
絵本のような可愛らしいタッチでありながら、多くの読者にトラウマを植え付けるほどのハードな描写で知られる『メイドインアビス』。
イラストレーターとして活躍していたつくしあきひと先生が手がけるこの冒険譚は、ウェブコミック配信サイト「WEBコミックガンマ」で不定期連載されています。
その独特な世界観とストーリーの奥深さから、2017年のアニメ化を皮切りに人気が爆発。ゲーム化もされており、その過激な内容からZ(18歳以上のみ対象)のレーティングがつくほどです。
主人公は、大穴アビスの縁にある街オースで育った探窟家見習いのリコ。
彼女は、アビスの底からやってきた少年型ロボットのレグと出会い、共に母を探す旅に出ることを決意します。
そんな彼らの行く手を阻む、あるいは助けとなるのが、人語を解する異形の生物「成れ果て」たちです。
成れ果てとは?その特徴と秘密に迫る
アビスの深界には、不思議な原生生物や、人間をはるかに超えた力を持つ遺物が存在します。
その中でも特に異彩を放つのが、人語を解する謎の種族「成れ果て」です。
成れ果ては、それぞれ異なる姿をしており、その正体はアビスの呪いによって人間性を失ってしまった元人間です。
👉【メイドインアビス】キャラ&声優一覧!物語を彩る人物たちの魅力解説
アビスの「呪い」がもたらす変化
アビスには、上に昇る際に体や精神に異常をきたす「上昇負荷」という法則があり、探窟家たちはこれを「呪い」と呼んでいます。
深界第1層では軽いめまいや吐き気、第2層では頭痛や四肢の痺れといった軽微な症状ですが、深部に行くにつれてその影響は深刻になっていきます。
そして、深界第6層「還らずの都」では、死ぬか、あるいは人間性を失い「成れ果て」になるかの二択しかありません。
人間が成れ果てになる際、本人や周囲の人間が持つ強い欲望がその姿に大きく影響を与えるとされています。
このため、同じ姿をした成れ果ては一人として存在しないのです。
姿は異形に変わってしまっても、人間だった頃の記憶や知性、感情を保っている者もいます。
ナナチやファプタ、そして三賢人と呼ばれるワズキャンやベラフはその代表例です。
成れ果てが得る異能
成れ果てになることは、人間性を失うという悲劇である一方で、新たな力を手に入れることでもあります。
ナナチは、アビスに満ちる不思議な力「力場」を視覚化する能力を得ました。
これにより、アビスの呪いを予測し、回避することが可能になりました。
一方、ナナチの親友ミーティは、不死の力を手に入れています。
何をされても死ぬことがない、まさに絶望的な能力です。
このように、成れ果ては異形の姿と引き換えに、不思議な力を獲得することが大きな特徴となっています。
成れ果て村「イルぶる」の全貌
深界第6層には、人間性を失った成れ果てたちが身を寄せ合って暮らす村、通称成れ果て村「イルぶる」が存在します。
この村には、多くの謎と秘密が隠されていました。
イルぶるの成り立ちと三賢人
イルぶるは、はるか昔にアビスの黄金郷を目指して旅立った決死隊「ガンジャ」の生き残りによって築かれました。
その中心人物が、「三賢人」と呼ばれる3体の成れ果てです。
彼らはガンジャのリーダーだったワズキャン、知識人だったベラフ、そして後にその役目を受け継いだ用心棒のような存在ジュロイモーで構成されています。
彼らは、村の成り立ちや、村特有のルールを理解している知性を持った存在です。
村の秘密:力場が存在しない場所
イルぶるの最大の特徴は、アビスのどこにも存在するはずの「力場」がないことです。
村の内部では、上昇負荷の呪いを受けることなく自由に動き回ることができます。
これは、アビスの呪いから逃れることができる、唯一の安全な場所だと言えるでしょう。
「価値」と「精算」のルール
イルぶるの住人たちは、独自の文化を築いています。
彼らは「価値」と呼ばれるものを利用して生活しており、この価値は、それぞれの成れ果てが大切にしている物や、時には自身の体の一部など、多種多様です。
村のルールとして、他者の価値を傷つけることは重罪とされています。
もし罪を犯せば、村のどこからともなく黒い触手が現れ、対象者の価値を破壊する「精算」が行われます。
精算は、傷つけられた価値の大きさに応じて、対象者の価値や体の一部を奪っていくという恐ろしい仕組みです。
イルぶるの正体と悲劇的な結末
イルぶるは、ただの村ではありませんでした。
その正体は、ガンジャ隊に同行していた原住民の少女イルミューイが、アビスの遺物「欲望の揺籃」の力で変形し、巨大化した姿だったのです。
イルミューイは、「子どもを産める体になりたい」という願いを叶えましたが、その結果、毎日異形の動物を産み続け、その体は巨大な建造物へと進化しました。
そして、イルミューイが最後に産み落とした子どもが、成れ果ての姫ファプタでした。
ファプタは、母イルミューイの苦しみと悲しみを受け継いでおり、イルぶるに住む成れ果てたちを憎み、村を壊滅させることを目的としていました。
最終的に、村の住人たちは村を守るためファプタに身を捧げ、原生生物との激闘の末、イルぶるは全壊し、住人たちは消滅するという悲劇的な結末を迎えました。
主要な成れ果てキャラを紹介
『メイドインアビス』には、物語の鍵を握る個性豊かな成れ果てたちが多数登場します。
ここでは、特に重要なキャラクターたちをピックアップしてご紹介します。
ナナチ
リコとレグの旅に同行することになった、ウサギのような姿をした成れ果てです。
彼女が成れ果てになったのは、アビスの呪いを研究する白笛ボンドルドの人体実験が原因です。
ナナチは、成れ果てになったことで力場を見る能力を得て、リコたちの心強い味方となりました。
ミーティ
ナナチの親友で、ピンク色の毛に覆われた獣のような姿をしています。
ミーティもナナチと共にボンドルドの人体実験の犠牲者でした。
成れ果てになったミーティは、何をされても死ぬことができない「不死」の能力を得てしまいます。
ナナチは、ミーティの「殺して」という願いを叶えるため、レグの火葬砲でミーティの命を奪うという、非常に痛ましい決断をしました。
👉【メイドインアビス】白笛探窟家の全秘密!条件・メンバー一覧とリコの白笛の謎
マジカジャ
イルぶるの住人で、機械的な体を持つ珍しい成れ果てです。
人語を理解し、片言ですがリコたちと会話ができます。
穏やかな性格で、イルぶるに来たばかりのリコたちの案内役を務めました。
マジカジャの本体は「におい」であり、機械の体を器として生活しているという設定は、多くの読者に驚きを与えました。
ワズキャン
イルぶる創設に携わった三賢人の一人で、元ガンジャ隊のリーダーです。
頭から角のような突起が生えた異形の姿をしていますが、人間だった頃の知性を完全に保っています。
村の指導者として住人たちをまとめ、村のルールを維持していました。
ベラフ
ワズキャンと同じく三賢人の一人です。
白い仮面のような頭と、長細い体が特徴的な成れ果てです。
人間だった頃は知識人としてガンジャ隊を支え、未知の言語を翻訳していました。
成れ果てになった後も、その知識は失われておらず、ファプタにイルミューイの記憶を見せるなど、物語の重要な役割を果たしました。
ムーギィ
イルぶるの食堂を営む、人語を話せる数少ない成れ果てです。
頭から伸びるタコの足のような触手には視覚器がついており、後ろ向きでも料理ができるというユニークな能力を持っています。
様々な成れ果てと接する中で、多くの言語を習得しています。
マアアさん
ピンク色のぬいぐるみのような可愛らしい見た目の成れ果てです。
人語は話せませんが、人懐っこい性格で、リコが連れていたメイニャを気に入り、その後はリコたちに同行することになります。
可愛い見た目に反して、お尻だけが汚いというギャップも多くの読者に愛されています。
ファプタ
イルぶるの外に住む「成れ果ての姫」で、イルミューイが最後に産み落とした子どもです。
褐色の肌と4本の腕、5本の尻尾を持つ、極めて人間に近い姿をしています。
母イルミューイの怒りと悲しみを受け継いでおり、イルぶるの壊滅を目的としていました。
しかし、最終的には村の秘密と母の愛を知り、その復讐を止めました。
ヴエロエルコ
かつてガンジャ隊のメンバーだった成れ果てで、リコたちにイルぶるの秘密を語った人物です。
人間だった頃の姿に近く、リコたちと意思の疎通が可能です。
彼女の語りによって、イルぶるの悲劇的な成り立ちが明らかになりました。
ボンドルド
仮面をつけた白笛の探窟家で、ナナチとミーティを成れ果てにした張本人です。
レグとの戦闘で、上昇負荷の呪いを受けて成れ果てになります。
しかし、彼は実験の産物である「カートリッジ」によって肉体を入れ替え、生きながらえているため、成れ果てになった体は殺されても不死身の存在として生き続けます。
その特異な能力は、多くの読者に衝撃を与えました。
成れ果て村の評価と考察:絶望の先に生まれた希望
成れ果て村「イルぶる」は、物語の中でも特に賛否両論を巻き起こした場所です。
そのグロテスクな描写や、過酷な物語展開から、「見ていてつらい」「トラウマになった」という声も多く聞かれました。
しかし、その一方で、「最も人間らしい感情が描かれた」と高く評価する声も多いです。
成れ果てたちの姿や価値観は、人間だった頃の欲望や、その魂の形を反映しています。
ファンの中には、「自分だったらどんな成れ果てになるだろう」と想像する人もいるようです。
イルぶる編は、アビスの過酷さだけでなく、そこで生きる成れ果てたちの悲しみ、喜び、そして互いを尊重する心を描き、読者に深い感動を与えました。
成れ果ては、アビスの呪いという「絶望」の象徴であると同時に、人間性を失ってもなお、強く生きようとする「希望」の象徴でもあったのです。
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まとめ
『メイドインアビス』に登場する成れ果ては、深界第6層の呪いを受けて姿を変えられた人間でした。
その姿は、それぞれの人間が持つ欲望や、魂の形を反映しています。
彼らが暮らす成れ果て村「イルぶる」は、イルミューイという少女の悲劇的な過去から生まれた場所でした。
この物語は、成れ果てたちの悲惨な運命を描きながらも、彼らがどのようにしてその過酷な環境に適応し、独自の社会を築き上げてきたのかを鮮やかに描いています。
それは、単なる異形な存在ではなく、人間性を失ってもなお強く生きる者たちの物語でした。
本記事で紹介しきれなかった成れ果ても多く登場しますので、ぜひ本編を読み進めて、あなただけのお気に入りの成れ果てを探してみてはいかがでしょうか。
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