
VRMMORPG「ユグドラシル」の魔法体系がベースとなっている『オーバーロード』の世界において、異質な存在として描かれるのが「始原の魔法(ワイルドマジック)」です。
この魔法は、ユグドラシルから転移してきたアインズ・ウール・ゴウンが使用する「位階魔法」とは全く異なる体系に属し、その強さはワールドアイテムに匹敵するとまで言われています。
本記事では、500年以上前に存在していたとされるこの古の魔法について、その特性や効果を深く掘り下げます。
また、始原の魔法を操る「真なる竜王」と呼ばれるキャラクターたち、特に最強の竜王とされるツァインドルクス=ヴァイシオンの正体や、魂を消費するという究極の代償についても考察していきます。
始原の魔法の不明点が多いからこそ、その謎に迫り、ワールドアイテムとの絶対的な関係性についても解説します。
オーバーロードの作品情報
始原の魔法という作品の根幹に関わる魔法を理解するために、まずは『オーバーロード』の概要をおさらいしましょう。
オーバーロードの概要
『オーバーロード』は、丸山くがねによるライトノベル作品で、2012年にKADOKAWAから刊行が始まりました。
魔王のようなキャラクターを主人公にしたアンチヒーロー作品という独自の視点が人気を博しています。
元々は小説投稿サイト「Arcadia」や「小説家になろう」で連載されていた同名作品を原作としています。
これまでにテレビアニメは第4期まで放送され、さらに「聖王国編」の完全新作アニメ映画の制作もされており、その人気は留まるところを知りません。
オーバーロードのあらすじ
物語の主人公は、VRMMORPG「ユグドラシル」のプレイヤーだったモモンガです。
彼は、サービス終了を迎えたギルド「アインズ・ウール・ゴウン」で最後の時を待っていましたが、サービス終了後も強制ログアウトされることなく、自身のアバターであるアンデッドの姿で異世界に転移してしまいます。
転移先の異世界では、ゲーム内のNPCたちが自らの意思を持って動き出します。
モモンガは、自らの名前を「アインズ・ウール・ゴウン」に変え、ギルドの情報を広めること、そして転移した異世界の秘密や、他のプレイヤーの痕跡を探るため、世界征服に乗り出すのでした。
この世界には、ユグドラシルのシステムに基づかない独自の魔法体系が存在しており、その最たるものが始原の魔法です。
始原の魔法(ワイルドマジック)とは?
始原の魔法は、アインズの位階魔法とは一線を画す、この異世界に古くから伝わる魔法です。
古の魔法、魂の魔法
始原の魔法(ワイルドマジック)は、500年以上前に存在していた古の魔法であり、別名「魂の魔法」とも呼ばれています。
この魔法は、「八欲王」が世界にやってきて、ユグドラシルの「位階魔法」を広めるまで、この世界で最上位の魔法として存在していました。
始原の魔法は、その強さから、ワールドアイテムに匹敵し、あるいは「聖者殺しの槍(ロンギヌス)」のような強力なアイテムに匹敵するほどの効果を発揮するとされています。
この魔法が使えるかどうかは、スレイン法国において「真なる竜王」の基準となっており、この世界でいかに特別な存在であるかを物語っています。
始原の魔法の製作品と使用者の限定性
『オーバーロード』の世界には、始原の魔法で作られたとされる強力なアイテムが数多く存在しています。
しかし、この魔法は、基本的に竜王(ドラゴンロード)、または特別なタレントの持ち主しか使用することができません。
作中に登場する始原の魔法の使用者は、例外なく「竜王」の名を冠しており、位階魔法のようにレベルを上げるだけでは習得できない、種族に限定された魔法となっています。
このため、「習得不可能な魔法」と言われており、世界に使用者がほとんどいない極めて希少な魔法です。
オーバーロードの始原の魔法の使用者のキャラ
始原の魔法を操る竜王(ドラゴンロード)は、この世界の隠された強者たちです。ここでは、作中に登場する主な使用者たちを紹介します。
使用者のキャラ① ツァインドルクス=ヴァイシオン:白金の竜王
始原の魔法の使用者の中で、特に有名なのがツァインドルクス=ヴァイシオンです。
| 通称 | 白金の竜王、ツアー |
| 正体 | 竜帝の子、アーグランド評議国永久評議員 |
| 過去の活動 | 十三英雄の一人「白銀(リク・アガネイア)」 |
| 保有能力 | 始原の魔法、ドラゴン専用クラス、ギルド武器 |
ツァインドルクス=ヴァイシオンは、「世界最強の竜王」の一角に数えられており、通称「ツアー」と呼ばれています。
彼は、アーグランド評議国の永久評議員を務めていますが、その正体は、過去にこの世界で活躍した伝説の英雄集団「十三英雄」の一人、「白銀」ことリク・アガネイアでもあります。
彼は、始原の魔法に加え、ドラゴン専用のクラスや、過去に他のプレイヤーから奪い取ったギルド武器といった強力な戦力を保有しています。
作中では、リク・アガネイアと名乗り、偽物のアインズと一騎打ちを行いました。
アインズ(プレイヤー)が転移してくる以前の世界で、ユグドラシルのシステムを持つプレイヤーの脅威と戦い続けてきた経験豊富な竜王です。
使用者のキャラ② ドラウディロン・オーリウクルス:竜王国の女王
2人目に紹介するのは、竜王国の女王であるドラウディロン・オーリウクルスです。
| 通称 | 黒鱗の竜王 |
| 正体 | 竜王国の女王 |
| 血縁 | ブライトネスドラゴンロードの血縁者 |
| 始原の魔法 | 他者の魂を犠牲にするタイプの魔法 |
| 戦闘能力 | 通常の人間並み |
ドラウディロン・オーリウクルスは、「黒鱗の竜王」と呼ばれていますが、厳密にはブライトネスドラゴンロードの血縁者であり、その血筋によって始原の魔法を使うタレントを持っています。
彼女の始原の魔法は、他者の魂を犠牲にする必要があるという、究極の代償を伴います。
一度の使用で百万人の魂を消費するという設定は、その魔法の恐るべき規模と代償の重さを示しています。
しかし、彼女自身の戦闘能力は通常の人間並みと評価されており、「始原の魔法」の使い手でありながら、戦闘力は一般人レベルという、異質なバランスを持ったキャラクターです。
使用者のキャラ③ キュアイーリム=ロスマルヴァー:朽棺の竜王
3人目に紹介するのは、外伝『亡国の吸血姫』に登場するキュアイーリム=ロスマルヴァーです。
| 通称 | 朽棺の竜王 |
| 登場作品 | 外伝『亡国の吸血姫』 |
| 使用魔法 | 滅魂の吐息(始原の魔法) |
| 強さ | ワールドアイテム「聖者殺しの槍(ロンギヌス)」に匹敵 |
| 使用回数制限 | 3回(それ以上で普通のゾンビになる) |
キュアイーリム=ロスマルヴァーは、「朽棺の竜王」と呼ばれ、「滅魂の吐息」という始原の魔法を使用します。
この魔法は、ワールドアイテムの「聖者殺しの槍(ロンギヌス)」に匹敵するほどの強さを持つとされており、彼を作中最強キャラの一人に数えさせています。
しかし、この強すぎる魔法には致命的なリスクがあります。
「滅魂の吐息」は3回しか使用できず、もしそれ以上使えば、彼は普通のゾンビになってしまうという制限が設けられています。
この設定は、始原の魔法の圧倒的な強さと、それに伴う究極の代償を象徴しています。
オーバーロードの始原の魔法の特性や効果
始原の魔法が位階魔法とどのように異なり、なぜこれほどまでに恐れられているのか、その特性と効果を詳細に分析します。
特性や効果① 魂を消費する
ユグドラシルのシステムに基づいた位階魔法が、使用者の魔力(MP)を消費するのに対し、始原の魔法は、その根源として使用者の魂を消費します。
特に強力な始原の魔法は、使用者の魂を大量に消費するため、位階魔法のように連発することができません。
前述の朽棺の竜王が「滅魂の吐息」を3回しか使えないように、魂というリソースに依存している点が、始原の魔法の最大の特性であり、限界でもあります。
この「魂を消費する」という設定から、始原の魔法が「世界を構成する根源的な力」と結びついている可能性が示唆されており、単なるゲームシステム上の魔法ではない、異世界の真の魔法として描かれています。
特性や効果② 位階魔法の習得ができない
始原の魔法を使用できる竜王や特別なタレントの持ち主は、通常、位階魔法を習得することができません。
これは、両方の魔法体系が互いに排他的な性質を持っているためと考えられます。
始原の魔法は魂を消費し、位階魔法は魔力を消費するという根本的な違いが、この習得の壁を生み出していると推測されます。
そのため、始原の魔法の使い手は、自らの魂を消費し続けるというリスクの高い戦い方しか選択肢がありませんでした。
ただし、例外として、アンデッド化した竜王は、アンデッドという種族特性により、位階魔法の習得が可能となっています。
これは、位階魔法のシステムとアンデッドの種族特性が、魂の消費という制約を回避できることを意味しており、アインズの存在やアンデッドの竜王の登場が、この世界の魔法体系に大きな変化をもたらす可能性を示しています。
特性や効果③ ワールドコネクターというクラスを修得する
始原の魔法の使用者、特に竜王は、例外なく「ワールドコネクター」というクラスを習得しています。
| クラス名 | ワールドコネクター |
| 習得者 | 始原の魔法の使用者(竜王など) |
| 役割 | 始原の魔法の使用に不可欠と推測される |
| 詳細 | クラスの具体的な効果は一切判明していない |
残念ながら、ワールドコネクターがどのようなクラスなのか、その具体的な効果は作中で一切判明していません。
しかし、始原の魔法の使用者が全員習得しているという事実から、このクラスは始原の魔法を使用する上で欠かせないクラス、あるいは始原の魔法を使用できる種族に自動付与されるクラスであると考えられます。
このクラス名が示す通り、「世界(ワールド)と接続(コネクト)する」役割を持っており、魂を世界に干渉させる始原の魔法の根源的な仕組みに関わっていると推測されます。
始原の魔法とワールドアイテムの絶対的な関係
始原の魔法は、作中最強クラスの魔法とされていますが、その最大の特性と最大の弱点は、ワールドアイテムとの関係性にあります。
特性や効果④ ワールドアイテムを持っている者は抵抗できる
始原の魔法は、その圧倒的な威力から、誰も防ぐことが出来ないと考えられています。
しかし、ワールドアイテムの保持者は、始原の魔法を完全に無効化することが可能です。
これは、ワールドアイテムが、ゲームの世界観を超越した「世界そのもの」の力が具現化したものであるため、位階魔法だけでなく、始原の魔法という異世界の根源的な魔法に対しても絶対的な抵抗力を持つためです。
外伝『亡国の吸血姫』では、朽棺の竜王が放った「滅魂の吐息」が、鈴木悟が持っていたワールドアイテム「モモンガ玉」によって無効化されるという、決定的な場面が描かれました。
この事実は、始原の魔法とワールドアイテムが、この世界の最強の矛と最強の盾の関係にあることを明確に示しています。
特性や効果⑤ ワールドアイテムの効果を受けない
逆に、始原の魔法の使用者は、ワールドアイテムの効果を無効化することが可能とされています。
スレイン法国は、始原の魔法の使用者について、ワールドアイテムが通用しない存在だと語っています。
始原の魔法の使い手がワールドコネクターというクラスを持つことからも、彼らが世界そのものと繋がっており、ワールドアイテムの持つ世界への強制的な干渉に対して、ある程度の抵抗力を持っていると解釈できます。
この「ワールドアイテムには始原の魔法が効かないが、始原の魔法の使用者にはワールドアイテムが通用しない」という矛盾したような関係性こそが、オーバーロードの世界の魔法体系の複雑さと奥深さを形成しているのです。
この設定があるからこそ、アインズと竜王たちの戦いは、「ワールドアイテムを持つ者」と「始原の魔法を持つ者」という、ゲームシステムと異世界固有の力との究極の代理戦争として描かれることになり、読者の関心を集めています。
オーバーロードの始原の魔法まとめ
本記事では、「魂の魔法」とも呼ばれる始原の魔法(ワイルドマジック)について、その使用者のキャラクターや特性、そしてワールドアイテムとの絶対的な関係性を解説しました。
始原の魔法は、竜王(ドラゴンロード)が操る古の魔法であり、その強さはワールドアイテムに匹敵しますが、魂を消費するという究極の代償が伴います。
白金の竜王ツァインドルクス=ヴァイシオンをはじめとする竜王たちは、この魔法とワールドコネクターという謎のクラスによって、位階魔法を操るアインズやナザリックの脅威に対抗し続けてきました。
始原の魔法とワールドアイテムが互いの効果を打ち消し合うという設定は、この世界が「ユグドラシル」のシステムと「異世界固有の力」の二つの最強の法則によって成り立っていることを示しています。
未だに不明点が多い始原の魔法ですが、作中でのツァインドルクス=ヴァイシオンの登場などにより、今後、この古の魔法の全容がより詳しく描かれることになるでしょう。
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