練馬区役所の職員 |
| 役職 | 中忍(准忍尉) |
| 所属 | NIN |
| 特徴 | 蜂谷の師匠。情報統制を担当し、有事の際の情報隠蔽を指示。目がとても良いが、普段は眼鏡で視力を落としている。 |
小津は、蜂谷の師匠にあたる中忍で、普段は練馬区役所の職員として勤務しています。
NINでの役割は有事の際の情報統制であり、講談高校が遁で空爆された際にも、部下に隠蔽を指示するなど、組織のイメージ管理を担っています。
その服装は、短い短パンに無数のストラップをつけた携帯など、非常に目立つものであり、走ると「プリン、プリン」という効果音がつくなど、キャラクターとしてのユニークさが際立っています。
目がとても良いにもかかわらず、普段は眼鏡をかけて視力を落としているという設定は、「情報を操る者」としての彼のキャラクターをより深くしています。
スキンヘッドの中忍・平と鬼首:乱乱との確執
| 氏名 | 平(たいら) |
| 特徴 | 日比奇跡の師匠。スキンヘッドの中忍。ハイテクを信用せず「五色マッチ」で指令を受ける。想定外のことに遭遇すると尋常じゃない量の汗をかく。 |
| 氏名 | 鬼首(おにこうべ) |
| 特徴 | 加藤の部下。海外で忍務に従事。刀とステルス迷彩を使用。シリアルキラーと呼ばれるほどの高い実力を持つ。 |
平は、日比奇跡の師匠であり、スキンヘッドの中忍です。
ハイテクを信用できないと言い切り、指令を「五色マッチ」で受けるという、旧時代的な価値観を持つ忍者です。
想定外のことが起こると尋常ではない量の汗をかくという特徴があり、その動揺が読者に彼の心境を伝える役割を果たしています。
鬼首は、加藤の部下で、「摩利支天3.5 特殊静電潜像迷彩10式」というステルス迷彩を使用するシリアルキラーと呼ばれるほどの実力を持つくノ一です。
彼女は後輩である日比乱乱の左目を潰した過去があり、乱乱から強い恨みを抱かれています。
この鬼首と乱乱の確執は、講談高校襲撃において乱乱が意図的に情報を共有しなかった結果、鬼首が猿田に殺害されるという悲劇的な結末につながり、NIN内部の人間関係の闇を象徴しています。
忍研の分析官・日比乱乱と小峠:首席卒業者の対立
| 氏名 | 日比乱乱(ひび らんらん) |
| 特徴 | 平の部下。ゴスロリ風の女性。忍大学校を首席で卒業した分析官。鬼首に左目を潰され恨んでいる。「忍研一のヤリマン」と呼ばれ、本人はまんざらでもない。 |
| 氏名 | 小峠(ことうげ) |
| 特徴 | 小津の部下。区役所勤務。乱乱と同じく忍大学校を首席で卒業。情報分析や戦略面で小津よりも優秀。乱乱のことが嫌い。 |
日比乱乱は、平の部下のゴスロリ風の女性で、忍大学校を首席で卒業した優秀な分析官です。
鬼首への恨みから、鬼首の死を招く非情な行動をとるなど、その外見からは想像できない冷酷さを秘めています。
鈴木からは「忍研一のヤリマン」と呼ばれていますが、本人はそれを否定しないという、性の奔放さも持ち合わせています。
小峠は、小津の部下で、乱乱と同じく忍大学校を首席で卒業した理知的な女性です。
情報分析や戦略面で上司の小津よりもはるかに優秀であり、UNの中心人物の居場所を探る道筋を立てるなど、NINの頭脳の一端を担っています。
しかし、乱乱のことが嫌いで、彼女に褒められても無視するなど、優秀な者同士の対立が組織内部にも存在していることが描かれています。
UN所属の主要登場人物:NINへの復讐者たち
講談高校の美少女・山田美月: UNの猛者としての戦闘力
| 職業 | 高校生 |
| 役職 | 不明 |
| 所属 | UN |
| 特徴 | 学校でもトップクラスの美少女。戦闘時は筋骨隆々になる。幼少期から殺し合いを生き残った猛者。 |
山田美月は、講談高校でトップクラスの美しさを誇る美少女ですが、その正体はUNに所属する戦闘マシーンです。
瑛太からは「誰にでも分け隔てなく接する完璧な人物」と憧れられていますが、実際は鼻くそをほじって食べるなど、ズレた言動が目立つ変わり者です。
幼少期から幽閉され、殺し合いをするという過酷な環境を生き残ってきた猛者であり、戦闘時には筋骨隆々となり、その戦闘能力は極めて高いです。
九郎との決戦では、九郎に鼻を削がれるも、彼の摩利支天の弱点を突き、九郎の命を奪うという大功績を残しました。
その強さから戦闘狂としての側面も持ち合わせており、自分よりも強い宗主の可能性を見出した際には、頬を赤らめて高揚するという異常な一面も見せています。
抜け忍・猿田:講談高校襲撃と房中術への恨み
| 職業 | 抜け忍 |
| 役職 | 不明 |
| 所属 | 元NIN→UN |
| 特徴 | 卑屈そうな顔。自分の忍力を出し切れず老いるのが嫌でNINから脱走。房中術で弄ばれた恨みから、鬼首と鈴木を標的にする。 |
猿田は、自分の忍力を出し切れずに老いていくのが嫌でNINから脱走し、UNに捕まった抜け忍です。
UNに「単独での講談高校襲撃」という散るにふさわしい戦場を用意され、鬼首と互角に渡り合うほどの高い戦闘能力を見せつけます。
彼は忍者学校時代、房中術で自分たちを弄んだ鈴木と鬼首のことを強く恨んでおり、講談高校襲撃ではその雪辱を果たすことを目的にしていました。
最終的に鬼首と刺し違える形で致命傷を負いますが、彼の行動はUNの作戦を大きく前進させました。
猿田が鬼首の命を奪った背景には、NIN内部の「房中術という特殊な教育」が生み出した「人間の恨み」が深く関わっていると分析する読者が多いです。
学校一のモテ男・桐生:宇宙任務と壮絶な最期
| 職業 | 高校生 |
| 役職 | 不明 |
| 所属 | UN |
| 特徴 | 講談高校の「学校一のモテ男」。UNの忍者で、宇宙の兵器「遁」からNINの全個人情報データを抜き取ることに成功。 |
桐生は、講談高校の「学校一のモテ男」として登場し、部活を辞めるだけでニュースになるほどの人気を誇っていましたが、その正体はUNの忍者でした。
彼は講談高校襲撃と同日、某国の小型ロケットに乗り込み、衛星軌道上のNINの兵器「遁」に潜入するという極めて困難な宇宙任務を遂行します。
NINの全個人情報データを抜き取ることに成功し、UNに反撃の機会を与えるという絶大な功績を残しました。
遁の自爆に巻き込まれ、その後の生死は不明とされていますが、彼の自己犠牲的な行動は、UNの忍者たちの使命感の高さを象徴しています。
桐生の物語は、「日常に潜む非日常」というテーマを最も効果的に表現したエピソードの一つと評価されています。
UNのリーダー格たち:宗主、禍山、リーダー、タザキ
| 氏名 | 宗主(そうしゅ) |
| 特徴 | 髪の毛を後頭部で縛った美青年。瞬間移動のような技の使い手。山田美月が自分より強いのではないかと期待している。 |
| 氏名 | 禍山(まがやま) |
| 特徴 | 小太りの男性。独り言が多く、優しい性格。UNでは主に戦略参謀と晩飯を担当。 |
| 氏名 | リーダー |
| 特徴 | 名前不明。UNのリーダー的存在。肩まで伸びた長髪。ピアノを弾いているが絶望的に下手。無口。 |
| 氏名 | タザキ |
| 特徴 | フード付きのマント。ギョロ目の男。空中浮遊のような技の使い手。カルト教団を作るのが理想。 |
UNの組織図の全貌は不明ですが、彼らはUNを牽引するリーダー格の存在です。
宗主は、瞬間移動のような技の使い手で、山田美月が自分より強いのではないかと期待を寄せるほどの実力者であると推測されます。
禍山は、UNの戦略参謀を務めながら、晩飯の担当も兼ねるという、組織の知略と生活の両面を支えるキーパーソンです。
彼は優しい性格である一方、リーダーのピアノの腕やタザキの理想を辛辣に一刀両断するなど、厳しい一面も持っています。
リーダーは名前が不明ですが、UNの事実上の指導者であると考えられています。
タザキは、空中浮遊のような技の使い手で、その能力を用いてカルト教団を作るのが理想という、野心的な目標を持っています。
彼らが織りなすシュールな日常の会話と、NINを圧倒する冷酷な作戦とのギャップが、UNという組織の異質さを際立たせています。
九郎を取り巻く人々:アパートの住人と一般人
アパートの住人:川戸(イメクラ嬢)と大野(隣人)の秘密
| 氏名 | 川戸愛(かわど あい) |
| 特徴 | 九郎と同じアパートに住む美人。イメクラ嬢。ズボラで常に酒を飲む。九郎の母親役を演じる。忍災で両親を失った過去を持つ。 |
| 氏名 | 大野(おおの) |
| 特徴 | 九郎の隣人。前歯が一本ない中年男性。九郎にビールを飲まれたり、カツアゲされたり、所持品を勝手に使われたりする。川戸の下着を盗み着用している。 |
九郎の住むアパートの住人である川戸愛と大野は、物語の日常パートを彩る重要なキャラクターです。
川戸は、黒髪ショートの美人なイメクラ嬢で、九郎に無理を言ったり、窓全開で下着を干すズボラな性格です。
彼女は忍災で両親を失った過去を持ち、この出来事が彼女を非日常の出来事に耐性を持つ人間にしたと考えられます。
九郎の母親役を演じるなど、彼のニート生活を支える「裏の家族」のような存在です。
大野は、九郎と押し入れで繋がった部屋に住む中年男性で、九郎に私物を勝手に使われるなど、散々な目にあっています。
彼の「奥さん強力マン力号」の電池が九郎の任務遂行用の装備に使われるなど、彼の日常のものが非日常の戦いに利用されるという構図は、作品のシュールさを際立たせています。
彼ら一般人は、九郎たち雲隠兄弟に関する記憶が曖昧になるように催眠術がかけられている可能性が高く、この世界の「忍者の秘密」を守るための組織的な操作が示唆されています。
猫の姿の元忍者・しのぶ(猫平)と人工知能バイク・テオ
| 氏名 | しのぶ(猫平) |
| 特徴 | 九郎のアパートに住み着く猫。元は猫平という名の忍者。忍研に脳を猫に移植され、後頭部に縫い目がある。両目がカメラ機能付きの義眼。 |
| 氏名 | テオ |
| 特徴 | イタリア製の人工知能搭載自立型バイク。女好きでフランクな口調。男は跨らせない主義。 |
しのぶは、九郎のアパートに住み着く猫ですが、その正体は猫平(ねこひら)という名の元忍者です。
『おっさんといっしょ』に出演させられた後、忍研によって脳を猫に移植され、両目がカメラ機能付きの義眼になっています。
彼は人間だった頃から無類の猫好きで、独自に猫語を開発していたという設定があり、その猫への執着が、彼を猫にするという残酷な実験に繋がったと推測されます。
彼の撮影した講談高校倒壊の様子がUN側からネット上にアップロードされたことから、彼がUN側の活動に意図せず貢献してしまったことがわかります。
テオは、イタリア製の人工知能搭載自立型バイクで、廃棄予定だったものを九郎が引き取りました。
フランクな口調でしゃべり、女好きという人間臭いAIであり、その存在は物語にコミカルな要素を加えています。
講談高校の生徒:瑛太、野口、佐藤と悲劇の犠牲者たち
| 氏名 | 瑛太(えいた) |
| 特徴 | コーポ村山に住む高校生。おかっぱ頭で陰気な性格。カースト上位にいじめられていた。九郎の護衛により登校を決意。 |
| 氏名 | 野口(のぐち) |
| 特徴 | 九郎のクラスメイト。ギャルっぽい見た目。九郎に「お漏らし」の掃除を進んで行うなど面倒見が良い。十一に警護されている。 |
| 氏名 | 佐藤(さとう) |
| 特徴 | 九郎の隣の席。長い黒髪。オカルト好きでカメラを常に持ち歩く。九郎の名字ランキングで上位の相手。 |
九郎の潜入先である講談高校には、忍者組織の関係者だけでなく、多くの一般生徒が登場します。
瑛太は、学校でいじめを受け、不登校になっていた生徒で、九郎の護衛により登校を決意します。
彼は山田美月に憧れていましたが、結果的に忍者たちの争いに巻き込まれるという悲劇的な運命を辿ります。
野口は、ギャルっぽい見た目ですが、九郎の「お漏らし」を掃除しようとするなど、面倒見のいい一面を持つ女性です。
九郎が死亡した後、十一の警護を受けていることから、彼女が忍者の世界を垣間見てしまった数少ない生存者であることがわかります。
佐藤は、九郎の隣の席で、九郎が上半身を透明化して歩いているのを目撃するなど、オカルト的な事象に遭遇することが多い生徒です。
講談高校襲撃では、東(猿田に首を切断された)、担任、教師、デブ竹など、多くの一般生徒や教員が惨たらしい最期を遂げており、これは「日常の空間が一瞬で戦場と化す」という、この作品の冷酷なリアリティを際立たせています。
講談高校の番人・順風耳(じゅんぷうじ):三大組織の聖域を守る者
| 職業 | 講談高校の主事 |
| 役職 | 番人 |
| 所属 | 国家・UN・NINとつながりあり |
| 特徴 | 順風耳の使い手。戦後のNINとUNの戦いの唯一の生存者。生徒を地下から脱出させた。 |
順風耳は、講談高校の主事を務める老人で、その名の通り順風耳の使い手です。
その正体は、国家・UN・NINという三大組織の聖域である講談高校の「番人」であり、どの組織とも曖昧な立場で墓守として生かされていました。
彼は戦後のNINとUNの戦いの唯一の生存者であり、その存在自体が忍者社会の暗い歴史を物語っています。
講談高校襲撃当日、彼は消火器や黒板消しクリーナーを通じて、鈴木、野口、佐藤の三人を地下から郊外へ脱出させるという重要な役割を果たしました。
実写版では、九郎に武器を呼び出す指輪を渡すなど、タバコ屋のオヤジの役割も一部担っています。
忍者と関わる一般人:吉田昭和(歴史小説家)と純粋愛
| 氏名 | 吉田昭和(よしだ あきかず) |
| 特徴 | 歴史小説家。「落武者のおっちゃん」と呼ばれる。枕元に忍者が訪れ、忍務の話を聞き小説化している。鈴木の担当作家。 |
| 氏名 | 純粋愛(じゅんな) |
| 特徴 | アパート「コーポ村山」に住む小学生。義父から虐待を受けていたが、アレクセイとの一件で虐待は収まる。 |
吉田昭和は、コーポ村山に住む歴史小説家で、「落武者のおっちゃん」の風貌をしています。
彼のユニークな点は、夜中に忍者が訪れては忍務の話を聞かせ、それを元に小説を出版しているという点です。
彼は、忍者組織のプロパガンダに意図せず加担している人物であり、彼の小説が逆に他の忍者を呼び寄せるという負の連鎖を生み出しています。
純粋愛は、コーポ村山に住む小学生で、義父から虐待を受けていましたが、アレクセイとの一件で事態が改善しました。
彼女は、忍者ではないものの、アレクセイという外国人の忍者組織のメンバーと交流を持つなど、非日常の出来事に巻き込まれています。
まとめ
『アンダーニンジャ』は、雲隠九郎を中心としたNINの活動を描きながら、その裏で暗躍するUNの陰謀、そして講談高校という日常の舞台に潜む非日常の恐怖を鮮烈に描いた作品です。
ニートでありながら最強のクローン説が囁かれる九郎、そしてその後に登場する奔放な十郎という個性的な主人公たちを中心に、キャリア組の裏切り(加藤、佐々魔)や、房中術の恨み(猿田、鬼首、鈴木)、そして自己犠牲の宇宙任務(桐生)など、組織の内部構造や人間の愛憎が複雑に絡み合った人間ドラマが展開されています。
特に、山田美月や桐生といったUNの優秀な忍者たちの存在は、NINという巨大組織の腐敗と硬直化を浮き彫りにし、読者に「どちらが正義なのか」という根源的な問いを投げかけています。
講談高校襲撃という大事件を経て、九郎から十郎へと主人公のバトンが渡された物語は、NINとUNの戦いが情報戦、科学力、そして個人の怨念が交錯する、より深いステージへと移行したことを示しています。
今後、UNの宗主やリーダー格がどのような戦略でNINを追い詰めるのか、そして雲隠兄弟がこの現代忍者社会をどのように変えていくのか、その動向から目が離せません。
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