特級呪術師、九十九由基は、『呪術廻戦』の世界において、その特異な存在感と行動原理から、多くの読者の間で議論の的となってきました。
特に、親友であった五条悟と対立し、最悪の呪詛師として道を歩むことになった夏油傑の「闇落ち」に、彼女がどこまで関与していたのか、という点は、作品の深いテーマに触れる重要な考察要素だといえるでしょう。
本記事では、九十九由基が夏油傑の闇落ちの「戦犯」であったのか、その出会いのシーンや交わされた会話の内容を深く掘り下げ、多角的な視点からその真偽に迫ります。
また、彼女の強力な術式「星の怒り（ボンバイエ）」や、天元との複雑な関係性、そして最期まで貫いた壮大な目的についても、最新の情報を基に詳しく解説していきます。
九十九由基というキャラクターが、『呪術廻戦』の物語にどのような深みと問いを投げかけたのか、その魅力と謎に迫る記事をぜひ最後までお楽しみください。
『呪術廻戦』の概要と物語のあらすじ
芥見下々先生によって描かれる『呪術廻戦』は、『週刊少年ジャンプ』（集英社）にて2018年14号から2024年44号まで連載されたダークファンタジーバトル漫画です。
人間の負の感情から生まれる「呪霊」と、それを呪術で祓う「呪術師」たちの壮絶な戦いを描いています。
単行本は全30巻で完結し、シリーズ累計発行部数は1億部を突破するほどの人気を博しています。
テレビアニメは、2020年10月に第1期が放送され、2023年7月からは「懐玉・玉折」と「渋谷事変」を描く第2期が放送されました。
さらに、その続編となる第3期「死滅回游 前編」が2026年1月より放送されることが決定しており、ファンからの期待が大きく高まっています。
物語の始まりと虎杖悠仁の運命
物語は、ごく普通の高校生であった虎杖悠仁が、祖父の遺言を胸に秘めながら日常を送る中で、学校に封印されていた特級呪物「宿儺の指」の封印が解かれてしまうところから幕を開けます。
呪霊に襲われる仲間を救うため、虎杖は呪術師の伏黒恵と共に危険な校舎へと足を踏み入れます。
窮地に陥った際、彼は呪霊に対抗する力を得るため、自ら宿儺の指を飲み込み、その身に「呪いの王」両面宿儺を受肉させてしまいます。
宿儺の器となった虎杖は、呪術師として生きるか、死刑かという過酷な選択を迫られますが、五条悟の提案により「全ての宿儺の指を食してから死ぬ」という猶予が与えられ、東京都立呪術高等専門学校に入学し、呪術師としての道を歩み始めることになります。
特級呪術師・九十九由基のプロフィール
九十九由基は、日本にわずか4人しか存在しない「特級呪術師」の一人です。
呪術高専に籍を置くものの、その思想の違いから任務はほとんど受けず、世界中を旅しながら独自の目的を追求しています。
高身長で金髪の美女という外見的特徴に加え、サバサバとした口調と陽気な性格が印象的です。
好きな食べ物はチキンブリトー、嫌いな食べ物は海藻類で、大型バイクを愛用するなど、そのライフスタイルは自由奔放そのもの。
しかし、その裏には「呪霊の生まれない世界」を目指すという、壮大なそして真剣な目的が隠されています。
九十九由基のプロフィール
| 等級 | 特級呪術師 |
| 身長 | 推定173cm（虎杖悠仁と同程度） |
| 年齢 | 推定30代半ば～45歳前後 |
| 髪色 | 金髪 |
| 好きな食べ物 | チキンブリトー |
| 嫌いな食べ物 | 海藻類 |
| 趣味・特技 | バイク |
| 口癖 | 「どんな女がタイプかな？」 |
| ストレス | 任務 |
| 目的 | 呪霊の生まれない世界を作る「原因療法」 |
特徴的な口癖とその影響
九十九由基の代名詞ともいえる口癖は「どんな女がタイプかな？」です。
初対面の男性には必ずこの質問を投げかけ、その時の状況によって言葉遣いは多少変わるものの、その意図は一貫しています。
夏油傑もこの問いかけを受けましたが、結局彼がどのようなタイプの女性を好むのかは明かされませんでした。
この口癖は、後に弟子の東堂葵へと受け継がれ、彼のキャラクターを形成する重要な要素の一つとなっています。
読者からは、この口癖が九十九由基の気さくで陽気な一面を象徴していると捉える声が多く聞かれます。
九十九由基は夏油傑「闇落ち」の元凶で戦犯？出会いや会話を考察
夏油傑は、五条悟と並び称されるほどの特級術師であり、かつては親友でした。
しかし、物語の途中で呪術師としての信念を捨て、非術師を虐殺する「最悪の呪詛師」として闇落ちし、五条悟と敵対する関係になってしまいます。
この夏油傑の悲劇的な闇落ちには、九十九由基との出会いが深く関わっているといわれています。
はたして、九十九由基は本当に夏油傑闇落ちの「戦犯」だったのでしょうか？
ここでは、九十九由基と夏油傑の過去編での出会いと、その中で交わされた会話の内容から、九十九由基が戦犯といわれる所以と、その評価に対する多角的な視点を探ります。
夏油傑が呪術師としての信念に悩んでいた頃の出会い
九十九由基が夏油傑と初めて顔を合わせたのは、五条悟と夏油傑の学生時代を描いた「懐玉・玉折」編でのことでした。
当時、呪術高専の生徒であった夏油傑は、五条悟と共に「星漿体」である天内理子の護衛任務を与えられます。
しかし、この任務は失敗に終わり、天内理子は伏黒甚爾によって殺害されてしまいます。
星漿体の死を望んでいた盤星教の非術師たちが、理子の死体を見て歓喜する姿を目の当たりにした夏油傑の中で、「非術師を守る」という彼の根幹をなす信念が大きく揺らぎ始めました。
その後も夏油傑は呪術師として、大量の呪霊を祓う日々を続けますが、「何のために呪霊を祓っているのか」という疑問に苛まれ、徐々に非術師を憎むようになっていきます。
九十九由基が夏油傑と出会ったのは、まさに夏油傑が呪術師としてのあり方に深く悩み、精神的に追い詰められていた時期でした。
呪術高専の敷地内で夏油傑と出会った九十九由基は、自身の考える「呪術師のあり方」と呪術高専の「対処療法」的な考え方が根本的に異なると語り始めます。
彼女は、呪霊が生まれる根本原因を解決する「原因療法」を目指していると説明し、その詳細を夏油傑に語り聞かせました。
九十九由基の「原因療法」と夏油傑の反応
呪術高専は、現れた呪霊を祓うことを主な目的としています。
これまでの夏油傑や五条悟も、依頼を受けて呪霊を祓うという「対処療法」に従事していました。
しかし九十九由基は、それでは呪霊の発生を根本的に止めることはできないと考え、最初から呪霊が生まれない世界を作るべきだと主張しました。
彼女が提唱するこの方法を、「原因療法」と呼んでいました。
九十九由基の壮大な目的を聞いた夏油傑は、これまでの自身の概念を覆されるような衝撃を受け、驚きに目を見開きます。
当時の夏油傑にとって、九十九由基の考えはまさに「天の啓示」ともいえるものであったと、多くの読者が考察しています。
彼の心の中に渦巻いていた非術師への憎悪と、呪術師としての矛盾に一石を投じる言葉だったのかもしれません。
九十九由基が夏油傑の発言を肯定した意味
九十九由基は、呪霊が生まれない世界を作るための具体的な2つの方法を夏油傑に示唆しました。
一つ目は、全人類から呪力をなくすという方法です。
彼女は、呪力が全くなかった伏黒甚爾をモデルケースとして、この方法で呪霊の生まれない世界を構築しようとしていました。
しかし、伏黒甚爾に研究への協力を拒否された上、甚爾は五条悟との戦いで命を落としてしまいます。
そのため、九十九由基が当初考えていたこの方法は、実現が極めて困難なものとなってしまいました。
そこで次に九十九由基が考えたのが、全人類の呪力コントロールを可能にさせるという方法でした。
この話の流れの中で、「術師からは呪霊は生まれない」という事実を聞かされた夏油傑は、思わず「非術師を皆殺しにすればいい」と過激な言葉を口走ってしまいます。
てっきり九十九由基に咎められると思った夏油傑でしたが、九十九由基は真剣な表情で「それはアリだ」と肯定しました。
この九十九由基の言葉は、夏油傑の心に深く刺さり、「非術師がいなくなればいい」という彼の思いをさらに強固なものにしてしまいました。
そのため、多くの読者から九十九由基は、夏油傑を闇落ちさせた「戦犯」であると指摘されるようになりました。
九十九由基は本当に夏油傑の「戦犯」だったのか？
九十九由基の言葉が夏油傑の闇落ちに決定的な影響を与えたと考える読者が多い一方で、「夏油傑は遅かれ早かれ闇落ちしていた」という見方もあります。
確かに九十九由基の話を聞いたからといって、すぐに夏油傑が闇落ちしたわけではありません。
その後、夏油傑は後輩である灰原雄の任務中の死を経験し、さらに心を病んでいきます。
そして、夏油傑が任務で訪れたある村で、幼い呪術師の姉妹が非術師たちに虐待され、罵倒される悲惨な光景を目撃します。
この決定的な事件が、夏油傑に非術師虐殺という暴挙へと踏み切らせる最後の引き金となりました。
この経緯を見ると、九十九由基の言葉が直接的な原因であったとは言い切れないかもしれません。
しかし、彼女の思想が夏油傑の非術師への憎悪を肯定し、その闇落ちを加速させるきっかけを作ったことは確かだといえるでしょう。
「九十九由基が戦犯である」という意見は、夏油傑が五条悟と共に歩む未来を望んでいた読者の、強い願いの表れでもあるのかもしれません。
九十九由基は夏油傑の闇落ちを防ぐことができたのか？
九十九由基が「戦犯」と呼ばれる理由の一つに、「呪術師からは呪霊が生まれない」という事実を夏油傑に教えてしまったことが挙げられます。
この情報が、夏油傑の中で「非術師が全員いなくなればいい」という極端な思想を大きく育んでしまったと考える読者は少なくありません。
もし九十九由基がこの事実を伝えなければ、夏油傑がそのような過激な考えに至らなかった可能性も十分に考えられます。
また、夏油傑は九十九由基との会話の中で、非術師を見下す自分と、それを否定する自分との間で葛藤していることを告白しました。
この時、九十九由基は「どちらを選択するかは今後の自分次第だ」と述べ、夏油傑の心の闇を否定せず、その決断を彼自身に委ねました。
結果として、夏油傑は非術師を見下す自分を選び、最終的に闇落ちしてしまいます。
夏油傑が正と負の感情で激しく揺れ動いていた時に、九十九由基が積極的に彼を引き留めようとしなかった態度もまた、彼女が「戦犯」と呼ばれる理由の一つだと考えられています。
読者の中には、「九十九由基がもう少し踏み込んでいれば、夏油傑の未来は変わったのではないか」と悔やむ声も多く聞かれます。
九十九由基の術式と能力
夏油傑の闇落ちの「戦犯」と評されることもある九十九由基ですが、彼女が作中で見せた羂索との壮絶な戦いでは、その特級術師としての圧倒的な実力を遺憾なく発揮しました。
日本に数人しかいない特級術師である彼女は、五条悟ほどではないにしても、乙骨憂太やかつての夏油傑に匹敵するほどの強さを持っていると推察できます。
ここでは、九十九由基の強さの根源である術式や、その他の高度な能力について詳しく解説します。
術式「星の怒り（ボンバイエ）」
呪術師たちが持つ固有の技である「術式」において、九十九由基の生得術式は「星の怒り（ボンバイエ）」という名を持っています。
この術式は、自身に仮想の質量を付与するという極めてユニークな能力です。
星の怒りを発動した九十九由基は、人間の限界を遥かに超えた力で打撃を繰り出し、その威力は特級呪霊を一撃で消し飛ばすほどです。
この付与される質量はあくまで「仮想」であるため、九十九由基自身の肉体に物理的な負担を与えることはなく、彼女のスピードが落ちることもありません。
しかし、その反面、自身の肉体強度を直接強化する効果はないため、防御面は彼女自身の高い身体能力に依存することになります。
この術式は、総監部のデータベースにも情報が一切載っていなかったほど徹底的に秘匿されており、その規格外の破壊力は単独で国家転覆も可能とまで言われています。
式神「凰輪（ガルダ）」
九十九由基の傍らには、常に胴体が長く骨格のような姿をした生き物が浮遊しています。
これは「凰輪（ガルダ）」と呼ばれる式神で、九十九由基の術式「星の怒り」によって呪具化された存在です。
通常、星の怒りで重量を付与できるのは九十九由基本人に限られますが、凰輪だけは例外的にその術式の対象となります。
九十九由基は凰輪に仮想の質量を付与し、それを鞭のように振り回したり、ボール状にして蹴り飛ばすことで、桁違いの破壊力を持つ攻撃を繰り出します。
凰輪は武具としてだけでなく、単体で自律行動し、相手を拘束したり刺突したりするなど、式神としての多様なサポートもこなします。
これにより、九十九由基は近距離だけでなく遠距離戦にも対応できる、非常に柔軟な戦闘スタイルを確立しています。
反転術式の使い手
『呪術廻戦』の世界において、反転術式は負のエネルギー同士をかけ合わせて正のエネルギーを生み出し、負傷した体を治癒する高度な術です。
通常の術式よりも習得が非常に難しいため、作中でも使える人物は限られています。
九十九由基はその限られた人物の一人であり、羂索との戦いの中で、重傷を負った腕を一瞬で治癒する様子を見せました。
このことからも、彼女が非常に精度の高い反転術式を操れることが推察されます。
しかし、反転術式には莫大な呪力が必要であり、特に致命傷を負った際にはその消費も甚大です。
領域展開の可能性と簡易領域
作中で九十九由基が自身の領域展開を使用するシーンは描かれていません。
しかし、羂索との戦いにおける作戦会議の際、彼女が領域展開を使えることを示唆する発言をしていました。
日本に数人しかいない特級術師という立場を考慮すれば、九十九由基が領域展開を習得している可能性は非常に高いと考えられます。
結局、彼女が領域展開を見せることなく退場してしまったため、その詳細については謎に包まれたままです。
一方で、彼女はシン・陰流「簡易領域」を習得しており、羂索の領域展開に対抗するために使用しました。
簡易領域は、術者が展開する結界術のミニチュア版であり、領域展開の必中効果を打ち消すことができます。
しかし、簡易領域をもってしても羂索の領域展開に完全に耐えることはできず、九十九由基は血まみれの状態で倒れてしまいます。
九十九由基と天元の関係性、そして壮大な目的
九十九由基は、他の主要キャラクターと比較して登場回数が多くないため、作中で深く関わるキャラクターも限られています。
その中でも特に彼女と関係が深いのが、呪術界の根幹を支える存在である天元と、弟子の東堂葵です。
また、彼女が長年追い求めてきた「呪霊の生まれない世界」という壮大な目的についても、深く掘り下げていきましょう。
九十九由基と天元の複雑な関係
九十九由基が天元と初めて対面したのは、五条悟と夏油傑の過去を描いた「懐玉・玉折」編でのことでした。
この時、彼女は天内理子の死亡によって天元が星漿体と同化できなかった後の状態について言及し、その安定した様子から天元との何らかの関係が示唆されました。
渋谷事変後、九十九由基は虎杖悠仁たちを天元のいる薨星宮へと案内します。
この時、天元が「君とは初対面ではないだろう。九十九由基」と発言したことから、両者の間に過去からの面識があることが明確になりました。
そして、その後のエピソードで、九十九由基自身が「元星漿体」であったことが判明します。
彼女は天元と同化する適合者の一人でありながら、それを拒否した過去を持っていました。
そのため、九十九由基は天元が星漿体の子供たちを同化の道具として利用してきた歴史に対して強い反感を抱いており、天元を「クソジジイ」と呼ぶなど、必ずしも友好的な関係ではありませんでした。
彼女は天元が不要な世界、すなわち呪力から脱却した世界を目指していたとも考察されています。
九十九由基と東堂葵の師弟関係
呪術高専京都校の生徒である東堂葵は、九十九由基の唯一の弟子です。
二人の出会いは、小学3年生だった東堂葵が河原で高校生相手に喧嘩していたところに、偶然通りかかった九十九由基が声をかけたのがきっかけでした。
具体的な師弟関係の成立経緯は描かれていませんが、この出会いが東堂葵の人生を大きく変え、彼の戦闘スタイルや思考、そして「どんな女がタイプかな？」という口癖にまで大きな影響を与えています。
東堂葵は、九十九由基直伝のシン・陰流「簡易領域」を使用するなど、その師から受け継いだ技術と精神を戦いの中で発揮しています。
九十九由基の壮大な目的
九十九由基の究極の目的は、「この世から呪霊をなくすこと」です。
呪霊を祓うという「対処療法」を行う呪術高専とは方針が合わず、特級術師でありながらほとんど任務を受けずに独自の活動を続けてきました。
彼女は呪霊の発生を根本から防ぐため、「原因療法」を模索しており、過去には全人類から呪力をなくす方法を追求していました。
しかし、この方法が困難であることを悟った後は、全人類の呪力コントロールを可能にする方法を模索するようになります。
最終的には、人類を呪力から脱却させることで、呪霊が生まれない世界を実現することを目指していました。
この壮大な目的こそが、彼女が特級術師という立場にありながら、既存の呪術界とは一線を画した行動を取り続けた理由なのです。
九十九由基の最期と「死亡確定」の真相
九十九由基は、呪術界の根幹を揺るがす羂索との戦いにおいて、壮絶な最期を迎えました。
彼女の死亡は、物語の大きな転換点の一つとして、多くの読者に衝撃を与えています。
ここでは、九十九由基がどのようにして命を落としたのか、その詳細な経緯と、死亡が確定したとされる理由について解説します。
羂索との激闘と致命傷
渋谷事変の後、九十九由基は脹相と共に天元の護衛として薨星宮に残りました。
そこへ天元を狙う羂索が侵入し、九十九由基と脹相は羂索との激しい戦いに突入します。
当初、九十九由基と天元は羂索の力を削いでから領域を展開させ、天元がその領域を解体するという作戦を立てていました。
しかし、羂索は予想よりも早いタイミングで領域を展開し、しかも結界を閉じないタイプの領域であったため、天元が解体するための外殻が存在しませんでした。
九十九由基は簡易領域で羂索の領域に対抗しますが、その力は強大で、彼女は重傷を負って倒れてしまいます。
それでも立ち上がり、脹相と共に肉弾戦で羂索を追い詰めますが、羂索の攻撃によって腹部に大きな穴を開けられてしまいます。
体が真っ二つになるほどの致命傷を負った九十九由基でしたが、それでも彼女は意識を保ち、最後の力を振り絞ります。
ブラックホールでの自爆と死亡の確定
九十九由基は、自らの命を犠牲にしてでも羂索を道連れにするため、術式「星の怒り」を限界まで解放し、超高密度の質量を発生させて「ブラックホール」を生成しました。
このブラックホールは、単独で地球そのものを滅ぼせるほどの規格外の破壊力を持つとされており、薨星宮一帯を巻き込みながら姿を消しました。
しかし、羂索は自身の術式「反重力機構（アンチグラビティシステム）」を駆使してブラックホールを無力化し、無傷で姿を現します。
この戦いの後、九十九由基が再び姿を現すことはなく、脹相が虎杖悠仁に彼女がまとめた研究記録を「九十九の遺した研究記録」と表現したことから、九十九由基の死亡が確定的なものとなりました。
連載当時、反転術式の使い手であったことから生存説も囁かれましたが、あれほどの術式を使った後の呪力消費と、体の損傷状況から、復活は極めて困難であると結論付けられています。
九十九由基は、自らの命を賭してでも呪霊の生まれない世界を目指すという信念を、最期まで貫き通したのです。
九十九由基「黒幕説」の真相
九十九由基に関しては、夏油傑の闇落ちの「戦犯」説だけでなく、「夏油一派の黒幕」であったという過激な説も浮上したことがあります。
この説は、九十九由基が夏油傑に非術師がいない世界の素晴らしさを意図的に吹き込み、闇落ちを誘発したのではないかという疑念から生まれたものです。
しかし、物語の展開や彼女の言動を詳細に分析すると、この「黒幕説」は低い可能性であると考える読者が多いようです。
「黒幕説」が浮上した背景
夏油傑が九十九由基との会話をきっかけに、「非術師を皆殺しにする」という思想へと傾倒していったことは事実です。
この影響の大きさが、一部の読者に「九十九由基が何らかの意図を持って夏油傑を誘導したのではないか」という疑念を抱かせました。
彼女が呪霊の生まれない世界を目指すという壮大な目的を掲げていたことから、その目的達成のために夏油傑のような強力な術師を利用しようとした可能性もゼロではない、と考える見方もあったのかもしれません。
「黒幕説」が否定される理由
しかし、九十九由基は夏油傑の過激な発言に対して「それはアリだ」と肯定しつつも、その実現方法については現実的ではないと反対する姿勢も見せていました。
彼女はあくまで「原因療法」という大枠の思想を示しただけであり、具体的な手段として非術師の虐殺を推奨したわけではありません。
また、九十九由基は夏油傑の葛藤に寄り添い、最終的な決断を彼自身に委ねるというスタンスを貫いています。
もし彼女が黒幕であったならば、もっと巧妙に夏油傑を操り、自身の目的に都合の良い方向へと誘導したはずだと考えるのが自然でしょう。
彼女の行動原理は、あくまで「呪霊の生まれない世界」の実現であり、そのために個人の思想を歪めるような画策をすることは、彼女のキャラクター性とは異なるという見方が支配的です。
したがって、九十九由基が夏油傑闇落ちの「戦犯」であったことは否定できないとしても、彼を意図的に操る「黒幕」であった可能性は低いと結論づけられるでしょう。
まとめ：九十九由基の功罪と『呪術廻戦』のテーマ
特級呪術師・九十九由基は、その規格外の術式「星の怒り（ボンバイエ）」と、呪霊の生まれない世界を目指すという壮大な目的を掲げ、物語に登場しました。
彼女の最大の特徴は、呪術高専の「対処療法」を否定し、「原因療法」という独自の思想を貫いたことです。
特に、精神的に追い詰められていた夏油傑との出会いにおいて、「非術師を皆殺しにすればいい」という彼の過激な発言を「それはアリだ」と肯定したことは、彼の闇落ちを決定的に加速させたという点で、多くの読者から「戦犯」と評される要因となりました。
しかし、彼女自身は悪意を持って夏油傑を誘導したわけではなく、あくまで「呪霊の生まれない世界」という自らの大義を追求していたに過ぎません。
最期は、羂索との激闘において、自らの命を犠牲にしてブラックホールを生成するという壮絶な手段で、「呪いを根絶する」という信念を貫き通しました。
九十九由基の物語は、「大義」と「正義」の定義、そして「理想」を追求することの功罪という、『呪術廻戦』が持つ深いテーマを象徴しています。
彼女の行動は、「個人」の純粋な信念が、時に「世界」という大きな枠組みの中で、予期せぬ悲劇を生み出す可能性があることを示唆していると言えるでしょう。
以下の呪術廻戦おすすめ記事も是非ご覧ください！
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